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     12・4 福井

  「2011もんじゅを廃炉へ!全国集会」が敦賀現地で開かれる
 





 去る十二月三日、「2011もんじゅを廃炉へ!全国集会」が、福井県敦賀市において開催された。この集会は、五団体(原子力発電に反対する福井県民会議、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、ストップ・ザ・もんじゅ、反原発運動全国連絡会)の共同呼びかけによる実行委員会の主催で、毎年十二月上旬に開催されてきたものである。周知のように、もんじゅは日本最初の高速増殖炉原型炉として、日本原子力研究開発機構によって建設された。一九九五年八月二十九日に発電を開始したが、わずか三ヶ月余り後の一二月八日にナトリウム漏洩・火災事故が発生し、運転を停止した。十五年後の二〇一〇年五月六日に運転を再開したが、その直後の八月二十六日に原子炉内の中継装置の落下事故が発生、再び運転停止となった。落下した中継装置はすでに回収されたが、福島原発事故以降の反原発運動の高揚のなかで運転停止状態にある。しかし、政府・原子力研究開発機構は、核燃料サイクルの中枢にあるもんじゅの運転再開をなおもくろんでいる。漏洩・火災事故を不可避とするナトリウムを冷却剤として用い、大量のプルトニウムをつくりだす危険な高速増殖炉もんじゅを何としても廃炉に追い込み、核燃料サイクルを絶ち切らねばならない。また、福井県にはもんじゅを含めて十五基の原発が集中している。すでにそのうち十二基(十二月三日現在)が事故や定期検査・廃炉措置などで停止しているが、関西電力などは何としても停止中の原発の再稼動を実現しようとしている。福井県の原発の再稼動を阻止していくために全力で闘うことが求められている。そのような思いを抱く人々の昨年に倍する広範な結集で、全国集会は開催された。

 もんじゅが見える白木海岸で抗議集会

 まず午前十一時から、もんじゅを目の前にした白木海岸で抗議集会がおこなわれた。集会の開始時間が近づくにつれて、主催者がチャーターしたJR敦賀駅からの貸切バスが何台も到着し、ぞくぞくと参加者が海岸に降りてくる。その数は千三百人に達した。
 集会ではまず、原水禁国民会議事務局長の藤本泰成さんが、「これまでの日本は経済活動優先で、人の命が犠牲にされてきた。私たちの命を私たちの手に取り戻すために闘おう」と脱原発に向けた闘いのさらなる推進を訴えた。藤本さんはまた、政府が今国会で採決しようとしているベトナム、ロシア、ヨルダンとの原子力協定について、「私たちの命を守ることは、世界の仲間たちの命を守ることだ」と訴え、政府による原発輸出策動を批判した。次いで地元からとして敦賀地区平和センター事務局長の松永寛治さんが発言した。松永さんは、「今日ほどもんじゅに対する不安、不満が高まっているときはない」と敦賀市民の状況を紹介しつつ、地元としていっそうがんばっていくとその決意を明らかにした。さらに、社民党の服部良一衆議院議員が、国会での活動を報告しつつ、「危険で税金の無駄遣いであるもんじゅを存続させる理由はない。廃炉に向け、皆さんとともに力をあわせていきたい」とアピールした。
 この集会の後、海岸からもんじゅの敷地のゲートまでの短いデモ行進がおこなわれた。そして、ゲート前で、日本原子力研究開発機構に宛ててもんじゅの廃炉を求める抗議申し入れがおこなわれた。

