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   安倍政権の原発再稼働をゆるすな

    全ての原発の停止と廃炉を

         


 
 福島第一原発過酷事故から丸六年目を迎えようとしている。いまだに事故の真相は解明されていない。地下水を遮断する予定の凍土壁は完全に失敗し、汚染水は垂れ流しだ。生活もできないのに帰還を強引に推し進めている。自主避難者への住宅支援も三月で打ち切るという。福島は何も問題がないと宣言したいようだ。しかし小児甲状腺がんは確実に増え続け、疑いも含めて百八十三人(二〇一六年十二月末)になった。福島第一原発の廃炉工程は全く見えてない。なによりも原発事故の真相が全く解明されていないのだ。事故原因も分からず、「安全対策は十分」などと言われて誰が信用するだろうか。
 にもかかわらず安倍政権は、次々と原発再稼働を強行している。現在再稼働申請しているのは十基で、うち北海道・泊、福井県・美浜、佐賀県・玄海原発の再稼働申請書に原子力規制委員会はゴーサインを出し、審査を開始しているのだ。ベースロード電源の原発比率を二〇三〇年までに20〜22%にするという自民党政権は、何が何でも再稼働を強行して、達成しようとしている。苦肉の策として四十年超の老朽原発の二十年運転延長を推し進め、高浜原発一、二号機と美浜原発の三号機が認可されている。老朽原発は、内部腐食が進んでいるうえ、燃えやすい材料が使われているなど、重大事故を引きおこす可能性が大きい。日本列島全体が地震や火山の活動期に入っている。無数の活断層が列島を覆っており、昨年の熊本大地震は瀬戸内海から関東地方まで続く中央構造線を動かした。いま危険な時代に入っており、原発再稼働など最も危険な行為なのだ。原発がなくても電気は十分に足りてるのは明白だ。
 安倍政権は二〇一六年十月、国連の軍縮委員会において「二〇一七年に核兵器禁止条約交渉のための会議を開催する」決議に賛成しなかった。賛成百二十三ヶ国、反対三十八ヶ国、棄権十六ヶ国なのだが、日本はアメリカなどの核保有国に追従して反対したのだ。会議では核の保有そのものも論議されるからだ。「唯一の被爆国」を標ぼうしながら、核兵器禁止には賛成しないという矛盾に、世界が注目している。国連常任理事国になりたい野望を持つ安倍政権は根っからの核武装論者なのだ。許しがたい反動内閣だ。
 日本を戦争国家にさせないために、私たちは一刻も早く安倍政権を倒さなければならない。沖縄辺野古新基地建設と原発再稼働は安倍政権の命脈だ。再稼働策動を徹底的に暴露し、すべての原発を停止させ、廃炉にしていこう。


  ●1章 原発再稼働の現状

  ▼1章―1節 高浜原発


 二〇一六年三月、大津地裁は高浜原発三、四号機の「運転差し止め」仮処分を決定した。「新規制基準は安全性の根拠とはならない」という判決に対し、関電が抗告していたが、大阪高裁はこの二月にも判決を出すといわれている。関電は原発なくして収支は改善しないと主張している。「命より金儲け」と悪徳企業そのものだ。
 しかし「若狭の原発を考える会」などの方々の全戸へのチラシ配布等の地道なアメーバー行動が成果を上げている。高浜町でも原発に隣接している音海(おとみ)地区自治会では、四十年超原発の再稼働反対という画期的決議を上げている。老朽原発とはいえ原発立地から公然と再稼働反対の声が上がったのだ。
 一月二十二日大阪で行われた関電本店弾劾行動には全国から千名の人々が結集し再稼働反対の声をあげた。高浜原発の周辺地域には、関西の水がめといわれる琵琶湖があり、大都市圏が集中しており、原発事故に対する危機感は強い。
 しかも直前の二十日には、全長百十三メートルのクレーンアームが倒れ、核燃料保存建屋を破損させたのだ。関電は放射能漏れはないので、問題ないとの見解だ。問題は、原発であってはならない事故が起きたことだ。関電の杜撰な人命軽視の工事姿勢が問題なのだ。こうした姿勢が原発事故を引きおこすのだ、関電の責任を徹底的に追及しよう。
 関電は高浜も、美浜も,大飯も原発を動かしたいとぬけぬけと言っている。人々の怒りは頂点に達している。二月とも言われている控訴審判決に注目し、たたかう陣形を準備していこう。

