共産主義者同盟(統一委員会)






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   2013年政治集会 基調報告

 

 われわれは昨年、沖縄、岩国、神奈川をはじめとする反基地闘争を闘い、また、全人民闘争として高揚する反原発闘争を全国で取り組んできた。市東さんの農地をめぐる決戦の三里塚闘争を闘ってきた。そして、労働運動、青年運動、学生運動をはじめとして労働者階級人民の利害に立って運動を取り組み、階級的拠点建設を推し進めてきた。
 安倍右翼反動政権の登場によって、戦争、改憲、そして激化する排外主義の攻撃が労働者人民にかけられている。全世界で開始された独裁政権打倒闘争、反資本主義の占拠闘争、緊縮財政―生活破壊と対決する労働者階級のストライキ、デモ。帝国主義は今までどおりに階級支配を貫くことができなくなっている。労働者人民の生活を切り捨て、抵抗するものを弾圧し圧殺する。しかし、労働者階級人民は全世界で立ち上がり、闘いは拡大し、結合している。
 階級闘争の新たな時代が切り拓かれようとしている。
 二〇一三年の階級攻防に向けて、われわれ共産主義者同盟(統一委員会)の闘いの方針を明らかにしていく。


 
●1章 情勢

 ▼1章―1節世界情勢(略)

 ▼1章―2節国内情勢


 昨年十二月、第四十六回衆議院選挙によって安倍自公政権が成立した。
 戦後最低の投票率59・32%で、自民党の得票率は小選挙区で43%、比例区では27・6%にすぎない。全有権者に対してみれば、小選挙区で自民党に投票したものは約四分の一、比例区では16%である。
 「自民党の圧勝」とは、第一に、大きく見ても全有権者の25%程度の支持で、三分の二の議席を占めてしまうという、小選挙区制度によってもたらされたものである。第二には、三年前には自公政権の瓦解状況の中で、民主党が支持を勝ちえて政権についたものの、経済政策から安保―基地問題、さらに3・11以降の原発問題まで、徹底的に労働者人民を裏切り続けた民主党ゆえに、労働者人民は日本の政党政治=ブルジョア民主主義に展望を失ったのである。絶望ゆえの低投票率によってもたらされた結果である。「自民党の圧勝」ということ自体が、労働者人民の意思とはかけ離れた選挙結果である。
 安倍政権は第一に、反原発、反基地の全人民的闘争の高揚に全面的に敵対する右翼反動政権だということである。
 民主党政権を右から批判することで登場してきた安倍政権は、日米軍事同盟強化、ガイドライン改定、防衛計画の大綱および中期防の改定、集団的自衛権行使と全面的な戦争国家化を公然と主張している。九六条改憲から着手して、改憲−国家の右翼的改編をもくろんでいる。
 安倍は二月二十八日の施政方針演説において、領土・領海・領空問題を「今、そこにある危機」などと挑発的に述べた上で、米軍再編問題が目的であったはずの沖縄訪問に関して「最前線で任務に当たっている、海上保安庁や警察、自衛隊の諸君を激励する機会を得ました」などと語っている。安倍にとって沖縄は、対中国の「最前線」という位置付けなのだ。沖縄人民が希求する基地撤去に真っ向から敵対し、戦争国家化―沖縄の出撃拠点化を安倍は構想しているのだ。
 安倍政権は原発再稼動に突き進む政権である。安倍は施政方針演説において、福島の原発被害を語りながら、具体的原発政策では、その事実とは切り離して「経済成長」政策の項において「原発事故の反省に立ち……新たな安全文化を創り上げます」「安全が確認された原発は再稼動します」と宣言している。本当に「反省」するならば再稼動などありえない。「安全」とは原発のない社会のことだ。とにかく再稼動だと主張しているにすぎない。
 第二に、安倍自身が極右思想に基づく「歴史観」をもって、侵略戦争を賛美し正当化してきた人物だということだ。安倍は日本軍性奴隷制度の歴史的事実を認めようとはしない。侵略した国家としての真摯な反省などない。靖国参拝を強行し、教科書を右翼的に改編し、教育を反動的に再編しようとしている。安倍は、内閣に日本会議議連、靖国議連、神道議連など自民党内右派議員を数多く配した。
 中国敵視・共和国敵視の民族排外主義煽動をもって、反動政策を進めようとしている。石原慎太郎など極右勢力が挑発的に引き起こした「尖閣国有化」―釣魚諸島をめぐる領土・領海の略奪、朝鮮民主主義人民共和国敵視の民族排外主義をさらに煽り立てて、戦争即発状況をわざわざ作り出している。
 参院選までは極端な政策を抑えているとはいえ、自らの極右思想と右派議員どもが政権の思想的基盤を形成しているということをはっきりと見ておかなくてはならない。
 第三に、「アベノミクス」なる経済政策が経済危機のさらなる深化をもたらすということである。
 大胆な金融緩和、機動的な財政出動、経済成長戦略の「三本の矢」などと銘打った景気浮揚策ばかりを喧伝している。そして、安倍は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の参加表明も決定した。
 金融緩和と円安誘導、国債増発による公共投資。これは、ブルジョアジーと富裕層を徹底的に優遇する経済政策である。衆院選で安倍自民党が掲げた「2%インフレ・ターゲット」によって、金融緩和期待、円安期待で、円安は急激に進んだ。円安で輸出産業の利益が回復できるとばかりに株高になっている。日銀総裁には、安倍政権に唯々諾々と従う黒田をすえた。
 しかし、金融緩和で景気が回復するのか。投資の根拠なく金融緩和しても、投機資金を増やすだけである。投機の拡大は、実体経済の拡大には直結はしない。
 「機動的な財政政策」をとれる財政状況なのか。安倍は施政方針演説において、「経済成長」の項では「財政政策」を論じながら、財政赤字には全く触れない。「暮らし」の項の社会保障制度の論議において初めて財政赤字問題を論じているのだ。ゼネコンなど独占資本のためには徹底した財政投入を行い、人民の暮らしに直結する社会保障制度は「財政健全化」のために制限すると言っているのだ。
 そもそもインフレになれば好景気になるという論議自体が根本的に倒錯している。好景気の時期にはインフレは進むだろうが、それは結果である。インフレだけを「実現」しようとすれば、スタグフレーション(不況下のインフレ)に陥る危険すらある。そんなことになれば、労働者人民はさらなる貧困―生活破壊に落としこめられてしまうだろう。
 第四に、安倍政権は、労働者階級はもとより、農民、自営業者、小ブルジョアなど諸階級・層を切り捨てていく政策を平然ととっていくということだ。それは生活保護基準の引き下げにはっきりと表れている。財政再建問題は、労働者人民に負わすことを公言している。安倍は「自助・自立が第一」であって、社会保障費用は徹底的に削減することしか考えていない。
 「景気回復」も経済指標の数字だけで確認して、消費税率引き上げに突き進むつもりだ。
 安倍は、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加を決定する方針だ。日本の例外を認めさせるどころか、米帝―オバマに自動車関税を主張される始末ではないか。TPPなど、米州全体で力を減退させた米帝がアジア諸国に経済覇権を広げるものでしかない。日本の農業から健康保険まで、米帝多国籍資本の餌食にされるだけである。
 まさに、日帝―独占資本の利害に立って、労働者・農民をはじめとする諸階級・層を切り捨て、敵対してくる。だが、ここにこそ、安倍右翼反動政権の根本的な脆弱性がある。社会総体を包摂する余裕はないのだ。やがて、労働者人民総体の憤怒が安倍政権に向かうことになるだろう。

