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  2011年・同盟政治集会基調

     戦争と貧困、排外主義うち破りプロレタリア革命の前進を!





  たたかう同志・友人のみなさん!世界的な恐慌情勢のさらなる深まり、東アジアにおける軍事的緊張と新たな戦争の危機、そしてチュニジアからエジプトへと波及した巨万の民衆の歴史的決起など、世界は大きく揺れ動いている。資本主義というシステムの矛盾、帝国主義が支配する現代世界の矛盾がますます露になり、それに代わる新たな社会への希求が抑圧された労働者人民のなかに広がっている。圧政に抗し、貧困からの解放を求めて決起する全世界の労働者・被抑圧人民と連帯し、帝国主義の世界支配を打ち倒し、労働者人民のための新たな世界の獲得に向けて前進しよう。貧困と生活破壊を拡大し、侵略戦争体制を強化する日帝―菅政権と総対決し、日本階級闘争の新たな飛躍を共にかちとっていこう。


 ●1章 激動する現代世界と国際階級闘争

 全世界を覆う恐慌情勢は、いまだ終息には向かわず、新たな様相をとりながら、依然として深まり続けている。二〇〇八年秋の恐慌の開始以来、各国政府は公的資金の投入によって破綻の淵にある大銀行・大企業を救済するとともに、各種の景気刺激策を打つことで破滅的な事態を回避しようとしてきた。しかし、それは危機を先送りするものに過ぎなかった。米国や日本をはじめ各国での景気の低迷はいまも続いており、EU諸国においては二〇〇九年にアイスランド、二〇一〇年にはギリシャおよびアイルランドでの深刻な国家財政危機が連鎖的に発生した。恐慌から資本を救済するための巨額の財政出動が、各国の財政危機をつくり出し、それが新たな金融危機の引き金になるという悪循環が生み出されているのだ。
 〇八年恐慌とともに開始されたG20は、引き起こされた危機的状況に対して、新たな国際協調の枠組みをつくりだすことなしには対処できないことを示すものであり、それ自体が帝国主義の世界支配体制、資本主義世界体制の動揺と再編を示すものであった。しかし、それによって直面する問題への解決の展望が示されたわけではない。昨年十一月に開催されたソウルG20は、実効性ある共通政策を打ち出すことのできないまま、「保護主義に対抗する決意」や「通貨の競争的な切り下げの回避」をうたうことで、むしろ各国が自国の資本の生き残りをかけてしのぎを削っている実態を明らかにした。G20は、資本主義大国として台頭する中国やロシアなどを積極的に取り込むことによって、新たな世界経済秩序をつくりだそうとする試みであるが、実際には各国の利害が激しく衝突する争闘の舞台としての性格を強めている。
 米国から始まった今回の世界恐慌を通じて、米帝の国際的地位は低下し、その一極的な世界支配は大きく揺らいでいる。そのなかでオバマ政権はこのかん、「バイ・アメリカン条項」(アメリカ製品の使用義務付け)など保護主義的な政策をともなう景気対策や輸出促進のためのドル安政策をとってきた。また、ソウルでの首脳会合に先立つG20財務相・中央銀行総裁会議では、「貿易不均衡の是正」のためとして「経常収支の黒字幅と赤字幅を国内総生産の4%以内とする」という「数値目標」を各国に押し付けようとしてきた。このような自らの危機回避と巻き返しのための米帝のなりふりかまわぬ動向が、各国の保護主義的な政策を誘発し、世界的な「通貨戦争」の大きな要因となっている。自国の景気対策のための金融緩和策はまた、巨額の財政出動と「対テロ戦争」戦費によって膨れ上がった財政赤字の存在とあわせて、ドル暴落への圧力を強め、基軸通貨としてのドルの位置、さらには国際通貨体制をより不安定なものにしている。中心国として資本主義世界体制の維持に責任を負うべき米帝が、いまや率先してその不安定性を高める役割を果たしているのだ。
