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   ■反原発闘争の更なる前進かちとれ
    再稼動阻止の全国闘争に決起を

                                                                     
  

 ●一 はじめに

 東日本大震災、福島第一原発事故から三年がたとうとしている。原発事故は、原発を全廃し再生可能エネルギーへの根本的転換を求める全人民的な世論を呼び起こした。全人民的な世論を前に、民主党政権は「二〇三〇年代には脱原発」などと詭弁を弄した。一方で、大飯原発の再稼動を認め、反原発闘争を解体させるために野田政権は「収束宣言」を出した。しかし、いったん燃え上がった反原発闘争の全人民的広がりは止むことがなかった。あらゆる階級階層のなかに、また、あらゆる市町村に反原発の声は拡大し続けた。そして、安倍政権は、こうした人民の声とたたかいに対する右からの反動的巻き返しという使命をもって登場した。
 それは、基地問題においても同様であった。普天間基地の撤去を求める沖縄をはじめとしたたたかいを前に、民主党鳩山政権は、当初、基地の「県外国外移転」を公言した。だが、結果は、日米両政府が進めてきた普天間基地返還=辺野古新基地建設策動へと揺り戻った。にもかかわらず、沖縄の声は止むことがなかった。この面でも、安倍政権は、辺野古新基地建設、岩国基地大強化などを柱とする米軍再編を強行することを使命として登場した政権である。
 こうして、原発問題も基地問題も、安倍政権のもとできわめて重要な局面を迎えるに至った。福島原発事故から三年を迎えた今日、反原発闘争の前進のために何が求められているだろうか。

