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   「安倍たおせ」の全人民政治闘争を
         左派総結集で切り拓こう

    


 われわれは昨年夏、『戦旗』第一四四三号(八月五日付)において「戦争へと突き進む安倍右翼反動政権を打倒しよう/新たな時代を切り拓く左派勢力の結集を」と呼びかけた。
 安倍右翼反動政権が、その本性をあらわにして戦争立法―改憲へと踏み込もうとしている中、「集団的自衛権法制化阻止・安倍たおせ! 反戦実行委員会」(以下、「安倍たおせ! 反戦実」)が三月二十一日に、街頭デモに立ち上がる。われわれは、多くの仲間とともに、この共闘の一端を担う。この3・21闘争から開始される安倍政権打倒闘争に向けて、この闘いの意義を確認していく。

 ●第1章 安倍政権打倒する左派―直接行動派の陣形

 ▼1章―1節 左派潮流の新たな結集を


 日本の階級闘争―革命運動において、議会内既成政党とはっきり分岐した新左翼勢力は六〇年安保闘争、七〇年安保沖縄闘争、あるいは、その後の三里塚闘争をはじめとした階級攻防を、実力闘争、武装闘争をもって切り拓いてきた。
 現在、第二次安倍政権―第三次安倍政権が「戦争のできる国」への再編を急激に進め、アベノミクスと自ら称して新自由主義政策を全面化し、その一方で、安倍の言動で勢いづいたファシストどもがこの反動政策を極右側から暴力的に支えるという状況にある。この事態の中で、日共スターリン主義は「衆院選で躍進した」ことを誇って、労働者人民を議会主義に集約していこうとしている。
 そのような戦術で安倍政権と対決し打倒していくことができるのか。アベノミクスの下、摩滅的労働で日々疲弊する人民に、数年に一度の選挙だけの政治行動でこの社会を変革しうるなどという宣伝を許していてはならない。極右ファシストが跋扈(ばっこ)し、右翼ジャーナリズムが差別的排外主義的言辞を「刺激的」にばら撒いている状況の中で、労働者人民が街頭に出てこそ安倍右翼反動政権と直接対決することができるのだということを、今こそ大胆に提示しなくてはならない。それは、日本の左派勢力自身が街頭行動総決起をもって訴えていくものでなくてはならない。
 論議の繰り返しではない、左派の総結集と直接行動をわれわれは主張してきた。
 集団的自衛権法制化阻止闘争とは、単なる一政治課題にとどまるものではなく、そこに日本の労働者階級人民の憤怒が集約されていくことは必至である。この重大な戦争立法攻撃に対する闘いは、「安倍たおせ」というスローガンの下、政権打倒の反帝闘争となっていく。

 ▼1章―2節 3・21新宿デモから開始される新たな政治闘争

 安倍晋三が戦争法制とアベノミクス続行のために解散総選挙を強行した昨年十二月、安倍政権との対決を鮮明にした政治集会がかちとられた。「集団的自衛権の行使容認を許すな 12・6安倍たおせ! 集会」である。「九条改憲阻止の会」が呼びかけた集会ではあるが、ここに、左派の多くの団体・人士が結集した。半田滋さんの講演において、安倍政権が想定する集団的自衛権の行使、そのための法制化、そして、その先にある改憲攻撃が暴露された。12・6に結集した人々は、この日本の政治状況に関して共通認識を持つとともに、二〇一五年通常国会で安倍が強行しようとする戦争法制を打ち破る決意を抱いて結集していた。
 昨年七月一日の集団的自衛権「合憲」化の閣議決定強行で戦争に突き進む安倍晋三の意図は鮮明になり、日本人民は戦争反対か戦争翼賛かという選択に直面している。そればかりではない。二〇一一年3・11以来、福島県民をはじめとして原発事故―放射能汚染、被曝に直面してきた労働者人民は、安倍政権が原発再稼働・原発輸出に突き進む姿を眼前にして、抑え切れない怒りの中にある。そして、昨夏以降の沖縄・辺野古での新基地建設強行の暴虐である。沖縄では島ぐるみの結集で、また、それに呼応した「本土」からの結集で、辺野古での決戦が闘い抜かれている。二〇一四年、名護市長選から名護市議選、沖縄知事選、衆院選に至るまで、新基地建設阻止の沖縄人民の意志が鮮明になったにもかかわらず、安倍・菅は「粛々と」暴虐のかぎりを尽くしてきたのだ。
 戦争反対に立ち上がる人々、原発再稼働反対の集会に参加した人々、辺野古新基地建設反対を闘っている人々にとって、問題は別々ではない。安倍政権がこのすべての反動攻勢を急速に強めているのだ。12・6集会に結集した人々は皆、敵は一つであることをはっきりと確認していた。この集会のスローガン「安倍たおせ」は、まさに結集した人々の共通の意志であった。
 二〇一五年年頭、この12・6集会に結集した人々を軸にして「安倍たおせ! 反戦実」が結成された。「安倍たおせ! 反戦実」は、まさに安倍政権と対決する政治方針のもとに、第一波の街頭行動方針―3・21新宿デモを打ち出した。二〇一五年、安倍政権との総対決がこの3・21デモから開始される。街頭から社会変革をめざす「安倍たおせ! 反戦実」とともに、大衆的に反帝闘争を切り拓いていこう。

