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   ■安倍政権の排外主義外交を許すな

 日本軍性奴隷制度の謝罪と賠償を

        共に反戦・女性解放を闘おう

                                    女性解放委員会




 一月二八日、日本軍性奴隷制度の被害者として証言活動を行ない、平和・人権活動家として世界を駆け巡るなど、最後まで闘い続けてこられた金福童(キムボクトン)さん(九三歳)が逝去された。心より哀悼の意を表したい。金福童ハルモニは、加害責任を認めようとしない日本政府に対する闘いはもちろんのこと、「日本で在日同胞が今も差別に苦しんでいるのを見て、申し訳ない気持ちでいっぱい」と日本の朝鮮学校無償化排除の問題などにも心を痛め、晩年まで朝鮮学校への支援を惜しまなかった。
 二〇一七年一二月一六日亡くなった宋神道(ソンシンド)さん(九五歳)、二〇一八年三月三〇日安点順(アンジョムスン)さん(九〇歳)、同年七月一日金福得(キムボクトゥク)さん(一〇一歳)、十二月五日亡くなった金順玉(キムスノク)さん(九六歳)……。公式に名乗り出て韓国政府が登録した被害者のうち二〇一五年「日韓合意」当時の生存者はわずか四七名。この三年間だけで実に二四名が日本政府の真摯な謝罪と法的賠償を受けることなく死去し、残る生存者は二三名となった。
 「日韓合意」を破棄に追い込んできた被害当事者と韓国民衆の闘いに応えるためにも、私たちは一日も早く安倍政権を打倒しなければならない。

●1章 「日韓合意」から三年―「和解・癒し財団」が解散

 二〇一五年一二月二八日、突然発表された「日韓慰安婦合意」から三年が過ぎようとしていた昨年一一月二一日、韓国政府は12・28「日韓合意」によって設立された「和解・癒し財団」の解散(女性家族部長官の職権による法人設立許可の取消し)を発表した。
 安倍首相は慌てふためき「国際約束が守られなければ、国と国との関係が成り立たなくなる」と騒ぎ、日本のマスコミは「日本から受けた一〇億円はどうなる?」と騒いだ。
 しかし、被害当事者と韓国民衆は、12・28「日韓合意」こそが、日本軍性奴隷制問題の正しい解決を不可能にさせていると主張してきた。今回の「和解・癒し財団」解散発表を受けて「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」は、同日付の声明で、「和解・癒し財団の解散で、二〇一五年韓日合意は無効化された。日本政府は二〇一五年韓日合意を云々せず、被害者の要求に一致するよう日本軍性的奴隷制問題を正しく解決せよ!」と日本政府に要求している。
 正義連は、「韓国挺身隊問題対策協議会」と、二〇一六年六月に二〇一五「日韓合意」の無効・日本軍性奴隷制問題の正しい解決のために設立された「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団」が二〇一八年七月に統合して作られた財団である。
 二〇一五年12・28「合意」以降の三年間を簡単に振り返ってみよう。
 被害当事者と何らの相談もなく突然発表された「日韓合意」以降、被害当事者と韓国民衆運動からの強い批判にもかかわらず、二〇一六年六月には日本拠出金一〇億円によって「和解・癒し財団」が設立された。
 いわゆる「慰労金」の支給が始まろうとする一〇月三日、安倍首相は国会答弁の中で、「和解・癒し財団」が求めていた被害者への謝罪の手紙を添えることは「毛頭考えていない」と拒否した。この発言は韓国で大きく報道され、12・28「合意」に含まれていると言われていた日本の謝罪は跡形もなく消え去ったとハンギョレ新聞は述べている。
 この直後から「和解・癒し財団」は、被害者に対する支給を強行したが、その支給過程は、何の原則もなく混乱を極め、日本政府のいう「慰労金」の本質を示すものとなった。分割支給と称して各人に異なる金額を振り込み、使途まで確認して受け取りを強要するもので、はなはだしい場合は受取りを拒否している被害当事者が知らないうちに家族の口座に振り込んだケースまで指摘されている。財団関係者複数名が家族同意なしに押しかけ、金を受け取れと強要し、その結果、金福得ハルモニが入院する騒ぎもあった(財団側は否定)。
 この時期は、ちょうど朴槿恵(パククネ)・崔順実(チェスンシル)ゲートが暴露され、ろうそく集会が始まり、一挙に一〇〇万人の決起に拡大したころだ。韓国民衆は、一年前の晴天の霹靂のような12・28「合意」は朴槿恵・崔順実ゲートの一部だと確信し、ろうそく集会のなかで被害当事者抜きの「合意」を糾弾した。
 さらに、「日韓合意」を褒めたたえた米国の対応からも見て取れるように、この合意は米日韓の三角軍事同盟づくりに利するものだ。それを裏付けるように、朴槿恵弾劾訴追案が韓国国会で決議される直前(朴槿恵政権はすでに死に体)の一一月二三日に日本政府は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を秘密裏に締結させた。
 その後、半年にわたってろうそく集会に結集した巨万人民の力で朴槿恵は弾劾・罷免され、二〇一七年五月文在寅(ムンジェイン)政権が発足する。直ちに外務長官直属の「韓日慰安婦被害者問題合意検討タスクフォース」が組織され、ろうそく集会の最大の要求の一つであった「日韓合意」の再検証が始まった。
 五ヵ月にわたる再検証を経て、二〇一七年一二月二七日に検証結果が公表され、「日韓合意」が被害当事者を無視して強行されたことが全面的に明らかになった。
 「合意」は直ちに破棄されるべきものだということが明らかになったにもかかわらず、文在寅政権は外交的摩擦を避けようとした。これに対して被害当事者たちは、タスクフォース報告の後続措置を直ちに実行するよう強く求めた。「和解・癒し財団」を統括する韓国女性家族部は二〇一八年七月二四日、日本政府の拠出金一〇億円に相当する一〇三億ウォンを国家予算の予備費から支出する予算措置を決定した。これによって、混乱の中で慰労金を受け取った被害当事者も、受け取りを拒否している被害当事者も、真の謝罪と法に基づく賠償を受けることができる。
 しかし、日本政府は交渉に応じず、日本拠出金一〇億円は「両性平等基金」がそのまま保管している状態だ。この段階で「和解・癒し財団」は、何の活動もしない状態となり、形だけは残ったが実際には死んだといえる。財団を一日も早く解散させ「日韓合意」以前の状態に戻すことを、被害当事者と韓国民衆は強く要求し続けた。多くの被害当事者のハルモニたちが病床に伏し、次々と亡くなっていく中でも、金福童さんが政府庁舎前で「和解・癒し財団、即刻解散せよ」の一人デモを続け、多くの著名人や市民がそれに合流した。文在寅大統領は昨年九月の国連総会演説で、「韓国は『日本軍慰安婦』被害を直接経験した」と言及し、一一月二一日「和解・癒し財団」の解散決定が発表された。しかし、一〇億円の日本への返還交渉に日本政府は応じようとしていない。
 このように見てくると、昨年来のいわゆる「レーダー照射問題」などで安倍が取ってきた理解不能な強硬姿勢は、「日韓関係が悪化しているから交渉に応じない」という卑怯きわまりない自作自演だと分かる。

