共産主義者同盟(統一委員会)






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   改憲に突き進む安倍政権を打倒せよ

   
  辺野古・高江の基地建設をやめろ

    TPP反対! 労働法制改悪阻止!

 

 ●1章 左派共闘推進し全人民決起で日帝―安倍政権打倒を

 安倍の本格的な改憲攻撃が始まった。七月参議院選挙で安倍自公政権が勝利し、改憲勢力が遂に衆参の三分の二を超えた。いよいよ、安倍の念願である「戦後レジームからの脱却」=改憲が政治日程に上った。安倍政権を支える日本会議や神道政治連盟など右翼ファシスト勢力による改憲煽動も強まっている。天皇アキヒトの「生前退位」声明から天皇元首化と天皇制・天皇制イデオロギーの攻撃も激しい。共謀罪の制定が狙われている。海外派兵と搾取収奪そして治安弾圧、差別排外主義・民族排外主義の強化によって危機の延命と突破を画策する日帝ブルジョアジーと右翼ファシスト勢力たち。今秋期、やつらの歴史的な体制変換の大攻勢がきわめて激しくなっている。
 戦争法の強行成立から一年が経った。日帝は、「対テロ」戦争、朝鮮戦争、武器使用拡大のPKO派兵など、自衛隊の戦争出動を狙っている。南スーダンへの戦争派兵、朝鮮戦争の勃発と日帝の参戦化を阻止しなくてはならない。日帝は戦争攻撃によって階級再編をすすめ、改憲攻撃を一挙に推進しようと狙っている。
 しかし、戦争法廃止と自衛隊派兵阻止、沖縄の辺野古・高江の反基地闘争支援を軸にして、「戦争させない!九条を壊すな!総がかり行動」などが国会前や全国各地で安倍政権打倒の全人民的政治闘争を継続し、展開している。これは改憲阻止の世論と運動の広範な形成にも大きな役割を果たしている。辺野古新基地建設阻止、高江ヘリパッド建設阻止の現地実力攻防は激しく、まさに沖縄―「本土」を貫く階級闘争の最大の決戦課題となっている。このたたかいを全力で担っていかねばならない。同時に沖縄解放闘争と連帯した「本土」各地の反戦反基地闘争が戦争法発動による出撃を阻止するべく展開されている。沖縄、岩国、京丹後、横田、神奈川などの反戦反基地闘争の連携をいっそう強化することは決定的である。差別抑圧・貧困格差・権利剥奪と真っ正面からたたかう労働者、青年、被抑圧人民・被差別大衆の解放運動が各地で連綿とたたかわれている。情勢は、安倍政権と全人民の大激突の段階に入った。
 戦争・改憲をめざす安倍政権の強権政治。これに全人民の怒りが噴出している。それは、日本社会と現代世界を覆う資本主義・帝国主義の危機とその歴史的没落過程に照応し、欧米日の帝国主義や中国・ロシアなどの大国が暴力的な階級支配をますます強める状況なのである。帝国主義の新自由主義グローバリゼーションによって、日帝本国や世界各地で圧倒的に多くの労働者人民が貧困、閉塞感、政治抑圧、差別分断を強いられている。
 この労働者人民の憤懣と抵抗を分散させ、民族排外主義・差別排外主義・優生思想などを煽り、侵略戦争・虐殺・差別迫害を激化させる極右ファシスト勢力が台頭している。逆に、階級矛盾と対立の激化のなかから、資本主義・帝国主義ブルジョアジーや極右ファシスト勢力と正面から対決する左翼勢力・プロレタリア革命派の前進が問われている。共産主義運動は反転攻勢をつよめ、反帝闘争を切り拓いていかねばならない。
 安倍政権の戦争と改憲の攻撃、これを断固として粉砕し勝利しなくてはならない。たたかいを牽引する決定的任務は、第一に、労働者、青年・学生、被抑圧人民・被差別大衆の抵抗と解放の運動と団結組織の建設をたたかい取ることである。第二には、これら全人民の安倍政権打倒・右翼ファシスト勢力粉砕の実力決起を広範に推進することである。そして第三には、全人民の先頭でたたかう反帝国際主義と大衆的実力闘争を担う革命的左翼・左派勢力の共闘を拡大し、活発な青年・学生の求心力となっていくことである。そうすることによって、日本共産党などの議会主義・一国的排外主義・日和見主義の限界、および支配階級や国家権力と協調する秩序派潮流を突破し、日帝ブルジョアジーの打倒とプロレタリア革命を一貫して推進できるのである。
 われわれは、安倍政権打倒―プロレタリア革命にむけて、同志友人とともに、今秋期局面を総力でたたかう決意である。以下第二章において、日帝―安倍政権の主要な反動攻撃の暴露とたたかいについて述べる。第三章はまとめであり、今秋期の階級闘争の基軸と任務を提起する。ともにたたかおう。

