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   安倍政権を打倒する全人民政治闘争の爆発を!

    
〜先進的労働者人民の政治的任務〜





 安倍政権の登場によって、二〇一三年は、反原発闘争や反基地闘争の帰趨を決すると言っても過言でないきわめて重要な年となった。同盟は、すべての労働者・学生が、安倍政権の打倒をかかげた政治闘争に全力で決起し、その先頭でたたかうことを呼びかける。本提起では、安倍政権とのたたかいの全般的な任務、なかでも、特に、反原発闘争と沖縄・岩国などの反基地闘争をめぐる具体的任務にしぼるものとして提起したい。


 ●1章 総抵抗戦を組織し、安倍政権を打倒しよう

 安倍政権が登場した。われわれは、第一に、すべての労働者人民が、安倍政権に対して、戦争国家化と生活破壊に抗する総抵抗戦を組織することをよびかける。
 これが当面する政治的態度の基礎である。その政治的性格は、安倍政権による新自由主義に反対し戦争国家化に反対するすべての勢力による総抵抗ということにある。情勢を規定しているのは、労働者人民の不満の増大、たたかいの拡大である。われわれは、このための大衆的な統一戦線(およびその形成)を支持し、ともにたたかう。同時に、われわれは、あくまでも反帝国主義・国際主義派としてその一翼でたたかう。
 安倍政権は、反動的右派をその本質としている。新自由主義のもとで労働者人民の不満は増大し、それが要因となって民主党政権を成立させたが、民主党政権も自民党と同様の立場へと回帰することによって、人民の離反を招き、その結果、再度自民党政権の成立を結果することとなった。情勢をその深部で規定しているのは、引き続き、労働者人民の不満の増大と闘争の拡大にある。安倍政権は、こうした労働者人民の抵抗闘争の拡大に対する真っ向からの反動であり、しかも、こうした現状をより右から突破することを使命とする政権である。しかも、安倍政権を上回る極右勢力として日本維新の会などをその突撃隊とすることで、その政治的野望を完遂していこうとする政権なのである。
 安倍政権は、まずは、今夏の参議院選挙に勝利することを当面の政治的目標としており、衆参で多数派を獲得すれば、その右翼的な政治攻勢を本格化させてくる。改憲攻撃も一挙に強まるだろう。当面は、景気対策を主軸にすえて金融緩和と財政出動から始めているが、その成長戦略は新自由主義路線である。また、安倍政権は、すでに生活保護費削減を決定したように、労働者人民の生活破壊を一層推し進めてくる。そもそも、安倍政権の景気対策である金融緩和、財政出動、経済成長戦略という「三本の矢」をかかげての二パーセントインフレ目標も、労働者階級をますます苦しめるだけである。賃金上昇なきインフレなど、実質の賃下げである。一部大企業の正規労働者のみを対象とした、しかも、ベースアップなき、一時金のみの賃金アップなどは、所詮、ごまかしにすぎない。安倍政権が進める財政出動は、家計消費による需要創出を無視した、ブルジョアジーを潤すだけの需要創出でしかない。消費税増税、社会保障の削減と市場化、さらに、TPP交渉参加も決定した。原発の再稼働、新規建設、辺野古新基地建設、これらをめぐる反動的巻き返しも開始しようとしている。さらに、そうした総仕上げとして、九条改悪を通した戦争国家化への全面的踏み込みを開始しようとしている。改憲条件を緩和するために、まず九六条改憲ということなのだ。安倍政権による反動的政治攻勢は全面的である。従って、労働者人民の生活破壊に抗するたたかい、原発をめぐる人々の生命と健康を守るたたかい、基地、改憲をめぐる戦争に抗し平和を求めるたたかい、こうしたことを大きな攻防環とする労働者人民の抵抗闘争を総抵抗戦として組織することが最も重要であり、当然にもこれを、安倍政権を打倒する全人民政治闘争へと前進させていくことが急務なのである。
 明確にしなければならないのは、労働者人民の不満と抵抗こそ、今日の情勢を規定している主要因だということである。たたかいは人民の不満と抵抗が増大し続けるという局面を持続させている。この情勢を拡大していくことに先進的労働者は、その政治的任務の中心を置かねばならない。安倍政権は、新自由主義と日米軍事同盟強化、排外主義と改憲による戦争国家化へと踏み込む政権であるが、そもそもその成立基盤はきわめて脆弱でもある。
 安倍政権の成立の背景には、日本資本主義の直面する長期の危機がある。グローバリゼーションのもとで、日帝は、他帝国主義や中国などとの関係で守勢に立たされている。さらに、新自由主義がもたらした階級矛盾の拡大、マイナス経済成長、長期化するデフレ不況、失業の増大、一方で、不満を増大させる労働者人民の抵抗、反原発の世論の強さ、基地に反対する沖縄の強靱な抵抗闘争が支配階級の前に立ちふさがっている。