 ●第2章 戦争と貧困化を進める安倍政権

 安倍晋三は昨年十二月十四日、衆議院議員選挙を強行し、最低の投票率で自民・公明による安定多数を護持した。戦争と貧困化を強引に推し進める攻撃に突進している。

 ▼2章―1節 「存立事態」=武力攻撃事態法改悪

 安倍政権は二月十三日、今通常国会で成立させようとしている戦争法制に関する方針を、自民・公明両党に提示した。以降、毎週金曜日に、政府と与党は「安全保障関連法案の与党協議」を続けている。三月下旬には、この協議で戦争法制案の基本方針を決定する方針だ。四月統一地方選、五月安倍訪米の後に、戦争法案を国会提出し、通常国会で成立を強行しようという構えだ。
 安倍の意図は鮮明だ。昨年七月一日に強行した集団的自衛権行使の「合憲」化閣議決定を法制化し、憲法九条を乗り越えて戦争のできる国家へ突き進んでいくというものである。
 具体的には、現行の自衛隊法、周辺事態法、武力攻撃事態法、米軍活動円滑化法、PKO協力法、船舶検査活動法、国民保護法を、集団的自衛権行使の観点から改悪するのが政府の方針である。また、海外派兵を強行するための特別措置法であった旧テロ対策特措法、旧イラク特措法を恒久法として制定し直すというものである。
 安倍政権は、集団的自衛権行使に踏み切るために「武力行使の三要件」なる考え方をでっち上げた。「三要件」とは@わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある、A武力行使以外に適当な手段がない、B必要最小限の実力行使にとどまる、とされている。安倍政権は、これを「存立事態」なる新概念として位置付け、現行の有事法制の中に組み込んでいこうとしている。
 具体的には、この「存立事態」なる呪文を現行の武力攻撃事態法の中に組み込んで、法改悪をなそうとしている。後方支援や共同作戦への参加を規定した周辺事態法とは異なって、武力攻撃事態法は日本が「日本に対する武力攻撃に即応して主体的に行動し、極力早期にこれを排除する」ことを規定した戦争法である。この法改悪は、「存立事態」を、日本に対する直接の武力攻撃と同等の事態と見なすということである。政府が一旦「存立事態」という判断を下せば、アメリカの戦争に巻き込まれるどころではなく、日本が主体的に戦争を行なうということである。