 ●二 原発輸出と再稼動をすすめる安倍政権

 安倍政権は、反原発闘争を解体し、原発推進政策を全面的に再開することを目的に登場した。安倍政権がまず開始したのは、原発輸出政策の全面的な推進であった。安倍自身が、原発輸出のセールスマンよろしく各国を歴訪し続けている。安倍は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコ、インドなどへ、原発輸出を目的に二国間の原子力協定を締結するために訪問してきた。また、ベトナムなど、東南アジア諸国へも原発輸出を目的とした外交を繰り広げてきた。岸田外相も、ハンガリーなど東欧諸国に原発を売り込むために、茂木経産相もブラジルなどへ売り込みのために訪問した。まさに、安倍首相と閣僚は、世界中に原発を輸出するために飛び回っているのである。しかも、日立製作所、東芝、三菱重工業などの原発企業の幹部たちをぞろぞろ従えてである。ブラジルの現地新聞が「原発サラリーマンがやってきた」と皮肉るほどなのである。
 こうした原発輸出政策を、安倍政権は、自らの「成長戦略」の柱の一つとしてより露骨に推進しだしたのである。安倍は、福島第一原発事故の教訓をもって世界一安全な原発を輸出できるなどと言い出した。いまだ、原発事故の原因さえ解明できず、大量の放射能汚染水を垂れ流し続けているにも関わらずである。
 同時に、安倍政権は、国内の原発についても、原子力規制委員会の新規制基準をクリアーすれば順次、再稼動させることを明言してきた。こうしたなかで、各電力会社はこぞって再稼動申請を開始してきた。すでに、九原発の再稼動申請が行われた。九原発とは、泊(北海道電力)、川内、玄海(九州電力)、伊方(四国電力)、高浜、大飯(関西電力)、島根(中国電力)、柏崎刈羽(東京電力)、女川(東北電力)である。さらに、浜岡(中部電力)なども本年度中に再稼動申請を予定している。このなかで、泊、川内、伊方、高浜、大飯、柏崎刈羽の各原発については、各電力会社は本年中の再稼動を狙っている。
 福島第一原発事故のあと、政府や電力会社が、まず、声高に叫んだのは「原発が稼働しなければ電力が足りなくなる」「人々の日常生活上も産業上も大変なことになる」ということだった。「電力不足」の大キャンペーンを繰り広げ、大飯原発の稼働を正当化した。しかし、実際は、すべての原発が停まっていても電力は足りていた。電力は足りているということが、事実をもって証明されたいま、政府や電力会社による「電力不足」のキャンペーンは完全に説得力を失った。そうすると、今度は、安倍や電力会社は、円安による化石燃料の高騰による大幅な経済負担を強調して叫びだした。だが、政府が強行しようとする復興法人税の前倒し廃止、法人税減税などによる額と比べれば、こうした理由づけに何の説得力もない。まさに、原発を稼働させるための屁理屈でしかないのである。しかも、電力料金は値上げし、東電に至っては、被害者への賠償より利益優先という態度で開き直っているのである。
 いずれにしても、原子力規制委員会が策定した新規制基準なるものも、新たな「安全神話」をふりまくものでしかない。津波のみならず、そもそも地震によって配管などが破損した可能性など、福島原発事故の原因さえいまだ不明なのである。溶け落ちた核燃料がどうなっているのか、原子炉中心部がどうなっているのか、高い放射線量故に近づくことさえできず、こうした問題の解明には長い年月が必要とならざるをえない。事故の教訓故に最も安全な原発を輸出できるなどと言う安倍がいかにでたらめであるか。あるいは、事故の原因さえいまだ解明できていないなかで、原子力規制委員会の新規制基準なるものがいかにでたらめであるか。原子力規制委員会が策定した新規制基準の本質は、実は、再稼動のための儀式にしかすぎないのである。
 一方、福島第一原発は、「事故収束」どころか、その放射能被害は拡大し続けている。放射能汚染水は大量に滞留している。しかも、海に垂れ流されている。放射能汚染水の量たるや、正確には誰も把握できていない。少なくとも五十万から六十万トンに達している。原子力規制庁の発表でさえ、この汚染水に含まれる放射性物質の量は、例えばストロンチウム90だけでも、すでに事故直後に大気中に放出された数百倍にも達していることが明らかとなっている。かつ、これが日々増大している。
 それだけではない。全国の原発には莫大な使用済み核燃料棒が保管されているが、それらはほぼ満杯となっている。六カ所核燃料サイクル基地(ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター、使用済み核燃料再処理工場、MOX燃料製造工場、使用済み核燃料中間貯蔵施設)にすべて押しつけ、いまや、使用済み核燃料の貯蔵プールも満杯という状態にある。高レベル放射性廃棄物については、その最終処分場も未決定のままであるが、政府は、北海道東南部、東北東部、対馬、沖縄などで最終処分地おしつけを策動している。
 原子力政策は、そもそも、核廃棄物を、何十万年も管理し続けるなどという、途方もない、非現実的な政策を不可避とするものである。それだけでもそもそも破綻している政策なのである。
 福島をはじめとした被害者への賠償もまったく不十分なままである。十六万人におよぶ人々が避難生活を強いられてきた。原発事故によって、ふるさとを根こそぎ奪われ、避難生活を余儀なくされている。残った住民は放射線被曝に日々晒され続けている。しかも、まともな補償もない。
 原発事故被害者への賠償は、「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法)に基づいて行われる。この法律の目的は、「被害者の保護」と「原子力事業の健全な発展」である。原子力事業の発展が前提なのだ。そして、この原賠法のもとに「原子力損害賠償支援機構」法が制定され支援機構が発足した。これは東電救済、東電破綻回避のためのものであり、原資を国が出し、東電が被害者への補償を行なうというかたちとなる。そして、補償の基準は、原子力損害賠償紛争審議会の指針に基づいて東電が決定する。すなわち、加害者が補償を決定するということなのであるが、東電は利益優先で、被害者に即した十分な補償などおこなうつもりもないのである。東電がやっていることは、いかに被害者への補償を切り縮めるかであり、自主避難者については補償外に追いやろうとしてきた。
 そして、政府は、避難区域の再編を行い、早期帰還を促進してきた。それは、放射線量が高いままであろうと早期に帰還させるか、帰還をあきらめるかを早期に結論づけさせていこうということなのである。なぜなら、そうすることで、わずかばかりの「手切れ金」で「補償」終了としたいからである。政府と東電がやっていることは、でたらめな除染、二十ミリシーベルト以下なら帰還させる、帰還が困難な放射線量の高い地域には早く帰還をあきらめさせ、とにかく一刻も早く補償を終了させたいということである。政府は、放射線量の基準も、空間線量を基準とせず、個人測定線量へと切り替えた。この方式では、室内にいる間は被曝が少ないという測定方法となり、放射線量が大幅に低く見積もれるからである。経産省と東電は、被害者の健康などおかまいなしに、補償打ち切りを宣言し、強引に「収束」させようとしてきたのである。
 安倍政権は、原発輸出の推進のうえに、いよいよ国内原発の再稼動を本格化させようとしている。原発立地地域で行われる三十キロ圏内での原子力防災訓練などまったくでたらめである。放射能汚染が風向きでどう広がるかは三十キロ圏内などまったく関係ない。福島事故でもそうだった。こうしたでたらめな原子力防災訓練を行いながら再稼動への地ならしをしているのである。さらに、安倍政権は、再稼動のみならず、上関原発をはじめ新規原発建設さえ進めていくことを狙っている。すでに、建設途中である大間原発などについても、安倍首相は完成させることを明言している。大間原発は、MOX燃料(プルトニウム・ウラン混合酸化物)を全炉心でフル使用する。しかも、百三十八・三万キロワットの国内最大級出力の原発として建設されようとしている。安倍政権は、反原発闘争の解体のうえに、原発推進政策をこれまでより一層全面的に展開させていこうとしているのである。

