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   福島原発事故2年

    再稼動の嵐うち破る反原発運動の前進を




          

 東日本大震災と福島第一原発事故から、二年目の三月十一日が訪れようとしている。この二年間、福島原発事故の被災者に連帯し、すべての原発の廃炉を要求して、ぼう大な人々が全国各地で闘いに立ち上がってきた。しかし、昨年十二月に登場した安倍政権は、原発の推進という立場を明確にし、早ければ今年の後半にも次々と停止中の原発の再稼動を強行しようとしている。さらには、核武装の野望すら隠そうとしていない。闘いは、いよいよ正念場を迎える。あらためて決意をかためよう。再稼動の嵐に備え、全原発の廃炉にむけて、安倍政権を打倒する全人民的政治闘争に立ちあがろう。そして、この闘いのなかから、資本主義にかわる新たな社会をつくりだすための階級闘争の前進を切りひらこう。


 ●1章 福島原発事故二年の現実

 一昨年の十二月、当時の野田政権は事故をおこした福島原発が「冷温停止状態」に至ったとして、「福島原発事故の収束」を宣言した。しかし、現在でもなお一号機から三号機のメルトダウン(融解)した燃料棒はどこにあるのかさえわからず、ただ水をかけて冷却し続けることしかできない。これらから、現在でも毎時一千万ベクレルの放射能が放出されている。そもそも、水素爆発で大きく破損した原子炉建屋の中は、あまりに放射線量が高いために、人間がその中で作業をすることすらできない状態にある。また、福島第一原発の構内にはすでに二十万トンに達する高濃度汚染水が存在しており、地下水・土壌・海を放射能で汚染しつづけている。四号機では、水素爆発によってむきだしになったプールの中に、千五百三十五本の使用済み燃料棒が保管されている。大きな余震によってこの使用済み燃料棒プールが倒壊・破損した場合、燃料棒のメルトダウンや再臨界が発生し、東京をはじめとした東日本は壊滅状態に陥る。福島原発事故はまったく収束しておらず、なお危機的な状態が続いているのだ。
 福島原発事故は、すさまじい量の放射性物質を拡散させた。それは、小出裕章さん(京大原子炉実験所助教)によれば広島原爆の八十発分に相当する。政府の国会への報告でも、半減期三十年のセシウム137の放出量は、広島原爆の実に一〇六・五個分に相当するという。このすさまじい放射性物質によって、福島をはじめ東日本は、土地も水も空気も汚染された。居住区を「警戒区域」や「計画的避難区域」に指定され、避難を強制された人々は十万人を超える。さらにその外側にも、無数のホットスポットが存在し、放射能汚染地域が拡がっている。政府は福島原発事故以前から、毎時〇・五九マイクロシーベルト(三カ月で一・三ミリシーベルト)の被曝をするおそれがある所を法令によって「放射線管理区域」に指定し、一般人の立ち入りを禁止してきた。このこととの関連で、小出裕章さんは次のように述べている。「日本の法令を守るのであれば、放射線管理区域に指定して一般の人々の立ち入りを禁じなければならない……土地は、東北地方、関東地方の広大な地域に広がっている。日本の国は、その広大な土地を捨てることができないと判断し、人々をそこに取り残した」と。
 こうして福島をはじめ東日本では、多くの人々が被曝を強制され続けてきた。それはまさに棄民化政策として、徹底して弾劾されねばならないものである。原発事故に責任を負うべき政府・東電は、この二年間、いったい何をしてきたのか。政府は、子どもを抱えたお母さんたちをはじめとして多くの人々が反対したにもかかわらず、年間の累積被曝量が二十ミリシーベルトに達しない地域を強制的な避難の対象地域から除外した。他方で、政府・東電による福島原発事故の被災者、強制的な避難者への賠償は遅々として進んでいない。また、福島県が把握しているだけでも五万人を越える自主避難した人々に対しては、ほとんど何の支援も行なってこなかった。