 ●2章 安倍政権の反動攻撃

 ▼2章―1節 安倍右翼反動政権と右翼ファシスト運動


 八月三日、第三次安倍再改造内閣が発足した。参院選の福島や沖縄の選挙区で人民から打倒された復興・福島原発再生担当と沖縄開発・北方領土担当の二名の閣僚交代をはじめ、十人の大臣が入れ替わった。
 安倍内閣の改造人事の特徴は、安倍の後継者といわれる防衛大臣稲田朋美をはじめとして極右議員がほとんどを占めていることである。例えば、「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」が一九九七年に統合した最大の右翼団体「日本会議」傘下の国会議員懇談会からの入閣が、十三名から十六名と増え、閣僚全体の八割となった。安倍もこの日本会議の特別顧問を務めている。また安倍が会長である神道政治連盟国会議員懇談会からの入閣は、日本会議との重複を含め十八名(九割)となっている。もちろん、彼ら極右国会議員は、靖国議連や教科書議連なども兼ねている。大臣、副大臣、政務官、首相補佐官、官房副長官の総勢七十七名のうち、日本会議四十八名、神道議連五十九名という構成になっている。
 安倍政権がこれらの極右で凝り固まるのは、明らかに戦争と天皇元首化・改憲に邁進するためである。日本会議は財界、文化人・学者、政治家、宗教団体によって構成されているが、その中心は明治神宮や伊勢神宮を軸にした神社本庁である。実務を担う中枢の活動家は、六〇年代末から「生長の家」の学生組織=生学連やその後の青年組織=日本青年協議会・日本協議会で活動してきた者たちだ。新左翼運動や全共闘などの戦闘的たたかいによるプロレタリア革命への恐怖から反共反革命的敵対に使命感をもってきたバリバリの天皇主義右翼活動家たちである。安倍の側近中の側近、衛藤晟一もその一人である。彼らは、戦後日本の「主権在民・基本的人権・平和主義」という現憲法三原則を「戦後レジーム」や親マルクス主義体制として憎悪し、戦前復古への体制転換を目標としてきた。
 すなわち、@天皇元首化と「皇室尊宗」、A「憲法改正」、B自衛隊の国軍化と「国防充実」=軍事大国化、C教育基本法改悪と「愛国主義教育」、「自虐史観の打破」、D復古的「家族制度」を柱にして、「戦後民主主義体制」の転換をめざしてきた。前身の「日本を守る国民会議」や「日本を守る会」は、紀元節復活=「建国記念の日」祝日化、元号法制化、中絶禁止の優生保護法改正、天皇在位五十年や六十年奉祝式典、歴史教科書改竄、選択的夫婦別姓制度反対、国旗国歌法制定、外国人地方参政権反対、教育基本法改悪、首相・閣僚の靖国参拝と「国立追悼施設」反対、「憲法改正の国民投票法制定」、「北朝鮮の日本人拉致疑惑の解明と救済」などに取り組んだ。
 保守右翼国会議員の反動的な諸攻撃や立法化と一体となって、これを支え、「下からの国民運動」として署名運動、街頭活動、大規模集会やパレード、地方議会決議などを展開してきた。現在では、櫻井よしこを推し立てた「美しい日本の憲法をつくる国民の会」など個別課題ごとのフロント団体を動かし、「憲法改正1000万賛同者運動」などを行っている。日本会議の地方支部は現在二百四十三で、小選挙区三百の全地区で支部づくりをめざし、地方議員は千七百名を数え、国会議員は約二百八十名を超える。
 他方でこうした日本会議などの極右主流派の流れに「きれいごと右翼」と反発して「行動派保守」と自称する在特会などが存在する。在特会らは差別排外主義・民族排外主義を激烈に組織化し、日本資本主義の危機のなかで閉塞感に陥った若者を被抑圧人民や被差別大衆への差別・憎悪・襲撃へと煽動し、極右ファシスト襲撃隊の役割を果たしている。日本会議の末端では在特会などと協力関係があるといわれている。
 安倍は首相在任中の改憲を事実上明言した。「憲法審査会でまずは改憲論議をしていくべき」、「いかに我が党の案をベースに(国会発議に必要な衆参各院の)三分の二を構築していくか。これが政治の技術だ」と語った。
 改憲攻撃の具体的な項目として、水面下で改憲派たちがすりあわせているのが、緊急事態条項(国家緊急権)の導入、憲法九条に「自衛隊保持」=国防軍の明記、基本的人権の制限と「公共・国家への国民の奉仕義務」などである。戦争国家化への大転換に他ならない。
 緊急事態条項は、国会論議と立法過程を停止し、人民の基本的人権を奪い、首相・内閣の政令によって、国民の統制・動員や戦争出兵を強制できる独裁政治体制を出現させるものである。戦前の日帝・天皇制権力の帝国憲法では、「緊急勅令」、「戒厳大権」、「非常大権」といった幾つかの国家緊急権が明記されていた。「緊急勅令」などをもって、治安弾圧、労働者貧農の奴隷的搾取収奪、戦争動員、植民地支配の政策を銃剣の暴力と殺戮の独裁政治で推進していった。それ故、戦後憲法では国家緊急権条項はいっさい無くなった。
 安倍と日本会議など極右ファシスト勢力は、現局面を改憲=戦争国家化の千載一遇のチャンスと捉えている。だからこそ全体重をかけ、改憲攻撃に邁進している。昨年十一月、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は日本武道館で「今こそ、憲法改正を! 一万人大会」をも開催した。安倍晋三はビデオメッセージで次のように語った。「憲法改正の手続きについては第一次安倍政権で国民投票法が制定され、憲法改正に向け、渡っていく橋は整備された……。そこで大切なことは国民的議論として深められていくこと……。憲法改正は衆参両院議員の三分の二以上の賛成が得られて発議されますが、成否を決めるのは国民投票です。……美しい日本の憲法をつくる国民の会のみなさまには、全国で憲法改正一千万賛同者の拡大運動を展開し、国民的議論をもりあげていただきたい」と。憲法改正賛同者は四百万を超えたといわれる。まさに、憲法改悪=戦争国家化の攻撃をめぐる大攻防が始まった。昨二〇一五年から継続する戦争法廃止・安倍政権打倒の全人民政治闘争の地平を広げその発展をかちとっていかねばならない。改憲阻止、安倍政権打倒に断固として勝利していかねばならない。