 ▼1章―3節
 新たな階級情勢をどう捉えるのか


 二〇一〇年末チュニジアに始まった独裁政権打倒闘争は、エジプト、イエメン、リビア、シリアなど北アフリカ・中東諸国総体に一挙に拡大した。
 〇八年恐慌以降、帝国主義は国家財政を投入して、危機に瀕した金融資本や基軸産業の巨大独占資本を救済してきた。その一方で、労働者人民は極端な貧困と格差の下に置かれてきた。この事態に対する憤怒が、全世界で占拠闘争となって発現した。
 反独裁闘争、反貧困の占拠闘争、全世界で巻き起こる実力闘争が、3・11以降の日本において、反原発闘争、反基地闘争での実力決起として受け継がれてきた。経済矛盾、戦乱、独裁に対する全世界の人民の決起は、3・11福島原発事故以降の日本人民の決起を促した。日本の労働者人民も街頭行動の中に飛び込んでいった。
 反原発闘争は二〇一一年、二〇一二年、全人民政治闘争として大きく発展した。福島原発事故―放射能汚染の拡大の中で、日本人総体が、生命と健康被害の問題を真剣に考え、国家の原子力政策が自らの生き死にと直結しているのだということを感じ取った。北アフリカ・中東の独裁政権打倒闘争、アメリカ、ヨーロッパでの反資本主義運動―占拠闘争が国境を越えて拡大する情勢の中で、日本では今まで街頭政治行動をとることのなかった人々をも含んで多くの人々が、原子力政策に対する自分の意志を、街頭行動をもって示し出した。首相官邸前で、各電力会社前で、経済産業省前での行動に立ち上がった。反原発集会に、十万人、十七万人という巨万人民が結集した。
 反基地闘争は、沖縄人民にとっては、まさにそういう生命に直結した全人民的課題である。だから十万人を超える「県民大会」の実現となり、沖縄総体の意志を東京の政府に突きつけるという行動が生まれてくるのだ。
 安倍政権の反動性、脆弱性、労働者・人民の敵である本性を徹底的に暴露することだ。反原発闘争以降の全人民の流動化をさらに政治的な内容をもった闘いへと高めるべく、ともに闘っていこう。右翼反動政権を打倒する全人民闘争の展望を、政治闘争の全人民的発展の中から掴み取っていこうではないか。