昨年から政府は、ぼう大な費用を投じて福島県での除染作業を進めてきた。しかし、除染とは放射性物質をなくすことではない。人が立ち入ることができない山林などを放置したままで、放射性物質を移動させているに過ぎない。除染の結果、いったん線量が下がっても、再びもとの線量に戻る地域も多い。政府は、「年間の積算線量二十〜五十ミリシーベルトの地域の除染を平成二十五年度内に完了する」としているが、作業は大きく遅れている。まさに除染作業を受注するゼネコンを儲けさせ、再び家に帰れると期待した住民を愚弄し、絶望させるような事態になってきたのである。
 政府は昨年から、福島原発事故の「収束宣言」にもとづき、避難指示区域(警戒区域・計画的避難区域)の再編に着手してきた。これまでの避難指示区域を「避難指示解除準備区域」(年間の積算線量二十ミリシーベルト以下)、「居住制限区域」(同二十〜五十ミリシーベルト)、「帰還困難区域」(同五十ミリシーベルト以上)の三つに再編成し、「避難指示解除準備区域」については順次避難指示を解除していくというものである。しかし、それは本来であれば人間が立ち入ることができない土地、まして子どもたちが生活することなど絶対にできない土地への帰還を促すものであり、新たな被曝者を生みだすものである。そして、避難指示が解除されても帰還しないのは本人の責任だとして、棄民化していくことにほかならない。政府・東電がなすべきことは、この二年間の棄民化政策を根本的に転換し、福島原発事故被災者への無条件の賠償と支援を行うことである。強制的な避難者への支援はもちろん、自主避難を希望する人々に対しても、全面的な支援を行なわねばならない。われわれは福島原発事故二年にあたって、あらためて政府・東電を徹底して弾劾し、棄民化政策と闘う福島の人々への連帯をしっかりとつくりだしていくことを呼びかけたい。


 ●2章 原発推進・再稼動・原発輸出目指す安倍政権

 総選挙の過程から安倍は、「軽々に原発ゼロとは言わない」「(政権を奪回すれば)政府が責任をもって(原発を)再稼動する」と公言してきた。そして、昨年十二月に成立した安倍政権は、十年以内に電源構成のベストミックス(最適な組み合わせ)を確立すること、原子力規制委員会によるすべての原発の安全審査を三年以内に終了し、安全が確認された原発から再稼動していくという基本方向を打ちだした。民主党政権が大飯原発の再稼動を強行しつつも、巨大な反原発運動の高揚に強制されて、口先だけでも「二〇三〇年代までに原発ゼロ」を掲げてきたことからの根本的な転換を行なうというのだ。まさに安倍政権は、公然たる原発推進・再稼動推進政権として登場した。日本のブルジョアジーはこのような安倍政権の登場をもろ手をあげて歓迎した。総選挙直後の昨年十二月十八日、日本経団連は「エネルギー政策の再構築を求める」提言を公表した。そして、民主党政権の「革新的エネルギー・環境戦略」を見直し、「安全性の確認された原発を地元自治体の理解を得て再稼動していく必要があり、そのための道筋を明示すべきである」と要求した。
 このようなブルジョアジーの要求にもとづき、安倍政権は停止中の原発の再稼動と原発の新設・増設を推進しようとしている。昨年七月の大飯原発三号機・四号機の再稼動につづいて、各電力独占資本は次々と再稼動の計画を打ちだしてきた。まずその対象とされてきたのは、北海道電力・泊原発、東京電力・柏崎刈羽原発、北陸電力・志賀原発、関西電力・高浜原発、四国電力・伊方原発、九州電力・玄海原発、九州電力・川内原発などである。安倍政権と電力独占資本は、原子力規制委員会が七月から実施する新安全基準に基づく審査において「安全」とされた原発から次々と再稼動を強行しようとしているのだ。そしてまた、安倍政権は中国電力・上関原発や電源開発・大間原発など、原発の新設・増設をあらためて推進していこうとしている。また、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」と青森県六ヶ所村の核廃棄物処理施設の建設を中核とした核燃料サイクルを推進しようとしている。とりわけ「もんじゅ」については今年中に試験運転を再開し、来年には本格運転を開始することがもくろまれている。