 ▼2章―2節 「周辺事態」概念の削除=周辺事態法の無制限な拡大

 一方で、二月二十日の政府・与党協議では、周辺事態法から「周辺という概念」を削除しようとする論議が行なわれた。政府は「周辺という地理的な制約」をはずして、米軍など他国軍の支援を世界各地で行なえるようにすると主張した。また、支援する対象国を米軍だけでなくオーストラリア軍などに拡大し、支援の内容に関しても武器・弾薬の供給や発進準備中の航空機への給油などを行なうことまで狙っている。
 「周辺事態法」は一九九九年に制定されたものだが、これは、九七年九月二十三日に日米安全保障協議委員会(2+2)において合意された「日米防衛協力のための指針」(七八年の「ガイドライン」に対して「新ガイドライン」と呼ばれる)の中に、「武力攻撃事態(日本への武力攻撃)」との対概念として「周辺事態」が位置づけられ、その具体的法制として成立が強行されたものである。
 遡って言えば、一九八九年ベルリンの壁破壊―東西ドイツ統合、九一年のソ連邦崩壊によって東西冷戦構造は激変し、北大西洋条約機構(NATO)も日米安保もその位置付けが大きく揺らいだのであった。日本においては、九三年に登場した細川政権が日米安保を相対化し、「ASEAN地域フォーラム」などの東アジアの多国間による新たな安保の枠組みを選択しようとした。
 東アジアの軍事プレゼンスが揺らぐ中、米帝は、軍事的重圧をもって九四年朝鮮戦争危機をつくりだした。しかし、同盟国―日帝をこの戦争に動員できない限界が露呈する中で、戦争には至らなかった。この九四年朝鮮戦争重圧は、米帝による朝鮮民主主義人民共和国への軍事的解体攻撃であると同時に、日帝に対して日米安保を定義し直させ、同盟国として参戦させる体制構築を迫る外交的重圧という側面をもっていた。
 日・米帝国主義は九五年、沖縄での米海兵隊による少女暴行事件から急激に高まった沖縄反基地運動を押さえ込むことを一つの重要な目的として、九六年四月に「日米安保共同宣言」を発表し、同時に「普天間基地の返還」なる一大ペテンを行なった。この九六年新安保体制の下で、辺野古新基地建設の強行が進められ、もう一方では新ガイドライン合意―周辺事態法制定―武力攻撃事態法制定が強行されてきた。
 この歴史的経緯から、「周辺事態」とは日米帝国主義にとって朝鮮侵略反革命戦争であることは鮮明であり、このための軍事作戦の中に日本を位置づけるということだった。日本にとって、自国の防衛として中心に位置するはずの「武力攻撃事態」に対処する法(二〇〇三年成立)ではなく、「周辺事態」(=朝鮮戦争)における米軍支援の立法(九九年成立)から着手したというところにも、その戦争体系に対する日帝国家権力の意図は明白であった。「防衛」などと言いながら、米軍とともに侵略反革命戦争に参戦し、そこに人民を動員する法―体制の構築こそを第一に位置づけていたのである。
 九七年新ガイドラインにおいて朝鮮侵略反革命戦争参戦の法制として位置づけられた周辺事態法に、政府―与党間協議でまずもって手を付けるというところが、安倍政権ならではの手法である。
 日米帝国主義間における共同軍事作戦計画の内容が大きく改編されていることの表れである。今春の安倍訪米を画期として企図されている日米ガイドラインの全面改定において、東アジアの範囲を大きく乗り越えて、世界規模で日米共同作戦を展開しうる法制―戦争体制が明示されるということだろう。
 しかし、それをひた隠し、「周辺事態法」から「周辺概念を取り除く」なる、その場しのぎの「改定」で切り抜けようというのである。このような見苦しい政治手法こそが、安倍政権の反人民性、狭量性、脆弱性を顕わにするものである。

 ▼2章―3節 搾取と収奪の激化

 二月十六日の新年度予算審議を前にした十二日、安倍晋三は国会で施政方針演説を行なった。
 上記のような画歴史的な戦争立法を準備しながら、それが全人民的な憤激の的となることをおそれて「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進めてまいります」、「日米ガイドラインの見直しを進め、その抑止力を一層高めてまいります」と語るだけで、その悪辣な真意をひた隠しにしたのである。
 施政方針演説で紙数を割いたのは、「改革断行」であり、「経済再生と社会保障改革」であった。アベノミクスを自画自賛し、新自由主義政策を徹底化すれば経済は再生すると強弁して、「戦後以来の改革」を断行すると主張した。その具体的方策の最初に掲げられていたのは、農協改革であった。農協の利権を取り上げることを前面に掲げつつ、本質的には、TPP交渉妥結に向けて日本の農業・林業・水産業にも新自由主義政策を徹底化するということであり、結論としては資本主義的な経営に耐えられない産業は解体していくという攻撃である。農業・農民問題も、食糧の自給率回復という民生上の基本的視点も欠いた、非情な政策である。
 「正規雇用を望む派遣労働者の皆さんに、そのチャンスを広げます」などと述べているが、実際には派遣法改悪を強行しようとしており、さらに、残業代ゼロ法案も進めている。「少子高齢化社会においても、日本は力強く成長できる」などと豪語しているが、それは実は、女性と高齢者を労働力として全面的に動員し、さらに徹底的に搾取することを企図した言説である。「社会保障改革」の実態は、「介護費用全体を抑制」ということに端的に表れているように、社会保障の削減への踏み込みなのである。
 安倍が「改革断行国会」と掲げたことの本質は、アベノミクスの成長戦略、つまり新自由主義政策の徹底である。