 
●2章 2012年闘争方針

 ▼2章―1節 戦争・排外主義と対決する政治闘争

 ◆2章―1節―1項 安倍右翼反動政権打倒

 
 二〇一三年、まず第一の任務は、安倍右翼反動政権に対する総反撃に立ち上がることである。安倍政権の戦争国家化、新自由主義、排外主義煽動と総対決していくことである。
 安倍政権は、日米軍事同盟強化―辺野古新基地建設、原発再稼動を強行しようとしており、一方では、金融緩和、財政出動、経済成長戦略を「三本の矢」などとしてブルジョアジーと富裕層の利害に見合った経済政策に舵を切っている。労働者人民、なにより福島をはじめ震災被害を被った人々の要求に真っ向から対立し、踏みにじっていく政権である。
 生活保護削減に明らかなように労働者人民には極限的な生活破壊を強制し、財政出動はゼネコンなど日帝独占資本を潤すものでしかない。賃下げ、非正規雇用の拡大、失業の増大はさらに進むだろう。より激しい格差社会を結果するだけである。
 排外主義煽動を打ち破り、労働者階級人民の利害に立って、安倍右翼反動政権と対決していく闘争をあらゆる場から構築していくことである。安倍右翼反動政権を打倒する闘争は、反政府闘争が全人民政治闘争として大きく高揚する状況においてこそ実現できる。反原発闘争、あるいは反基地闘争をそういう政治的展望をもって進めていくことが大きく問われている。
 この政治情勢の行方を見極めつつ、われわれは、反帝国際主義の潮流としてのアジア共同行動日本連の大衆運動を全面的に支持し、その運動の強化拡大を全力で支援していく。また、反戦闘争実、反戦実として実践してきた党派共闘を堅持して、反帝政治闘争を闘いぬいていく。
 その上で、日本の革命運動、左翼運動の新たな前進を切り拓くために、党派共闘、統一戦線の形成を目指していく。日帝―安倍政権との総対決に向かうこの時代であればこそ、日本革命運動そのものの再編が重要な課題であることを、共産同として確認している。

 ◆2章―1節―2項 反戦反基地闘争(沖縄、岩国)

 安倍は日米首脳会談を自画自賛し、「緊密な日米関係は完全に復活した」などと語った。
 安倍政権の戦争国家化攻撃の根幹には日米安保―日米軍事同盟の深化がある。「領土・領海・領空」をめぐる危機を煽りたてながら、沖縄を「最前線」として強化しようとしている。戦争の危機に直面しているから、オスプレイ配備を強行し、辺野古新基地建設を強行しようというのだ。沖縄人民総体の軍事基地撤去の要求を、戦争の「危機」を煽り立てることで鎮圧しようというのだ。
 反基地闘争こそ、日米軍事同盟の根幹を突き崩す闘いであることを改めて強く確認しよう。
 「県民大会」―総理直訴行動にはっきりと示された沖縄人民の総意を踏みにじって、野田政権・安倍政権はオスプレイ普天間配備、飛行訓練を強行している。安倍政権は辺野古新基地建設強行のために埋め立て申請をなそうとしている。激化する沖縄差別軍事支配に対して立ち上がった沖縄人民の闘いは全く正当である。沖縄―「本土」を貫いて、オスプレイ飛行訓練阻止、オスプレイ配備撤回を闘い、日米帝国主義の新基地建設攻撃を粉砕する。この闘いこそが、沖縄解放闘争の実践なのである。
 「本土」における反基地闘争のさらなる前進が問われている。岩国、神奈川をはじめ、オスプレイ飛行訓練が強行されようとしている全国あらゆる地域において、反基地闘争を日米軍事同盟の実体との対決として闘い抜いていくことである。