 現在稼動中の原発は、福井県の大飯原発三号機・四号機だけである。しかし、稼働中の原発は前回の定期検査の終了時から起算して、十三カ月以内に定期検査を行なうことが義務づけられている。大飯原発の場合、前回の定期検査の終了証の交付は三号機が昨年八月三日、四号機が八月十六日であることから、九月中旬までには両機とも定期検査のために停止する。これまでの例では、定期検査には最短でも二カ月半程度を要しており、九月中旬までに他の原発を再稼動できなければ、再び稼動原発ゼロという事態が訪れる。安倍政権と電力独占資本は、この事態を何としても回避するために他の原発の再稼動を急いでいるのである。
 昨年九月十九日に発足した原子力規制委員会は、一月二十九日に地震・津波対策の新安全基準の骨子、一月三十一日に「過酷事故」対策の新安全基準の骨子を公表した。このふたつの新安全基準を統合し、七月から施行する。この新安全基準は既存の原発にも適用され、基準に適合しなければ再稼動はできない。原子力規制委員会は、民主党政権下で発足した機構ではあるが、決して脱原発の立場に立つ機構ではない。委員長の田中俊一は元原子力委員会委員長で原発の必要性を公言する人物である。このような原子力規制委員会が再稼動を急ぐためにわずか四カ月で作成した新安全基準の骨子は、きわめて不十分なものである。
 確かに旧原子力安全・保安院時代の安全基準にとくらべれば、新安全基準はいくつかの点で厳しいものとなってはいる。その主要な内容は、@免震構造の「緊急時対策所」や第二制御室などの設置、A全電源喪失に備えた電源設備の分散配置、B放射性物質を取り除くフィルター付きのベント(排気)機能の設置、C活断層の定義の拡張と活断層の真上に原発の重要施設を建設できないと明記したことなどである。言うまでもなく、これらの新安全基準にもとづく対策を実施したとしても、福島原発事故のような深刻な事故が発生する危険性がなくなるわけでは断じてない。新安全基準は、深刻な事故が発生しても事故と放射能被害の拡大を抑え、少しでも被害を小さくすることを目的とするものにすぎないのだ。
 電力独占資本は、このような新安全基準をさらに骨抜きにするために、「原子力ムラ」に帰属する科学者たちを動員して猛烈なはたらきかけを行なってきた。さらには、再稼動を行なった後にまで対策の実施を先送りできる「猶予期間」の対象となる工事を拡大し、七月の新安全基準の施行前に再稼動申請した原発の安全審査を前倒しして実施することなどを要求してきた。こうして新安全基準はどんどん骨抜きにされつつあるが、それでも、この新安全基準を実施するには巨額の費用と多くの時間が必要であり、再稼動を急ぐ安倍政権と電力独占資本にとって大きなハードルとなっている。
 とりわけ、活断層問題によって再稼動が不可能となる原発や廃炉を迫られる原発がでてくる可能性がある。原子力規制委員会の新安全基準では、活断層の真上に原子炉建屋など原発の重要施設を建設できないことが明記されただけではなく、活断層の定義が拡張された。これまで活断層は十二〜十三万年前以降に活動したことがあるものに限定されていたが、それでは判断できない場合は四十万年前以降に活動したことがあるものにまで拡張するとされた。そして、昨年から今年にかけて、北海道電力・泊原発、東北電力・東通原発、東京電力・柏崎刈羽原発、北陸電力・志賀原発、日本原子力発電・敦賀原発、関西電力・大飯原発など稼働中や当面の再稼動の対象とされている原発をも含めて、多くの原発で原子炉建屋などの重要施設の直下や敷地内に活断層が存在することが指摘されてきた。大飯原発の場合、二号機と三号機の間を走る「F6破砕帯」について、原子力規制委員会の調査団の一員である東洋大の渡辺満久教授が活断層だと指摘してきた。「F6破砕帯」は、重要施設である「非常用取水路」の直下にあり、活断層と認定されれば大飯原発三号機・四号機は停止を迫られる。