 加えて、政治的・軍事的にも米帝を中心とした帝国主義の世界支配体制は大きく揺さぶられている。経済的力を弱化させてきた米帝は、侵略戦争の発動と軍事支配によって世界支配を貫徹しようとしてきた。ブッシュ政権が発動しオバマ政権に引き継がれたイラクとアフガニスタンでのふたつの侵略戦争はその典型であり、いま朝鮮半島をめぐって強められている戦争重圧も、同じく軍事的手段をもって帝国主義の世界支配を貫徹しようとする攻撃の一環である。イラクについてはマリキを首班とする挙国一致内閣の成立をもって、昨年八月の「戦闘部隊の撤退」に続き、今年十一月末までに米軍の「完全撤退」をおこなうとしているが、戦乱は今も続いており、米帝の思惑通りには進んでいない。アフガニスタンにおいては、米軍と親米政権に対する人民の武装抵抗闘争によって侵略戦争の泥沼化を強制されている。
 さらに、ついに二十九年間におよぶムバラク独裁政権を打倒したエジプト人民の歴史的な決起が米帝を直撃している。ムバラク政権の危機は米帝の危機であり、米帝に支えられたイスラエルの危機でもある。エジプトは米帝の中東支配、石油支配の支柱であった。そうであるがゆえに米帝は、イラク、イスラエルに次ぐ世界第三位の巨額の軍事援助をおこない、ムバラク独裁政権を支えてきた。それがいま崩れ落ちつつある。エジプト人民の決起は、他のアラブ諸国の人民、パレスチナ人民を大きく鼓舞している。このアラブ人民の闘いは、帝国主義の世界支配を根底から揺さぶるものとして、さらに大きく発展していくだろう。
 労働者人民に犠牲を押しつけて延命しようとする帝国主義の攻撃が強まる一方で、それに抗する労働者人民の闘いが全世界で拡大している。イラクやアフガニスタンでの反米抵抗闘争、チュニジアやエジプトなどアラブ諸国での反独裁闘争に加え、EU諸国では緊縮財政政策のもとでおし進められようとする整理解雇や賃金切り下げ、年金改悪、教育制度の改悪や学費値上げに抗して労働者や学生が立ち上がり、ギリシャをはじめフランス、スペイン、ポルトガル、イギリス、イタリアなど各地でゼネストを含む闘いが繰り広げられてきた。危機の連鎖が闘いの連鎖を生み出している。さらに、フィリピンや韓国における反人民的政権との闘い、中国における日系企業労働者の争議の続発、また、南米における反米左派政権による米帝と対抗した独自の地域的枠組みの形成に向けた取り組みなど様々な動きがある。
 世界各地での労働者人民の闘いの前進の一方で、米国、EU、日本などでそれぞれ独自の形をとって排外主義勢力が台頭していることも見過ごすことはできない。新自由主義グローバリゼーションが拡大したモノ、ヒト、カネの国境を越えた移動は、貧困と格差の拡大とともに、排外主義の激化をもたらしている。排外主義と対決し、プロレタリア国際主義にもとづく実践を組織し抜いていくことが、各国における階級闘争の発展のための試金石になっている。帝国主義の侵略戦争と新自由主義政策に抗して立ち上がる世界各地の労働者人民の闘いと連帯し、帝国主義と資本の攻勢への反転攻勢を今こそ強めよう。帝国主義・資本主義を打倒し、労働者階級・被抑圧人民の解放をかちとっていくために共に闘い抜いていこう。


 ●2章 危機を深める日帝―菅政権との総対決へ!