 ◆2章―1節―3項 反原発闘争

 安倍政権の原発再稼動の攻撃に対して、反原発闘争を全人民闘争として、さらに大きく切り拓いていくことが問われている。
 第一に、3・11福島第一原発事故の最大の被害者である福島の人々が問うている避難、賠償の実現であり、政府と東京電力に責任をとらせていくことである。3・11事故は、福島の人々に被曝を強制し、その生活を破壊した。子どもたちを避難させ、その補償を実現させなければならない。東電、保安院、安全委員会を起訴させ、処罰させなければ、福島第一原発事故という事件の責任は明確にならない。
 第二に、反帝闘争、反資本主義闘争として反原発闘争を闘いぬくことである。日帝の核武装の一環としての原子力政策、そして、電力独占資本、電機産業資本、ゼネコンなど日帝の独占資本の利潤追求から組み立てられた原子力政策である。巨大なエネルギーを独占し、放射性廃棄物の危険をひた隠して進められてきた原子力政策である。原発政策こそ、労働者人民の生命・生活を破壊する日帝の攻撃である。
 日帝は国内の原発再稼動と同時に、原発輸出を経済成長戦略の一つに位置づけて推進しようとしている。帝国主義の侵略反革命の一環として原発輸出問題はあるのだ。
 反原発闘争は、原発再稼動を公然と進める安倍政権打倒の闘いである。
 第三に、被爆者解放闘争の質をもって、反核―反原発闘争を推進することである。
 3・11福島原発事故は続いている。土壌、水、空気の中に放射性物質が拡散し、「除染作業」とは名ばかりで、放射性物質を取り除くことはできない。「除染」しても、その放射性物質を保管する方法もない。汚染水は増え続け、放射能拡散は続いている。何よりも、事故を収束させ、燃料棒とすべての放射性物質を取り除いて、福島第一原発を廃炉にすることの道筋が確定してはいないのだ。新たな被曝が続くような状況で、原発再稼動、原発建設を進めるというのは、常軌を逸した政策である。
 被爆者、被爆二世がその解放闘争の地平から、今、原発による被曝者が何を要求し、何を闘いとっていくのかを捉えていくことである。なによりも、これ以上の被曝を最小限に抑えこむことである。東電にその責任は遂行させなければならない。被爆者手帳の交付や医療支援など被爆者・被爆二世がかち取ってきた権利を国家に対して要求しかち取っていくことである。そして、被曝者差別を許さない社会的運動をしっかりと創り出していくことである。それは、福島の人々と結びついた運動の中からしか成しえないことである。
 さらに重要なことは、原発事故の収束、廃炉という課題は、被曝労働抜きになし得ないという厳しい現実と向き合う問題である。被曝労働者の労働者としての権利が完全に認められる体制に転換させなければならない。被曝者、被曝労働者が主体である反原発闘争をこそ構築しなければならない。
 第四に、全人民的な実力闘争として反原発闘争を進めていくことである。
 反原発闘争は全人民政治闘争として大きく発展してきた。首相官邸前で、各電力会社前で、経済産業省前での行動、そして巨万人民結集の反原発集会が実現されてきた。この大衆運動の大きな成長の中で、大飯原発再稼動阻止の占拠―封鎖行動が闘い抜かれた。全国から結集した人々の実力行動だった。大飯での実力行動が軸心となって、首相官邸前をはじめ全国の反原発大衆行動が大きく闘い抜かれた。
 全人民闘争としての反原発闘争は、大衆運動の実力攻防への発展と、また、この実力攻防を積極的に位置づけて運動を拡大していく、という日本における階級闘争の新たな展望を拓いてきている。この大衆運動の積極的な内実をこそ位置付け、反原発闘争のさらなる発展を全国で切り拓いていこう。

 ◆2章―1節―4項 激化する排外主義と対決せよ

 安倍政権は、その戦争―改憲攻撃と一体に排外主義を急激に強めている。「領土・領海・領空」問題を煽り立てて中国、韓国に対する「領土と主権を守れ」なる主張を強め、とくに釣魚諸島での軍事的緊張を高めてきた。政権発足直後に、朝鮮学校の「高校無償化」排除を決定した。安倍は、日本軍「慰安婦」制度を一貫して否定し、戦争責任―戦後責任を反故にしようとしている。改悪教育基本法をもってさらなる反動的教育再編を進めようとしている。この安倍の言動と呼応するように、極右新党―日本維新の会が政治的に伸張し、在特会や「がんばれ日本! 全国行動委員会」(田母神グループ)などのファシスト集団も跋扈している。
 安倍は、四月二十八日を「主権回復の日」などと位置付け、天皇・皇后列席の下に政府式典を開催することを決定した。4・28は、天皇制を含めた日本帝国主義が延命するために沖縄・奄美を切り捨て、安保条約を発効させた「屈辱の日」である。沖縄差別軍事支配を一層強める安倍政権のこの攻撃に対して、断固実力阻止闘争に立ち上がろう。
 安倍政権は天皇制・天皇制イデオロギーの強化を柱としつつ、民族排外主義を急激に激化させながら、国民統合を図ろうとしている。労働者人民に対する統制と排外主義的動員を絶対に打ち破っていくことである。在日朝鮮人民をはじめとする在日・滞日外国人との共同行動を強化し、激化する排外主義煽動と対決していこう。安倍政権の下で勢いづくファシスト襲撃集団を街頭で撃破し、一掃していかなくてはならない。