 ここまで活断層問題が焦点化してきたのは、多くの市民団体や個人が活断層問題に着目し、原子力規制委員会などへの働きかけを行なってきた結果であり、また良心的な研究者の努力の結果である。世界で有数の地震発生地帯である日本には、列島を東西・南北に分かつ糸魚川静岡構造線や中央構造線という巨大な断層が存在するだけではなく、無数の活断層が存在している。そもそもこのような日本列島に原発を建設することなど絶対に許されない。ず政府と電力独占資本は、原子炉建屋や敷地内の多くの活断層の存在に気付きつつ、情報の隠蔽や事実の歪曲などによって「活断層ではない」と強弁し、活断層の上に原発を建設してきたのである。
 安倍政権は、このような原発再稼動と新設・増設をもくろむとともに、原発輸出をあらためて推進していこうとしている。民主党政権は福島原発事故前の二〇一〇年、原発輸出を「新成長戦略」の柱として掲げた。そして、同年十月には国の主導のもと、電力独占資本九社と日立製作所・三菱重工業・東芝などの原発メーカーは共同出資によって、海外での原発受注をめざす国策会社として「国際原子力開発」を設立した。福島原発事故後も、この国策として原発輸出を推進するという基本方向は何ら変わっていない。海外における原発建設は、一基あたりの建設費で数千億円、道路・通信などのインフラ建設を含めれば数兆円に達する場合もある。福島原発事故によって国内での原発の新設・増設が困難になるなかで、電力独占資本や原子炉メーカーは、ますます原発輸出にのめりこんできている。日立製作所は、昨年六月に公表した原発事業計画において、原発事業の海外売上比率を二〇二〇年度には五割程度まで高め、海外売上高目標も二〇一一年の二倍を超える三千六百億円に設定している。東芝も二〇一七年度の国内外での原発事業の売上高一兆円の突破を掲げている。三菱重工業もまた、二〇一四年度の原発事業全体の売上高を二〇一〇年度比一・六倍にあたる四千億円にまで引きあげようとしている。
 日本国内での原発の新設・増設が困難であるにもかかわらず、各社がこれほど大規模な原発事業の拡大を展望しているのは、明らかに原発輸出の拡大を想定しているからである。日本の原発輸出の当面の焦点は、リトアニア、ヨルダン、トルコ、ベトナムの四カ国である。リトアニア政府は、二〇二一年の稼動をめざすビサギナス原発建設について、日立製作所と建設事業権契約を締結、昨年六月にはリトアニア議会もこれを承認した。しかし、昨年十月に原発建設の是非を問う国民投票が実施され、反対票が63%と賛成票の34%を圧倒した。国民投票結果に法的拘束力はないが、事態は大きく流動してきている。ヨルダン政府は今後三十年間に原発四基を建設する計画で、二〇一三年度にアカバ地区でまず二基の原発に着工、二〇二〇年ごろに完成するとしている。昨年七月に、このうちの一基の建設を三菱重工業とフランスのアレバ社が受注した。トルコ政府は、二百億ドルを投入して黒海沿岸に四基の原発を建設し、二〇一八年から二〇一九年の稼動をめざしてきた。この原発建設の受注を日本と韓国とが激しく争っている。また、ベトナム政府はニントゥアン第一原発・第二原発を建設する予定で、日本が受注する第二原発は総事業費一兆円、二基の原発の建設が予定されている。さらに日本政府は、インドやブラジルなどへの原発輸出をも追求しようとしている。以上から明らかなように、日本帝国主義にとって原発輸出は、激しい国際的な資本間競争・帝国主義間抗争において生き残っていくための戦略的な基軸のひとつといえるものなのだ。


 ●3章 反原発運動を発展させ、階級闘争の前進かちとれ

