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     9月18日 東京

    経産省前テント裁判控訴審
  
 
     最終弁論で原発事故の犯罪性を証言


 
  
 九月十八日東京高裁前には「経産省前テントひろば」を支持する人々がたくさん結集した。今回で結審というので最終陳述者五人を送り出すべく盛大な激励集会が持たれた。違法占拠の「被告」とされた渕上、正清両氏を始め、福島からは五名の方々が発言とテント存続支持のアピールを行った。
 四年にも及ぶテントの維持と防衛は反原発を訴える献身的な人々によって運営され、全国からの支援によって存続してきた。福島原発事故に対しアリバイ的な支援対策しか行えず福島県民の「棄民」ともいえる政府の政策に物言う場所として、テントは貴重な「民意」の場となったのだ。福島・双葉町から命からがら避難してきた住民の方に「テントに救われた、テントは第二の故郷だ」と言わしめるほどその存在は計りしれないものがあるのだ。しかし経産省は「のど元に刺さったトゲ」としてしか感じとれず、テントは不法占拠として訴えた上に三千万円近くの賠償金を請求するといった、恥ずべき行為をおこなった。しかし圧倒的な支持を得ていたテントを強制撤去できなかったのである。
 まず最初に弁論に立った実質テント設立の責任者である江田氏は「本日は一九三一年九月十八日に起きた柳条湖事件の日であり、中国・満州侵略の始まった日である。安倍政権も同じ位置に立っている歴史的な日である」と冒頭述べた。また「テントには常に多数の人々が出入りしており、占有者と非占有者との区別は無い。国は名前の分かる者のみを占有者とする安易な訴訟をおこなった」と強く国の姿勢を批判した。
 第二テントの管理者の一人である寺崎さんは「第二テントは女性が主体として運営するユニークな存在である」とその存在意義を展開した。第三テントの設立者の高瀬氏は「テントは不法占拠ではない。危急存亡の立場に立たされた主権者国民の権利である」と明快に主張した。
 「被告」とされている正清氏は「テントが設置されたところは経産省がポケットパークと定める公共利用空間であり、憲法で保障された表現の自由である」と述べた。
 最後に弁論に立った渕上氏は「3・11福島第一原発事故と経産省の無責任な原発推進政策がなければテント設置もなかった」と責任は国にあることを明言した。
 最後に弁論にたった河合弁護団長は「日本を滅ぼすのは原発か戦争しかないのに、安倍はこの二つをやろうとしている。国民の正論の発信地であるテントが求めているのは、原発の無い安全な国だ」と述べ弁論を締めくくった。
 なにより今の福島の現状を見れば事態はハッキリする。除染は一向に進んでいない。住居周りや、田畑の汚染土を剥ぎ取りコレコンパックに詰め込んで、処理場がないので野積みされている。先の大洪水ではこの袋が流され汚染した中身がまたバラ撒かれたのだ。福島第一原発の汚染地下水も止めることが出来ないので不完全なまま海に放流せざるをえないのだ。
 何より放射能による甲状腺がんは子供の体を蝕んでいる。すでに百三十七名の症状の疑いが見られ、百五名が手術を受けている。しかし国も福島県も福島原発の放射能との因果関係は認めていないのだ。そして今では白血病も増えてきているのだ。
 さらに許せないことには汚染まみれで住むことも生活も出来ない土地への帰還を強引に推し進めることにより、福島に何事も無かったかのように仕向けている。これこそ国家犯罪そのものではないか。まさに裁かれるべきは国であるべきなのだ。テントひろばこそ霞ヶ関一帯に原発の恐ろしさをと国の無責任を告発し続ける空間なのだ。
 最終弁論は、原発がいかに犯罪的な事故を起こしたかを余すことなく証言した。裁判長は結審を宣言したが、次回の公判期日を指定できなかった。裁判所にテント不法の判決など出すことはできないのだ。
 鹿児島の川内原発一号機は八月十一日に再起動のスイッチが押されたが、九日目には原子炉を冷却する「復水器」の破損事故が起きた。なんとしても原発再開で財界の支持を得たい安倍政権は、七万八千本ある細管を選定検査しただけで再起動させたのだ、これが安心・安全の点検と言えるだろうか。
 作家の広瀬隆氏は「四年間も乗っていない車が何の問題も無く動くと思いますか?」とその危険性を予言していたが、現実のものとなった。折りしも桜島が大噴火し、阿蘇山も噴火した。原発は火山灰が積もっただけでも排気口故障などが起き原子炉が機能しなくなる恐れがあるという。送電線はその降灰の重みで倒壊すると言われている。原発の安全性など何の保障もないのだ。「経産省前テントひろば」は、福島の悲惨な現状を告発し、原発再稼動の危険性を訴え続けてきた。その存在意義は計り知れないものがあります。
 憲法学者の内藤専大教授は、テントによる広場の占拠はやむにやまれぬ告発の行為として「憲法二十一条の表現の自由」に該当するものであると断言している。
 再稼動の嵐が吹き荒れるなかテントの存在は益々貴重なものとなっている。テント撤去攻撃に屈することなくテントを防衛していこう! 原子炉を全て廃炉にするまで頑張りぬこう!


 

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