●2章 安倍政権は真摯な謝罪と補償を行なえ

 昨今の日本政府とマスメディアの対応を振り返ってみよう。
 昨年八月一六、一七日スイスのジュネーブで行なわれた国連人種差別撤廃委員会では、四年ぶりとなる対日審査が行なわれた。LGBT差別問題を居直った自民党・杉田水脈衆院議員が厚顔無恥にもこれに参加していたという。
 日本は同委員会で、在日韓国・朝鮮人をはじめとするマイノリティへの差別・ヘイトスピーチをめぐる法整備など、複数の項目について各国から鋭い追及を受けた。その中で当然ながら「慰安婦問題」についても、「日韓合意」に対する批判の声があがった。「なぜ慰安婦被害者が満足する形で日本政府が謝罪と補償ができないのか理解できない」(アメリカのガイ・マクドゥーガル委員)、「慰安婦問題を否定するいかなる企みをも日本政府ははっきりと非難するよう勧告されている。残念ながらここでもそうした否定の動きが見られる」(韓国のチョンジンソン委員)など、厳しい追及を受けた。
 これに対し日本政府代表として回答した外務省の大鷹正人国連担当大使は、「日本は慰安婦問題を否定しておりません」と「慰安婦問題の否定」を否定する前置き発言をしながら、つづけて故吉田清治と朝日新聞の事実捏造論を持ち出した。「(吉田清治著『私の戦争犯罪』と朝日新聞の強制連行報道は)完全に想像の産物であったことが証明されておりますし、(中略)この経緯については十分知られていないんじゃないかというふうに思います。あるいはある意味でちょっと無視されている、ネグレクトされているのではないかというふうに感じることがあります。ぜひとも、この慰安婦の問題については、客観的な見方をしながら議論する、評価していくということをやっぱりやらなければいけないと思っています」と、とんでもない発言で返したのだ。
 未だに、「慰安婦」問題すなわち日本軍による強制性は、吉田清治証言と朝日新聞報道が「捏造」した「空想の産物」に依拠していると歪曲することで、人権侵害や加害責任の否認を貫けると、日本政府だけが思っている。

