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   ■天皇即位・代替わり攻撃と対決しよう

                                           野村興起




 

 天皇アキヒトの退位、ナルヒトの即位まで半年を切った。
 安倍右翼反動政権は、二〇一九年天皇退位・即位を国家式典として強行する攻撃に踏み込んでいる。秘密保護法、戦争法、共謀罪法を強行可決し、今や改憲に着手しようとしている安倍政権は、その戦争国家づくりの総仕上げの環として、天皇代替わりを位置づけている。
 さらに、新天皇の即位日を労働者階級の国際的祭典である5・1メーデーにぶつけてきた。「祝賀」を強制し労働組合の活動に敵対するものだ。
 日本労働者階級人民は、みずからの未来をかけ、安倍政権による戦争国家づくりの総仕上げとしてある、一九年天皇代替わり攻撃粉砕、改憲阻止を闘いぬこう。
 天皇戒厳令弾圧、右翼ファシストの襲撃・敵対をうちやぶり、左派・反帝派は団結し、共に天皇代替わり=10・22ナルヒト即位・国家式典粉砕に全力で立ち上がろう。5・1メーデーを断固として貫徹しよう。

 ●1章 安倍改憲と一体の天皇元首化を許すな

 ▼1章―1節 天皇代替わりの「祝賀」強制許すな


 天皇アキヒトの「おことば」による退位表明(一六年八月八日)を受け、安倍政権は昨年六月通常国会において、天皇退位特例法を全会一致で成立させた。
 本年一〇月一二日には、政府の式典委員会初会合(委員長は安倍)が開かれた。首相・安倍は、皇太子ナルヒトが新天皇に即位する一九年五月一日(「剣璽(けんじ)等承継の儀」、「即位後朝見の儀」)と、即位の礼の中心儀式である「即位礼正殿の儀」が行われる一〇月二二日を、一回限りの祝日とする方針を表明した。祝日法の規定によって、四月二七日から一〇連休となる。安倍はこれを特別法案として今臨時国会に提出し成立を目指すとしている。
 一〇月二四日に第一九七臨時国会が召集された。安倍は衆参本会議において所信表明演説を行い、「歴史的な皇位継承まで残り半年余りとなりました。国民がこぞってことほぎ、世界の人々から祝福されるよう、内閣をあげて準備を進めてまいります」と語り、すべての日本人民に天皇即位を「祝う」ことを強制している。
 これらアキヒト退位―ナルヒト即位の一連の天皇代替わり儀式が、「国家的祝賀行事」として開催されようとしている。新天皇即位祝賀の一大キャンペーンが、マスコミなどを通じて垂れ流されつづけていく。すでに、その前段として、高円宮絢子(アキヒトの叔父の三笠宮の孫)の結婚などを通じ、皇族賛美のキャンペーンは始まっている。結婚一時金として一億六七五万円が支払われる。人民からむしり取った税金だ! 労働者階級人民を「奉祝」報道で「天皇漬け」にし、階級性を解体して国民統合をはかろうとする天皇制イデオロギー攻撃を許してはならない。