 日本経済は世界でも類例のない長期的な停滞を続けている。その影が労働者人民の生活に重くのしかかっている。小泉「構造改革」によって本格的に始まった日本における新自由主義政策の展開は、失業と非正規雇用の拡大、社会保障制度の改悪、地方経済の疲弊などをもたらし、貧困を構造化させ、格差を拡大した。一昨年夏の民主党政権の成立以降も労働者人民をめぐる状況は大きく変化していない。失業率は5%を超え続け、若年失業率は公式統計でも10%に迫っている。今春卒業予定の大学生の就職内定率は68・8%(昨年十二月一日時点)と過去最低となった。民主党の公約であった派遣法の「抜本改正」は棚ざらしにされたままであり、後期高齢者医療制度の廃止も先送りされた。自民党政権時代と変わることがない社会状況は、民主党政権への失望を拡大させている。そして、社会的な閉塞感が強まるなかで、右翼勢力・排外主義勢力が街頭での活動を活発化させている。
 就任以来その支持率を低下させ続けている菅政権は、このような労働者人民の苦境を顧みるのではなく、日帝ブルジョアジーの利害を赤裸々に代表することによって、自らの政権の危機の突破を図ろうとしている。それは米倉弘昌日本経団連会長によって「強力な内閣になった」とのお墨付きをあたえられた一月十四日の内閣改造によってより鮮明なものとなった。
 この改造内閣のもとでおこなわれた一月二十四日の施政方針演説は次の点で際立っている。
 第一に、「平成の開国」なるスローガンを掲げ、環太平洋戦略パートナーシップ(TPP)をはじめとした「包括的な経済連携の推進」をうたいあげたことである。TPPは関税障壁の完全な撤廃、例外なき貿易の自由化を内容とするものであり、国内農業に壊滅的な打撃をもたらすことは明白であるが、それのみならず、あらゆる分野で新自由主義的競争を加速させ、労働者の雇用や労働条件、生活基盤にも大きな影響を及ぼし、日本とアジアの労働者人民をますます「底辺への競争」へと駆り立てていこうとするものだ。菅はまた、「開国を成長と雇用につなげる新成長戦略の実践」として、「鉄道や水、原子力などのパッケージ型海外展開、ハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)の供給源確保」を推進し、ベトナムでの原発建設を自らの働きかけで実現させたなどと述べている。これはインフラ輸出をひとつの柱とした「アジアの需要獲得」によって生き残りを図ろうとする日帝ブルジョアジーの戦略を自らが体現してきたことをアピールするものだ。
 第二に、消費税増税策動である。菅は「社会保障の充実」をうたいつつ、そのための財源を確保するには「国民の皆様に、ある程度の負担をお願いすることは避けられない」とし、今年六月までに税制抜本改革の基本方針をまとめあげることを打ち出した。言うまでもなく、消費税の増税は低所得者層により過重な負担を強いるものであり、労働者人民をさらなる貧困と生活苦に突き落とす。法人税を減税し、様々な企業優遇措置には手をつけぬまま、労働者人民に一方的に犠牲を押しつける大衆収奪路線を推進しようとする菅政権を許してはならない。
 第三に、「日米同盟の深化」である。菅はこの施政方針演説で、「日米同盟」を日本の外交・安保の基軸として確認し、アジア太平洋地域および世界の「安定と繁栄の共有財産」とまで持ち上げた。そして、米国との新たな「共通戦略目標」を策定するとともに、昨年の「5・28合意」を前提として、辺野古新基地建設をはじめ沖縄・岩国・神奈川など各地での米軍再編を推進していくことを改めて確認した。菅政権はこれをもって六月訪米時の「新日米安保共同宣言」へと向かおうとしている。この「日米同盟の深化」は同時に、それに対応する自衛隊の再編・強化と結びついたものである。「新防衛計画大綱」にもとづく沖縄への自衛隊の配備の圧倒的強化、大型巡視船の更新による海上保安強化が強く打ち出されている。こうした動向が中国をはじめアジア諸国の警戒を呼びおこし、東アジアでの軍事的緊張を高めることは避けられない。
 民主党政権発足時に掲げられたマニュフェストは完全に投げ捨てられた。鳩山前政権が打ち出した「国民生活第一」から緊縮財政・増税・新自由主義推進路線へ、「対等な日米同盟」から対米追従・日米同盟最優先路線へのあまりにもあからさまな転換である。政権交代から一年半を経て、それ以前の自公政権と変わることない政権がふたたび労働者人民の前にはっきりと現れた。
 鳩山前政権は、新自由主義政策によって貧困と格差を拡大させてきた自公政権に対する労働者人民の批判と不満を糾合するために、その要求の一部をマニュフェストに取り入れ、そのことによって政権を獲得した。その政策は日帝ブルジョアジーおよび米帝の利害とは対立する内容をも包含するものであった。鳩山政権はブルジョアジーと米帝の圧力の前に、自らの公約を実行できなかったがゆえに、人々の離反を招き、最後には公約に真っ向から反する「5・28合意」だけを残して政権の座を追われざるを得なかった。これに対して、菅政権は日帝ブルジョアジーの階級的利害を率先して推進することによって、ブルジョアジーからの支持を取り付け、それによって政権の座にしがみついていこうとしている。
 菅政権の反動的・反人民的な性格はいまや完全に明らかとなっている。全国の闘う労働者・学生は、危機を深める菅政権と総対決し、その打倒に向けて立ち上がろう。