  ▼1章―2節 玄海原発

 もう一つの再稼働最右翼は玄海原発である。一月十八日原子力規制委員会は九州電力・玄海原発三、四号機再稼働「審査書」を承認した。いまだに熊本大地震は収束してない。火山活動も活発なのである。三号機はMOX燃料を使うプルサーマル炉でとても危険な代物なのだ。どうして再稼働など許せるだろうか。九電は川内原発再稼働のさい、蒸気発生器の細管から水漏れを起こしたのに、一部部品交換で終わらせてしまった。熊本大地震後脱原発を訴え当選した三反園鹿児島県知事は、いったん原発を停止し総点検を行うべきと申し入れたが、九電は聞く耳を持たなかった。本来川内原発では、福島の教訓を受け入れて「重要免震棟」を建設しなければならなかったのに、「耐震棟」で十分とネグレクトしてしまったのだ。過酷事故に備えた施設なのに経費がかかりすぎると変更してしまう九電の人命軽視の姿勢は許せない。熊本大地震、活断層の調査、活発化する火山活動への対策等々はまだ十分に分析されず、切って捨てられている。
 こんな九電の傲慢な対応に住民は怒っている。すでに三十キロ圏内に位置する、伊万里市、長崎県壱岐市の首長はこのままでの再稼働に反対する意見を表明している。また、あの事故機オスプレイを日本政府が購入し、佐賀空港に配備していこうとしている。一九八八年岩国基地を飛び立った米軍機ヘリコプターが四国の佐田岬半島・伊方原発から八百メートルの近くに墜落している。決定的な事故が起きてからでは遅いのだ。二月十八日には「さようなら原発! 2・18玄海原発再稼働を許さない九州総決起集会」が取り組まれる。断固結集しよう!

  ▼1章―3節 泊原発

 北海道・岩内町の泊原発三号機は二〇一三年に川内や伊方と同時期に再稼働申請がなされ、認可が近いと言われていたが、大きな欠陥が指摘され審査は大幅に延長されている。一つは、津波対策の防波堤の高さが全く足りないことである。もう一つは、これまで北電は泊に活断層はないと主張してきたが、海底活断層があり敷地内にもあることを研究者たちが証言している。なにより、泊原発がある積丹半島が隆起している事実があるため、再調査を余儀なくされている。北電はこれまでも自然災害に関する調査・科学的知見に関してでたらめな報告を繰り返してきたのだ。住民運動の力で事実を明らかにし、北電の主張のウソを暴露してきたのだ。しかし北電は、再稼働しなければ電気料金を値上げしなければならないなどと恫喝し、再稼働を急いでいる。

  ▼1章―4節 原発停止のねばり強い闘い

 稼働した原発は十三ケ月ごとに定期検査が義務付けられている。川内原発一号機は昨年十月に検査に入り十二月に再々稼働した。続いて二号機が検査中である。再稼働阻止をはげしくたたかった地元は運動体が継続してたたかいを担っている。電力会社、原子力規制委、経産省とたたかう対象はある。九電本店前広場では二千百十四日間(二月一日付)毎日テントを張り続け抗議を続けている方もいる。愛媛県伊方原発ゲート前では「11(いちいち)行動」と称して再稼働後も毎月座り込みを続けているのだ。全国で支え連帯していこう。原発新設を絶対に許さず、再稼働を阻止をたたかいぬいて、原発ゼロを目指そう。

  ▼1章―5節 多発する原発事故

 全国各地で原発関連事故は大小にかかわらず頻繁に起きている。@昨年の八月に日本原燃の六ケ所再処理工場で、台風の影響で雨水八〜三十トンが建屋など十ヶ所に流入していたことが判明した。問題はこのことが公表されたのは十二月なのだ。重要な事故情報が隠されている。
 A昨年十二月島根原発二号機で金属配管のチェックのため保温材を外したところ、横一メートル、縦三十センチメートルの腐食穴が見つかった。調査を進めたところ十九ヶ所も見つかった。放射能漏れも引き起こしかねない事態なのだ。原子力規制委はあわてて全国調査を行うことを決めた。ほとんどの原発が長期に放置されており当然にも様々な損傷があるのだ。
 B東北電力は女川原発二号機の建屋の壁に千百三十カ所のひびが発見されたと発表。また建屋の剛性は七割低下しているとも公表。これは二〇一一年の東日本大震災以降起きた事態である。今頃になって発見したということ自体も問題である。
 C今年一月二十日関電高浜原発で全長百十三メートルのクレーンアームが倒れ、核燃料保管建屋の上部を破損させた。
 これら以外にも様々な事故やトラブルが続発している。一つ一つ真相を追及していこう。

  ●2章 3・11福島を忘れるな!

