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   高浜原発再稼働弾劾!

   
福島避難住民の強制帰還を許さず、全原発の廃炉をかちとろう!
 

 

 一月二十九日 関西電力は川内原発につづき高浜原発三号機の再稼働を強行した。徹底して弾劾する。
 福島原発事故後にできた新規制基準で再稼働するのは、九州電力の川内原発一、二号機に続き三例目になる。核燃料はプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)で、事故後初のプルサーマル発電である。
 電力会社は、電力の小売全面自由化がはじまる本年、価格競争に備え、さらなる再稼働を目論んでいる。九州電力は、川内一、二号機が定期点検に入る今秋にも玄海原発の再稼働を狙っており、四国電力は新年度以降の早い時期に、伊方原発三号機の再稼働を行なおうとしている。
 原発事故から五年、事故の風化もささやかれる中、今もって全国世論調査では五割を超える再稼働反対の声があり、再稼働賛成の声は、三割にも満たない。
 本年年頭、電気事業連合会の八木(会長)は、定例会見で小売の全面自由化を迎えるにあたって「一日でも早い再稼働を目指す」として、その『課題と抱負』について述べている。しかし、そこには未だ避難生活を続けている十一万人近い福島住民に対する謝罪も反省の言葉も見当たらない。ひたすら原発の「ベースロード電源」としての了解と再稼働に理解を求めるものとなっている。
 再稼働と福島避難住民の切り捨てが本格化する本年、安倍反動政権と電力会社に対する怒りも新たに、原発再稼働阻止―全原発廃炉に向けたたたかいを強化しよう。

 ●1章 原発再稼働を本格化させた反動安倍政権

 安倍政権は昨年、川内原発の再稼働を突破口に原発回帰にむけた動きを本格化させた。同時に原発推進にむけた反動的反人民的動きを強めてきた。この動きを徹底して暴露・批判し、二〇一六年の反原発闘争の前進の中で完全に粉砕していかなければならない。

 ▼1章―1節 避難解除=被曝の強制

 福島第一原発の事故により未だ福島住民の十万五千人を超える人々が避難生活をおくっている。震災関連で亡くなられた方は、昨年の三月時点で三千四百人に達し、長期の避難生活の中で故郷を追われたまま亡くなられる方が後を絶たない。
 また、子どもたちの甲状腺ガンが増加し続けている。昨年十一月末現在で百五十一人の小児甲状腺ガンとその疑いがある子どもたちが確認されている。チェルノブイリ原発事故による経験では、原発事故後徐々に甲状腺ガンが増加し、四〜五年を経過した時点から急増した事実をみるならば、五年が経過した本年以降にこそ、小児甲状腺ガンの急増が非常に心配されている。
 こうした避難住民や子どもたちの現実を前にして安倍政権は昨年六月、福島復興加速化指針(改訂版)を閣議決定し、放射線量が年五十ミリシーベルト以下の居住制限区域(避難住民約二万三千人)と同二十ミリ以下の避難指示解除準備区域(同三万一千八百人)を今年三月までに解除し、住民が帰れるようにインフラの復旧や除染を進めるとしている。全住民が避難している七つの町のうち、すでに楢葉町などの避難解除と住民の帰還が始まったが、除染もまったく不十分かつ生活環境の破壊された地域への帰還は、新たな被曝の強要であり、賠償の打ち切りによる住民の本格的な切り捨てを意味する。
 また、福島県は自主避難者に対する「みなし仮設住宅」の無償提供を本年三月に打ち切ることを明らかにしている。
 住民のいち早い帰還を掲げる政府と電力会社の意図は明らかである。避難住民の切なる願いに応えて早期の帰還と復興を考えているわけではなく、東電再建のために損害賠償額を確定させることと原発再稼働による経営の安定化を図ることにその狙いがある。そして、東京オリンピックに向けて、世界に原発事故は完全に「収束」したかのごとくアピールすることを狙ったものなのである。そのために避難住民に対して新たな被曝の強制と棄民化が三月以降本格化するのである。絶対に許すことはできない。