 ●3章 二〇一一年のわれわれの実践任務

 昨二〇一〇年、我々はそれに先立つ民主党政権の成立という新たな政治情勢、新たな階級闘争の条件の成立のなかで、鳩山政権および菅政権の性格を明らかにしながら、労働者人民の闘いに根ざし、その闘いの力量を高め、反転攻勢に向かう国際階級闘争の一環としての日本階級闘争の再生と飛躍に向けて全力をあげて闘ってきた。
 我々は昨年を通して、階級的労働運動における実践、学生運動・青年運動における闘い、被差別大衆の自己解放運動など諸戦線における闘いを粘り強く推進すると同時に、ふたつの大きな闘争に全党をあげて取り組み、勝利をつかみとってきた。
 ひとつは、ソウルG20―横浜APECに反対する連続闘争である。入管当局による妨害をはねのけ、アジアの闘う同志たちとの合流を果たし、重弾圧体制に屈することなくその闘いを新自由主義と侵略戦争策動に対するアジア人民の反帝国際共同闘争として貫徹してきた。もうひとつは、AWC日本連や岩国・労働者反戦交流集会実行委の運動を支持して取り組んだ十二月岩国闘争である。我々は日米帝の差別軍事支配と対決して前進する沖縄人民の解放闘争と連帯して闘うとともに、沖縄―「本土」を貫く闘いの前進のために、現地住民の闘いと結びついた反戦・反基地―米軍再編粉砕闘争を全国各地で推進し、その闘いの成果を十二月岩国闘争の成功へと結びつけるために全力で闘ってきた。同時にそのなかで、アジアにおける反基地闘争との連帯を推進し、労働者反戦闘争の再建に向けた先進的労働運動活動家との共同の努力を進めてきたのだ。
 我々はまた、プロレタリア国際主義にもとづく重要な実践として、台頭する差別排外主義勢力と対決し、それを社会的に包囲・解体していくための共同闘争を各地で担い抜いてきた。同時に、この排外主義との闘争の一環として、朝鮮学校の高校無償化制度からの排除を許さない闘いを地域における共同闘争として進めてきた。さらに我々は、市東さんの実力決起を頂点とした団結街道の閉鎖―第三誘導路建設攻撃との対決、仮執行付き判決を阻止した天神峰現闘本部裁判など、三里塚の現地攻防・裁判闘争を現闘・行動隊の同志たちを先頭にして闘い抜き、反帝国主義闘争の拠点としての三里塚の地平を守り抜いてきた。
 我々は特定の課題、特定の領域のみを問題にするのではなく、日本帝国主義と対決する革命的労働者党として要求される実践任務、日本階級闘争の歴史的な再生―階級闘争の新たな構造の建設に向けて現下の情勢が要求する実践任務を正面から受け止め、あくまでこれらの闘いを体系的におし進めてきたのだ。日本における新たな階級闘争構造の建設を推進し、そのなかから反帝国主義とプロレタリア国際主義にもとづく政治決起を組織してきたその意義をしっかりと確認しよう。昨年を通した闘いの成果を踏まえつつ、新たな闘いへと立ち上がろう。