 ◆2章―1節―5項 三里塚闘争(市東さんの農地をめぐる決戦)

 四十七年にわたって成田空港の完成を阻止し続けてきた三里塚闘争は、市東孝雄さんの農地をめぐる決戦に突入している。
 成田空港会社は、市東さんの耕作地に対して、農地法の手続きを悪用して農地から空港用地への転用をはかり、農地を強奪しようとしている。「農地は私たちの命だ」と市東さんははっきりと主張している。耕作地を奪うことは、農民としての市東さんの生活の根拠を奪い、生きる権利を奪うことだ。
 最終段階にある行政訴訟・農地法裁判を千葉地裁に対する闘争として位置づけた反対同盟は二月十八日、トラクター・デモ、千葉地裁包囲行動をはじめとして、終日の行動として裁判闘争を闘った。法廷での市東さんの本人尋問と呼応した街頭行動が大胆に展開された。
 千葉地裁は二月二十日、市東さんの畑、建物(作業場、離れ、鶏小屋、育苗ハウス、野菜貯蔵コンテナ、トイレなど)に対して、「公示書」を掲示した。「占有移転を禁止」する仮処分であり、空港会社が農地法裁判での「勝訴」を予定して申請したものだ。
 この農地法裁判こそ、「裁判」の形式をとった農地強奪攻撃、土地収用法なき強制収用攻撃だ。空港会社と成田市農業委員会、千葉県農業会議、堂本千葉県知事(当時)、千葉県警、そして、千葉地裁までが結託して、「農地法」による農地強奪などという権力犯罪をなそうというのだ。不法不当な攻撃である。この攻撃との総対決こそ、今春夏期の三里塚闘争の最大の課題である。
 まずもって3・24三里塚全国総決起集会に総決起し、反対同盟とともに市東さんの農地を守りぬく決戦を闘い抜こう。
 われわれは昨年、老朽化した赤池物流配送センターの建て直し工事に着手し、全党の力を結集してその建設を進めてきた。建設工事は千葉県警の妨害によって中断されたが、この弾圧を打ち破り、完成に近づいている。われわれは、三里塚現闘、行動隊を先頭に、今後も反対同盟とともに三里塚闘争を闘い抜いていく決意である。

 ▼2章―2節 労働者階級・人民の反撃と拠点建設

 ◆2章―2節―1項 階級的労働運動

 
世界恐慌の深化の中で、その矛盾を労働者人民に徹底的に押し付け、一方では、金融緩和や赤字国債を積み重ねての財政出動が資本家と富裕層のために大盤振る舞いされている。搾取と収奪を激化させ、貧困と格差をさらに拡大する攻撃の中で、労働者人民の怒りが渦巻いている。この憤怒を排外主義に絡めとられてはならない。今こそ、階級的団結を強めて反撃し、その階級的根拠をうち固めていくことが問われている。労働者階級が自らの利害に立って闘うことが重要である。
 第一に、労働組合をあらゆるところに作り上げ、その運動を前進させることである。安倍政権、日本経団連の反動攻勢と対決する左派労働組合を建設していくことである。非正規雇用労働者、未組織労働者、若者の中に分け入り、労働者階級として団結し、労働組合を無数に作り出していくことである。
 第二に、安倍右翼反動政権との対決を鮮明にし、労働者階級の反戦闘争を創り出していくことである。侵略戦争に総動員されて他民族を殺しつくし奪いつくすのか、それとも、国境を越えた労働者の連帯共闘を実現するのか。まさに、そういうことが問われる時代に突入しているのだ。沖縄反基地闘争への労働組合としての取り組み、また、岩国労働者反戦闘争など、労働運動こそが反戦―反基地闘争に立ち上がっていく運動構造を積極的に創出していこう。
 第三に、プロレタリア国際主義に貫かれた労働運動を構築していくことである。民族排外主義と対決し、闘うアジア諸国・地域の労働者階級・人民と連帯する運動を職場から創り出していくことである。安倍政権の中国敵視、共和国敵視の外交政策・軍事政策と民族排外主義煽動の激化と真に対決するには、労働者こそが国境を越えた連帯を実現することが必要である。労働者―労働組合が国際共同行動を直接担うことである。労働運動において、アジア共同行動への参加を進めていこう。
 第四に、全人民闘争として発展する日本の反原発闘争において、労働者階級の利害を貫いて闘うことである。原発事故の暴走を抑え込み、廃炉に向けた作業は、現実には被曝労働によって担われている。しかも、それは下請けの労働者が担わされ、最低限の安全基準すら守られず、賃金のピンはね、危険手当の不払いが横行する労働が強制されているのである。原発労働、除染労働を担う労働者の生命と健康を守り、再稼動阻止―原発廃炉の実現に向けて闘い抜くことが問われている。