  ▼2章―1節 福島第一原発の現状

 汚染冷却水や汚染地下水を溜めた容量は百万トンを超えるという。敷地は満杯でタンクも不足している。汚染水処理体制も確立されないままである。結局は完全処理できないので一部は海に流そうとしている。海に流れ出す地下水の汚染を防ぐ目的の、建屋周辺地下を遮断する凍土壁建設は完全に破たんした。結局今でも原子炉下の汚染した地下水が海に垂れ流され続けているのだ。廃炉までに三十年かかるとも四十年かかるとも言われている。その間汚染水は海を汚し続けるのだ。
 かつて安倍はオリンピック誘致のために「汚染水は完全にコントロールされている」「世界一厳しい安全基準で対処している」などと世界に大嘘を言い放った。

  ▼2章―2節 「除染」の実態

 表土をはぎ取り、住宅周りの放射能を拭き取っただけの除染物はフレコンバッグに詰め込まれている。その量は二千二百万立方メートルもあり、いまも増え続けている。フレコンバッグの耐用年数は三〜五年と言われ、すでに破損や亀裂が起こっている。数段に積み上げられ、ブルーシートで隠したりしている。県内中間貯蔵場から県外最終処分場へと言いながらも、最終処分場を受け入れる自治体など無い状況なのだ。政府は低レベルの放射能汚染土は建設材料として道路や防波堤建設に使えるようにするという。まさに全国に放射能がバラ撒かれるのだ。除染は田畑や住宅の一部の処理であり、森林や山間部はそのままなので、雨や風で放射能は運ばれてくる。政府は福島除染に何ら有効な手を打てないでいる。
 三十年前起きたチェルノブイル原発事故では、いまだに三十キロメートル四方は立ち入り禁止で、原子炉は新たなコンクリートシェルターで覆うのが精一杯なのだ。それでも福島は安全だと言い続ける安倍を許すことはできない。

  ▼2章―3節 避難住宅支援打ち切り弾劾!

 いまだに県内外をあわせて十万人近い避難者が存在している。政府は福島が復興したかのように見せかけの帰還事業を進めている。強引に帰宅困難地域の指定解除をして帰還者を増やそうとしている。しかし、道路一本隔てただけで放射線量の高さが変わるといった線引きに何の意味があるだろうか。何よりも地域産業が破壊され仕事もないのである。そんな状況でどう生活せよというのだ。政府の理不尽極まりない無責任な対応を許してはならない。
 また、県外への自主避難者は全国に約一万五千世帯いるといわれているが、そうした人たちへの住宅支援をこの三月で打ち切ろうとしている。避難者の見殺しであり、許すことはできない。

  ▼2章―4節 増え続ける小児甲状腺がん

 小児甲状腺がんは増え続け、ついに百八十三人にも達している。かつて福島県立医科大学副学長の山下俊一は「甲状腺がんが増えたのは、スクリーニング効果、つまり子供たち全員を検査対象にしたため沢山見つかったのだ」とうそぶいていた。しかし検査を繰り返すたびに数が増えたためにそんなことは言っていられなくなっている。むしろ、白血病、心疾患などの病気が確実に増えているのだ。しかし福島県は公式には放射能との因果関係を認めていない。政府は子供たちの救済処置を優先して取り組め!