 ▼八つの任務

 二〇一一年の我々の実践任務の第一は、貧困と抑圧、戦争と排外主義を強める日帝―菅政権と総対決し、その打倒に向けた闘いを全人民的な闘争として組織していくことである。貧困と生活苦、閉塞した社会状況のなかで蓄積する労働者人民の怒りを菅政権に対する真正面からの闘争として組織しよう。貧困と失業、生活破壊に抗する労働者人民の抵抗闘争、反戦・反基地闘争などを全力で促進し、それを新自由主義政策と戦争策動を強める日帝・菅政権の打倒に向けた全人民政治闘争の奔流へと発展させていこう。
 第二に、日米帝国主義による朝鮮侵略戦争策動や釣魚諸島制圧―台湾海峡への軍事介入を許さず、国際反戦闘争に決起することだ。これはいまや日本の労働者人民の重大な国際主義的任務となっている。昨年十一月の延坪島をめぐる南北砲撃戦を奇貨として、米日韓の政府は相互の軍事的連携の強化をめざし、合同軍事演習を頻繁に繰り返しつつ、朝鮮戦争の再開をも具体的に想定した臨戦態勢を推し進めている。また釣魚諸島問題を背景に、自衛隊の沖縄配備の強化がおし進められようとしている。民族排外主義と断固として対決し、朝鮮半島―東アジアでの侵略戦争策動を許さない闘いに決起しよう。
 第三に、米軍再編―新日米軍事同盟を粉砕する闘いを全力で進めていこう。日米軍事同盟を揺さぶる沖縄人民の闘いに連帯し、普天間基地即時閉鎖・撤去―辺野古新基地建設阻止に向けてたたかおう。高江でのヘリパッド建設の強行を許さず闘おう。岩国や神奈川での闘いへの年間を通じた支援・連帯闘争を発展させるとともに、現地住民と結合してアジア共同行動日本連や労働者反戦交流集会実行委が推進してきた岩国基地大強化反対の闘いを支持し、その成功と発展を勝ち取ろう。現場からの反撃を強化し、「5・28日米合意」粉砕、「新日米安保共同宣言」粉砕を実現する沖縄―「本土」を貫いた反基地・反安保闘争の前進をかちとろう。
 第四に、昨年のソウルG20―横浜APEC反対闘争の地平を踏まえ、反帝国際共同闘争のさらなる前進をかちとることだ。朝鮮半島―東アジアでの軍事的緊張の激化や、環太平洋戦略的パートナーシップ(TPP)やアジア太平洋自由貿易圏構想(FTAAP)などの策動の強まりは、アジア太平洋地域における労働者人民の団結と共同闘争の必要性をますます高めている。AWC運動の発展を支え、帝国主義の侵略戦争策動と新自由主義政策に反対する国際共同闘争と各国・地域での抑圧・人権侵害に対する相互支援活動を強めよう。緊迫する情勢のなかでアジアからの米軍総撤収に向けた共同闘争の前進をかちとろう。
 第五に、排外主義との対決を不断におし進めていくことだ。緊迫する東アジア情勢、釣魚諸島など領土問題を利用して、菅政権が排外主義・国家主義をあおるなかで、在特会や主権回復を目指す会、田母神元自衛隊航空幕僚長を会長とする「頑張れ日本!全国行動委員会」などの活動が活発化している。差別排外主義集団による在日朝鮮人・中国人、移住労働者への襲撃を許さず、これらの勢力を社会的に包囲・解体していく闘いを引き続き推進しよう。朝鮮学校への高校無償化制度の適用除外、各地での朝鮮学校への補助金留保などの攻撃を許さず闘おう。また今年は中学校で使用する教科書の採択年にあたる。歴史改ざんと愛国心・排外主義をあおる自由社、育鵬社の歴史・公民教科書の採択阻止のために闘おう。