 さらに、領土領海問題や戦後補償問題をめぐる安倍の右翼思想とその政策は、アジア諸国地域との決定的な対立を招くことになる。今日、東アジアにおける経済圏形成を望むブルジョアジーの多くは、中国・韓国との対立を望まない。支配階級内部でも足並みがそろわない。日帝の危機を促進する階級闘争の拡大を中心とした諸条件は、安倍政権の脆弱性を本質的に規定している。だから、必ず、安倍政権を追いつめ、勝利できる。また、日本維新の会のような極右勢力に対しても同様である。安倍政権に対する労働者人民の総抵抗を組織することに総力を挙げよう。
 そして、安倍政権に対する総抵抗戦を組織し、その先頭でたたかうとともに、そのためのあらゆる政治的統一戦線の形成を支持し、その一翼でたたかわねばならない。さまざまな地方で、こうした種々の統一戦線をめぐる主客の条件は大きく違う。各地で諸党派の相互関係も大きく違う。だが、労働者人民の抵抗闘争の拡大に依拠した、なかでも、労働者反戦闘争、沖縄、原発をめぐる共同闘争や統一戦線を各地で重視し、こうしたたたかいの前進のために、先進的労働者はともに団結したたかわねばならない。
 第二に、こうした総抵抗戦を基礎に、何よりも反帝国際主義派の独自潮流建設を総力で推し進めることを訴える。先進的な労働者人民は、さまざまな大衆的統一戦線に溶解し解体することのない、反帝国際主義派の独自潮流建設を基軸にこれを前進させるものとして、あくまでもたたかいを発展させねばならない。先進的労働者・学生などで構成され、アジア太平洋地域の反帝勢力と結合し国際共同闘争を組織してきたアジア共同行動日本連絡会議の発展こそ、こうした潮流形成の要に位置するものであり、われわれはこれを断固支持し、その発展のためにともにたたかう。アジア共同行動日本連絡会議が進めてきた、アジア太平洋地域の反帝勢力・プロレタリア勢力と結合したたたかいは、反資本主義・反帝国主義、プロレタリア国際主義を実践的に推し進める重要なたたかいである。同時に、岩国・労働者反戦交流集会実など、三単産を基軸とした労働運動における反戦反基地闘争の潮流形成も先進的な労働組合によって進められてきた。労働運動のなかに反戦反基地闘争を再生させていくこうしたたたかいを、われわれは支持する。われわれは、こうしたたたかいを支持し、すべての労働者がその発展のためにともに奮闘することを訴える。
 第三に、われわれは、左翼党派が共同のたたかいを強め、階級闘争を牽引する新たな党派再編を展望してともにたたかうことの重要性を訴える。
 労働者人民の抵抗闘争の拡大という情勢に対応した階級闘争を一層前進させていく見地から、今日の党派関係の再編をも展望したたたかいが求められている。現状では、こうした主客の条件は決して充分には成熟していない。しかし、左翼党派が、今日の階級闘争の拡大という事態の中で、これまでのそれぞれのたたかいに甘んじているだけでは不十分である。階級闘争をより前進させ、そして、何よりも共産主義運動の新たな復権を階級闘争のなかで蘇らせていくために共同のたたかいを強めなければならない。階級闘争の前進を共同で切り拓いていく党派共闘の再編成という問題は、階級闘争の拡大を背景に、かつ、あくまでこれを前進させる利益という見地に貫かれねばならない。
 われわれは、日本共産党を党的にはスターリン主義を内包し続けたまま、政治的には社会民主主義へと転落している党派として規定してきた。他方、いわゆるかつての「新左翼」勢力の多くは、分解と混迷に基調づけられていると言える。われわれは、こうした中で、左翼勢力が、今日の階級闘争を発展させるために、大衆闘争をめぐる共同のたたかいを強め、大衆闘争のただなかでこそ、左翼勢力のあらゆる意味での復権を推し進めるべきだと考えている。階級闘争の前進、階級闘争の利益、このことから乖離したいかなる党派共闘、党派再編も意味をなさない。左翼勢力が、こうした見地に貫かれた共同のたたかいを推進することによって、階級闘争のなかで言わば試され鍛えられることと結合して、階級闘争を牽引できる党派再編が展望されていくのである。階級闘争を牽引するための党派再編・党派共闘というレベルでの条件は、いまだ充分に熟していないが、こうした展望を切り拓いていくために、共に奮闘することを訴える。
 次に、われわれは、安倍政権に対する総抵抗戦の組織化という課題のなかで、現在特に重要な位置をしめる反原発闘争と反基地闘争について、次により具体的に提起したい。