 ◆2章―2節―2項 青年運動

 今日、青年労働者は、新自由主義がもたらす犠牲を最も集中されている。小泉政権以来の新自由主義路線の全面化によって、非正規雇用が増大し格差は拡大してきた。ワーキングプアを大量に生み出してきた。そして、その矛盾は青年たちを直撃してきた。若年労働者の二人に一人は非正規労働者という状況になっている。また、正規労働者であっても、低賃金、長時間労働、無権利状態の中におかれている。こういう現実の中で、新自由主義と対決する階級的労働運動は、まさにこの青年の運動、青年労働者の運動として創出していかなければ、階級支配を根底から覆していくことはできない。
 第一に、青年労働者の組織化をはっきりと位置づけて、階級的労働運動を進めることである。そういう内容と方策をもって労働組合運動を進めるということであり、また、青年自身が労働組合作りを進めていく闘いを擁護し支援し拡大していくことでもある。青年労働者が自ら抱える課題、要求を実現し、自らの組織として労働組合を作り出していく、青年自身の運動が重要なのである。こういう実践の中で、労働組合の現代的意義も認識され、労働運動そのものが発展していく根拠にもなるのである。
 第二に、反資本主義運動として青年運動を進めることである。貧困、生活苦、社会的な分断と孤立、現代の若者が抱えるさまざまな問題と向き合う運動体が強く求められているだろう。しかし、それは、具体的な個々の労働争議の課題であると同時に、現代社会そのものの矛盾に対する強い変革の要求をもっていればこそである。新自由主義、現代帝国主義、資本主義に対する批判をもった青年運動を創出することが大きく問われている。そして、それは必然的に共産主義運動への展望をつかみ取っていくものでなければならない。
 第三に、青年が全人民政治闘争に決起し、牽引して闘うことである。3・11以降の日本社会の中で、青年は自らの生活の困難と同時に、震災と原発事故という事態の中で、さまざまな選択を迫られてきた。ボランティア、反原発運動など社会的な活動の中に、多くの若者が飛び込んでいった。運動の中で必然的に突き当たる日本帝国主義の階級支配構造の大きな壁、それは、反原発運動だけでなく、反基地運動においても、大衆運動総体において厳然と存在している。青年が、この現代帝国主義の巨大な矛盾を突き崩す先頭に立つこと、それは、自らに押し付けられた矛盾を突き崩すことでもあり、同時に現代社会総体を変革していく闘いへと連なっている。
 第四に、プロレタリア国際主義に貫かれた青年運動を発展させることである。日帝―支配階級が新自由主義路線を全面化する中で、貧困と格差の矛盾を強いられ、現実には極端な分断・孤立化を強いられてきた現代の青年に対して、一方では、極右排外主義集団が民族排外主義の煽動と組織化をかけてきていることも現実である。在特会をはじめとする排外主義襲撃集団が青年層の一部を組織していることは事実である。それは、ヨーロッパで、階級的労働運動の前進の一方で、ネオ・ナチなど民族排外主義集団が台頭している事態とも通ずることである。安倍政権が戦争と排外主義を激化させているこの時代にあってこそ、プロレタリア国際主義に貫かれた青年運動を推進していくことが重要である。