 第六に、階級的労働運動の全国・各地でのさらなる前進を実現することである。年末の日航労働者の大量解雇攻撃や消費税増税策動、労働者派遣法「抜本改正」の棚ざらしに示されるように、連合に支えられた菅政権の反労働者的性格は明らかだ。これと対決し、労働者人民の生活と権利を防衛するために、階級的労働運動の全国的な闘いとその構造をさらに強化していかねばならない。職場・地域での労働者の不断の組織化を進めるとともに、労働者派遣法の「抜本改正」、最低賃金の引き上げ、均等待遇の実現など非正規職や中小・零細など相対的下層の労働者の労働条件の前進を実現するために闘おう。国鉄闘争をはじめとするすべての争議の勝利のために闘おう。これらの闘いと結びつけ、労働者反戦闘争の前進を勝ちとっていこう。
 第七に、農地強奪・営農破壊攻撃を許さず、三里塚闘争の勝利に向けて闘いぬくことだ。現地の情勢は緊迫している。二月四日、天神峰現闘本部裁判控訴審では、証人調べ・証拠調べを一切却下する強引な訴訟指揮が強行された。断固弾劾しなければならない。さらに、二月十四日には、第三誘導路建設のための「切り回し道路」への切り替えを、空港会社が強行した。これは市東孝雄さんに対する営農破壊攻撃そのものだ。羽田空港の国際化によって追いつめられる空港会社のなりふり構わぬ攻撃を弾劾し、天神峰現闘本部破壊撤去攻撃―第三誘導路建設攻撃を粉砕しよう。「用地内」農民をはじめとした反対同盟を支え、農地強奪・営農破壊攻撃を許さず、空港廃港に向けて闘おう。3・27三里塚全国集会に決起しよう。
 第八に、被抑圧人民・被差別大衆の自己解放闘争をはじめ、諸戦線・諸階層の運動を推進していくことである。女性解放運動、部落解放運動、障害者解放運動、被爆者・被爆二世・三世の解放運動、入管闘争などの各戦線の闘いをさらに推進しよう。戦争・基地がもたらしている性暴力と女性への抑圧に対する闘い、均等待遇をはじめ相対的下層の女性労働者の要求と闘いの組織化、「障害者自立支援法」の即時廃止および「心身喪失者医療観察法制度」など保安処分攻撃を粉砕する闘い、狭山差別裁判を糾弾しその再審の実現と狭山闘争の勝利に向けた闘い、8・6広島闘争や上関原発建設阻止闘争などの反戦・反核・反原発の闘いとすべての被爆者・被爆二世・三世への国家補償の実現のための闘い、改悪入管法のもとでの在日朝鮮人・韓国人、移民労働者と連帯する入管闘争の推進など、全国各地で担われてきた闘いの地平を踏まえ、さらなる前進をかちとろう。反帝国主義と国際連帯にもとづく全国学生運動のさらなる発展、過酷な現実のなかから青年労働者の決起を組織する青年運動の前進をかちとろう。