 ●2章 反原発闘争の階級的発展、実力闘争を推し進めよう

 まず、安倍政権の原発推進攻撃と対決し、反原発闘争の前進を一層切り拓いていくことについてである。安倍政権との闘争にとって、反原発闘争はもっとも重要な闘争環のひとつを形成する。
 福島第一原発事故以来、反原発闘争は全人民政治闘争として発展してきた。その全人民的基礎は、放射能に対する恐怖であり、電力独占資本とこれを擁護する政府に対する怒りである。福島をはじめとする多くの人々が被曝を強制され続けている。にも関わらず、電力独占資本と政府は、利潤のみ追求し原発を維持・推進し続けようとしてきた。福島をはじめとする被害者は、電力独占資本と国家の責任を正面から問い、賠償をもとめるたたかいに立ち上がってきた。また、首都圏をはじめ、全国主要都市での街頭行動は特筆すべき高揚を示してきた。それは、反政府闘争として発展してきた。
 民主党政権は、こうした世論におされ、三〇年代の脱原発など、将来の課題として原発から脱却することを表向きは表明せざるをえなかった。もちろん、それは、実際は再稼働を強行し原発推進政策を堅持しながら、労働者人民を瞞着しようとするものに他ならなかった。安倍政権も、真正面から原発推進を声高に表明できずにいるが、すでに、民主党政権が掲げた三〇年代には脱原発を見直すと明言しており、その意図は明白である。自民党は、十年でベストミックスを確立する、三年以内に全原発の再稼働問題に結論を出すなど、はなから原発推進を前提とした政策を打ち出している。安倍政権の本性は、反原発闘争の解体と国内外における原発推進(再稼働、新規建設、原発輸出、核燃料サイクル確保)、核武装の将来的な条件確保である。安倍政権は、早晩、反原発闘争の解体と原発の再稼働・新規建設に全面的に踏み込んでくる。
 では、反原発闘争をどう発展させていくか。
 第一に、安倍政権を打倒する全人民政治闘争としてより前進させていくことである。放射線被曝への恐怖、利益優先の電力独占資本と政府への怒り、反原発闘争をより深く広範にあらゆる階級階層、あらゆる市町村に反原発運動を拡大することが基礎である。その広範な反原発闘争を、原発を推進する政府打倒闘争としてあくまで組織することである。
 第二に、そのたたかいを反資本主義闘争・反帝国主義闘争の質をもったたたかいへと前進させていくことにある。
 反原発闘争の内部には、さまざまな階級的政治的立場が混在している。全人民政治闘争とはそういうものである。先進的労働者の任務は、こうした内部に、階級的たたかいを刻印していくことであり、そうした発展を組織していくことにこそある。現在の反原発闘争の内部には、没階級的傾向も存在するし、そもそも、反原発闘争の内部には、当然にもブルジョアジーの一部さえ存在する。こうしたブルジョアジーさえ味方にひきつけ、たたかいを前進させることによって全原発の廃炉とエネルギー政策の根本的転換は実現できる。だが、そのことは、こうした脱原発と新たなエネルギー産業に資本投下と利潤追求を求めるブルジョアジーの尻尾に付き従うこととは違う。こうした部分をも巻き込みながら、たたかいを資本主義と帝国主義に対する闘争へと発展させていくことにある。すでに、人々の命や健康よりも利潤追求を優先する電力独占資本やその利益を代弁する政府に対してたたかおうとする傾向は一貫して増大してきた。われわれは、こうした反原発闘争内部における反資本主義・反帝国主義的傾向を増大させていくことにこそ着目しなければならない。