 ●三 反原発闘争の前進かちとろう、安倍政権を打倒しよう

 こうしたなかで、いま、反原発闘争に何が求められているのだろうか。
 それは、何よりもまず、反原発闘争を一層発展させていくこと、そして、全人民政治闘争で原発推進政策を突き進む安倍政権を打倒することにある。

 ▼1節 全原発を廃炉に

 まず第一に、全原発廃炉と再生可能エネルギーへの転換を実現する政治決断・政治決定を政府と国会に強制させるということについてである。
 福島原発事故以降、反原発闘争は全人民的政治闘争としての広さをもって前進してきた。あらゆる都道府県で市町村で反原発の集会、デモをはじめ、さまざまなたたかいがわき起こってきた。国会前、経産省前、各電力会社前で、街頭行動がかつてない規模でたたかわれてきた。反原発闘争は、あらゆる階級階層へと拡大し、全人民的要求となった。世論調査でも反原発が多数派となった。
 しかし、反原発が多数派となっている世論の実際の内容には、いまだ大きな幅が存在している。それは、原発の即時廃止を明確にし再生可能エネルギーへと根本的に転換するのか。それとも、原発依存を次第に減らしつつ再生可能エネルギーへと次第に移行していくのか。これらすべてが今日の「脱原発」というスローガンに内包されているのである。後者の考えは、支配階級とその政治家にも通底してしまう。野田民主党前政権などが典型であった。
 野田政権は、反原発の全人民的闘争に規定されて、三〇年代には原発依存をゼロにすると言いつつ、当面は、稼働させるという態度をとった。実質は原発推進なのである。こうした「いつの日か脱原発」論というべきものは、善意のものから悪意のものまでさまざまである。原発推進を信条にしている自民党議員は、ウランも有限であるからいつかは原発から脱することはあたりまえだなどと公言し、反原発運動を批判し平然と原発を推進しようとしてきた。
 問題は、「いつの日か脱原発」ということではなくて、国会と政府に対して、原発をすべて廃止すること、再生可能エネルギーに根本的に転換すること、国にその政治決断・政治決定を行わせることが必要なのである。それは、原子力基本法をはじめ、原発推進に関連するすべての法律を廃止し、新たに、全原発の廃炉と再生可能エネルギー政策に根本から切り替えていくための新法の制定が不可欠である。また、廃炉にともなう地域経済・雇用などを保障する立法化も不可欠である。
 原発立地地域には、電源三法などによって原発交付金をばらまき、原発を強い、原発に依存した地域経済を強制させてきた。原発なき地域経済が保障されねばならない。こうしたことを含む立法化が伴わねばならない。
 国家に、国策として進めてきた原発を決して稼動することなく即時全廃させること、エネルギー政策を根本的に転換することを政治的に決定させる、この点が最も問われ続けてきたのである。そして、これを強制できるのは、原発に反対する全人民政治闘争のみである。原発廃止を要求する全人民のたたかいのみがこれを強制できる。だから、原発推進政策と明確に決別する政治的決定を避けようとするいかなる政権であれ打倒していくたたかいが必要である。「いつの日か脱原発」論や、原発依存度を下げていくなどという詭弁でごまかすことを許してはならない。ましてや、公然たる原発推進政権である安倍政権などは、全人民の政治決起で即時・無条件に打倒されねばならない。