 ▼1章―2節 改憲―天皇元首化を許すな

 安倍は所信表明演説冒頭で、「今こそ、新しい日本の国創りをスタートする時」「強い日本。それを創るのは……私たち自身」「激動する世界を、そのど真ん中でリードする日本を創り上げる」と語った。
 この国家主義を強調する演説は、安倍右翼反動政権がスローガンとして掲げていた「戦後レジームからの脱却」をさらに進め、国家・社会の反革命的改造に本格的に踏み込む決意表明だといえる。安倍は自らの悲願である改憲実現のため、敗戦帝国主義としての制約を取り払い、戦後一貫して日帝ブルジョアジーにとって「足かせ」となっていた「主権在民、平和主義、基本的人権の尊重」という戦後憲法の基本原則を根底的に破壊しようとしているのだ。
 安倍は同演説において、「憲法審査会において、政党が具体的な改正案を示すことで、国民の皆様の理解を深める努力を重ねていく」とも語り、今臨時国会で自民党改憲案を憲法審査会に提示する意志を鮮明にした。さらに安倍は、「あるべき姿を最終的に決めるのは国民。私たち国会議員の責任を共に果たそう」と述べ、改憲国民投票の実施を訴えた。
 安倍改憲は国家再編への突破口だ。安倍政権は、「自民党憲法改正草案」(二〇一二年 以下、「改憲草案」)からも明らかなように、戦後憲法の基本原則を一八〇度転換し、国家権力を拘束する憲法から、人民を拘束する憲法――「国家・公益」を全面的に押し出した憲法――へと変更しようとしている。
 その最大の表れが、第一条=天皇条項の改悪である。「改憲草案」では、天皇の規定について、これまでの「象徴」にかわり、「国家元首」とすると明文化されている。これは「天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬(そうらん)」するとした、大日本帝国憲法(一八八九年)第四条の規定と同じである。安倍のいう「新しい日本の国創り」とは、天皇を元首とする国家への回帰(「神権天皇制」国家)を意味する。
 安倍改憲案は、「改憲草案」をそのまま提示するわけではない。安倍は、改憲の突破口として、「改憲四項目」(九条改悪、緊急事態条項追加、教育無償化、参院選合区の解消)を先行的に進めようとしている。当面の安倍改憲をめぐる攻防は、「改憲四項目」を中心としたものになっていくであろう。
 だが、「改憲四項目」は、「現実的な改憲のやりやすさ」から優先されたものに過ぎない。自民党は、「改憲草案」を取り下げたとはこれまで一言も言っていない。安倍は「改憲四項目」による先行的改憲を突破口に、「改憲草案」をベースとした全面的な改憲攻勢を仕掛けてくることは間違いない。
 安倍政権は、再び天皇を元首とし、日本労働者人民を「臣民」とする、国家の形(ありよう)を根本的に変えていこうとしている。改憲発議と、天皇代替わりを同時期に強行しようとする攻撃には、当然にも労働者人民に天皇賛美を強制することが仕組まれている。「元号」「国旗・国歌」の強制攻撃が改めて強化されてくる。そして、日本会議など極右勢力は、「ファシスト突撃隊」として、安倍改憲を強力に後押ししてくるだろう。

 ●2章 安倍独裁政権を支える日本会議・神政連

 ▼2章―1節 安倍政権を支える極右―日本会議


 第四次安倍改造内閣では、閣僚二〇名のうち一五名が日本最大の極右組織である日本会議(にっぽんかいぎ)に所属しており、改憲強行突破シフトが鮮明だ。一三年に「改憲手法をナチスに学ぶべき」と言い放った麻生太郎は財務相に留任、「教育勅語を道徳授業でアレンジして利用」と放言した柴山昌彦を文科相に任命した。また、一六年一月に「慰安婦は公認の娼婦」なる暴言を吐いた桜田義孝を五輪相に起用するなど、第四次安倍改造内閣は、極右国家主義、民族排外主義丸出しの連中によって占められている。
 日本会議は、一九六〇年代に元号法制化運動や、七六年「昭和天皇在位五〇年式典」、八六年「天皇在位六〇年式典」などの天皇奉祝運動、あるいは「偏向教科書」攻撃などを進めてきた右翼組織である「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」が合同し、九七年に結成された。
 日本会議は、「誇りある国づくり」をスローガンに、「①美しい伝統の国柄を明日の日本へ、②新しい時代にふさわしい新憲法を、③国の名誉と国民の命を守る政治を、④日本の感性をはぐくむ教育の創造を」などを基本運動方針としてかかげている。これまで天皇即位二〇年奉祝運動、国旗国歌法制化運動、靖国神社二〇万人参拝運動、自衛隊イラク派遣激励運動、尖閣諸島(ママ)を守る国民運動、夫婦別姓反対運動、外国人参政権反対運動などを展開してきた。日本会議の会員は二〇一五年時点で三万八〇〇〇人だ。
 日本会議は、ほぼ同時期に結成された、衆参合わせて二八一名(二〇一六年時点)が所属する、日本会議国会議員懇談会(日本会議議連)と緊密に連携している。日本会議議連所属の国会議員は、衆参議員七一七名中の約四割に達している。安倍自民党は、事実上日本会議によって牛耳られているといっても良いだろう。
 安倍政権は、秘密保護法や戦争法、共謀罪など、反動立法の数々を、人民の反対の声を一切無視し、野党の追及にはデタラメ答弁を繰り返しながら、最後は「数の力」によって、次々と強行採決させてきた。このような安倍政権の独裁的手法は、改憲・戦争の道を突き進む極右・日本会議議連の伸長によってこそ可能となっているのだ。
 安倍を筆頭とした日本会議議連の連中によって、民主主義や基本的人権、三権分立、少数意見の尊重といった「戦後民主主義」的な原則――安倍流の表現では「戦後レジーム」――は名実ともに破壊され、「行政権力による歯止めのない完全な〈お手盛り〉」(菅孝行氏)へと取って代えられたのだ。
 また、日本会議は、基本運動方針の実現のため、課題ごとにフロント団体を立ち上げる、あるいは、既存の運動体を支援している。極右「ジャーナリスト」の櫻井よしこらが進める改憲運動体=「美しい日本の憲法をつくる国民の会」や、「明治の日推進協議会」、「みんなで靖国神社に参拝する国民の会」などがそれである。課題ごとに運動団体を立ち上げ、署名活動や地方議会などでの決議、意見書採択などの運動を行っている。それはファシズム大衆運動といえる。そして、この日本会議を財政や動員などで強力に支えているのが神道宗教集団である。