そのためには、反原発闘争内部において、電力独占資本・政府への批判のみならず、日帝の原発輸出との闘争、すべての核に反対するたたかいを結合することである。すなわち、反戦反基地反核闘争と結合し、さらに、被曝の強制に対し東電と国家の責任を明確にし賠償を求めるたたかい、また、生存権をおびやかす放射線被曝への恐怖と結合する、自己の生存権をめぐる反貧困運動など、さまざまなたたかいと一体化させ、資本主義・帝国主義の全面批判へとたたかいを発展させることが重要なのである。特に、すべての核に反対するたたかいとして、反原発と反基地・反日米軍事同盟とを切り離せないものとしてたたかうということは先進的労働者の最も重要な実践的態度である。核の「平和利用」の名のもとで原発は歴史的、国際的に推進されてきた。核の「軍事利用」は原爆をはじめ、今日の帝国主義軍事力の要である。日米軍事同盟も米帝の核で武装されている。反原発と反基地は決して分離し得ないものであり、今日の反原発闘争全体の質へと発展すべき質である。
 原発を押しつけられてきた地方と都市との関係を、日本帝国主義が生み出した問題としてきっちりと批判しなくてはならない。この批判の上に、新たな地方と都市の関係を含む、生活と社会のありようをめぐる問題として、原発のない社会が構想されなくてはならない。現代帝国主義―資本主義社会の否定と共産主義社会のありようをめぐる質の創造を内包して、たたかいを推し進めねばならない。
 第三に、福島をはじめ、すべての原発立地自治体の住民と結合したたたかいを重視するということである。
 3・11福島第一原発事故の最大の被害者は福島の人々である。福島の人たちが要求し続けている避難、賠償をまずもって実現することである。3・11事故は福島の人々に被曝を強制し、生活を破壊した。子どもたちが安全な場所で生活し、教育を受けられるようにしなければならない。その補償を、東電と政府に行わせなければならない。
 福島の人たちは、3・11事故を刑事事件として告訴している。東電と政府には刑事責任をとらせなければならない。東電が「地震と津波の被害者」のような顔をして対応することを許してはならない。地震国で原発を作り続け、原発爆発事故を起こし、放射能拡散を続けている事件の責任をとらせなければならない。
 福島における放射能汚染、被曝ゆえに、震災復興も進まない状況をしっかりと捉えなくてはならない。破壊された生活の回復、住居、雇用、除染労働など、あらゆる面において、当該住民の生活と健康の要求を全面的に実現するために全国の労働者人民の総力でたたかわねばならない。
 3・11原発事故を告発し、反原発闘争を進める第一の主体は、福島の人々だということをはっきりと確認しておこう。それは同時に、今後の全国の反原発闘争においても、その原発立地地域の住民の生命と生活、その意志こそが尊重されなければならないということでもある。
 第四に、被爆者解放闘争の質で、たたかいを前進させることである。広範に新たな被曝者が生み出され続けている今日、このたたかいは決定的に重要である。福島の人たちの要求をどう実現していくのかという課題に応え得るのは、被爆者、被爆二世の解放闘争の実践の積み重ねからかち取られた内容であるだろう。
 広島・長崎の原爆被爆者に対しても低線量被曝の問題、残留放射線、内部被曝の問題が無視され続けている。今こそ、低線量被曝に対する軽視は一掃されなければならないし、被爆者差別・被曝者差別と断固たたかわなければならない。そして、福島をはじめとした被曝者に連帯し、被爆者解放闘争との結合、被爆者解放闘争が有してきた地平を全体で共有化せねばならない。すなわち、国家補償にもとづく被爆二世、三世の原爆被爆者援護法の実現のたたかいと結合させて、すべての福島原発事故被害者とともに、すべての原発を廃炉にし、原発をつくらせない証としての国家補償にもとづく原発被曝者援護法を実現させることである。