 敦賀プラザ万象大ホール埋め尽くし集会

 午後一時三十分からは、JR敦賀駅近くの敦賀プラザ万象大ホールにおいて、もんじゅ廃炉を求める全国集会が開催された。この集会には、千五百人を越える人々が結集し、会場があふれかえるような状況であった。まず主催者あいさつを原子力発電に反対する福井県民会議事務局長の小木曽美和子さんがおこなった。小木曽さんは、昨年をはるかに越える全国からの結集に感謝し、もんじゅの廃炉を訴えて次のように述べた。原子力安全委員会は、原発事故の防災重点地域(EPZ)を現行の原発を中心にした半径八~十キロ圏から半径三十キロ圏に拡大した。この間、新たにEPZに含まれることになった自治体に申し入れなどを行なったが、どの自治体も原発事故に対する対応計画を持たず、担当部署すら無いという状態だった。福井県には、十五基の原発が集中しており、過去に大地震が発生している。原発震災を警告してきた石橋克彦神戸大学名誉教授も、浜岡の次に最も危険なのは二つの活断層の上に存在し、最近大地震が発生していない敦賀半島だと指摘してきた。もんじゅには、千六百トンのプルトニウムがある。大地震がおこれば、壊滅的な被害が発生し、日本は崩壊する。危険なばかりで実用化のメドもないもんじゅの建設・維持費にすでに一兆八百三十億円、高速増殖炉の開発費用全体では約二兆円が投じられてきた。これほどの無駄遣いはない。もんじゅは廃炉にするしかないのだ。政府の「政策仕分け」で、もんじゅについては存廃を含めて見直すとなった。しかし、もんじゅの推進勢力は大きな力を持っている。高速増殖炉を研究施設として形を変えて存続させていこうとする動きもある。もんじゅは、徹底して廃炉にするしかないのだ。命を越える国策などあってはならないと。
 続いて、三つの講演がおこなわれた。最初に発言した佐藤栄佐久さん(前福島県知事)は、在任中の経験をふり返りつつ、日本は「原子力帝国」であって民主主義国家ではないと厳しく批判した。そして、政官財・マスコミ・裁判所までもが結託した原発推進の構造を打ち破ろうと訴えた。
次に発言した海渡雄一さん(弁護士 元もんじゅ訴訟弁護団)は、「核燃料サイクルの終焉・脱原発と司法の役割」というテーマで講演をおこなった。海渡さんは二〇〇三年一月二十日のもんじゅ訴訟名古屋高裁判決での完全勝利、二〇〇五年五月三十日の最高裁での逆転敗訴判決について経過を説明し、現在は最高裁への再審請求をおこなっていると報告した。また、二〇〇七年十月二十六日、浜松地裁が浜岡原発訴訟において、周辺住民などの原告の敗訴判決をだしたことを厳しく批判した。そして、石橋克彦神戸大名誉教授がこの浜岡原発訴訟地裁判決について、「判決が誤っていることはやがて自然が証明する。しかし、そのとき私たちは取り返しがつかない悲惨な事態を迎えている」と批判したことを紹介した。
最後に、小林圭二さん(元京大原子炉研究所講師)が「もんじゅで『フクシマ級』が起これば」というテーマで講演をおこなった。小林さんは、まず十二月二日に公表された福島原発事故の東電の中間報告について、相変わらず「想定外の津波」に事故の原因を求めるものだとして厳しく批判した。そして、もんじゅを廃炉とすべき理由を次のように提起した。第一には、もんじゅが余りにも危険なものだということである。高速増殖炉は、メルトダウンをおこすと暴走し、最悪の場合核爆発をおこす危険性がある。また、危険なナトリウムを冷却材としており、水や空気に触れると燃焼・爆発する。そして、配管や機器が地震に弱い。第二には、経済的に引き合わないことである。第三には、高速増殖炉は核兵器級のプルトニウムを生みだす核兵器製造工場であると。そして、小林さんはもんじゅの地下にある活断層でマグニチュード7・5の地震が発生したときもんじゅに何がおこるのか、大火災が発生し、ついには核反応の暴走によって核爆発をおこすまでのシュミレーションを映像を使って説明した。まさに想像を絶するものであり、あらためてもんじゅを廃炉にするしかないことを確信するような提起であった。集会は、最後に集会決議を採択して終了した。
 集会終了後、参加者は敦賀駅までのデモに出発した。もんじゅを廃炉にせよ、福井原発の再稼動を阻止しよう、すべての原発をただちに停止し廃炉とせよ、敦賀の街にデモ隊のシュプレヒコールがひびきわたった。この集会に、関西のアジア共同行動勢力は断固として結集し、最後までたたかいぬいた。十一月二十日の政府の「政策仕分け」において、もんじゅはその存廃を含めて見直すこととなった。しかし、野田政権は未だ一言ももんじゅを廃炉にするとは表明していない。電気事業連合会の八木誠会長(関西電力会長)にいたっては、「政策仕分け」の直後の十一月二十五日、核燃料サイクル事業は「原子力発電と一体になって推進するもの。不退転の決意で取り組みたい」と述べ、その根幹と位置づけるもんじゅを含めて核燃料サイクル事業を維持・継続すると表明した。地元福井のたたかいをはじめとした全国・各地の反原発運動の高揚によって、もんじゅを推進してきた勢力は追い詰められ、野田政権も動揺しはじめている。さらにたたかいを強化し、政府にもんじゅの廃炉を正式に決定させるために奮闘していこう。



 

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