 ▼2章―4節 政治資金問題に表れた、安倍政権の守旧的金権体質

 第二次安倍改造内閣での小渕経産相、松島法相に続き、第三次安倍政権においても、西川農水相、望月環境相、下村文科相、上川法相など、企業との癒着を露呈する政治献金問題が噴出している。安倍晋三自身に対する献金問題まで発覚するに至っている。「政治とカネ」問題で自壊した第一次安倍政権と同様な構造的腐敗が露呈しているのだ。
 しかし、これは単に安倍政権の問題というだけではない。新自由主義政策なるものの階級的な本質である。安倍は「岩盤規制の打破」などと「変革者」のごとき言葉を掲げるが、新自由主義政策における規制緩和・規制撤廃とは、ブルジョアジーの収益を拡大できるのか否かという階級的利害の下に判断されているのである。逆に言えば、ブルジョアジーの利害を護持し拡張するためには、守旧的規制の温存でも、違法脱法の献金でも、何でもやるということである。
 TPPとて、日・米帝国主義のそれぞれの利害の対決であって、妥結すれば資本主義の新たな発展があるというものではない。だからこそ、そこでは、帝国主義間の利害対立と同時に、国内においてもブルジョアジー同士の守旧的利権の奪い合いが繰り広げられているのであり、西川の違法献金問題はその一端が露呈したにすぎない。

 ●第3章 「対テロ」戦争参戦を許すな

 本年年頭、安倍政権は、帝国主義としての利害をあからさまにした、稚拙な外交で、人民の生命を犠牲にするという事態を引き起こした。

 ▼3章―1節 帝国主義が生み出した「イスラム国」

 イラク・シリアで影響力を拡大する武装勢力「イスラム国」に関して、ここで深く論述するわけではないが、この勢力を生み出してきた歴史的背景を観点として押さえなければならないだろう。
 一つには、アルカイダ、イラクのアルカイダ、シリア反政府勢力内部の抗争、そして、現在の「イスラム国」に至るイスラム武装勢力の問題の前提には、まずもってアフガニスタン内戦過程で、米帝CIAが対ソ連戦略として介入し、アルカイダなどの武装勢力を支援し育成してきたということがある。
 そして、一九九一年の中東侵略反革命戦争、そして、二〇〇一年アフガニスタン戦争、二〇〇三年イラク戦争という米帝の中央アジア・中東に対する戦争によって、アルカイダをはじめとした武装勢力は、米帝を敵と捉え、反米抵抗闘争へと急進化した。帝国主義の侵略反革命戦争の中で武装勢力として育成され、戦争・内戦激化の中で先鋭化してきたのだ。
 二つには、二〇一〇年―一一年以降の北アフリカ・中東における反独裁闘争の拡大と、帝国主義の利害による介入が、新たな状況を作り出した。内戦化したリビア、シリアでのイスラム武装勢力の拡大と先鋭化である。米帝単独では、かつてのアフガニスタン、イラクのような大規模戦争としては、軍事介入できなくなった。むしろ、米帝、仏帝、英帝など「有志連合」による軍事介入が、新たな戦乱の拡大をまねき、武装勢力が戦争の論理を正当化する状況を生み出している。
 帝国主義の歴史的な中東植民地支配と、現在的には侵略戦争の混乱ゆえの支配の破綻、そこから生み出された現在の中東の戦乱の拡大ということの中に、「イスラム国」問題はある。
 しかしながら、その上で、「イスラム国」による人質・捕虜に対する殺害、奴隷化、人身売買は、許しがたい犯罪である。そして、そのことは、中東・北アフリカ諸国人民の解放闘争に資するものでは決してなく、むしろ、敵対していると言わざるをえない。いかに、反米武装闘争を闘おうとも、「イスラム国」は、パレスチナ解放闘争をはじめとする中東、北アフリカ諸国人民の解放闘争と同じではない。