 ▼1章―2節 「廃炉」決定と再稼働推進

 第二には、安倍政権は昨年「二〇三〇年エネルギーミックス」を決定し、原発をベースロード電源として位置づけることとその割合を20〜22%にすることを決定した。昨年、原電敦賀一号機(福井県)、関電美浜一、二号機(同県)、九電玄海一号機(佐賀県)島根一号機の廃炉が決定された。これは、日本原子力発電の東海原発(茨城県)、さらに二〇〇九年に廃炉が決定され、廃炉過程に入っている浜岡原発一、二号機(静岡県)と福島第一原発に続くものであり、新たな規制基準のもと費用対効果の薄い小規模原発を廃炉決定したものである。さらに昨年段階で四十年の運転期限まで十年を切った原発は、十九基ある。これらを考慮するならば、この廃炉決定の真の意図は稼動可能な原発のすべてを運転していく方針を明確にしたということである。

 ▼1章―3節 核燃料サイクルと核武装

 第三には、核燃料サイクルをめぐる問題である。安倍政権は、二〇一四年四月「エネルギー基本計画」において核燃料サイクルの推進を基本方針として再確認した。あくまでも核燃料サイクルを進めようというのだ。
 昨年、核燃料サイクルを進めるために使用済み燃料の再処理等事業を着実に行う認可法人(使用済燃料再処理機構)を創設し、現在の日本原燃を指定再処理事業者として引き続き再処理の実施に関する現業を担うようにした。これは小売全面自由化にともなう競争による電力会社の経営状態に左右されることなく、安定的かつ効率的に事業実施できるようにすることがその狙いである。
 一九八八年に発効した日米原子力協定で、日本は、プルトニウムを生み出す使用済み核燃料の再処理とウラン濃縮を国内で実施できるようになった。プルトニウムは長崎原爆、濃縮ウランは広島原爆の材料に使われた核物質だ。兵器用と純度は異なるといわれるが、核兵器を持たない国で、核兵器の材料になり得る再処理とウラン濃縮に取り組んでいるのは日本だけである。
 すでに日本は、原発の使用済み核燃料の再処理でできた四十七・八トンのプルトニウムを国内外に保有している。プルトニウムは約八キロあれば原爆ができるとされ、日本の保有量は計算上「核兵器約六千発分に匹敵する」(米核専門家)と指摘されている。核武装にむけた潜在的力を保有しておきたい日本は、なんとしても核燃料サイクルを維持しようというのである。
 さらに、核燃料サイクルを進めるうえで再処理することで生まれる「高レベル放射性廃棄物」の最終処分場建設問題をめぐって、これまでの自治体からの応募(公募制)から国主導による候補地の選定へと方針転換を行なった。これにより、最終処分場の建設に目処をつけようというのである。