 昨年十二月の総選挙で自民党は圧勝したが、停止中の原発の再稼動や原発の新設・増設を推進しようとする安倍政権の政策が支持されたわけではない。自民党は、結党以来の惨敗を喫した二〇〇九年の総選挙とくらべても、比例区での得票数・得票率をさらに減少させたのだ。この十年をふり返ったとき、日本における労働者人民の闘いは大きく発展してきた。小泉政権による新自由主義政策がすさまじい犠牲をもたらしたことに対して、反貧困・反格差の闘いが深く広く組織されつづけてきた。また、福島原発事故を決定的な転換点とした反原発運動の巨大な高揚が生みだされ、沖縄では普天間基地の閉鎖・返還と辺野古移設反対、オスプレイ配備の撤回を要求する、まさに島ぐるみの闘いが組織されてきた。そして、これらの闘いの内部からさまざまな直接行動、新たな大衆的実力闘争が荒々しく登場してきた。どしゃぶりの雨のなか、再稼動阻止を叫んで大飯原発ゲート前を三十六時間にわたって封鎖・占拠した若者たちを中心とした闘いが爆発した。炎天下の沖縄において、何台もの車をつらねて普天間基地を封鎖し、基地のゲート前に座りこんだ連日の闘いは、オスプレイ配備阻止にとどまらず、実力闘争をもってしても普天間基地をはじめとしたすべての米軍基地を撤去させるという沖縄人民の不退転の決意を示すものであった。われわれはいま、巨大な変革期のはじまりに立っている。
 この闘いは、資本主義の歴史的な危機を基礎とした、世界的な同時代性と同質性を持つものである。「われわれは99%だ」と宣言しウォール街の占拠を呼びかけたアメリカの闘いは、生産手段を私的に所有するブルジョアジーと一部の富裕層が社会の富を独占する資本主義社会への告発であり、そのような社会を変革するための直接行動の呼びかけであった。それはまた、南ヨーロッパでの「緊縮経済政策」反対の闘いと結びつくものであった。「アラブの春」と呼ばれた中東・北アフリカ諸国の人民の闘いは、どれほど強固に見えた独裁政権であっても、数十万・数百万の人民が直接行動に立ち上がれば、実力で打倒できることを、全世界の人民の前に突き出した。歴史的に命脈が尽きた資本主義社会の内部から、反資本主義・反帝国主義という質と資本主義にかわる社会への希求を内包した新たな闘いがさまざまな形で噴出した。新たな変革の主体が形成されつつあるのだ。日本における反原発運動もまた、このような同時代性と同質性を持つ世界的な闘いの一部なのだ。
 福島原発事故を転換点とした巨大な反原発運動は、その広範さと全人民性において、戦後の日本階級闘争の歴史を画する闘いへと発展してきた。子どもたちを放射能から守りたいと願う若い女性たち、貧困と格差に苦悩する若者たちなど、あらゆる世代のこれまで集会やデモに参加したことがなかった無数の人々が闘いに立ちあがってきた。かつての六〇年安保闘争は、安保改定阻止国民会議に参加した労働組合(総評)や社会党・共産党などの組織としての闘いに支えられたものであった。現在の反原発運動は大きく様相が異なっている。労働組合や大衆団体、政党に所属しているかいないかにかかわらず、一人ひとりの個人の自覚と主体性・積極性が反原発運動を大きく支え、その広範さと全人民性をつくりだしてきたのである。この新たな特徴に着目し、結合していかねばならない。
 このような広範な闘いのなかで、反原発運動は反資本主義という質と新たな社会への希求を内包した闘いへと発展しつつある。そもそも福島原発事故はなぜ発生したのか。利潤の獲得を最大の目的とする電力独占資本は、深刻な事故をおこせば破滅的な事態となる原発を推進しながら、安全性の確保よりもコスト削減・利潤追求を優先させてきた。そして、原発で働く労働者に被曝を強制し、使い捨ての労働力として虫けらのように扱ってきた。これらのことは、電力独占資本の資本としての本性によるものなのだ。資本による利潤追求を何よりも優先させる資本主義という社会システムそのものが、原発のもつ本質的な危険性をさらに高めあげ、ついには福島原発事故を生み出した。福島原発事故の責任を追及し、原発のない社会を実現しようとする闘いは、不可避に資本主義への告発・批判と結びつき、新たな社会への希求を生みだしていく。
