共産主義者同盟(統一委員会)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

     3・14 東京

   被ばく労働者春闘統一行動

   
現場からの声と要求をつきける
       


 
 3・11原発震災から三ヵ年。全く「収束」などしていない、汚染水漏れ事故が続く福島第一原発現場の労働者、除染現場の労働者は、最も被ばくを強いられながら声すら上げられない情況を強いられている。結成二年目となる「被ばく労働を考えるネットワーク」(以下、ネットワーク)は、この二・三月を「被ばく労働者春闘」と位置づけて、さまざまな行動に撃って出た。その報告集会が、三月十四日、東京・千駄ヶ谷区民会館にて開催され、心寄せる多くの仲間が結集した。
 ネットワークの仲間からは、二月に取り組まれた、現地でのビラまき情宣が報告された。「原発や除染で働く皆さんへ 賃金不払、労災、被ばく、解雇 大丈夫ですか?」と記されたビラ入りティッシュ二千個を、早朝のJビレッジや原発周辺のコンビニ(客は全て昼食を備えるために立ち寄る原発・除染労働者)で配るという取り組み。そのビラをほとんどの労働者が受け取り、中には自ら話しかけて来て「イチエフの労働者に不満のない者などいない。もっとビラまきをやってくれ」など、現場の情況を伝えてくれる人も多数。いわき駅前や仮設住宅でも市民向けのビラ情宣を行ない、ほとんどのビラが受け取られたとのことだった。そして、後日早速、数名から相談の電話が入ったことが報告された。その内容は想像を超える過酷・深刻なものばかりだ。
 たとえば汚染水と格闘する現場の労働者からは、十時間を超える労働は法で禁止されているにもかかわらず、朝残業+夜残業、計十二時間超えの違法労働が強いられ続けており疲労が蓄積していること、危険手当が支払われていないことなどが。トイレに行きたくても、遠く離れたトイレへ行き、一度タイベックを脱いで用を済まし、また装備一式を装着して戻れば四十~五十分はかかる。「そんなに現場を離れることは許さない、そのままタイベックの中で垂れ流せ」と言われているというのだ。「溢れ続ける汚染水」「杜撰な管理」と報道される裏で、作業をせかされる現場労働者はそんな非人道的な労働環境を強いられているのだ。
 ふくしま連帯ユニオンといわき自由労組の仲間からは、除染労働者からも続々寄せられている声と、闘いが報告された。五時間の除染特別講習が義務付けられているにもかかわらず、「一時間で終わったよ」。分厚いマニュアルが渡されるはずなのに、「そんなもの見たことも渡されたこともないよ」。積雪で作業できない冬期に入るからと突然の雇い止めにあい、何の保障も無く職を失う労働者も。「不当だ」と声を上げようにも、「そんなことをすれば、春に戻って来ても職にありつけなくなる」。「マスクを支給してほしい」――そんなあたり前のことを口にしただけでも、簡単に首を切られてしまう中で、勇気をもって起ち上がった労働者による争議がいくつも闘われてきた。――詳細は新刊「除染労働」(被ばく労働を考えるネットワーク編 三一書房)をぜひ一読頂きたい――
 被ばく労働者春闘では、3・14報告集会に先立って、朝九時より前田建設工業㈱に対する行動が約二百名で、その後東電本店へ、午後は環境省・厚生労働省・経済産業省への抗議行動が闘われた。賃金・危険手当の中抜き・収奪をやめろ、マスク等の装備を支給しろ、重層下請構造による偽装請負・違法派遣をやめろ、声を上げた者への懲罰的解雇をやめろ等々、「我々は人間扱いすらされていない!」という労働者の叫びに基づいた、ごくあたり前の要求書が叩きつけられたのだ。
 争議報告に続き、前・福島県双葉町長の井戸川克隆さんによる講演が行なわれた。「『あの原発事故で死んだ人間はいない』と政府は言う。とんでもない、東電社員二人が水死している。その後も現場や事故の報告書が町長である私の元へ来て、決裁のハンコを押さなければならなかった。『心肺停止』の文字を私は見てきたのだ。さいたまスーパーアリーナに避難してからも、その仕事が続いた。マスコミに隠れて東電本店に行き、『なにより労働者のことを考えてくれ』と訴えた。当時の菅総理にも会った。収束作業員を『必死で』『決死の覚悟で』と鼓舞する菅総理に、『彼らの多くは双葉町民なんだ、もう必死とか決死とか言わないでくれ。皆とっくに死ぬつもりでやっている』と私は言った」。井戸川さんは、「『戦場に行ってこい』と、自分は安全な高みから、国民に戦わせようとする現在の安倍総理」にも憤る。今は町長ではないが、自分のやり方で発言し、行動し続けたいと考えていると訴えられた。
 集会の最後にネットワークの中村光男さん(山谷争議団)から「現場に、被災地に、支配の網の目あり。同時に芽あり。暮らしや仕事の中で立ち上がれない、声を塞がれている人々と出会い結びついて、共に状況を撃ち破っていこう!」とまとめられた。その一歩である現地でのビラ配りを、継続していこうと呼びかけられている。注目を!
 原発収束現場、除染現場で働き被ばくを強いられている労働者は、北は北海道から南は沖縄まで、全国から集められた人々だ。彼らの生命と等価の賃金などないが、最低限の賃金・手当すら、収奪されて使い捨てられる。そして確実に健康被害は顕れるのだ。全国の皆さんに関心を持ち、各地での取組みを模索してほしい。共に闘おう!


 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.