 ▼3章―2節 安倍にとって「イスラム国」事件は何だったのか

 年頭、「シャルリー・エブド」襲撃事件で欧米の排外主義が高まる中、安倍晋三は中東歴訪を断行した。エジプト、ヨルダン、イスラエル、パレスチナの訪問だが、この過程で安倍は「イスラム国」対策の二億ドル供与を発表し、これを外交パフォーマンスにしようと目論んだ。そして、同時に、イスラエルでのネタニヤフとの首脳会談を位置づけた。この挑発的な中東外交は、完全に裏目に出た。
 「イスラム国」はこの安倍の動向を見定めたように、歴訪さなかに人質事件を起こした。最終的に人質二名殺害という事態に至ったのである。
 安倍政権は、昨秋段階で湯川さんの拘束、その後の後藤さんの拘束も、知っていたのである。そして、一月にフランスの「シャルリー・エブド」事件が起き、外務省が「タイミングが悪い」と指摘する中で、安倍自身がその状況を奇貨と捉えて中東歴訪―「総額二十五億ドルの中東支援」を強行したのであった。
 拙劣で身勝手で、人命を軽んじた安倍晋三こそが、外交を弄び、湯川・後藤両氏を死に追いやったのだ。
 安倍晋三は、そのことの反省もなく、「テロと戦う国際社会において、日本としての責任」をはたすなどと主張している。安倍にとって「テロと戦う国際社会」とは、有志連合のことであり、そこに参加し参戦することを宣言しているのだ。戦争立法攻撃においても、自ら招いた人質殺害事件を最大限利用して「海外でテロに巻き込まれた邦人救出・奪還」のための自衛隊法改悪を具体化しようとしている。
 安倍政権の戦争立法攻撃は、「対テロ」戦争参戦を具体的な射程にいれた攻撃としてある。帝国主義=「有志連合」の侵略戦争阻止、そして、日帝の参戦阻止をはっきりと掲げ、反戦闘争に立ち上がっていくことが問われている。

 ●第4章 安倍政権打倒の一大政治決起を

 ▼4章―1節 戦争立法―改憲阻止、安倍打倒を掲げて政治闘争を進めよう


 安倍は、今国会での戦争立法から、さらに一六年参院選後には改憲を強行しようとしている。
 今通常国会で集団的自衛権行使という違憲立法を強行した上で、改憲に着手しようというのだ。日本を本当に「戦争のできる国」に作り変え、日本人民を戦争総動員していくことが、安倍の悲願なのである。
 九七年新ガイドラインの下で周辺事態法、武力攻撃事態法、国民保護法などが策定され、日帝・米帝・韓国が朝鮮侵略反革命戦争を引き起こせば、それらの戦争法制が発動され、自衛隊が参戦し、日本の労働者人民が動員されることになる。この現行の「有事体制」から、「自衛」という概念や「周辺」という範囲すら取り払って、世界中で、米帝、あるいは「有志連合」諸国とともに侵略反革命戦争に参戦していく体制へと、画歴史的にエスカレートさせようというのである。
 現行の有事法制定過程において、日本の労働者階級人民の闘いはまだまだ不足していた。しかし、その総括は、今、安倍政権の戦争立法攻撃に対する攻防の中で果されなくてはならない。
 すでに、この安倍晋三に対する人民の怒りは「安倍たおせ」のスローガンの下に、一つの力として結集し始めている。3・21新宿デモ―反戦闘争から開始される闘いを、早急に、壮大な闘いへと発展させていくことである。

 ▼4章―2節 安倍の反動攻勢を打ち破る闘いを

 安倍政権は、その守旧的金権体質をさらけだしながら、また、そうであるがゆえに、その凶暴な本性をあからさまにして、あらゆる領域での反動攻勢に出てきている。
 戦争立法の根幹たる日米安保―日米ガイドラインの実体は、米軍―自衛隊の共同作戦であり、その根拠は軍事基地である。戦争立法と日米ガイドライン改定を強行しようとする安倍政権は、その全体重をかけて、辺野古新基地建設を強行してきている。沖縄人民総体の反基地の意思を体現する翁長知事の度重なる申し入れを拒絶して、安倍政権は辺野古新基地建設の攻撃を進めている。沖縄人民の正当な主張、闘いを踏みにじる蛮行が続いている。今も進むこの事態こそ、日・米帝の沖縄差別軍事支配そのものなのである。
 「本土」から、多くの若者たちが辺野古への決起を開始している。青年労働者、学生が自ら決戦の現場におもむいて、この階級激突の現場から時代を変革していこうとしている。安倍政権を打倒する反帝闘争とは、まさにこのような現場から創りだされるのである。辺野古新基地建設阻止闘争をはじめとする反基地闘争こそ、反戦闘争―安倍政権打倒闘争の最重要の環である。
 安倍政権は原発再稼働を推し進め、川内原発に続いて、高浜原発に関しても原子力規制委員会が再稼働許可の決定を出した。反原発闘争の高揚の中で運動上の軸心となってきた経産省テントに対して、東京地裁は二月二十六日、撤去を命じる判決を出してきた。
 安倍晋三は「戦後七十年」を画期と捉え、その極右国家主義者としての本性をあからさまにしてきている。新たな侵略反革命戦争を準備する安倍は、日帝のアジア植民地化と侵略戦争に対して、その反省からの論議を拒絶し、圧殺しようとしている。この安倍政権ゆえに、排外主義襲撃集団が跳梁跋扈するのである。安倍のばらまく排外主義的言説こそが、極右ファシストを育成してきたのである。
 安倍政権の戦争立法―改憲、軍事基地建設、原発再稼働・原発輸出、そして、排外主義の煽動・激化、この反動攻勢の一切と対決し、また、これと闘う勢力が総結集し、「安倍たおせ」の一大反撃を開始するときである。