  ▼2章―5節 避難子供へのいじめを許すな

 いま全国で福島からの避難者の子供に対するいじめが増えている。きわめて差別的で許しがたい。
 横浜市に自主避難していた少年が不登校になり調査した結果、転校直後から名前に「菌」をつけて呼ばれたり、放射能がうつると暴行されたり、金を要求されたというとんでもないいじめを受けていたことが判明した。その後、似た事件が新潟県や千葉県など全国に広がっていることが分かった。こうした事態を徹底弾劾すると同時に、根底に潜む構造的問題を追及しなければならない。
 一つは、福島差別というべき事態が大人の世界に広がっていることだ。避難者が拡大するにつれて「放射能はうつる」とか「補償金をたくさん貰っているだろう」「福島の生産物は食べてはいけない」等々の福島を「忌避」する風潮が増大している。結婚差別まで起きている。問題は、政府がしっかりと福島の現状を説明しないからだ。もう何も問題がないような対応が、勝手な妄想、解釈を増幅させている。現に、教育現場でも対応できてないのだ。政治の責任は大きい。安倍政権の大嘘とデタラメな政策が差別といじめの問題を生み出しているのだ。

  ●3章 東電の責任を問う

 昨年十二月政府は次のような閣議決定をした。福島の事故対応費が総額二十一・五兆円になるので、その支援枠を十三・五兆円に増やすというものだ。これで三度目の東電救済策である。問題はその負担金を送電線使用料「託送料金」に上乗せるという点だ。すなわち新電力も含め電気を使う全ての人々に負担させるというのだ。さらに問題が上乗せさせられている、この負担金を福島原発事故以前四十年分を含むという点だ。東電が電気販売責任の全てを負うべきで、何の自己責任も無い者に負担させるなどどうして納得できるだろう。政府の無責任を徹底弾劾する。東電を解体してすべての賠償責任を果たさせるのが当然の道理だ。
 東電は、福島第二原発の廃炉宣言をしていない。福島に真に責任を負おうとしていない。あの世界最大規模の新潟・柏崎刈羽原発を再稼働しようと画策している。再稼働NOを言い続けてきた泉田前知事を脅迫して知事選から引きずり下ろした。しかし、泉田路線を引き継いだ米山新知事が勝利した。「民意」がどこにあるのかを東電は受け止めなければならない。
 一方で政府は、電力会社再編を目論んでいる。二十一・五兆円という予算はあくまで概算であり、廃炉に三十〜四十年かかることを見るなら支援金は青天井ともいえるのだ。東電の破産状況は目に見えている。柏崎刈羽原発を動かすために、他電力と連携させ東電色を薄めるといった、その場しのぎの手段も検討されている。東電の国有化も視野にいれた論議が始まっている。
 東電の福島原発事故責任を決して見逃してはならない。原発事故で死者はなかったなどと言っているが、避難と絶望と病気などで亡くなった「原発関連死者」は昨年段階で千三百人以上いることが公表されている。しかも年々増えているのが現状だ。犯罪企業東電を徹底追及していこう。

  ●4章 核燃料サイクルから撤退せよ

  ▼4章―1節 「もんじゅ」の問題点


 「もんじゅ」は六千億円かけて建設され、一九九一年に運転を開始した。これまで一兆円以上の資金が投入され、年間二百億円の経費がかかってきた。核燃料の永久使用が可能な「夢の原子炉」ともてはやされてきたが、実質稼働日は二百日ほどであり、その間危険な事故が多数起こっている。これまでどれだけ無駄な金を使ってきたか。「もんじゅの」廃炉は当然のことだ。

  ▼4章―2節 核燃サイクルの破たん

 高速炉は、核燃料棒を冷やすのにナトリウムを使用するため、水や空気に接触すると激しく反応して技術的にも難しい。日本でも大規模なナトリウム漏れ事故を起こしている。米英独はすでに開発から撤退している。日本はなぜ撤退できなかったのか。高速炉を使わないならプルトニウムの再処理もいらないのである。
 日本はすでに原爆六千発分、四十八トンのプルトニウムを所有している。「核燃サイクル」を維持するためには、青森・六ケ所処理場、プルトニウム抽出処理、高速炉などが必要なのである。プルトニウムとウランを混合した「MOX燃料」を主力としていきたい日本は、いかに危険で未熟であってもこのサイクルをやめるわけにいかないのだ。六ケ所でも核燃保有は70%以上が埋まり、数年で満杯になる。
 青森県は核燃サイクル処理がなくなるのであるなら、預かっている使用済み核燃料は各原発地に返すと言っている。しかし各原発地での保管プールもたまり続けており、再稼働をつづければ七年で満杯になると言われいる。この核のゴミをどうするのか。それでも原発を動かすというのは自ら破滅への道を歩むことでしかない。

  ▼4章―3節 新高速炉建設を許すな

 政府は「もんじゅ」の廃炉を決定しながら、新たな実証炉を建設・開発していくと発表した。なんという欺瞞的で反動的な決定であろうか。これまで巨額な費用をかけていながら、まだ続けるというのだ。フランスでもまだ正式に決定してない実証炉「ASTRID(アストリッド)」研究にも参画していくという。世界中に原発事故をばらまくことを許してはならない。

  ●5章 反原発運動の拡大を!