 ▼2章―1節 大阪市長による姉妹都市解消宣言

 二〇一七年一一月には、サンフランシスコ市内のセント・メリーズ公園に「慰安婦」メモリアル碑が設置されたことに大阪市の吉村市長が抗議した。
 市民団体がサンフランシスコ市に碑と碑文を寄贈し、その受け取りを市議会が決定したことに対し、吉村市長はエドウィン・リー市長宛に「拒否権を発動して市議会決定を受け容れないよう」要望する書簡を送っており、安倍首相もそれに加担する要望書を送っている。
 その後、吉村市長は、一九五七年から六〇年つづいた大阪市とサンフランシスコ市の姉妹都市関係を解消すると宣言した。市政を私物化した勝手な姉妹都市解消に、大阪市民の抗議活動は今も続けられており、サンフランシスコ市との交流が市民サイドで重ねられている。
 サンフランシスコ市は、「姉妹都市関係は市長間で成り立つものではなく市民間の交流によって築かれるもの。市民同士の交流が維持されることを望む」と、碑は撤去しないという方針を示した上で、姉妹都市の解消もしないという考えを表明した。
 大阪市と言えば、二〇一三年に橋下徹前市長が「慰安婦制度は必要なのはこれは誰だってわかる」等と発言し、問題となった。
 その後継者である吉村洋文市長が、単に「姉妹都市解消」を言い渡しただけではなく、右派勢力総動員で大量の抗議メールをサンフランシスコ市関係者に送りつける、「幸福の科学」サンフランシスコ支部等の在米日本人右派に働きかけて市議会に押しかけさせる、などの卑劣で執拗な碑設置阻止策動を行なっている。
 この恥ずべき行為は世界の人々を呆れさせただけではなく、逆にサンフランシスコと大阪の市民が連帯を築く大きなきっかけとなった。いまや「慰安婦」メモリアルは、戦争と性暴力・性差別の根絶を願う、民族や国籍を越えた世界の人々の交流の場となっている。「日本を貶める反日のシンボル」としか捉えることができない日本政府と日本のマスコミ、レイシスト達こそが「日本を貶め」つづけているのだ。

 ▼2章―2節 フィリピンの「少女像」が二日で撤去される

 二〇一八年一二月二八日、フィリピン北部のサンペドロ市に「平和の少女像」が建設された。
 前年九月に韓国・提川(チェチョン)市の少女像を訪問したサンペドロ市長が提案し、多くの市民の参加で推進された。市内の女性高齢者介護施設の敷地内に建設され、サンペドロ市長や韓国・提川市前市長列席のもと盛大な除幕式が行われた。
 しかしわずか二日後の一二月三〇日、この少女像は撤去されてしまったのだ。駐フィリピン日本大使館の強力な抗議を受けた、フィリピン政府なりサンペドロ市なりの判断によるものだといわれている。
 フィリピン大統領宮スポークスマンが「平和の少女像は民間が私有地に建設したものであり、憲法に保障された一種の表現の自由であり、政府が妥当な理由なしに制限したり抑制できない」との立場を一旦は表明したが、結局、撤去されてしまった。
 「リラ・ピリピーナ」(フィリピンの日本軍性奴隷制被害者と支援者による団体)は「なぜ元『慰安婦』の苦しみを表現する像の設置が許されないのか」と直ちに比日両政府への抗議声明を発した。「正義記憶連帯」からも一月三日、抗議声明が出されている。
 フィリピンで日本軍性奴隷制度被害者を追慕する銅像が撤去されたのは、これが初めてではない。二〇一七年、首都マニラに建設された日本軍「慰安婦」被害者像が撤去されたのだ。
 この像は、歴史的な記念物の設置に関わる政府機関「フィリピン国家歴史委員会」が公的に承認して一二月八日設置したものだった。台座にはタガログ語で「一九四二~四五年の日本統治下で虐待の被害に遭った全てのフィリピン女性の記憶である。彼女たちが自身の経験を語りだすまで、何年もの月日を要した」と記されていた。
 日本政府(在フィリピン大使館や、一月マニラを訪問した野田聖子総務相)は設置直後から「日本政府の立場と相容れない」と「遺憾の意」を表明。ドゥテルテ大統領と会談した河井克行総裁外交特別補佐は「日本側は激怒している」とし、安倍首相からのメッセージとして「私とあなたが築いてきた過去最高水準の日比関係が悪化することがないようにご理解とご指示を賜りたい」との内容を伝えたという。
 なんとも恥ずかしい、そして文字通りの脅迫だ。かくして四ヵ月後の四月二七日深夜、「下水道改良事業」に名を借り像は撤去された。ドゥテルテ大統領は記者会見で「日本政府は多くの代償を支払ってきた。日本を侮辱すべきではない」「慰安婦問題を繰り返し持ち出すことは、元慰安婦やその子孫に痛みや苦しみをもたらすだけだ」と述べたという。日本のメディアやネトウヨらは、「ドゥテルテ大統領の英断!」「あの国とは違う」と賛美し、「支持・お礼のメッセージを送ろう」との呼びかけまでされている。
 「そもそもフィリピンの人々が自国の犠牲者を悼む碑を自国内に建てることに対して『日本政府の立場と相容れない』と主張すること自体が恥知らずな行為だ。一方で日本政府は、日本兵戦没者の慰霊碑をフィリピン国内に四〇〇基も建てている」「日本軍『慰安婦』被害女性達を記憶することで、再発防止をはかろうとするメモリアル建設に、これ以上干渉・妨害をして世界に恥をさらす行為をやめるよう求める」と、当時の「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」は抗議している。
 日本軍「慰安婦」被害者メモリアルの世界への拡散は、いくら妨害されようとも、日本人こそが加害を記憶していこうとの立場に立ち受けとめない限り止まることはない。被害女性達に思いを寄せる回路を全く持たない日本政府・レイシスト達を許すことなく、アジア・世界の女性達とつながり、声を上げ続けていこう。