 ▼2章―2節 主柱としての神道宗教集団

 日本会議の主柱は、伊勢神宮を本宗とし、全国に八万以上存在している神社を包括する、神社本庁を頂点とした神道宗教集団だ。神道系や仏教系新興宗教教団も多数日本会議に所属している。
 神道神社は、明治維新から一九四五年の敗戦まで、つまり日本帝国主義の成立から敗北まで、国家からの手厚い庇護を受け、一貫して天皇中心主義、軍国主義体制を下支えしてきた。その役割は、人民を天皇制・天皇制イデオロギー(国家神道)のもとに統合し、侵略戦争へと駆り立てる〝駆動装置〟というべきものであった。
 日帝の敗戦後、連合軍総司令部(GHQ)の「神道司令」によって、いったんは国家と神道神社とは分離されたのだったが、実態としての神社や神道宗教集団は解体されることなく存在し続け、戦後体制への不満と国家神道復活の野望は水面下でくすぶり続ける。
 そして六〇年代になり、「紀元節=建国記念の日」制定運動などを通じ、政治活動を公然化していくことになる。
 一九六九年に「日本の歴史・文化・伝統を後世に伝えること」を活動目的にして神道政治連盟(神政連)が結成された。神政連中央本部は神社本庁と同じ場所にあり、神道宗教集団の政治団体そのものである。
 神政連は、「①世界に誇る皇室と日本の文化伝統を大切にする社会づくりを目指します。②日本の歴史と国柄を踏まえた、誇りの持てる新憲法の制定を目指します。③日本のために尊い命を捧げられた、靖国の英霊に対する国家儀礼の確立を目指します。④日本の未来に希望の持てる、心豊かな子どもたちを育む教育の実現を目指します。⑤世界から尊敬される道義国家、世界に貢献できる国家の確立を目指します」(神政連ウェブニュースより)というものである。
 現在神政連は、神社などを通して、改憲一〇〇〇万人署名運動を強力に推進している。明治神宮など有名神社の豊富な資金力と、全国八万以上の神社を背景にした巨大な動員力を有している。それは自民党の大票田ともなっている。
 第四次安倍改造内閣では、公明党の石井啓一国土交通相を除いて全員が神政連国会議員懇談会に所属している。天皇を「現人神」(あらひとがみ)とし、絶対的存在として信奉してきた神道宗教集団が、敗戦後七〇年を経て再び日帝政治権力を握るに至ったのである。