 第五に、反原発の全人民政治闘争を実力闘争として発展させるということである。
 この間の反原発闘争をめぐる街頭行動は特筆すべきものがある。特に、それらは、何ら組織的背景を有さない人々が、ツイッターなどを通して、街頭が直接の結集環となっていることである。もちろん、こうした反原発街頭行動は、反原発以外の政治要求などを抑圧する誤った傾向をも内包しているが、たたかいの発展はこうした傾向を乗り越え前進するだろう。また、昨年の大飯原発再稼働をめぐってたたかわれた占拠運動は実質的な新たな実力闘争の地平を築くものであった。ここに結集した若者をはじめとしたたたかいの意義は決して小さくない。全人民政治闘争を実力闘争として発展させ、労働者人民が自己の実力をもって政府・資本とたたかう地平を増大させねばならない。
 第六に、がれき処理などをめぐる問題についてである。これらには、態度の相違が反原発闘争内部に存在している。こうした点について、たたかい全体の内容を不断に豊かにしていかねばならない。がれき問題について、放射能汚染を恐れる受け入れ自治体住民の恐怖とたたかいには根拠がある。
 「東北の困難を全国民が共有するためにがれき焼却を受け入れるべきだ」というのが政府の主張である。しかし、政府の本当の意図は何か。そこには、低線量被曝に人民を慣れさせていこうという謀略を潜ませている。そして、がれきの広域処理も、また、現実には効果のほとんどない「除染」作業も、実は「復興」名目の予算をゼネコンなど独占資本にばら撒いているのである。
 いかに低線量被爆であろうと、放射線被曝を拒否する権利はある。生命と健康の破壊を拒否する人々の意思は尊重されなければならない。反対している人々を弾圧してがれき処理を強行することは許されない。確かに、がれき焼却受け入れをめぐるたたかいの中にも、さまざまな否定的傾向も一部内在するかもしれない。しかし、そうした現状を固定化して、がれき受け入れ焼却に無批判になることは決してあってはならないということなのである。
 第七に、当面の焦点であるが、以上を踏まえた上で、労働者人民は、街頭行動を決定的に重視し、特に、首都圏における首相官邸前行動、国会行動、および経産省テントのたたかい、東電前のたたかい、さらに、関西における関電前のたたかい、西日本における上関原発建設阻止闘争などを重視してたたかう必要がある。また、夏の「新安全基準」(福島第一原発事故の原因も完全に明らかになっていないにも関わらず、新たな安全基準などということ自身が、言わば、新たな「安全神話」を生み出そうとするものだ)確定後になると思われるが、迫り来る原発再稼働に対して、全国から現地闘争を重視してたたかわねばならない。大飯は、夏に定期点検でまた止まる。今秋以降の再稼働を阻止するたたかいが問われる。高浜、玄海、伊方、川内、これらの再稼働策動を粉砕しよう。また、上関での新規建設も大きな課題である。関西をはじめ反原発闘争への弾圧も激化している。弾圧を許さず、共同で弾圧に抗したたかわねばならない。さらに、被曝労働、すなわち、原発内労働、除染労働の現場での労働者の健康と権利をめぐるたたかいもきわめて重要である。こうした現場での組織化努力を支持し、反原発闘争総体の課題としてともにたたかっていかねばならない。