 ▼2章―2節 戦争法発動の南スーダン派兵阻止! 朝鮮戦争阻止!

 戦争法が強行可決されたが、労働者人民はこれをまったく容認していない。集団的自衛権行使とPKO武器使用強化などの戦争法をめぐる国会論議は十分に審議されてないという世論が圧倒的多数だ。ほとんどの憲法学者は、戦争法が憲法違反という見解である。さらに自衛隊の存在も違憲であるという学者は過半数を超える。全人民の戦争法廃止を求める要求とたたかいも、強行可決後一年を経て衰えるどころか、改憲阻止や沖縄解放闘争と結びつき、新たな地平へと到っている。各地で戦争法違憲訴訟が相次いでいる。「総がかり行動」の広範な統一戦線も国会包囲を繰り返し、各地で広く結成され、街頭行動が展開されている。先の参院選では戦争法廃止と立憲主義を守り、安倍自公政権打倒を一致点とする「野党共闘」が形成された。労働者人民の大衆運動も加勢して、争点をアベノミクスの是非などに狭められながらも、一人区で十一の勝利をかちとった。われわれは、安倍政権打倒を「戦後民主主義の防衛」の枠に留めず、日帝ブルジョアジー打倒とプロレタリア革命へと連続するたたかいとして牽引する路線をとる。それ故に、左派勢力と反帝国際主義・大衆的実力闘争のたたかい、ならびに労働者、青年・学生、被抑圧人民・被差別大衆の全人民決起といった二つの側面を連関させて闘争を貫徹した。
 朝鮮民主主義人民共和国の核・ミサイルや中国の軍事力増強と対外膨張への脅威と危機を煽る日帝安倍政権は、米帝と共同した戦争法発動にのめり込んでいる。その大きな焦点は、十一月、南スーダンへの自衛隊第十一次PKO派兵である。青森からの第九師団第五普通科連隊が派兵される。南スーダンでは七月から大統領派と副大統領派との間で内戦状態に突入し、相当数の犠牲者を出し、国連安保理は四千名の追加部隊の派遣を決定した。これには先制攻撃の権限も付与されている。南スーダン情勢はPKO派遣の五原則を逸脱している。これからの南スーダンPKOの自衛隊には、「駆けつけ警護」、「宿営地共同防衛」、「邦人救出」などの任務に対応した、強化された武器使用が付与される。日帝は戦後憲法を踏みにじり、国際紛争で武力行使するのだ。安倍の独裁政治による出兵を絶対に許してはならない。
 一九五三年からの朝鮮戦争休戦状態のなかで、米韓軍事同盟・日米軍事同盟による朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)の軍事せん滅にむけた核戦争演習の大強化が六十三年間にもわたってエスカレートし続けている。朝鮮戦争への自衛隊参戦も戦争法発動の焦点である。少なくとも約五百万人以上が犠牲となった朝鮮戦争が再び勃発することは絶対に阻止しなくてはならない。朝鮮戦争阻止は、かつての植民地支配と五〇年朝鮮戦争に加担した日帝本国の日本人民にとって歴史的責務を持って取り組まねばならない。これまで米韓日の圧倒的な軍事力・経済力の重包囲と戦争重圧を受け続けた共和国は、かつての社会主義陣営の後ろ盾や中国人民志願軍の支援が担保されない今日、核武装を強制されたと言える。われわれはいかなる国の核武装も容認しない。絶対に反対である。一方、米帝は朝鮮戦争の劣勢局面で核兵器使用を準備し実際に発動しようとした。