 ▼2章―3節 日本会議を支える元「生長の家」系活動家集団

 日本会議の中枢は、「生長の家」系の極右学生運動出身者によって占められている。
 「生長の家」は、一九三〇年に谷口雅春によって創設された新興宗教だ。その教義は、仏教、神道、キリスト教その他のさまざまな要素が取り込まれているが、強烈な反共主義と天皇崇拝、自民族中心主義(エスノセントリズム)を特徴としていた。
 作家の三島由紀夫や、一九七〇年に「盾の会」として三島とともに陸自市ケ谷駐屯地(当時)で自刃した森田必勝(まさかつ)などが谷口信奉者であったという。そして元防衛大臣の稲田朋美(現自民党筆頭副幹事長)もまた谷口信奉者であることを公言している。
 一九六六年に、生長の家信者の子弟によって結成されたのが「生長の家学生会全国連合会」(生学連)だ。この生学連が「民族派全学連」結成を目的にして、全国学生協議会連合(全国学協)を結成し(六九年)、全学連・全共闘が主導した七〇年安保闘争や、全国学園闘争などに全面的に敵対してきたのである。そして七〇年には全国学協のOBらによって、「日本青年協議会」(日青協)が結成された。
 これら生長の家系極右学生・青年運動の中から、日本会議の中心的活動家が多く輩出されている。日本会議事務総長の椛島有三や、安倍のブレーンである首相補佐官の衛藤晟一、日本会議政策委員の伊藤哲夫、戦争法合憲を唱えた百地章(同政策委員)らである。
 彼らは現在、日本会議の政策や実務を中心で担っている。そればかりではない。日本会議は、権力中枢=首相官邸へと入り込み、安倍のブレーンとして政権を支えているのである。官僚の人事権を掌握した上で、解釈改憲や諸反動立法強行制定による国家再編=「上からのファシズム」を組織しているのだ。
 他方において、日本会議は神道宗教集団の組織力を総動員して、改憲一〇〇〇万署名運動をはじめとする「下からのファシズム運動」も組織している。
 日本会議は、「このような憲法改正の機会は戦後七〇年において初めて起こったこと……与えられたチャンスは一度と定め……チャンスを確実にする戦いを進めていきたい」(日青協機関誌『祖国と青年』椛島事務総長)と、この機会を「改憲実現の決戦」として位置付けている。そして現在、神社本庁の協力のもと、地方議会での改憲意見書採択や、「今こそ憲法改正を! 一万人大会」などの中央闘争を波状的に展開している。
 日本会議の改憲攻勢と安倍改憲攻撃とは完全に一体のものである。日本労働者階級人民は、日本会議に支えられた安倍改憲攻撃を断固として阻止していかなければならない。

 ●3章 開始された天皇戒厳令―予防拘禁・治安弾圧の激化

 日帝国家権力による、「テロ対策」を名目とした治安弾圧が日常化している。そして、安倍政権の戦争国家化に反対してたたかう労働組合や、反天皇をかかげた運動体や組織に対する共謀罪型弾圧―予防拘禁がすでに開始されている。

 ▼3章―1節 警察・極右主義者一体の関生支部大弾圧を許すな

 日帝政治警察は、昨年一二月に輸送ゼネストを闘った全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部(関生支部)に対し、「威力業務妨害」や「強要未遂」などをでっち上げ、八月九日、二一日、九月一八日と波状的な不当逮捕を強行した。被弾圧者が二〇人を超える大弾圧である。
 関生支部は、これまで産業政策運動や産業別労働運動を戦闘的に闘いぬいてきた。そして、安倍政権による戦争と改憲攻撃に真っ向から立ち向かい、辺野古新基地建設反対、岩国基地大強化反対、京丹後Xバンドレーダー基地反対などの反戦反基地闘争や、戦争法反対闘争を闘いぬいてきた。また、〇八年洞爺湖サミット反対闘争、一六年伊勢志摩サミット反対闘争などの、帝国主義グローバリゼーションに反対する国際的な闘いにも取り組んできた。
 日帝国家権力は、来年五月一日のメーデーつぶしの天皇即位式典や、六月大阪G20サミット反対闘争を事前に封じ込め、階級的労働運動の先頭でたたかう関生支部の解体・根絶を狙い、でっち上げによる大量不当逮捕に踏み込んできたのである。
 今回の関生支部大弾圧の特徴は、大手ゼネコンの意を受けた大阪広域生コン協同組合執行部が、ネオナチ信奉者の瀬戸弘幸らファシストを使い、でっち上げ大弾圧を強行していることだ。瀬戸は元在特会会長の桜井誠らが立ち上げた「日本第一党」の顧問だ。
 瀬戸らは、自作自演の芝居で「被害届」を出し、ヘイトデモ抗議活動参加者を警察に売り渡すという卑劣極まりない集団だ。逮捕の際には、その模様がヘイト集団によりインターネットで実況中継されている。警察権力から逮捕の情報が事前にヘイト集団へとリークされていることは明白だ。権力と極右排外主義集団が結託した関生支部つぶしを絶対に許してはならない。
 もう一つの特徴は、この関生支部大弾圧には、公安警察以外にも、組織犯罪対策課が乗り出してきていることだ。関生支部の組合活動を、マスコミを使って「暴力団と同じ反社会的集団」として描き出し、社会的に孤立させ解体しようとする意図が明白である。
 極右レイシスト集団、警察権力一体となった戦闘的・階級的労働運動解体攻撃を粉砕し、団結の裾野を拡大し、反撃していかなければならない。