 ●2章 一六年原子力政策と全面対決し、
        全ての原発の廃炉をかちとろう

 ▼2章―1節 玄海、伊方原発再稼働を許すな


 本年は、原発の再稼働をめぐる攻防を焦点としつつ、日本の原発政策との根本的かつ全面的なたたかいが鋭く問われる段階へと突入する。
 第一の課題は、各電力会社の目論む原発再稼働を阻止していくたたかいを強化することだ。昨年の川内に続き高浜原発の再稼働が強行されたわけだが、その危険性、事故可能性は低減されたわけでもなく、一層その危険性があきらかとなっている。
 一月末現在、審査申請は再稼働が強行されたものも含めて十六原発二十六基(日本原燃の四ヶ所を含まず)。政府と電力会社は、原発依存度の高い関西電力と九州電力を最優先に、積極的容認・推進勢力の強い自治体に立地する原発を狙って再稼働の突破口をこじ開けてきたわけだが、今後、全国で再稼働をめぐる攻防は一層激しさを増すことは間違いない。
 再稼働の突破口となった川内原発をめぐる攻防でその「世界一厳しい基準」と称する原発審査のデタラメさが、事実をもって暴かれてきた。昨年八月に川内原発一号機が再稼働されたが、直後の八月二十日に早くも復水器からの海水漏出事故を発生させている。この復水器は〇六年一月以降、九年以上も点検していなかったことが明らかになっている(二〇一五年八月二十六日朝日新聞)。
 さらに、免震重要棟建設をめぐる新たな問題が明らかとなっている。九電は本年三月までに免震重要棟を川内、玄海の両原発に作ることにし、川内原発はこれを前提に規制委の審査に「合格」していた。しかし、九電は再稼働後の十二月、突如、川内原発では免震棟を作らず、より小さい代替緊急時対策所を使い続けるとともに、隣に耐震支援棟をつくることを明らかした。その耐震支援棟も「早期に作る」としながら、その時期を具体的には示していない。にもかわらず原発の運転は続けるというのだ。地元の住民が「信義則違反だ」と反発するのは当然である。
 今回の新規制基準では東日本大震災をふまえ、自然災害への対応として火山対策が盛り込まれた。川内原発は、この火山対策問題も審査内容の重要な課題のひとつであった。にもかかわらず、その審査において委員長の田中は「巨大噴火はここ三十年、四十年の間に起こるものではない。天災がいつ起きるか分からないので社会的活動をやめてください、という考え方では仕事はできない」と本音をもらしている。ここ三十、四十年は巨大噴火は起こりそうにもないので大丈夫として審査に「合格」しているのである。これが「審査」の実態である。
 また、過酷事故が起こった場合として三十キロ圏の避難計画の作成が行なわれたわけであるが、この避難計画は審査基準でもすらなく、実質的に各自治体任せのアリバイ的で実効性のないものであることが避難地域住民の前に次々とあきらかとなった。
 鹿児島県知事の伊藤などは早々と三十キロ圏の避難など不可能として避難計画の作成すら放棄するというありさまである。少し考えただけでも三十キロ圏の住民の避難など困難であることは明白である。高浜原発をめぐっては広域避難先に指定されている四府県五十六市町村のうち、受け入れ計画を策定したのはわずか七市。全体の一割に過ぎず、指定された九割の自治体が不安や課題を抱えていることが明らかとなっている。そして、訓練自体も未実施という極めてひどい実態である。
 これが政府のいう「具体的かつ合理的」として承認した広域避難計画の現実である。同様のことが再稼働を計画しているすべての原発立地周辺で今後より深刻化していくことは明らかだ。
 また「川内方式」といわれた再稼働「同意」をめぐる自治体の範囲を地元立地県と市町村の議会の承認だけで決めて再稼働が強行された。高浜原発では三十キロ圏の多くの自治体が住民の不安を受け、再稼働前の「同意権」を関電に求めた。しかし関電はこれを拒み、国も立地自治体の同意さえあればいい、との姿勢を崩していない。再稼働をスムーズに進めるために最小限度の自治体の承認だけで強行した今回の再稼働の有り方は、避難計画の問題ともからんで今後、全国の自治体を巻き込んでいかざるを得ない問題となる。
 実効性のない避難計画は第二の福島住民を生み出すことであり、机上の空論に過ぎない避難計画の破綻を徹底して批判・暴露していかなくてはならない。このような「世界一厳しい基準」という審査基準そのものと審査自体のいい加減さを徹底して明らかにし、「適合性審査」そのものを破綻させていかなければならない。