今日まで朝鮮半島での核爆弾投下演習を続け、B1爆撃機を飛来させ共和国を恫喝し続けてきた。オバマこそがまず第一に核兵器の不使用と配備撤去、廃棄を口先でなく実行すべきだ。朝鮮戦争危機を回避するためには、なによりも朝鮮半島南北の自主的平和統一の事業、さらに六か国協議による非核化、そして米朝の平和協定と米朝国交正常化、日朝平壌宣言に基づく日朝の国交正常化が決定的となる。さらに日本政府は、かつての朝鮮植民地支配、強制連行と奴隷労働、女性への戦時性奴隷制(「日本軍慰安婦」)の強制、南北分断化などにたいして、天皇制国家の責任を明確にした謝罪・戦後補償・反省と歴史教育を果たしていかねばならない。
 今年の防衛白書は、陸海空の三自衛隊の統合を強め、機動性を格段に集中して整備し、いつでも海外出兵する態勢と装備、米軍・自衛隊の一体化と兵站活動の強化などを進めていると報告した。情勢では、アジア太平洋地域や世界で不安定化、領土、主権、経済権益をめぐる紛争が激化していると分析し、それ故に、いつでも戦争出動できるグレーゾーン事態の態勢をとるというのだ。グローバルな「積極的平和主義」を進め、自衛隊は国際貢献任務=海外派兵を強める。大型のヘリ空母とイージス艦を軸とした四個の護衛隊群の編成、潜水艦の充実、陸自の二個機動師団と二個機動旅団の強化、空自の那覇基地への戦闘機部隊配備など、そして空中給油機、オスプレイ導入、水陸両用車AAV7、一六式機動戦闘車、最新鋭樹F35配備などを計画している。膨大な海外出兵のための軍備増強策動のもと、巨額な軍事費五兆千六百八十五億円(前年比千百四十三億円増)の概算要求が組まれている。まさに三菱重工、IHI(旧石川島播磨)、川崎重工、東芝、NEC、日立などの軍需産業を肥え太らせ、防衛装備庁を新設し、武器輸出も拡大していくのだ。日帝は軍産複合体と戦争国家化が融合して進む軍事大国化路線を突き進んでいる。それは日本資本主義の不況を突破する路線であり、海外侵略先の人民への殺戮と略奪の構造的暴力の行使なのだ。
 日米の戦争出撃体制は、昨年の新ガイドラインと戦争法制定から飛躍的に進んだ。昨年十一月、日米の「同盟調整メカニズム」(ACM)と「共同計画策定メカニズム」(BPM)という新機構が設置された。ACMは戦争動員の日米統合司令部だ。今年二月の共和国のミサイル発射で稼働した。BPMは、日米の制服組で共同作戦計画を進める新機関である。先月の共和国水爆実験では、グアムの戦略爆撃機B1が朝鮮半島へ出撃し、空自のF2戦闘機が支援し、共同戦争演習を行った。米海兵隊と陸自による「上陸」「離島奪還」などの共同演習も本格化した。本年十月、陸海空三軍の日米共同統合軍事演習「キーン・ソード」が空前の規模で行われる。戦時ACSA(物品役務提供協定)への改定が狙われている。
 戦争法発動の南スーダン派兵、朝鮮戦争を許してはならない。反戦反核反基地そして日米軍事同盟粉砕のたたかいを総力で強化していかねばならない。左派勢力やAWC勢力などによる南スーダン派兵阻止―朝鮮戦争阻止、そうした国際主義に立脚した反戦闘争の直接行動こそが断固としてたたかわれねばならない。そうした反戦反帝国際連帯の内実を拡大し、戦争法廃止の全人民的たたかいの不十分さや反共和国キャンペーンに屈する愛国的日和見主義と分岐し、朝鮮戦争攻撃とたたかうことが求められている。