 ▼2節 あらゆる被曝被害を許すな

 第二に、低線量被曝についてである。
 「いつの日か脱原発」論は、放射能に対する危機意識の薄さ、原子力に対する曖昧な態度とも関係していると言える。福島原発事故直後から、当時の民主党政権は、放射線被曝を「ただちに健康には問題ない」とか、たいしたことはないと言い続けてきた。原発推進論者の山下教授などは、事故直後の福島で、「心配ない」「心配してクヨクヨするほうが健康に悪い」などと言い回った。
 放射能は生命体への敵対を属性とする。だが、「しきい値」など、ここまでは大丈夫だなどという放射線被曝への軽視が「科学的」だと思われてきた。ホルミシス論など「微量の放射能は体に良い」などという説さえまかりとおってきた。放射能をすべて否定するなら、そもそも自然界に放射能がありすべての人が被曝しているではないかとか、あるいは、医療にも使われていることを否定するのか、とか、放射線被曝に対するありとあらゆる軽視は頑強に人々を捉えてきた。
 だが、宇宙線や地球内部からの放射線も無害ではなく、自然放射線による被曝の上に、さらに人工放射線を被曝すればよりリスクが高まっていくということなのである。また、X線などの医療での使用は、それによってガンなどを発見し治療することと、X線被曝のリスクのどちらを選択するのかという問題なのであり、X線が体にいいとか無害だなどという問題では断じてないのである。放射線被曝におびえることを、気にしすぎだなどという問題にしてしまうことは、避難した人々の行為を「自己責任」に落とし込め、補償対象から除外しようとする態度とも結びついていく。
 現に被曝し続けている被害者への長期の健康調査と管理、責任をもった国家補償制度が不可欠である。放射線被曝に対する軽視は一掃されねばならない。とくに、大きな被害を被ることとなる子どもたちや妊婦に対するこうした態度は絶対に許されることではない。放射線被曝を強制されることへの批判、反原発闘争の大衆的基礎は、ここにあることを決して曖昧にしてはならない。
 それはまた、被曝にさらされながら原発労働を強いられる労働者を防衛することにも直結している。政府およびすべての原発推進派は、低線量被曝などたいしたことではないと宣伝し、被害をごまかそうとしている。放射能汚染の拡大をごまかし、隠し続けている。こうした攻撃を許さず、より全人民的なたたかいへと発展させていかなければならない。