 ▼2章―2節 核燃料サイクル=もんじゅを廃炉に

 第二の課題は、核燃料サイクル政策を完全破綻へと追い込んでいくことだ。核燃料サイクルは、資源小国である日本にとってエネルギーの有効活用方法として喧伝されてきたわけであるが、その真の狙いは日本の核武装にむけた潜在的力の保有にあることは先に述べたとおりである。また、この核燃料サイクルは現実には破綻の淵にあり、原発の再稼働と核燃料サイクルを完全破綻へと追い込むことが原発廃炉にむけた極めて重要なたたかいとなってきているのである。ここで核燃料サイクルをめぐる諸点について簡単にふれておきたい。
 まず、使用済み核燃料をめぐる問題である。使用済み核燃料は原発の運転を続けるかぎり溜まっていくのは当然であるが、すでに全国の原発全体で貯蔵できる量の七割超にまで至っている。東日本大震災で事故を起こした東京電力の福島第一原発は貯蔵量の九割を超え、中部電力の浜岡原発も九割近くに達するなど、すでに全国の原発には使用済み燃料が溜まり続けている。再稼働が続き原発の運転が続くならばさらに使用済み核燃料は増え続け、あと数年で原発での貯蔵は限界に達する。
 日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の完成は、今年の三月から一八年の四―九月へと延期された。延期は二十二回目で、再処理の目処も立たず、原発の再稼働だけが優先されているのだ。
 原発十三基が集中する「原発銀座」かかえる福井県は、使用済み核燃料が県内の原発に溜まっていくことに懸念をもっている。そのため、知事の西川は高浜原発再稼働の条件として、使用済み核燃料の中間貯蔵施設を県外につくるよう国と関電に求めていた。
 これに対し、関電は昨年十一月、中間貯蔵施設を「二〇年ごろに福井県外で場所を決め、三〇年ごろに操業する」と発表した。しかし、関電の八木社長はその日の記者会見で、中間貯蔵施設の具体的な候補地について「お示しできる地点はない」とも答えている。使用済み核燃料を原発内でも保管できず、中間貯蔵施設の目処も立たない。再処理をたくす六ヶ所村の完成も再び延期され、一八年完成もまったくなんの保証もない。使用済み核燃料問題のひとつをとってみても核燃料サイクル政策そのものが破綻の危機にあることは明白である。
 次に高速増殖炉もんじゅをめぐる問題である。昨年十一月、規制委員会はもんじゅの運営主体の変更を勧告した。現在の運営主体は日本原子力研究開発機構だが、点検漏れを繰り返してきたことから、規制委は「安全に運転する資質がない」と判断。所管する馳浩文科相に、新たな運営主体か、もんじゅのあり方を抜本的に見直す結論を、半年をめどに示すよう勧告したのだ。
 もんじゅにはこれまで一兆円を超える税金が投入され、今も一日五千万円の費用がかかっている。一九九五年にナトリウム漏洩火災事故を起こしたうえに、事故現場の様子を撮影したビデオの一部を隠していたり、ほかにも原子炉内中継装置落下事故や保安規定にもとづく機器の点検漏れが約一万個もあったなど、信じがたい事故、違反を繰り返しているのである。このようなもんじゅは即座に廃炉にするしかない。
 核廃棄物の最終処分場問題も行き詰まることは、明らかである。現在、国主催の自治体連絡会が非公開で行われているようだ。今後、火山や断層破砕帯から離れた場所を選定し、岩盤、地層の強度、地下水の流動などを勘案して、適性が高いと考えられるいくつかの科学的有望地を国が提示して、国が関係地方自治体に申し入れを行う予定だという。
 地層処分の候補地については、〇二年十二月に原子力発電環境整備機構(NUMO)が公募を開始したが、手を挙げる自治体はなかった。その後、〇七年に唯一、高知県東洋町から正式に応募があったが、町を二分する論争に発展し、民意を問うため町長が辞職し、出直し町長選で反対派が当選したことにより、応募を取り下げたという経緯がある。東洋町以降、長崎県対馬市、福岡県糸島市、鹿児島県南大隅町、秋田県上小阿仁村などが応募を検討しているとマスコミで報道されたが、現地での反対運動などもあり、正式な応募がないまま現在に至っている。
 このように核燃料サイクルは、完全に行き詰っている。これを破綻へと追い込まなければならない。そうするならば原発の全廃炉にむけた動きは、一挙に加速されるのだ。