 ●4章 共産同に結集し、
        ともに階級闘争と党建設の前進を切り拓こう!


 現代世界は大きな激動の渦中にある。米帝の歴史的没落のすう勢は一段と明確になった。米帝の一極的な世界支配は大きく揺らぎ、帝国主義の世界支配の危機をつくりだしているが、それに代わる新たな秩序、新たな国際強調の枠組みがすぐに形成されるわけでなく、帝国主義諸国をはじめ各国はむしろ自らの危機回避のために激しくその利害を対立させている。米帝の没落にもかかわらず、それに代わって全世界を編成する力をもった国が少なくとも当面は不在であるがゆえに、現代世界の激動、不安定性はますます高まっていかざるをえない。
 この激動し不安定化する国際情勢、帝国主義の世界支配の動揺と危機の時代を真に歴史的な転換期へと組織していくことができるか否かは、労働者人民の闘いの前進、国際的に団結した労働者人民の闘いの力量にかかっている。資本主義に未来はない。しかし、どのような危機も資本主義を自動的に崩壊させるものではない。資本と帝国主義はその危機の回避、生き残りのために、ますます多くの犠牲を労働者人民に押しつける。ただ労働者人民の闘いのみが、資本の攻勢を押しとどめ、未来への展望を切り開いていくことができる。
 いま世界各地で、危機の犠牲を一方的に押しつける政府・資本に対して、抑圧と貧困を強制してきた独裁政権に対して、帝国主義の侵略戦争に対して、労働者人民の闘いが拡大している。そして、そのなかには資本主義への批判とそれに代わる新たな社会への希求が宿されている。我々はこの拡大する全世界の労働者人民の反乱に連帯して闘うとともに、貧困と抑圧、生活破壊に苦しむ日本の労働者人民に対して、政府と資本に対して団結して闘いに立ち上がること、すなわち階級闘争の力によってのみ状況は変革できること、そして事態の根本的な解決のためには資本主義・帝国主義を打倒し、新たな社会―共産主義の実現に向けて闘っていく必要があることをさらに広く大胆に訴えていかねばならない。日本の労働者人民のなかに拡大する現状への不満と怒り、エネルギーを闘いへと転化し、日本階級闘争の歴史的な再生をかちとっていくために、我々の活動をさらに強化しよう。
 日本の労働者人民はこのかん、民主党政権の登場という新たな政治情勢のもとでの闘いと政治経験を蓄積してきた。民主党への投票行動として表現された労働者人民の現状変革への熱望は、この一年半の政治過程のなかで踏みにじられ、労働者人民の前には自公政権時代と変わらない、あるいはさらに深化した新自由主義政策と日米同盟基軸路線を推進する菅政権が登場した。労働者人民が自らの要求を実現するためには、民主党に頼ることはできず、自らの力によってのみ勝ちとっていく以外にないことがあらためて明らかとなった。言い換えれば、保守二大政党の枠組みに収れんされることのない労働者人民の闘いの陣形―階級闘争構造の建設をいかに推進していくのか、そこにおける闘争力量をいかにして形成していくのかがあらためて突きつけられたのだ。
 同じく問われたのは、このような闘いを先頭に立って推進する革命的労働者党建設の飛躍である。日本階級闘争の歴史的な再生を勝ちとってゆくためにこそ、それが待ったなしに問われている。我々は、常に労働者人民の現実の闘いの先頭に立つことを通して展望を切り開こうとしてきた共産主義者同盟の歴史を継承しつつ、「資本主義の枠内での改良」へと労働者人民を縛りつける日本共産党、情勢と切断して自己の同心円的拡大に終始する宗派主義の潮流と分岐して、この時代が要請する革命的労働者党建設の飛躍の課題に決意も新たに取り組んでいく。階級的労働運動を基礎にして新たな階級闘争の構造を全国と各地において建設していくこと、アジア太平洋地域における国際反帝統一戦線の形成を推進し、反帝国際共同闘争と日本における階級闘争を固く結びつけていくこと、こうした課題を実現し、日本における階級闘争の新たなうねりをつくりだし、社会主義革命の大道を切り開いていくためにこそ、ぜひとも多くの皆さんがわが共産主義者同盟(統一委員会)に結集し、この歴史的な事業を共同で担っていくことを呼びかける。
 また、日本における階級闘争の歴史的な再生とそれを牽引する革命的労働者党建設の前進にとって、青年層の立ち上がりを組織し拡大していくことは決定的に重要である。深刻な社会矛盾、階級矛盾が青年層を直撃するなかで、「自己責任論」などのイデオロギー攻撃、排外主義煽動と闘いながら、青年労働者や学生の階級闘争への決起をつくりだしていかねばならない。激動する情勢のなかで、青年層を誰が組織するのかがますます本格的に問われている。青年運動・学生運動における闘いをさらに前進させ、青年・学生を資本主義批判と共産主義へと組織していくために我々はさらにその活動を強めていく。
 闘う同志・友人のみなさん。全世界で立ち上がる労働者人民と連帯し、帝国主義の世界支配の打倒に向けてたたかおう。日帝・菅政権の打倒に向けて労働者人民の闘いの先頭で闘い、そのなかから日本階級闘争の歴史的再生と革命的労働者党建設の前進を実現しよう。共産主義者同盟(統一委員会)とともに、階級闘争の新たなうねりを組織し、社会主義革命の大道を切り開いていくために共に闘おう。


 

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