 ▼4章―3節 5〜6月全人民決起に向け、左派潮流は立ち上がろう

 3・21は一つの闘いの開始である。全国で、さまざまな人民が、さまざまな形態で、安倍政権と対決する闘いを開始している。戦争立法をめぐる決戦は、日本の労働者階級人民の壮大な決起へと発展していくだろう。本年前半期は重大な政治決戦となっていく。この全人民闘争の中において、日本の左派総結集を目指す左派共闘の内容を確認しておかねばならない。
 第一に、反政府闘争を実践的に闘うことである。3・21新宿デモが「安倍たおせ! 反戦実」の旗揚げデモとして打ち出されているように、新たな左派共闘は街頭行動、直接行動から開始される。安倍政権が通常国会で戦争立法を強行しようと構えてきた今、反政府勢力は街頭に出て反戦集会―デモを闘い、国会前へ、首相官邸前へ、この行動を高めあげていくことである。
 3・11以降の反原発闘争の中で、日本の人民も街頭に出て自らの意思を明らかにすることを、再び開始した。日本の新左翼は、今こそ、この大衆運動の高揚を促進しなくてはならない。左派共闘はその政治方針を実践することをもって、反政府闘争を全人民運動として高め上げていくものである。
 第二に、反資本主義、反帝国主義の闘争として闘い抜くことである。安倍政権の反動攻勢は、戦争立法と同時に、基地建設、原発再稼働、労働法制改悪などさまざまな領域において一挙にかけられてきている。一つ一つの戦線課題の解決をめざすだけの闘いは必ず分断されていく。この闘いは、安倍打倒を掲げた闘いであると同時に、根源的には帝国主義打倒、資本主義そのものの打破へと連なる闘いでなくては勝利できない。反戦闘争の中で、そのことを問い、それゆえに、反帝、反資本主義の旗を鮮明に掲げた闘争になる。
 第三に、共産主義を目指しつつ、広範な労働者階級人民の解放勢力の結集をはかっていく。反帝闘争、反資本主義闘争は、共産主義を目指す闘いである。しかし、われわれが目指す左派共闘は、その内容をセクト主義的に主張し、共産主義者以外を排除するような運動ではない。今問われているのは、全人民的な反政府闘争を主導しうる左派の広範な結集の可能性である。そのことの自覚の上に、諸個人、ノンセクト、社会主義者、アナーキストも含めた、広範な政治勢力の結集を創り出していく。
 第四に、スターリン主義と分岐し、共産主義の内容と実践を再生していく闘いでなくてはならない。スターリン主義の歴史的な破産を乗り越えて、われわれは共産主義運動の再生を目指してきた。それは、国際共産主義運動の再生であると同時に、日本においては、日本共産党の一国主義・議会主義・合法主義・日和見主義とはっきりと分岐し、この統制を突破して、真の共産主義運動を推し進めていくことである。安倍の反動攻勢の中でこそ、全人民の眼前でこの分岐は明らかになるだろう。
 第五に、プロレタリア国際主義に貫かれた潮流でなくてはならない。韓国、フィリピン、台湾、アメリカをはじめとして、反帝勢力、反資本主義勢力の新たな結合関係が生み出されてきている。安倍政権の反動攻勢を打ち破る闘いは、日本帝国主義との対決として、日本の労働者階級人民の国際主義的な任務である。中東・北アフリカ人民の反独裁闘争、米欧での占拠闘争は、日本における反原発闘争をはじめとする街頭闘争に大きな影響を与えてきた。今、日本の労働者階級人民は、反政府闘争、反帝闘争の実践をもって、全世界の左派、革命勢力との結合を強めていくことが問われているだろう。左派共闘は、このような国際主義的任務を意識的に推し進めていかなくてはならない。
 3・21新宿から街頭に躍り出て、日帝―安倍政権打倒の大衆決起をともに創り出そうではないか。

 

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