 ●3章 原発現地闘争を軸に再稼働阻止の闘いを強化を

 ▼3章―1節 政府と電力会社は賠償責任をとれ


 第一のたたかいは、避難住民の強制帰還を許さず、政府と電力会社に避難住民の立場に立った賠償責任を取らせることである。
 昨年十月福島の被災住民を中心に「避難の権利」を求める全国避難者の会が結成された。その結成集会での自主避難をつづけている避難者の声は、まったく正当なものである。「自立しようとした矢先の『打ち切り』にがくぜんとした。私たちは被害者なのに、『支援』や『補助』と言って、『助けてやっている』という姿勢はおかしい」と。避難を続けている住民は、被災者であり国や電力会社に「支援」や「援助」を口にさせてはならない。「国策民営」ですすめてきた原発による過酷事故に対する賠償問題であり、避難住民の最後の一人まで納得のいく賠償と補償を行なわせなければならない。

 ▼3章―2節 現地―全国貫きたたかおう

 第二は、原発地元住民による原発再稼働動阻止のあらゆるたたかいに連帯し、現地闘争と全国闘争、電力各社、立地自治体の議会、規制委員会へのたたかいを引き続き粘り強くたたかうことである。
 経産省前テントのたたかいをはじめとして、毎月のゲート前行動、毎週の金曜行動など事故後五年が経過した今も全国各地で様々な取り組みが行なわれている。
 次の再稼働が予想されている伊方原発再稼働をめぐっては、地元八幡浜市で住民投票を求める直接請求が有権者三万人のうち約一万人の署名によって成立した(法定署名数は六百十六人)。しかし、八幡浜市議会は、これを否決。ここでも民意が踏み潰されたわけであるが、これは明らかに再稼働反対の民意を恐れたものにほかならない。
 原発推進派、容認派が立地自治体の議会には多数を占める場合が多い。
 しかし、こうした再稼働反対の民意を公然化するたたかいは、確実に推進派、容認派を追い詰めていく。それは川内原発をめぐる県議会や薩摩川内市議会をめぐる攻防で明らかである。原発立地で反対闘争に立ち上がる全国のたたかいをさらに結合し、これと連帯する労組、市民団体、学生・青年の立ち上がりをさらに促進していかなければならない。

 ▼3章―3節 原発事故の責任者処罰の闘いを

 第三には、福島原発告訴団のたたかいを先頭とした福島第一原発事故の責任者追及、刑事罰を求めるたたかいを支援することである。
 原発告訴団のたたかいにより、東京第五検察審査会から、東電元幹部三名について「起訴相当」の議決(「二〇一二年告訴」)が出され、いよいよ福島原発事故の責任を問う強制起訴による刑事裁判が開始される。
 福島第一原発のような事故に対して誰ひとりとしてその責任を問われないのは不当極まりないことである。「原発の安全神話」を根拠に「原発事故は万が一にも起こらない」として、刑事罰をふくむ法整備を放置してきたことにも原因の一端がある。そして、それは今日も変わっていない。この状況の中で原発再稼働により、いつ起こるともしれない原発事故の可能性が再び現実性をもってきた。全国で告訴、告発のたたかいに連帯したたたかいを強化していく必要がある。