 ▼2章―3節 沖縄解放闘争への暴力弾圧を許すな

 安倍の改憲と戦争の攻撃は、米軍再編―日米軍事一体化や軍事基地の新設や増強の動きと連動してきた。日米の差別軍事支配からの解放をもとめる沖縄人民は、島ぐるみの巨大なたたかいや実力阻止行動に立ちあがり続けている。普天間基地撤去―辺野古新基地建設阻止、オスプレイ配備撤回では、自己決定権に立脚した「オール沖縄」のたたかいへと発展し、安倍政権との激しい攻防を繰り広げている。翁長沖縄知事の辺野古埋め立て承認取り消しにたいして、日帝―安倍政権は沖縄差別支配の「宗主国」のように不当な強権的是正指示を発した。翁長知事の不屈のたたかいに追い詰められた政府は、辺野古埋め立て承認取り消しを「違法」として裁判に訴えた。そして福岡高裁那覇支部・多見谷裁判長は九月十六日、「沖縄県側敗訴」の不当判決を下した。これは、普天間基地固定化の恫喝や日米軍事同盟の国益を優先し、沖縄の民意と平和的生存権や環境保全などの利益をいっさい切り捨て、国側主張そのままの沖縄差別判決だ。翁長知事と沖縄人民は満腔の怒りで、これを糾弾した。辺野古新基地建設絶対阻止の決意を固め、九月二十三日に上告した。辺野古現地の実力闘争は続いている。
 また参院選で伊波洋一さんが現職の島尻安伊子沖縄・北方相に圧勝した直後に、高江のヘリパッド建設が再開された。高江現地でヘリパッド建設阻止のテントや道路封鎖車両にたいして、その管理権限が沖縄「県」にあるにもかかわらず、「本土」の警視庁、大阪府警、愛知県警などの機動隊約五百名を投入し、暴力的撤去が行われた。実力抗議や座り込みに対して、不当排除や不当逮捕、流血の弾圧が吹き荒れている。現場の新聞記者は報道の自由さえ暴力的に抑圧された。それでも高江現地で暴力弾圧との激しい実力抵抗闘争がたたかわれる中、稲田防衛大臣は自衛隊出動を発令した。ヘリ空母「おおすみ」と中央即応部隊を現地に派兵し、自衛隊機CH47ヘリの作戦展開をもって、重機などの搬入を強行したのだ。沖縄人民の解放闘争を踏みにじり、米軍基地建設を自衛隊が担い、戦争出動のごとき展開がなされた。沖縄人民は戦前戦中のような事態だと怒りを爆発させている。
 沖縄現地と「本土」を貫く普天間基地撤去―辺野古新基地建設阻止、高江オスプレイパッド阻止の大衆的実力行動に全力で集中していこう。強権的な建設工事と暴力弾圧に絶対に屈してはならない。辺野古と高江の体を張った決戦に全国から決起していかなくてはならない。現地同志はこれらのたたかいの先頭で奮闘し、わが行動隊派遣も連続して貫徹している。「本土」各地の大衆運動も派遣を本格的に推進している。現地実力阻止決戦を強化し、沖縄―「本土」を貫く基地撤去・日米安保粉砕の沖縄解放闘争をたたかっていこうではないか。
 さらに、与那国島には陸自沿岸監視部隊八百名が駐屯し、石垣島や宮古島に対空・対艦ミサイル部隊やレーダー基地強化の配備計画が住民を無視して進められている。こうした日米帝による沖縄の侵略反革命前線基地化を絶対に許してはならない。
 戦争法発動の情勢下、岩国基地の大強化、京丹後の米軍Xバンドレーダー基地、横須賀への米核空母ロナルド・レーガン配備など神奈川の基地強化が進んでいる。東京・横田基地では米空軍オスプレイCV22とその特殊作戦部隊の配備、パラシュート訓練、日米共同の統合司令部設置が進んでいる。とりわけ岩国基地大強化に反対するたたかいを全国化すること、沖縄の辺野古・高江の不屈のたたかいと決戦局面に連帯する「本土」各地の反基地闘争の強化は極めて重要となる。戦争法発動の出撃基地に反対する闘争の大衆的高揚を作っていくことは決定的である。十二月十―十一日は、AWC勢力や16岩国・労働者反戦交流集会実行委、そして岩国現地の広範な基地反対派住民の参加した反戦平和の音楽祭である「岩国☆希望の祭」実行委が岩国行動二〇一六を取り組む。来年二〇一七年、岩国米海兵隊へ最新鋭ステルス戦闘機F35Bが十六機配備される。厚木艦載機五十九機が岩国に移駐する。米軍住宅が愛宕山に二百七十戸、岩国基地内に七百九十戸も増築される。米兵一万人規模が岩国市内に駐留する。岩国基地で総勢百三十機の米軍機が常駐する。普天間配備オスプレイの中継基地だけでなく、岩国基地にもオスプレイ配備が計画された。岩国基地は、朝鮮戦争や中国との軍事対決などにむけ、東アジア最大の米海兵隊航空基地となる。岩国闘争の全国的強化、反基地国際連帯を進めよう。AWC勢力がフィリピン、韓国、台湾、インドネシア、米国の人民運動とともにたたかう「アジア米軍総撤収」。この国際主義実践を支援し、共にたたかっていこう。日米帝国主義の朝鮮戦争やアジア・世界への侵略反革命戦争発動を国際共同闘争で粉砕していこうではないか。