 反原発運動はまた、広範な労働者人民の連帯と共同のたたかいを生みだしてきた。全国的にも各地においても、最も広範な共同行動が追求され、東京では数十万人が結集する巨大な行動に結実した。そして、反貧困・反格差の闘いや反原発運動、沖縄の反基地運動など、大きく発展してきたそれぞれの闘いが結合し、基地も原発もない人らしく生きられる社会をめざす奔流のような闘いがやがてつくりだされていくであろう。ぜひともそうしていかねばならない。こうして形成されていく全人民的な階級的・階層的連帯こそ未来社会建設の基盤となるものである。われわれは、崩壊した戦後階級闘争構造にかわる新たな階級闘争構造を全国・各地方において建設していくことを共同の課題として提起してきた。それは、現実の労働者人民の闘いに立脚してしか形成することはできない。いま生みだされつつある全人民的な階級的・階層的連帯と広範な共同の闘いこそ、新たな階級闘争構造建設の広大な基盤となるものなのだ。
 昨年末の安倍右翼反動政権の登場は、日本の政治・階級情勢を大きく変貌させた。安倍政権は今年七月の参議院選後、その本性をむきだしにした大攻勢を開始するであろう。生活破壊と戦争国家化に対する闘い、原発推進との闘いを最大の攻防環として、大反動攻勢に対する総抵抗戦を組織し、安倍政権を打倒する全人民政治闘争へと発展させていかねばならない。この二年間に大きく発展してきた反原発運動もまた、公然と原発推進・再稼動推進を掲げる安倍政権による大攻勢、再稼動の嵐との闘いを迫られていく。安倍政権による大攻勢と対峙し、反原発運動のさらなる発展と階級闘争の前進を全力で切りひらいていこう。
 反原発運動においては、福島の闘いへの連帯がこの闘いの基礎として据えられていかねばならない。福島においては、政府・東電による棄民化政策、住民の分断と抑圧に抗して、さまざまな闘いが取り組まれてきた。子どもたちを放射能から守るために、健康調査や避難を要求する闘い。十数万人の強制避難者や自主避難者への政府・自治体からの最大限の援助を要求する闘い。福島原発事故で失った土地や家、仕事などへの徹底した損害賠償を要求する闘い。これらに加えて、福島原発告訴団が結成され、福島原発事故の刑事責任を追及する闘いが開始されてきた。第一次告訴分(昨年六月二十四日)と第二次告訴分(十一月十五日)をあわせて一万四千五百八十六人が、経済産業省原子力安全保安員や原子力委員会、文部科学省の責任者たち、そして東京電力の勝俣会長ら役員・幹部などを業務上過失致死傷罪などで告訴した。この告訴団の闘いは、福島原発事故の責任を明確にし、責任者を犯罪者として処罰することを要求するものである。そして、そのことをもって福島原発事故後もなお原発を推進しようとする政府・電力独占資本を徹底して弾劾し、「経済や企業や国の名のもとに人々の犠牲を強いるこの国で繰り返される悲劇の歴史に終止符」(第二次告訴声明)を打とうとするものなのだ。
 われわれは、被爆者、被曝者の闘いに連帯するという立場をしっかりと踏まえ、これらの福島の闘いに断固として連帯していかねばならない。福島原発事故によって、福島県のみならず東日本のぼう大な人々が被曝し、現在もなお被曝しつづけている。広島・長崎の原爆による被爆者、被爆二世・三世の闘いの経験に学びつつ、福島原発事故による被曝者へのあらゆる差別や迫害を許さず、被曝者手帳の交付や医療支援など被曝者として生きていくための当然の権利を擁護していかねばならない。これらを前提としつつ、反原発運動における共産主義者と先進的労働者人民の当面する任務を以下のように提起したい。
 第一には、襲いかかる再稼動の嵐と対決し、原発の新設・増設を阻止することである。原子力規制委員会は、七月に新安全基準を施行する。電力独占資本は、その直後にも全国各地の原発の再稼動を申請する準備を進めている。そして、安倍政権は原子力規制委員会による安全審査によって「安全」とされた原発から次々と再稼動を強行しようとするであろう。とりわけ、大飯原発の再稼動阻止が、大きな闘いの焦点となっていく。再稼動の嵐に、現在から備えていかねばならない。