 ▼3節 階級闘争としての反原発闘争

 第三に、反原発闘争の全人民的政治闘争としての発展とその階級性ということについてである。
 反原発闘争の全人民的発展という現状は、一方で、今日の反原発闘争の内部には、あらゆる階級の政治要求が混在していることをも示している。資本家階級のなかでも、ソフトバンクの孫社長や反原発を社の方針とした城南信用金庫などは、福島原発事故後、すぐさま公然と反原発を表明してきた。自民党や民主党内部にも反原発を表明し、政府を批判する部分が存在してきた。維新の会の橋下らも脱原発であるかのポーズをとった。その欺瞞はすぐに露呈したが。また、東京都知事選をめぐって、小泉前首相は、「原発なくても成長できるという勢力と原発なくては成長できないという勢力の戦いだ」と主張し、脱原発をかかげて立候補した細川を支援した。生活の党、結いの党、民主党もこれを支援した。
 そもそも、原発を廃止し再生可能エネルギーへと転換することは、資本主義の枠内でまったく実現可能なことである。ドイツなどは、その道を選択した。いまや、資本家階級の一部は、原発ではなく再生可能エネルギーにこそ新たな資本投下と市場を求めている。細川や小泉の態度は、原発推進政策を推し進めようとする安倍政権に対する反発を示すものであった。このように、原発問題は、資本家階級内部の政治的分裂をも引き起こし続けてきた。そして、こうした事態をその根本で規定しているのは、福島原発事故以降、全国で立ち上がってきた人民の大衆闘争の高揚であった。人民の反原発闘争の高揚こそが資本家階級内部の政治的分裂を引き起こさせてきたのである。
 こうしたなかで、問われているのは、あくまでも、今日の反原発闘争を反資本主義・反帝国主義闘争へとより前進させることである。反原発闘争を階級闘争として前進させることである。安倍政権を打倒する全人民決起を作り出すことである。現状は、反原発闘争内部における諸階級の政治要求が混在している。小泉らは、原発なくとも資本主義の新たな成長は可能だと真正面から主張している。資本主義のよりよき発展のためにこそ反原発だというのが資本家階級の一部の立場である。また、それは日本共産党の立場でもある。これに対し、反原発闘争を反資本主義闘争、反帝国主義闘争としてたたかおうとするのが労働者階級の立場である。東電をはじめ電力独占資本とその擁護者は、人々の命や健康よりも利潤追求を至上目的とする資本主義の本性をさらけ出している。今日の反原発闘争には、人々の命や健康より利潤追求を優先するこうした電力独占資本への本源的な怒りがある。放射能被曝を強制することへの怒りは、自らの生存を要求する労働者階級の反貧困闘争とも結合する。こうした今日の反原発闘争が、資本主義に対する闘争へとより前進しつづけることこそが重要なのである。
 同時に、それは反帝国主義闘争として前進していかねばならない。原発輸出は、電力独占資本をはじめとした資本家階級の利益のために、安倍政権によって全面的に推進されている。福島原発事故によって、当面は、国内原発建設の巨大な利益が見込めない可能性も見据えて安倍政権は、全世界に原発輸出を推進し、日本帝国主義の「成長戦略」の一つにしようというのである。安倍政権の原発輸出に反対し、全世界の反原発闘争に連帯したたたかいへと反原発闘争を前進させねばならない。
 安倍政権が、原発輸出と再稼動を全面的に推し進めようとしているなかで、いまほど、安倍政権を打倒する全人民政治闘争の前進が問われているときはない。反原発闘争、反基地闘争、秘密保護法反対闘争などをはじめ、安倍政権に対するあらゆる抵抗闘争の総合流を実現し、大衆闘争の力で安倍政権を打倒しなければならない。反基地闘争と反原発闘争を結合させていくことも重要である。核の軍事利用であれ「平和利用」であれ、すべての核に反対することが必要である。日米軍事同盟は米帝の核兵器体系を前提としている。日米軍事同盟とその基地に反対するたたかいと反原発闘争は固く結合されねばならない。日米安保条約のもとで、横須賀を母港としている米原子力空母ジョージ・ワシントンは、ひとたび事故を起こせば、福島第一原発一号機と二号機を合わせたレベルと同様の規模の事故を引き起こす。反原発・反戦反基地、日米安保粉砕、こうしたたたかいをやらなければならない。
 反原発の一点で共同のたたかいを推進しつつ、その内部における階級的要求の相違を曖昧にすることなく、反原発闘争を階級的に発展させることこそが問われている。安倍政権を打倒しよう。資本家階級の一部は、脱原発をかかげつつ、原発推進の安倍政権を人民の力で打倒しようとは決して訴えない。だが、問われているのは、安倍政権を打倒する全人民的決起であり、階級闘争としての発展である。反原発闘争をめぐっても事を決していくのは、結局は階級闘争である。そして、そうだからこそ、人民の先頭でたたかう左翼勢力の復興こそが、いまほど求められているときはない。