 ▼2章―4節 「働き方改革」のペテンと労働法改悪

 アベノミクスは、独占資本、富裕層の利益だけを強め、一方、労働者、農民、若者、被抑圧人民、被差別大衆には生活苦を強制している。ジニ係数(※)は二〇一四年度で0・57と過去最大となり、貧富格差は拡大するばかりだ。年収二百万以下のワーキングプア層は、約千百万人規模で構造化している。六月に閣議決定した「一億総活躍プラン」では、少子高齢化の名の下に「働き方改革」が打ち出された。これは、低賃金と長時間労働、雇用破壊―非正規化、そして労働法制改悪と新自由主義政策の全面化にほかならない。すなわち、女性、高齢者を不安定雇用労働者として、さらにこき使うこと。政府が「上から」わずかな賃上げを演出し、一方で労働者の団結した階級闘争で勝ち取ってきた労働者保護法制や労基法を改悪すること。したがってたたかう労働運動に敵対し、労働者の団結とストライキの実力闘争、ならびに労働運動の階級的役割や歴史的社会的使命そのものを解体しようとするものである。
 この間、派遣法が改悪され「生涯派遣」化が強行された。安倍は「同一労働同一賃金」を主張するが、それは正規と非正規の賃金格差を差別分断したままで「均衡待遇」とごまかす代物なのである。「脱時間制」を標榜し、残業代ゼロ、八時間労働制の破壊、裁量労働制の拡大をなそうとするものであり、生活賃金から成果主義賃金に転換し、むしろ低賃金・長時間労働・過労死を横行させる。その犯罪性は、労働者の生活と権利を改善し保護する労働基準法を改悪するところにある。解雇の金銭解決制度の導入を狙い、労働者の労働権・生存権を剥奪し、ブルジョアジーに「解雇の自由」を与えるなど、安倍政権の悪辣極まる反労働者反革命の攻撃である。
 左派労働運動は新自由主義攻撃とたたかい、低賃金・長時間労働・非正規拡大・労働三権破壊と対決し、奮闘している。貧困化格差とのたたかいでは、最低賃金闘争が行われている。「全国一律で千五百円、誰でもいますぐどこでも千円」の要求スローガンのもとでたたかいが取り組まれている。二〇一六年度の地域別最低賃金の引き上げ目安では、九百七円の東京で二十五円アップの九百三十二円、沖縄では二十一円アップの七百十四円で、その差は二百十八円。全国加重平均では八百二十二円でしかなく、これでは年千八百時間のフルタイマーで年収百五十万円弱、東京では年収百六十八万円弱にしかならない。これでは生活出来ない。現実は、労働者の九割超が中小零細職場にあり、その底辺層が非正規労働者であり最賃レベルの低賃金で呻吟している。最賃アップをすると、約三百万人から五百万人の下層労働者の賃上げにつながる。最賃闘争は現在、新自由主義グローバリゼーションが広がる中で、世界中の反貧困をたたかう労働者にとって決定的に重要な闘争課題である。
 安倍政権打倒とプロレタリア革命をすすめるうえで、左派労働運動を前進させることは革命的左翼・左派勢力の課題の要中の要である。今日、非正規労働者の組織化問題を階級闘争や戦争法阻止闘争の総括課題に据える活動家は少なくない。中小零細、非正規、女性、青年、高齢者などの労働者、そして外国人労働者を合同労組などに組織すること。ストライキなど労働者の団結した実力闘争を職場地域でたたかうこと。戦争と新自由主義グローバリゼーション、貧困、差別とたたかい、労働者の国際連帯を推進すること。こうした左派労働運動を実際に具体的に拡大することに奮闘していかねばならない。これを担う労組活動家の本格的育成について、革命党と労組活動家は責任をもって取り組むことが要請されている。安倍政権の「働き方改革」と正面から対決し、左派労働運動の発展を断固としてたたかっていこう。
(※)ジニ係数 所得分配の不平等度を示す指標。ある国で所得が完全に均等に分配されている場合はジニ係数が0となり、1に近づくほど不平等度が高いことを意味する。