 ●3章 反基地闘争を前進させよう

 次に、安倍政権の米軍再編推進と対決し、反基地闘争およびオスプレイ反対闘争を前進させるということについてである。
 沖縄における普天間基地の即時閉鎖、辺野古新基地建設阻止のたたかいは、米軍再編そのものに大きく立ちふさがってきた。沖縄のたたかいによって、日米両政府は、米軍再編(日米軍事同盟の再編強化)を進めることができずにきた。民主党政権の破綻を経て、安倍政権は文字どおり、この面でも、沖縄をはじめとしたたたかいが情勢を規定していることへの明白な反動として登場したのである。安倍政権は、沖縄のたたかいを解体し、辺野古新基地建設と岩国基地強化を焦点とする米軍再編を完遂しようとしてくる。また、中国に対峙することを口実に、沖縄における自衛隊配備の強化が進められ、沖縄はますます日米軍事同盟の最前線基地として強化されつつある。普天間基地の閉鎖、辺野古新基地建設阻止の闘争は、その大きな攻防環である。沖縄人民のたたかいを先頭に、沖縄解放闘争をより一層強化していかねばならない。そして、オスプレイ配備撤回、全国飛行訓練に反対するたたかいを総力で進めよう。同時に、沖縄―「本土」を貫いた反基地闘争の大きな攻防環として、岩国基地強化に反対するたたかいの重要性をより明確にしていかねばならない。
 日米両政府は、岩国への厚木からの艦載機五十九機の移駐、F35の配備、これらを二〇一七年までに行うと新たに宣言してきた。愛宕山米軍住宅建設もこうしたことに連動して強行されていこうとしている。また岩国基地は、すでにオスプレイ低空飛行訓練拠点として運用が開始されている。文字通り、岩国基地は、朝鮮半島を睨む極東最大の海兵隊基地へと変貌させられていこうとしているのである。岩国基地大強化を粉砕するたたかいは、ますます、全国の反基地闘争にとって重要な位置を占めつつある。それは、アジア太平洋全域にとっても同様である。全国の労働者人民は、沖縄、岩国、神奈川をはじめとした反基地闘争をひとつのたたかいとして推進していかなければならない。
 そのために、岩国基地強化に反対する恒常的なたたかいを各地で強化することである。アジア共同行動日本連絡会議が呼びかけている岩国基地強化に反対する署名運動などを、より広範な運動として発展させていかねばならない。岩国では、オスプレイ低空飛行訓練の拠点運用が開始されている。オスプレイ配備撤回・低空飛行訓練阻止、沖縄と固く結合して、岩国基地大強化反対のたたかいを、すべての労働者人民の課題へと押し上げていこう。岩国には、戦後一貫して基地との共存を強制され続けてきた歴史があった。しかし、米軍再編による岩国基地大強化を前に、岩国市民はこれを拒否する住民投票を行い、そして勝利するというまさに歴史的決起を実現してきた。そうだからこそ、政府は、全体重をかけた巻き返しと岩国市民のたたかいの解体攻撃をしかけてきたのである。立ち上がった岩国市民のたたかいを防衛することは、全国の反基地派の共通の課題である。岩国市民と連帯し、岩国基地大強化を阻止するたたかいを全国の課題へ押し上げねばならない。
 さらに、韓国をはじめ岩国基地問題をアジア全域の闘争課題へと押し上げる努力、また、アジア各国地域の国際共同闘争課題へと岩国基地問題を押し上げる努力、そうしたたたかいとして、韓国をはじめとする海外の反米軍基地闘争と沖縄、岩国、神奈川などとの結合したたたかいの推進、これらを引き続き一層強化していくことである。沖縄・岩国基地問題を、アジア太平洋地域全域の共通の国際的な闘争課題へと広げていかねばならない。
 岩国基地強化とたたかう新たなより広範な闘争陣形の形成を全国のたたかう人々と共に形成していかねばならないということである。岩国を反帝闘争、反戦反基地闘争の国際的国内的一拠点へと押し上げねばならない。そのために、岩国を含む山口県全域における反基地闘争の共闘と強化、および、それを軸とする全国からの広範な岩国支援結集構造を形成していくということが必要である。われわれも、ともに貢献していく。二〇一七年を目標とする日米両政府の岩国基地大強化の目算を粉々に粉砕していくために、岩国基地大強化を阻止する全国的な共闘の形成を訴える。
 いま、沖縄、岩国、神奈川などの反基地闘争、米軍再編とのたたかいは、安倍政権による集団的自衛権容認、九条改憲、国防軍創設、戦争国家化と対決する闘争拠点として、ますますその位置が重要なものとなっていくということである。そうした意味では、三里塚、沖縄、これらに続く反帝闘争の一拠点、戦争国家化に抗する全人民のたたかいの砦へと岩国の位置を不動のものとしていくことが求められているのである。反基地闘争は、戦争国家化への総抵抗の決定的な闘争拠点であり、総力でたたかいを発展させねばならない。