 ▼3章―2節 権力弾圧・右翼の排外主義襲撃を打ち破ろう

 前回の天皇「代替わり」では、約二年間にわたり、全社会的な「服喪」と「奉祝」が強制された。ヒロヒトの病状悪化後(八八年九月)、テレビ番組からは、お笑い番組や歌謡番組などが「自粛」によっていっせいに消え去った。そして、ヒロヒトの日々の容体が、死去までの間(八九年一月七日)テレビで逐一放映され続けた。「大喪の礼」には三万二七〇〇人の機動隊が動員され、「天皇戒厳令」といえる警備体制が敷かれた。
 今回は、「生前退位」であり、前回代替わり時の長期にわたる「服喪」強制から、その後の新天皇即位=「奉祝」強制という形とはならない。アキヒトが「天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務め」(一六年8・8「おことば」)と語った、「象徴天皇」としてのアキヒトの「功績」を賛美するキャンペーンが全面化していくことになる。
 だが、全社会に天皇即位奉祝を強制し、これに異を唱える者を「異端者」=「非国民」として社会的に排除し、反対の声を一切封じ込めるという、天皇制の持つ暴力的本質は何も変わらない。
 すでに、天皇戒厳令型弾圧は始まっている。一〇月一七日、大阪府警公安は、反天皇闘争をたたかう仲間に対して、「詐欺罪」でっち上げによる全国八か所への不当家宅捜索を強行した。これは「明治一五〇年政府式典粉砕! 10・23全国集会&デモ」直前弾圧であると同時に、天皇代替わり・即位式典に対する事前弾圧でもあることは明らかである。
 代替わり過程においては、警察権力による「天皇警備」を名目にした、検問や職務質問・所持品検査、交通規制などが常態化し、市民生活を著しく制限・圧迫していくであろう。反戦や反天皇をたたかう活動家に対する尾行や監視なども強まるのは確実である。
 そして、一九年天皇代替わり警備体制は、そのまま「テロ対策」の名のもとに、その後の六月大阪G20サミット、そして二〇年東京オリンピック・パラリンピックへと引き継がれていくことになる。これは戒厳令型の治安弾圧体制という「非常事態」状況が長期にわたり「日常化」していくということを意味する。これらは「改憲四項目」でいう緊急事態条項の先取り的適用であるといえる。
 そしてまた、極右・排外主義集団による、たたかう人民への襲撃・テロが激化している。二〇一六年一一月二〇日に行われた、吉祥寺での「天皇制いらないデモ」に対して、大動員された右翼による襲撃が強行された。デモ隊列に殴りこみをかけ、前歯を折るなどの暴行を働く、宣伝カーのフロントガラスを破壊する、横断幕を強奪するなどの許しがたい暴力的襲撃が、デモ警備の警察の面前で公然と行われたのだ。警察官はこれらの襲撃者を規制・逮捕することなく、黙認したのであった。警察権力・右翼ファシスト一体となった反天皇闘争への襲撃・暴力的破壊を断固はねかえしていかなければならない。