 ▼2章―5節 TPPと新自由主義を阻止しよう

 今秋の臨時国会では、環太平洋経済連携協定(TPP)の批准も大きな攻防となる。日帝・独占ブルジョアジーは、米帝主導のTPPと中国を含めた東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の両軸をもって、アジア太平洋経済圏支配を展望している。そのために、米帝経済圏へ日本の投資と貿易を強めようというのだ。同時に、中国のユーラシア大陸やインド洋地域への経済圏膨張戦略である「一帯一路」に対抗するために、TPP批准は日帝ブルジョアジーの死活的な権益に位置する。
 TPP批准問題では、米帝内部では雇用不安・環境破壊などを危惧する反対世論が大きくなり、大統領選挙でトランプもクリントンも「反対姿勢」という状況にある。日本国内では、自動車や機械など輸出大企業系列がTPP推進であるが、関税撤廃をめざすTPPに不安と反対世論が日増しに強くなっている。
 要するに、米帝多国籍資本の投資と貿易によって、日本の農漁業と食料の自給と安全が破壊され、医薬品の価格高騰、医療保険・社会保障・労働・教育などの保護規制が解体される。とくに関税を維持するとした重要五品目(コメ、牛肉、豚肉、乳製品、砂糖)に含まれる百六十七の細目分野では、日本政府は米国側に大幅に譲歩し、関税率を低くし、あるいは撤廃するなどを画策している。TPPの反人民的計画を白日の下に暴露し、反対世論をさらに強めなくてはならない。広範な人民の反対行動を促進し、TPPと新自由主義を粉砕していこうではないか。

 ▼2章―6節 共謀罪を粉砕しよう

 共謀罪制定策動が明らかになっている。「テロ等組織犯罪準備罪」という名称だ。治安弾圧の抜本的強化が画策されている。来年の通常国会で上程され、制定が狙われている。この間、日帝の戦争諸法の反動的立法化とともに、治安弾圧の諸法案が国会審議を十分に尽くさず強行制定された。一昨年末には秘密保護法が制定された。今年の通常国会では、取り調べ可視化を国家権力が利用し、盗聴拡大・おとり捜査・司法取引などを導入した刑事訴訟法改悪が行われた。
 幾度も廃案となった共謀罪であるが、中心的な狙いは労働組合、市民団体、革命的左翼など団体の構成メンバーへの弾圧である。激化する階級矛盾と対立によって、今後ますます階級闘争が高揚する条件が増していく。沖縄解放闘争の現地では暴力弾圧が常態化している。階級闘争の高揚を牽引する活動家にたいして、国家権力は事前に一方的で不当な弾圧・情報収集・拘束・隔離を強制する。
 わが共産同(統一委)に対しては、岩国闘争、国際連帯、京丹後米軍Xバンドレーダー基地反対、伊勢志摩サミット反対に関連して、国家権力からの逮捕・ガサが連続し集中している。共謀罪の制定攻撃を粉砕し、反弾圧の大衆運動をしっかりと強化していかなくてはならない。