 重要なことは、再稼動の対象となる原発の立地自治体の住民の闘いに連帯し、全国的な支援を組織していくことにある。過疎地にある多くの立地自治体では、巨額の原発交付金に依存したものへと地域社会そのものが歪められてきた。利権によって結びついた原発推進勢力が地方自治体・地方議会を支配し、原発に反対すれば迫害され、地域社会から排斥されるという、まさに民主主義そそものが圧殺されてきた。このような立地自治体において再稼動に反対し、原発に依存しない地域社会へと再生させようとする闘いは決して簡単なことではない。昨年の大飯原発再稼動阻止闘争においては、典型的な立地自治体である大飯町における住民の新たな立ち上がりに連帯し、全関西・全国からの結集によって大飯町や福井市での集会が組織された。このような現地における闘いと大阪の関電本社を包囲する闘い、そして東京における政府・首相官邸を包囲する闘いなど全国各地の闘いが結合することによって、大飯原発再稼動阻止闘争の巨大な高揚がつくりだされた。このような闘いをあらためて準備していかねばならない。再稼動の嵐に備えて、昨年十一月十日には「再稼動阻止全国ネットワーク」が結成された。全国各地における再稼動阻止闘争を結合させ、再稼動の嵐と全面的に対決していかねばならない。他方で、中国電力・上関原発や電源開発・大間原発など、原発の新設・増設を強行しようとする動きが一挙に再開されていくであろう。何としてもこれを阻止していかねばならない。
 これらの闘いは、過疎地に原発の危険がおしつけられ、大都市がそこから供給される電力を享受するという構造のもとで形成されてきた立地自治体の住民と大都市の住民の分断・対立を克服していくことを不可避に要求する。このような立地自治体の住民の闘いに連帯し、再生可能エネルギーの地産地消を基礎とした社会への変革を展望しつつ、再稼動阻止闘争をともに闘うことをもってこのような立地自治体の住民と大都市の住民の分断と対立を克服していかねばならない。
 第二には、反原発運動を、安倍政権打倒の全人民政治闘争へと発展させることにある。安倍原発推進政権を打倒することを通してしか原発廃炉の展望は切りひらけないということが、反原発運動に突きつけられている。全国各地で取り組まれつづけている金曜行動など、反原発運動をさらに広範なものへとおし広げることだ。そして、政府・国会に対して、再稼動の断念と全原発の廃炉を強制していくような全人民政治闘争、巨万の労働者人民の決起をぜひともつくりだしていかねばならない。三月には、東京・大阪・福島など各地において、福島原発事故二年の大集会が準備されてきている。これらの集会の成功のために努力し、安倍政権を打倒する全人民政治闘争への発展を推進していこう。そして、全人民政治闘争を大衆的実力闘争へと発展させていく闘いの一翼を担い、立ちあがる若ものや女性たちとともに先頭に立って闘おう。
 第三には、階級闘争の立場に立つ反帝国際主義派としての闘いを強化し、反原発運動を反資本主義・反帝国主義に向かう闘いへと発展させ、階級闘争の前進を切りひらいていくことにある。安倍政権の登場のもとで、このような反帝国際主義派の闘いがますます重要になっているのだ。全人民的な反原発運動の内部には、さまざまな階級的・政治的立場が混在している。反帝国際主義派の課題は、このような全人民的な闘いに内包されている反資本主義・反帝国主義の質、新たな社会への希求と結びつき、反原発運動を反資本主義・反帝国主義に向かう闘いへと発展させていくことにある。そのために、以下の闘いを推進していかねばならない。