 ●4章 天皇制攻撃と対決し、代替わり式典粉砕

 安倍右翼反動政権は、日本会議・神政連を組織的背景に、「今こそ、新しい日本の国創りをスタートする時」という号令のもと、国内体制の全面的な解体再編へと突き進んでいる。それは、「①議会の一層の空洞化の推進と行政・執行権力の肥大化、②新たな階級支配の構造、労働者階級としての結合の解体と国家による直接的な支配、③資本・民族の利害への徹底した組織化、④これを実現するうえでの不可欠なイデオロギーと運動をつくる」(『戦旗』一五二五号「天皇『代替わり』攻撃粉砕」 並木論文)ことを基本的特徴としており、ファシズム化の攻撃だといえる。
 トロツキーは、ファシズムを、「ただ単なる弾圧や、暴力、警察テロなどの制度ではない。それは、ブルジョア社会の中にあるすべてのプロレタリア的民主主義の要素を根絶することによって成立する、特殊な国家的制度なのである。ファシズムの任務は、ただプロレタリア前衛を打破することにあるのではなく、すべての階級を、強制された細分化状態の中に維持してゆくことでもあるのだ。そのためには、もっとも革命的な労働者層の、肉体的破壊だけでは不十分なのである。すべての独立した、自由な組織を破壊し、プロレタリアートのあらゆる支点を無に帰せしめ、その上、社会民主主義と労働組合の、四分の三世紀にわたる仕事の成果を粉砕してしまわなくてはならない」(トロツキー 社会ファシズム論批判『次は何か』)と規定しているが、前記の安倍政権の攻撃の特徴と極めて類似している。
 安倍右翼反動政権による、戦後民主主義破壊の次に来るものは、統治形態のファシズム的な転換である。
 とりわけ、天皇代替わり儀式は、安倍政権によって、天皇元首化への重大な跳躍点として位置付けられている。たとえアキヒトが「平和主義」や「護憲」を主張したとしても、統治形態としての天皇制のもつ国民統合イデオロギー機能(国家イデオロギー装置)としての本質は変わらない。菅孝行氏がいうように、「国政の権能を持たない天皇は、個人としては安倍に強い批判を抱いて行動しても、国民の明仁への共感はガス抜きとしてのみ機能し、天皇は権力の荘厳化、異端狩りの権威付けに、制度的に使いまくられる。天皇代替わりの儀式でも、オリンピックでも、改憲憲法の発布でも、権力に好き勝手に道具にされる」(『戦旗』一五〇九号寄稿「民主主義の荒廃に抗して 安倍内閣の醜状から天皇制廃絶を考える」 菅孝行論文)のである。
 日本共産党は、野党共闘路線を進める中で、帝国主義社民化を一層進めており、天皇制批判を限りなく後景化させている。そして機関紙『赤旗』に元号表記を加えるなど、天皇制への屈服を進めている。
 安倍打倒をかかげる自称「リベラル」派内でも、天皇・天皇制をめぐる議論は混乱している。それは、天皇アキヒトを安倍独裁政治と対決する「シンボル」として称賛し、積極的に自らを「天皇主義者」(内田樹)と称する部分まで存在する極めて否定的な状況といえる。
 われわれは、天皇代替わり儀式=天皇賛美・奉祝強制反対闘争を、日帝国家権力の統治形態の再編=天皇制ファシズム攻撃の重大な突破口としてとらえ、権力弾圧・極右排外主義襲撃集団の敵対を打ち破り、広範な左派の共闘強化・拡大を進めながら闘いぬいていく。
 4・30アキヒト退位―5・1ナルヒト即位礼粉砕、10・22ナルヒト即位・国家式典粉砕をかかげて共に闘おう。天皇代替わり「祝賀」の国家式典を粉砕しよう。反天皇の政治闘争に断固として立ち上がろう。全国各地で祝賀式典粉砕の集会・デモ、街頭行動を闘い抜こう。
 また、階級的労働運動が粘り強く取り組んできた、5・1メーデーつぶしを目的とした代替わり攻撃を打ち破るため、5・1メーデーの貫徹に向けて職場・地域での闘いを推進していこう。
 日本労働者階級人民の未来をかけ、改憲阻止、天皇制ファシズム攻撃粉砕、安倍政権打倒の闘いに共にたちあがろう。

 

 

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