共産主義者同盟（統一委員会）

■7月17日　千葉

　　　三里塚・請求異議裁判

　　　　高瀬裁判長の結審策動を粉砕
　　　　　　　　

　　　
　七月一七日、千葉地方裁判所・民事第五部（高瀬順久裁判長）で、第八回請求異議裁判が開催された。
　三里塚芝山連合空港反対同盟の同盟員、市東孝雄さんの農地の強制執行を阻止するためのたたかいは、いよいよ緊迫した局面を迎えている。千葉地裁・高瀬裁判長は市東さんと反対同盟顧問弁護団による専門家証人の採用要求を切り捨て、この日の裁判での結審を策動してきた。しかし、弁護団の粘り強いたたかいによってそれは打ち破られた。結論的にこの日の裁判では、石原健二さん（農業経済学）と内藤光博さん（憲法学）が補佐人として意見陳述を行い、弁護団が最終弁論の要旨を陳述することとなった。
　裁判に先立って、照りつける日差しの中、正午過ぎから千葉中央公園で前段集会が開催された。
　反対同盟事務局を代表して伊藤信晴さんが発言に立った。伊藤さんは、「市東さんの農地強奪と空港機能強化を通して政府・空港会社は、成田空港の完全空港化を狙っている。これに対して、反対同盟五二年のたたかいの地平の上に立って、市東さんの農地の強制執行阻止を突破口とし、空港機能強化を粉砕しよう。反対同盟は全人民とつながり、安倍政権の戦争・改憲攻撃の先頭に立つ」と烈々と訴えた。
　動労千葉、三里塚・関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の発言に続き、沖縄から駆けつけた市東さんの農地を守る沖縄の会の金治明さんは、辺野古新基地建設阻止闘争の最新状況、とりわけ来る九月の名護市議選での勝利の重要性を提起するとともに、市東さんの農地を守り抜くたたかいを共にする決意を語った。
　千葉地裁に向けたデモに向けて、反対同盟事務局の太郎良陽一さんが次のように集会をまとめた。「裁判はいよいよ大詰めを迎えている。次回九月二七日の裁判に総力で結集し、不当判決を許さないたたかいをやり抜こう。強制執行攻撃と一体となった現在の空港機能強化策動は、農業を破壊し、労働者人民にさらなる抑圧を強いるものだ。これを許さず市東さんの農地の強制執行を阻止するたたかいに全国からの結集を実現しよう」。
　裁判は午後二時から始まった。石原健二さんの意見陳述は、市東さんが取り組んでいる有機農業と産直運動の社会的意義および強制執行がそれを奪い去るものであることを明らかにした。
　その上で石原さんは、市東さんが取り組んでいる「有機農業と産直型共同性」が日本農業の多数を占める小規模家族経営型の将来を照らし出す優れて社会的意義を持つものであることを明らかにした。
　石原さんは、「うそをつかない」野菜を作って消費者に届けることが自分の誇りだという前回裁判での市東さんの言葉への共感を語り、その陳述を「市東さんの農地はこれからも守られるべきであり、強制執行によって奪われてはならない」と結んだ。
　次に陳述した内藤光博さんは、憲法学者の立場から、国と空港会社が狙う強制執行は市東さんの「営農権」を侵害し、人間としての尊厳を踏みにじる「過酷執行」であり、憲法違反に他ならないことを明らかにした。
　内藤さんはまた、強制執行はかつての大木よねさんに対する強制収用の際に示されたように、執行時にともなう国家暴力の発動のみならず、その後も人権侵害状況を継続的に生起させ、共同体を破壊するものであり、許されないと指摘した。
　内藤さんは空港会社の所業を「きわめて悪質であり、再び憲法違反を犯すものであり、恥ずかしくないのか」という強い言葉で陳述を結んだ。
　二人の専門家としての意見陳述を受けて、反対同盟弁護団が最終意見陳述の要旨を明らかにした。それは、農地の強制執行があらゆる意味において「権利の濫用」であり、信義則に違反していることを立証するものであった。
　裁判後の報告集会において、市東さんは「（石原さん、内藤さん、弁護団の陳述を）聞いていて自分たちの正義性を確信した。と同時に、国・空港会社にあらためて怒りがこみあげてきた。次回の九月二七日はぜひ大きな結集を」と訴えた。
　請求異議裁判は、次回期日の九月二七日でいよいよ結審を迎え、今年中にはその判決が予想される。強制執行を阻止するためのたたかいの輪を全国で拡大し、三里塚現地への結集を呼びかけ、強制執行を体を張って阻止するその迫力をもって裁判闘争に勝利していかねばならない。９・27請求異議裁判―10・14三里塚全国集会がもつ意義は鮮明だ。全力で決起し、強制執行阻止のたたかいの陣形をさらに拡大しよう。