  ▼5章―1節 福島と結びついた闘いを


 福島原発事故は、周辺住民に大きな恐怖と甚大な被害をもたらした。丸六年たった現在でも状況は改善されてない。住民は「棄民」のように扱われている。核と人類は共存できないことを身をもって示している。国会周辺を十万規模のデモ隊が埋め尽くして「すべての原発を廃炉に!」「再稼働絶対反対!」の声が響き渡った。「福島を忘れるな!」は反原発運動の合言葉なのだ。福島を見たならどうして原発に賛成できるだろうか。「原発いらない福島の女たち」は全国に飛び出し、辻説法をおこない、福島の現状を訴え続けている。反原発の波は確実に全国に広がり裾野をひろげている。福島を風化させないし、東電に責任を取らせる、安倍政権のウソと無責任さを許さない。再稼働阻止を断固たたかおう。
 三月十八日、郡山市開成山陸上競技場で「二〇一七原発のない福島を! 県民大集会」が開催される。ともに連帯してたたかおう。東京では、三月十一日「3・11追悼と東電抗議大集会」(東電本店前・十四時〜)が取り組まれる。同日第二部として新橋駅前にて大リレートーク集会(十四時十五分)が行われる。また三月二十日には「さよなら原発」全国大集会(代々木公園)も取り組まれる。断固参加していこう。

  ▼5章―2節 原発立地と連帯して闘おう

 日本の原発は、過疎地を狙って作られ、金をばらまき、多額の特別交付金が供給された。無用な豪華な箱モノは作られたが、農漁業は破壊され、産業育成はなおざりにされ、仕事は原発労働といった地域社会が作られていった。「原子力マフィア」といわれた経産省、電力会社、原発メーカーが結託し独占して、原発を「金を生む木」として利益を得てきたのである。福島の原発過酷事故により「原発の安全で安心クリーン神話」は完全に吹き飛んでしまっている。
 原発立地や周辺自治体から公然と原発反対の声が沸き起こっている。原発に隣接する高浜町音海(おとみ)自治会では原発運転延長に反対する意見書が採択された。佐賀原発の三十キロメートル圏にある伊万里市や壱岐市では首長が反対している。以前伊方町で実施されたアンケート調査では再稼働反対が51%もあった。全国アンケートでも60〜70%の原発反対がある。鹿児島、新潟の知事選では脱原発を掲げた候補が当選している。鹿児島の三反園知事は、熊本大地震が収束していないので、川内原発を止めて、総点検すべきといったが、九電は問題ないと一蹴したのだ。新潟の米山新知事は、福島の真相と教訓が明確にされないかぎり柏崎刈羽原発の再稼働は認めないと明言している。安倍政権こそが民意をないがしろにしている。
 反原発運動の国会前や官邸前行動は一定落ち着いているが、原発立地を中心に確実に運動の裾野が広がっている。特に隣接する三十キロ圏内の地方自治体、十分な説明もなく、形式的な訓練の強要で終わらせようとしている原発行政に対して強い不信が生まれているのだ。原発はなくても電気が足りてることがハッキリしている。いまこそ全国共同して原発再稼働反対の運動を構築していこうではないか。

  ▼5章―3節 「経産省前テントひろば」への弾圧を許さず闘おう!

