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     10・29 東京

  米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練反対闘争に決起
 




 米軍・自衛隊参加の東京都防災訓練反対闘争が十月二十九日に取り組まれた。例年なら九月一日前後に行われるものが東日本大震災の影響で延期されたのだ。被災現地ではいまだに復興・復旧作業が続いているし、多くの行方不明者も存在している。多大な労力と金額を使うならむしろ東北支援につかうべきだ。今は福島原発の放射能を一刻も早く止めることが最大の防災だ。そうしたなか訓練は強行された。
 東京都の総合防災訓練に反対する実行委2011の仲間を中心に、早朝監視行動が行われ、訓練の問題点をつぶさに観察した。また、現地小金井市においては、厳戒態勢を打ち破って多くの労働者・市民が参加して抗議集会が取り組まれた。その後市内デモを、私服・公安の大包囲を跳ね返して貫徹し、終日行動を勝ち取った。

 ●1 米軍・自衛隊参加の訓練の実態

 今回の訓練では、東北大震災救援での自衛隊や米軍の賛美が中心になることは予想された。メイン会場の小金井公園は自衛隊、消防、警察の被災地での救援活動の宣伝パネルやハイパーレスキュー用の車両機器で一杯であった。地域の協力自治体である小平、西東京、武蔵野、小金井各市の町内会、学校の学童などが動員され見学・体験学習が行われていた。自衛隊が子供に迷彩服を着せて記念撮影をし、その横で隊員募集も行われるなど、いまも続いている震災被害への緊張感も欠けている光景である。
 訓練も、東北大震災での活動を再現するそのミニチュア版である。最初は、自衛隊、警察、消防によるヘリを使ったビル屋上からの救出。ついで自衛隊、消防、警察と、地方と外国からの救援隊が一斉に救援活動に入るといった演出がおこなわれた。今回、自衛隊は富士の機甲化部隊と地元府中の航空自衛隊が中心となって行動し、重機や装甲車が参加した。その他宣伝会場では、自衛隊による炊き出し、入浴設備の公開も行われていた。訓練演習においても、住民の移動規制や交通規制などが実際の見学住民をも巻き込んで行われていたのが特徴だった。
 目玉企画として今回初めて導入された「ブラインド方式」だが、倒壊家屋に被災者を入れておいて事前に知らせないで探し出すといったものでしかなかった。津波対策訓練として臨海部訓練も強調されたが、実際は東京湾晴海ふ頭近辺の水門を開け閉めしたに過ぎない。しかし、負傷者識別訓練としてのトリアージはしっかり位置づけられ、近くの日赤病院や民間大病院、中学校体育館などが使われていた。戦争で行われてきたことが、被災者の差別的選別作業の訓練として重要視されているのだ。
 今回米軍の参加については、内陸部の訓練であることや、これまで実効性を疑われている帰宅困難者の米軍艦船を使っての救援訓練を見送ったこともあり、その規模は縮小されているが、横須賀、座間、横田の基地を使っての負傷者や物資搬入のヘリ訓練には米軍機三機が参加している。会場内では北関東防衛局なる部局が東北での米軍の活動を宣伝していた。
 防災訓練というよりは、防災ショー化し、地域住民や学生の動員の組織化が目立つ傾向がある。米軍・自衛隊の参加もしっかり位置づけられており、この手の訓練が戦争法である国民保護法の代替的傾向を強めていることも見ておく必要があるだろう。

 ●2 差別・排外主義を撃ち破って闘おう

 病気とかで欠席した石原に代わって、猪瀬副知事が講評を行った。その中では「自助・共助・公助」の精神がやたら強調された。大災害はどうしようもないから、その後の救援体制作りが大事で、自分の命は自分で守ることだという自己責任論が強調された。本末転倒だ。災害を防ぎ生命をどう守るかが第一の課題とされなければならないのだ。現に現地ではお年寄りや病人が被災地に取り残されたりしているのだ。また正確な災害情報が行き届かなかっために多くの人々が命を落としているのである。そのことこそ教訓化しなければならないだろう。また、戦後最大の人災といえる福島原発事故に対して、何の反省も言わないことはあまりにも政治的な見え透いた行為ではないか。米軍・自衛隊を賛美するだけの防災訓練はいらないのだ。
 実行委の仲間が事前に行った東京都との交渉で明らかになったことだが、この防災訓練に米軍が参加することには何の法的根拠も協約もないということだ。石原の個人的思惑で米軍を参加させているに過ぎないということだ。その結果米軍「トモダチ作戦」の見返りに多大な支援予算を提供しているのだ。こんな欺瞞的参加を拒否していこう。
 米軍・自衛隊を非難するものは「非国民」なる罵声を浴びせる輩がいるが、軍隊は軍事行動が第一義であることを忘れてはならない。現に、米軍は核戦争を想定した救出行動に終始し被災地から引き揚げたのだ。自衛隊ははじめて陸・空・海三軍の統合指令所を設置し、独自の作戦行動と地域制圧訓練を行なったのだ。退役した予備自衛官をはじめて招集することで有事の体制作りの訓練をしたのだ。
 私たちは、一九二三年の関東大震災において、軍隊がデマ情報を流し、自警団を組織させ、朝鮮人・中国人虐殺を引き起こしたことを忘れない。八十八年たった今でもその実態と真相は隠されたままなのだ。そのことを最大の教訓として闘っていこう。



 

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