 ●4章 差別排外主義との闘いを強化しよう

 最後に、領土領海問題、日本軍「慰安婦」制度問題、靖国問題など、差別排外主義との闘争である。安倍らは、支配階級の中にあっても、特に、アジア人民への敵対を本性とする連中である。日本資本主義・帝国主義の危機を、排外主義と愛国主義のもとへと人民を組織し右から突破しようとする。安倍は、日本軍「慰安婦」制度問題で強制はなかったと主張し、国際キャンペーンを繰り広げてきた張本人である。河野談話や村山談話も否定し、かつての侵略戦争を肯定し、人民を排外主義と戦争国家へと組織しようとする根っからの右翼なのである。閣僚の大半もそうである。安倍政権は、参議院選で勝利するまでは、こうした本性は表に出そうとしていない。しかし、衆参両院で多数派を占めれば、こうした領域では、日本維新の会などの極右勢力と連携しながら、改憲攻撃とあわせて、より本性をむきだしにしてくる可能性がある。特に、日本軍「慰安婦」制度問題については、被害者が高齢化しており、安倍政権は最後の右からの反動的歴史決着に踏み込んでくる可能性もある。また、歴史観と結合する領土領海問題でも同様である。さらに安倍は、教育においても、育鵬社などの右翼反動教科書の採択の推進、「自虐史観」の克服などと南京大虐殺や日本軍「慰安婦」制度問題などの教科書からの削除、愛国心育成のための道徳教育復活などを進めてきたのである。こうした経緯の上に、安倍は、首相になるやいなや、またもや教育再生実行委員会を設置し、反動的攻勢をより全面化させていこうと狙っている。この領域では、まったく同じ穴のむじなである日本維新の会などと連携しながら、大阪や熊本などをはじめ、全国で反動的教育を強制していこうとしているのである。
 しかし、これらはすべて、安倍政権のある意味でアキレス腱でもある。逆に、安倍政権だからこそ、より攻勢的に国家謝罪と賠償を求めるたたたかいが要求されていると言ってよい。靖国問題、教科書問題なども同様である。全国でたたかいを強化しよう。また、安倍政権をより右から突き上げる日本維新の会、さらに、田母神グループ(がんばれ日本・全国行動委員会)や、在特会などの差別排外主義襲撃も激化する。全国でたたかいをより強化することをあわせて強調したい。
 最後に、領土領海問題であるが、独島にしろ、釣魚諸島であれ、歴史的にもいささかも日帝の領土などではないこと。激化する日帝の領土併合の野望との非妥協的なたたかいを改めて訴えておく。領土問題を利用した一切の戦争準備を許すな。


 ●5章 労働者人民の政治運動・政治闘争決起を強めよう

 安倍政権との総対決を、何よりも労働者人民の政治運動・政治闘争決起を強めることを基軸に推し進めなければならない。
 特に、重視すべきは、まず第一に、全戦線で、若者の組織化に特別の注意を払い、若者が政治決起の先頭にたち、そのことをもって、また若者を組織していく運動を拡大し、意識的に強化していかねばならないということである。反原発闘争で現れてきた若者による街頭行動への志向などを徹底して重視し、ともにたたかわなければならない。われわれにとって、若者の組織化は単にかけ声などではない。階級闘争と共産主義運動・革命運動にとって未来を決すると言ってよい重要な課題である。第二に、労働者階級の政治決起を拡大していくことである。われわれは、労働者党であり、これにとことんこだわる。また、労働者を階級へと形成できるのは、労働者階級の政治闘争を通してである。
 確認しなければならないことは、新自由主義のもとで階級矛盾が拡大し、安倍の改憲攻撃を頂点とする日帝の本格的な戦争国家化への踏み込みが始まりつつあるなかで、かつ、当然にも、労働者階級人民内部に不満と抵抗が増大し、戦争と平和をめぐる全人民的な政治流動が開始される可能性が浮上しつつある。このなかで、全人民政治闘争の先頭でたたかう労働者階級のたたかいを前進させること、特に、若い世代が、そうした先頭にたつこと、これなしに、若い世代の革命化、階級形成などありえないということである。
 われわれは、労働者階級、被抑圧人民・被差別大衆とともに、その先頭でたたかう党風を一層強化し、階級の党、人民の党として、自らを一層鍛え上げていく決意である。そして、反帝国際主義派潮流の強大な建設をすべての先進的労働者がともに推し進めることを心から訴える。また、たたかう左翼勢力に、階級闘争の前進を牽引する党派共闘の新たな創造を、たたかいのただ中からともに実現していくために奮闘することを強く訴えたい。



 

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