 ▼4節 全国で再稼動阻止に立ち上がろう

 第四に、再稼動阻止闘争の決定的な重要性についてである。
 安倍政権が、いよいよ原発再稼動に突き進もうとする局面の中で、再稼動阻止闘争の決定的位置を強調しなくてはならない。
 いま、迫り来る再稼動を阻止するたたかいは決定的な位置を持つたたかいとなる。安倍政権およびすべての原発推進勢力は、次々と国内原発の再稼動へと入ることで、原発容認と原発推進を既成事実化し、原発問題をめぐって反動的な決着をつけていこうとしている。政府は、再稼動を次々と既成事実化し、反原発闘争を解体し、結局は、原発をとめることはできない、たたかっても無駄だ、という敗北意識を植え付けようとしているのである。
 もしも、次々と再稼動がやすやすと行われていくなら、反原発闘争の全人民的政治闘争は大きく後退していく可能性さえある。いま、これに真っ向から対決することが求められている。大飯原発をめぐってたたかわれた実力抵抗闘争は巨大な意義をもった。こうしたたかいをより大規模に実現しなければならない。伊方、川内、大飯、泊などがまず最初の攻防を迎える可能性が高い。再稼動を策動する各電力会社に対してたたかおう。再稼動にお墨付きを与える原子力規制委員会に対してたたかおう。
 そして、再稼動にふみきろうとする原発現地には、全国から結集し、人民の海で原発を包囲しよう。人民の実力抵抗闘争をもって対抗するたたかいが求められている。これをいかに実現できるかに、反原発闘争の今後の展望がかかってくるといっても過言ではない。人民のたたかいは、議会選挙にのみ収れんさせられるものではない。むしろ、人民の怒りと実力で再稼動に立ちふさがる大衆闘争こそが、あらゆる制動をはねのけて解き放たれ実現されていかねばならないのである。こうしたたたかいのために、左翼勢力が共に奮闘することが今ほど問われているときはない。

 ▼5節 福島の人達とともに闘おう

 最後に。原発事故から三年。被害者を切り捨て、何事もなかったかのごとくに再稼動ラッシュに入ろうとする安倍政権と電力独占資本を許さず、福島をはじめとした被害者のたたかいに一層連帯していくことがますます重要となっている。
 一万五千人ちかくの福島原発告訴団が、東電などへの刑事告訴に踏み切った。人々の生活、健康を破壊し、それでも利潤追求を使命とする東電幹部などは、その罪が裁かれねばならない。福島をはじめとした被害者の生活と健康、雇用を守るたたかいは無条件に防衛されねばならない。原発内労働、除染労働などに従事する労働者を防衛しなければならない。東電は、放射能汚染水を大量に発生させ、放射性物質を海に垂れ流し、いまだ、廃炉にむけた作業の道筋さえまともについていないにも関わらず、福島原発内で従事するよりも柏崎刈羽原発の再稼動準備のために人員を割いている始末なのである。そして、原発内労働や除染労働には、幾重もの下請け構造のもとで無権利状態を強いられる労働者がいる。その多くは、福島の原発事故被害者である。
 福島原発事故から三年。三月八日には福島、京都、山口などで、そして、三月九日には大阪、北九州など、三月十五日には東京、十六日には川内と、全国各地で一斉に反原発集会が呼びかけられている。これらを、安倍政権の原発推進政策と対決し、安倍政権を打倒する全人民的な政治決起として成功させよう。迫り来る再稼動策動を実力で阻止する人民の総決起を実現していこう。



 

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