 ◆2章―2節―3項 学生運動

 新自由主義に基づく教育再編の中で、大学の民営化が推し進められてきた。大学は、日帝資本の利害に見合った人材育成の場として改編されてきた。大学生自身は一年次から「就職活動」に駆り立てられ、資本主義―帝国主義の利害に立って思考することを強いられている。一方で、学費は年間百十七万円という高額になっており、現代の学生はアルバイトと奨学金で学費・生活費を維持して生活せざるをえなくなっている。学生の貧困化、そして、「就活」に失敗すれば、奨学金返済ゆえのさらなる貧困化が襲いかかるという状況の中に置かれている。
 新自由主義化した大学経営は、資本の要求に見合った「人材育成」を進め、学生の自由な政治活動を禁圧し、学内管理規制を徹底して管理してきている。二〇〇〇年代以降、自治会など学生自治機関の非公認化が強行され、学生会館や自治寮などの解体が相次いできた。ビラまき、ビラ貼りの規制、立て看禁止、拡声器での宣伝活動禁止など、学生の自主的な政治活動を徹底的に弾圧してきている。
 これは、日本社会総体における格差と貧困化、政治の保守化・反動化の、大学教育への反映である。
 しかし、当然にも、すべての学生が従順にこの攻撃に従い続けている訳ではない。3・11以降の被災地支援運動や反原発闘争の全人民決起の中で、学生・青年の意識も大きく変わってきた。このような学外の人民運動の大きなうねりの中に飛び込み始めた学生たちは、日帝資本の言いなりの「就活」だけが人生の選択ではないことに気づき覚醒している。社会全体の大きな変動の中にこそ、新たな学生運動の展望がある。
 わが共青同(学班協)は二〇一三年の反帝学生運動の任務として、具体的に次の五点を掲げている。
 第一は、反原発闘争の継続的高揚と全人民的政治闘争としての発展をつくり出していくことである。
 第二は、反戦、反基地、反安保闘争に断固決起していくことだ。
 第三は、韓国、フィリピンをはじめとするアジア各国・地域の反帝学生組織との共同闘争を推進していくことだ。
 第四は、大学再編、学内管理規制強化に抗して断固闘い、学生の団結を促進していくことだ。
 第五は、市東孝雄さんの農地をめぐる決戦状況の中で、三里塚現地攻防を積極的に担い、三里塚闘争の勝利を切り拓いていくことだ。
 共青同(学班協)のこの方針貫徹の闘いを、共産同(統一委)の全系列は支援していく。学生・青年が最先頭にたって果敢に反帝闘争を闘いぬいていくことこそが、プロレタリア革命運動の新たな時代を切り拓く大きな力となるだろう。

 ▼2章―3節 プロレタリア国際主義貫く大衆運動の構築

 ◆2章―3節―1項 国際連帯運動


 帝国主義足下の労働者階級人民が戦争、改憲、排外主義の激化と闘っていく大きな礎となるのは、被抑圧国・地域の労働者階級人民との国際連帯である。安倍政権が侵略反革命戦争の衝動を強め、民族排外主義煽動を激化させる只中にあって、国境を越えた労働者階級人民の交流と連帯を常に実現し、ブルジョア国家的利害や民族主義的利害を大きく超えた階級的利害で一致していくことの意義は決定的になっている。プロレタリア国際主義に貫かれた闘い、運動体が今こそ求められている。マルクス、エンゲルス、レーニンの言葉で意思一致し、共同文書を作成し、国際共同行動に立ち上がる人々こそが、アジア諸国・地域の新しい歴史を築くのである。
 アジア共同行動は、労働運動や市民運動などアジア各国・地域の労働者人民が大衆的に参加する運動体であるが、そこには、反帝国主義、プロレタリア国際主義がはっきりと貫かれている。帝国主義の侵略反革命と対決し、民族排外主義と対決して労働者人民が直接結合していく根拠を創り出してきている。階級闘争を、反帝闘争を闘う人々の国際的な結合を不断に強化していくことこそが、日帝―安倍政権の民族排外主義の激化―民族分断を、根底から突き崩すのである。
 本年三月、アジア共同行動は台湾でのCCB会議を開催し、討議の上でAWC共同闘争決議を採択した。日・米帝国主義と対決し、反戦闘争・反基地闘争を軸とする反帝闘争を共同で闘っていくことを一致している。アジア太平洋地域から米軍基地を一掃し、新自由主義グローバリゼーションに反対して、労働者階級人民の利害を押し貫いていく国際共同行動はさらに強化されていくだろう。
 アジア共同行動日本連は第十八回総会を開催して、反基地闘争、反原発闘争、排外主義との対決、階級的労働運動の推進など二〇一三年方針を決定しようとしている。沖縄、岩国、神奈川の反基地闘争を結合を強める運動において、アジア共同行動日本連はさらに大きな役割を担っていくだろう。
 われわれは、この反帝国際主義の大衆運動体―アジア共同行動を全力で支持し支援していく。