 それはまず、日帝―安倍政権による核武装、戦争国家化に対する闘いと結合させていくことである。日本帝国主義にとって、原発の建設はその最初から核武装の準備と結びついたものであった。すなわち、「核の平和利用」と称した原発建設のなかに、プルトニウムの備蓄や核分裂の制御技術など核武装の準備をシステムとして組み込んできたのだ。石破自民党幹事長が「抑止力としての原発の重要性」を公言するように、戦争国家化に突き進む安倍政権が原発を何としても維持・推進しようとしている大きな理由は、いつでも核武装できる条件を保持することにある。安倍政権はまた、米帝の核戦略と結合し、日米軍事同盟の下、核武装した米軍との軍事一体化、共同で戦争を遂行する体制を飛躍的に強化していこうとしている。核兵器であれ原発であれ、核と人類は共存できない。安倍政権のもとで、反原発運動を核武装・戦争国家化に対する闘いと結合させていくことがますます重要な課題となっている。
 また、日帝による原発輸出を阻止し、反原発運動の国際連帯と国際共同闘争を推進していくことである。安倍政権は、国策としてすさまじい勢いで原発輸出を行なおうとしている。原発輸出は、電力独占資本と原子力産業に巨大な利潤をもたらし、激しい帝国主義間抗争・資本間競争に直面する日帝にとって延命戦略の基軸のひとつとなるものである。しかし、それは深刻な原発事故によって破滅的な放射能被害を生みだす危険性を全世界に拡散する。そして、原発の建設過程では、建設予定地周辺の住民の土地の強奪とたたきだしなどが行なわれ、抵抗する住民の闘いへの徹底した暴力的弾圧が打ちおろされる。インド南部のロシアの支援によるクダンクラム原発の建設をめぐっては、昨年九月十一日に反対する住民と警察が激しく衝突し、住民一人が射殺されるという事態も発生し、住民が次々と逮捕され続けている。原発輸出とは、まさに侵略そのものなのだ。日本が輸出しようとしている原発は、早ければ二〇一〇年代の後半には着工が開始される。日本帝国主義が受け入れ国の政権と結託し、現地の住民の土地の強奪やたたきだし、生活破壊を強行し、原発建設に反対する住民を弾圧するという事態が迫ってきているのだ。日帝による原発輸出を断固として阻止し、反原発運動の国際連帯と国際共同闘争を推進していかねばならない。
 そして、被曝労働者の闘いに連帯・支援していくことにある。福島原発事故以降、事故の収束のための作業に従事してきたぼう大な労働者が被曝を強制されてきた。また、昨年からは除染作業に従事する労働者が、被曝を強制され続けている。とりわけ、除染労働者については、防護服など被曝をさけるための手段を何も与えられないままに、内部被曝の危険にさらされ続けている。これらの労働者のほとんどは、下請けの非正規雇用労働者である。原発敷地内での作業や除染を請け負う資本の側は、これらの労働者をまったくの使い捨て労働者として扱い、賃金とは別に環境省から支給される一日一万円の危険手当をピンハネしている事例も暴露された。これらの労働者の闘いが始まっている。また、昨年十一月九日には、「被ばく労働を考えるネットワーク」も設立された。この被曝労働者の組織化という課題は、階級的労働運動の正面からの課題として設定され、発展させていくことが要請されている。被曝労働者の闘いに連帯し、支援していこう。
 われわれはこれらの闘いを反帝国際主義派として推進し、貧困・格差に反対する闘い、沖縄をはじめとした反基地運動と日本の戦争国家化に反対する闘い、そして反原発運動の結合のために努力し、安倍政権の打倒に向けた闘いの中から日本における階級闘争の飛躍を切りひらいていかねばならない。
 最後にわれわれは、一挙に強まってきた反原発運動への弾圧と断固として闘うことを呼びかける。とりわけ関西では、昨年秋から十一人が相次いで不当に逮捕され、一月末段階でなお六人が獄中に拘束されている。安倍政権のもとでさらに反原発運動への弾圧が強化されていくことは必至である。闘う労働者人民の力を結集し、この大弾圧を断固としてはね返していこう。


 

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