 二〇一六年八月二十一日、経産省前テントは突然強制撤去された。二〇一一年九月十一日設立から霞が関・経産省前にテントを張り、福島の現状と政府、東電の責任を追及し続けてきた。テントは「のど元に刺さったトゲ」とも言われ、全国の反原発運動を鼓舞する大きな力となってきた。川内原発再稼働の前には、薩摩川内市の久見崎海岸にもテントを張り、抵抗の拠点となった。いまもテントを維持し監視活動を担っている。
 しかし強制撤去後もテントひろばは健在である。毎日経産省前に座り込んでいる。経産省との院内ヒアリング(交渉)を継続し、エネルギー問題、核燃サイクル問題を追及し続けている。
 一月十六日、座り込みを担っていたMさんが突然拘束され、「建造物損壊」で逮捕された。「放火」で地下鉄入り口の植え込みと壁を焦がしたとデッチ上げ、マスコミを使い「テントのテロ行為か」などどデマキャンペーンを張ったのだ。タバコの火の不始末程度のことだ。すぐに事務所、個人宅にガサ入れが強行された。しかし、当然起訴などできずMさんは一月二十七日釈放された。経産省はすぐさま「放火事案が発生しました」なる看板を出して、テントひろばの座り込みを止めるよう牽制した。テント側はすぐに『声明』を出し、今回の事件がテントひろばをつぶそうとする不当逮捕、デッチ上げ逮捕であると反撃した。霞が関のど真ん中で反原発を訴え続けるテントひろばを防衛し、連帯していこう。

  ▼5章―4節 安倍政権の核武装化を許すな

 「戦争法」成立を強行した安倍政権は、沖縄・高江のオスプレイパッド建設を暴力的に推し進め、南スーダン自衛隊派兵を強行した。いまや憲法改悪、辺野古新基地建設強行、共謀罪新設へと雪崩をうって突き進もうとしている。アベノミクスの破たんは明確で、貧困と格差の拡大はますます進んでいる。韓国、中国、ロシアとの外交関係は、安倍の思惑とはまったく異なって頓挫している。
 安倍の本音は、「核武装」にある。かつて安倍は「核兵器であっても、自衛のための必要最小限にとどまれば、保有は憲法の禁止するところではない」と述べていた。新自由主義グローバリズムをもって資本主義体制が生き延びるためには圧倒的な軍事力による世界市場への介入が必要なのである。もはや技術革新や金融資本の強大化だけで資本主義は展望を持てないのだ。トランプ政権は、アメリカ資本主義が排外主義と保護主義でしか防衛できないほど破たんしていることを指し示している。安倍も本質はトランプと変わらない。戦争のできる普通の国家になることが必要と考えているのだ。一方が憲法改悪であり、もう一方が核武装化なのである。核保有国が国連安保理常任理事国を占め、世界を牛耳っている現在の世界体制の中で、日本も核武装化することで生き延びようと考えているのだ。ゆえに原爆の材料であるプルトニウム確保が必須なのである。原発の再稼働を強引に推し進める安倍政権を一刻も早く打倒しようではないか。

  ▼5章―5節 国際連帯で反原発を闘おう

 安倍政権が重要視する政策の一つは原発の輸出である。当初から安倍は、原発輸出を経済成長戦略の要と位置づけ、トルコ、UAE、ベトナム、インドへとみずから世界に売り込んできた。安倍は原発を売らんがために、「核のゴミ(放射性廃棄物)」は、全部日本が引き取る約束をしているのだ。また原発事故が起きたら日本のすなわち、私たちの税金で保障することも約束しているのである。日本はすでに放射能のゴミで満杯である。福島事故の補償はいつ終わるとも知れない状況ではないか。
 ベトナムは、経済的に負担が大きいという理由で建設が中止された。インドと結んだ原子力協定に問題ありとの声が高まっている。インドは核拡散防止条約(NPT)に加盟していない。もし核実験などを再開したらどうするのかといった問題があいまいにされ、とにかく協力停止するとしか言われていないのだ。これでは核兵器を輸出したのと同じではないか。安倍政権の原発輸出政策を徹底的に批判しなければならない。
 世界では、脱原発の動きが加速している。ドイツ、イタリアなどヨーロッパでは、脱原発化が進んでいる。アジアでは、ベトナムが原発建設を断念した。そして画期的なこととして、台湾が二〇二五年までに原発をすべて止めると宣言した。韓国でも福島事故により放射能が流れたこともあり「脱核(反原発)」運動が活発化している。韓国、中国、日本が連携して反原発運動をたたかうことは大きな意味がある。放射能に国境はない、世界が福島事故を教訓化して脱原発に動いているのである。反戦・反核・反原発を国際連帯でたたかおう。
 「3・11福島を忘れるな!」を合言葉に、3・11東電抗議、3・18福島県民大集会、3・20「さようなら原発」大集会が取り組まれる。安倍政権にNO! 再稼働絶対反対の声を上げよう!


 

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