 ◆2章―3節―2項 被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争

 被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争を前進させることは、安倍右翼反動政権との対決において重要な意義を有している。
 われわれは、女性解放闘争を断固闘い抜いていく。日本軍性奴隷制度問題、米軍兵士の性暴力事件に端的なように、基地・軍隊・戦争は女性差別を極限的に激化させる。基地・軍隊・戦争に対する女性の尊厳をかけた闘いは、反戦闘争の重要な領域である。また、この闘いを通して、現代社会における女性差別との闘いを前進させていかなくてはならない。格差と貧困が強まる中にあって、女性労働者に対する差別と具体的に闘っていくことが問われている。均等待遇運動を推し進めよう。
 障害者総合福祉法、医療観察法の撤廃を闘い、障害者解放運動を推進しよう。障害者・精神障害者の自立解放をかちとるべく、障害者・精神障害者・健全者の三者共闘を強化しよう。
 被爆者・被爆二世の闘いは、原爆投下へと至った帝国主義戦争を根底から批判し、その国家責任を追及し、国家補償を要求する闘いである。反帝闘争として闘いぬかれてきた被爆者、被爆二世の解放闘争の地平を、反原発闘争の中に引き継ぎ、被曝を許さない闘いとして発展させていかなくてはならない。
 狭山差別裁判糾弾の闘いを軸として部落解放闘争を闘い抜いていこう。石川無実の証拠開示を行わせ、今年こそ再審をかちとろう。安倍政権の排外主義煽動の下で、部落差別の激化を絶対に許してはならない。差別糾弾闘争を環とした反差別共同闘争を推進しよう。
 昨年七月、改悪入管法が施行された。外国人に対して法務省―入管局による一元的な管理が開始された。「在留カード」による管理が強制される。在日韓国人・朝鮮人をはじめとするすべての外国人とともに、入管法―入管体制と対決する闘いを推し進めていこう。民族排外主義の激化を粉砕しよう。


 
●3章 革命的労働者党建設の飛躍的前進を

 安倍右翼反動政権が強権的に戦争、改憲への攻撃を強め、天皇制・天皇制イデオロギーをその支柱とし、民族排外主義を激化させてくる中にあって、われわれは、これと断固対決して闘う。日本におけるプロレタリア革命を推し進める根拠として革命的労働者党建設をたゆむことなく推し進めていく。
 われわれは、労働者階級の団結と解放を実現する革命的労働者党として共産主義者同盟(統一委員会)を結成し、建設してきた。
 共産同(統一委)は、@共産同の歴史を引き継ぎ、労働者階級人民の最先頭に立って大衆的実力闘争を切り拓いていく。A労働者階級の解放を実現する党として、階級的労働運動を全力で推進する。B共産主義者の党として共産主義運動を推進する。資本主義―現代帝国主義を根底から批判し、労働者階級人民の解放のために理論活動を進める。C被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争を日本革命の重要な領域としてしっかり位置付けて闘う。Dプロレタリア国際主義を実践する党として闘いぬく。
 われわれは、これを理念としてのみ掲げているのではない。現実の組織活動を通して、革命的労働者党建設を推し進めてきた。〇四年統合大会以降、三つの地方委員会と書記局を軸にして、全国党としての体系を建設し、大会―中央委員会―政治局の下に党活動を進めてきた。政治運動指導委員会、中央労働運動指導委員会、中央学生組織委員会、国際部が具体的組織活動方針を決定し、全国政治新聞『戦旗』を軸に組織活動を実践してきた。沖縄、三里塚など反帝闘争拠点での活動を堅持してきた。さらに、女性解放委員会をはじめとして各解放委員会建設を推し進めてきている。綱領委員会、編集局を軸にした理論活動の深化にも着手してきている。
 われわれは、この活動をあくまでも日本におけるプロレタリア革命を推進する革命党建設として闘っているのである。日帝国家権力は、われわれ共産主義者を常に反革命弾圧の対象として捉え、監視し、制動し、妨害し、直接の弾圧に及んでくる。階級闘争の国際的な結合を分断し、逮捕―投獄、起訴といった国家暴力の発動は常に闘う者に向けられている。
 われわれは、非合法非公然の党活動に習熟し、日帝国家権力のあらゆる弾圧を粉砕して、労働者階級人民の解放の闘いを推し進めていく。弾圧を打ち破る根幹は、完黙―非転向である。敵―国家権力にはあらゆる情報を渡さないことである。いかなる弾圧をうけても、これを跳ね返し、革命運動と革命党を防衛しぬいていく。プロレタリア革命を勝利に導く革命的労働者党建設の責務を果たしぬいていく。
 ともに、共産主義運動を進めていこう。



 

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