 ▼3章―3節 全て原発を廃炉に

 第四には、再稼働を許さず、老朽化した原発の運転延長を許さず廃炉へと追い込んでいくことだ。
 現在の法規制の下での原発の運転期間は、原則で四十年と決められた。ただし、規制委員会が認めた場合にのみ、最長で二十年の運転延長が一度だけみとめられている。
 昨年、すでに五基の原発の廃炉が決まっている。現在、高浜一、二号機、美浜三号機が運転延長の申請を行なっている。
 この運転延長の問題は、二〇三〇年のエネルギーミックスの問題と密接に関係しているのだ。三〇年度の電源構成(総発電量に占める各電源の割合)では、原子力の比率は20〜22%程度としている。現在ある四十三基のうち三〇年末時点で運転四十年未満の原発は十八基しかない。それに現在建設を進めている中国電力の島根原発三号機、J―POWERの大間原発の二基が加わったとしても、寿命前の原発は二十基となる。それ以外の二十五基は原則、寿命で廃炉となるはずだ。
 ところが、寿命前の二十基を稼働率70%で運転させても、総発電量に占める割合は約15%にすぎない。電源構成案にある20〜22%には7%分も足りないのだ。
 新増設が想定できない中では、必然的に寿命を迎えた二十五基の老朽原発を動かして、20〜22%まで持っていくということになる。これは明らかに規制委員会による審査をも飛び越えてすべての原発を稼動させていくことに等しい。
 島根、大間、東通原発の建設を阻止することである。上関原発などの新規建設を許さないたたかいを強化し、原発を廃炉へと追い込んでいかなくてはならない。このたたかいは、閣議決定された三十年電源構成を破綻させるたたかいと直結している。運転延長阻止、新増設阻止は、重要なたたかいとなる。

 ▼3章―5節 原発保有電力会社との契約打ち切りを

 第五には、四月以降の電力の全面自由化の開始とともに、原発を保有する電力会社との契約の打ち切りを全国的に進めることである。
 九州電力は昨年十月、九月の販売電力量を発表し、過去最長となる十七ヶ月連続で販売量が前年を下回ったことを明らかにした。その背景には、企業や自治体が価格の安い新電力に契約を切り替えていることがある。九電によると、九月の販売電力量は前年同月比4・1%減の六十七億四千六百万キロワット時であった。十七ヶ月連続の前年割れは、リーマン・ショック後の十六ヶ月連続を超えたという。すでに電力小売りが自由化されている工場やビルなどで、新電力に契約先を切り替える「離脱」の件数が、十月一日時点で七千三百七十五件となり、この半年で約三割も増えている。離脱した需要は百六・五万キロワットにのぼり、すでに原発一基分に相当する。
 電力小売りが全面自由化され、家庭向けでも大手電力の独占は崩れる。九電の場合、家庭向けは販売量では全体の約四割だが、利益の約六割を稼ぐ構造だ。すでに原発一基分が新電力に流れている。こうした動向は川内三号機の増設計画をもつ九電に対する打撃になるとともに、既存原発の廃炉にむけた一つの大きなたたかいとなりうる。再稼働阻止のたたかいと連動して全国的展開を進めよう。
 第六には、原発輸出に反対し、反原発の国際共同行動を強化することである。福島第一原発の事故以降、ヨーロッパ諸国がドイツやイタリアなど脱原発への動きを強めた流れがある一方で、中国や韓国では運転や建設の一時停止の動きもあったが、現在は原発の稼動と新規建設を再開している。とりわけ中国をはじめとする新興国においては経済成長政策のもとでのエネルギー需要の増大に対して原発の導入を加速させているのが現状である。
 こうした流れの中で、日帝―安倍は、日本での原発の新規建設が困難になる中で、原発輸出をその経済成長戦略の重要な柱として位置づけ、強力に推進しているのである。
 安倍による原発輸出に徹底して反対していかなくてはならない。とりわけ、原発輸出を可能とする日印原子力協定の締結に反対していかなくてはならない。インドは核保有国であり、協定の中で日本は使用済み核燃料の再処理を認める方針である。絶対に許してはならない。
 福島の事故以降、全世界での反原発運動が活発化し、各国のたたかいは国境を越えて連帯の動きを強めてきている。こうした流れを一層促進していかなくてはならない。
 原発事故による放射能被害は、またたく間に国境を越えて全世界に甚大な被害をもたらす。「核と人類は共存できない」ことを改めて確認し、原発の稼働動阻止―全原発の即時廃炉をかちとろう。
 日帝―安倍政権の原発輸出に反対しよう。日印原子力協定の締結に反対しよう。
 全世界の反原発運動と連帯して、全世界で原発の即時停止・廃炉を実現すべくたたかいぬこう。


 

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