 ●3章 日帝―安倍政権打倒の基軸的闘いに決起せよ

 第一には、南スーダンPKO派兵や朝鮮戦争危機への戦争法発動を阻止し、改憲阻止、安倍政権打倒の全人民政治闘争をたたかうことである。「総がかり行動」のような反戦・改憲阻止の広範な統一戦線を全国各地でたたかい、労働者人民の階級形成の土台を大規模に推進していくことである。南スーダンへの自衛隊出兵阻止、朝鮮戦争阻止の抗議行動をたたかおう。
 第二には、辺野古新基地阻止・高江ヘリパッド阻止の現地実力闘争を全力でたたかっていくことだ。全国で現地攻防に決起していこう。
 第三には、12・10―11の岩国行動二〇一六に決起し、沖縄解放闘争と結合した各地の反戦反基地闘争を強化することである。これは戦争法を発動する出撃基地と日米軍事同盟と直接対決し、阻止していく重要なたたかいである。二〇一七年の岩国基地大強化反対、京丹後米軍Xバンドレーダー基地撤去、神奈川の反基地闘争、東京・横田基地反対闘争など各地で連携してたたかおう。韓国民衆の反米軍闘争、星州(ソンジュ)のTHAADミサイル配備阻止と連帯し、フィリピン、台湾、インドネシアや米国との反帝国際連帯を進め、「アジア米軍総撤収」をたたかうことである。十一月韓国労働者大会、反米軍基地闘争へ参加していこう。
 第四には、再稼働が強行された川内原発や伊方原発の停止、経産省前テント撤去弾劾、原発の再稼働・輸出および核武装を許さず、反原発闘争を推進することである。「核と人類は共存できない」という被爆者解放闘争の地平に立って反原発闘争を強化していこう。もんじゅ廃炉にとどまらず、核再処理工場を含め、すべての原発、核施設を廃止させることである。福島原発事故による被曝者・被曝労働者への差別と抑圧、放射能被害の拡大、命と健康の破壊を許さず、福島現地やその避難者の闘いを支援することである。韓国などアジアの反核運動と連帯し、反原発をかちとろう。
 第五には、10・9三里塚全国総決起集会に決起し、市東さんの農地強奪を阻止し、三里塚軍事空港の粉砕をたたかうことである。市東さんの農地取り上げの攻防が煮詰まっている。不当な農地強奪の最高裁判決を絶対に阻止しなくてはならない。市東さんの農地強奪、三里塚空港の「二十四時間化」、「第三滑走路」建設計画を大衆的実力闘争で粉砕していこうではないか。
 第六には、新自由主義攻撃、TPP、貧困化、労働法制改悪とたたかい、左派労働運動の前進と発展をかちとることである。中小零細、非正規、女性、青年、高齢者、外国人、そうした労働者の労組への組織化に奮闘しよう。戦争と貧困、差別とたたかい、労働者国際連帯を進める左派労働運動を強化しよう。
 第七には、戦争攻撃とともに激化する差別排外主義、民族排外主義の攻撃を許さず、被差別大衆の自己解放運動を進めることである。部落差別の悪質な煽動を許さず、差別糾弾の原則的たたかいを進め、石川一雄さんの再審勝利をかちとり、10・31狭山闘争に決起しよう。
 津久井やまゆり園での障害者襲撃抹殺事件を糾弾し、戦時体制と新自由主義による障害者隔離抹殺―保安処分攻撃を許さず、天皇制優生思想と不断にたたかい、障害者解放運動をすすめよう。
 反戦反核反原発、全ての被爆者、被爆二世、被爆三世への国家補償をかちとる被爆者解放運動の前進をたたかおう。
 第八には、治安弾圧の強化、共謀罪新設とたたかい、反弾圧闘争の大衆的発展をかちとろう。共謀罪導入阻止の大運動をつくろう。国家権力によるたたかう団体や人民への人権侵害など、あらゆる不当弾圧とたたかい、基本的人権や大衆運動と大衆団体・左翼勢力・革命党を断固として防衛しよう。不当逮捕にたいする完黙非転向の原則的たたかいを大衆運動へ広めよう。
 最後に、われわれは強く決意する。党勢拡大を実現し、プロレタリア国際主義を実践し、日帝打倒の階級闘争をさらに牽引していかねばならないことを! 共産同(統一委)に結集し、ともにたたかおうではないか。




 

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