 ●3章 日本政府は敵対的排外主義的外交をやめろ

 「『慰安婦問題』に『徴用工問題』『レーダー照射問題』と、日韓関係は冷え込むばかり」との報道、すさまじい韓国バッシングが連日吹き荒れている。
 韓国の文喜相(ムンヒサン)国会議長が、「慰安婦問題」に関する米メディアのインタビューに「戦争犯罪の主犯の息子である天皇」による謝罪が望ましいと発言したことに対しては、「天皇陛下への侮辱を許さない!」といきり立ち、「韓国は一線を越えた」「韓国と断交すべき」「経済制裁をすべき」と大騒ぎだ。
 『戦犯の息子』と言われて当然、そのとおり! なのだが、日本人の多くが認識してこなかったそのことを直截に言われたものだから、目をむいて怒っているのだろう。
 戦犯張本人である昭和天皇ヒロヒトが米帝に守られて訴追を免れ、謝罪をすることもなく、象徴天皇として崇められ続けてきたことが、そもそも全ての問題の根幹にある。文議長が言ったとされる、「現天皇がハルモニたちの手を取って一言謝罪すればすべての問題は解決する」とはさすがに思わないものの、日本が韓国に発言の撤回・謝罪を求めるのは全くもって筋違いである。文議長自身も「心からの謝罪が一言あれば終わる話を、なぜ日本側が長い間引きずっているのかというのが私の話の本質だ」「謝罪する事案ではない」と一蹴している。
 戦時中に日本が朝鮮の人々を労動力として強制動員した、いわゆる「徴用工」問題。韓国の大法院(最高裁)は昨年一〇月三〇日、強制動員被害者四名が求めた損害賠償について、新日鉄住金への支払命令を確定した。続いて一二月三一日には、被害者が新日鉄住金の韓国資産差し押さえ強制執行を裁判所に申請し、手続きに着手。被害者の代理人弁護士が本社を度々訪れたが新日鉄住金は面会を拒否しつづけ、本年二月ついに被害者側は差し押さえた資産の売却・現金化の手続きに入ると宣言した。
 これに対し「徴用工問題は一九六五年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している」と主張してきた安倍政権は、「日本企業に不利益が発生すれば、直ちに取るべき手段を取る」と、経済制裁措置まで議論している。
 メディアは政府見解のみを垂れ流し、ネットでは「韓国はいつまで蒸し返し、要求し続ける気か」との論調が溢れている。日本軍性奴隷制問題と同様、植民地支配当時に日本がアジアの人々に行なってきた反人道的な不法行為の数々については、全く触れようともせず、「徴用工」から「朝鮮半島出身労働者」と呼び名を変えるなど卑怯な手段で、強制動員・奴隷労働を否定・隠蔽しようとしている。
 「日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済」も「『日韓合意』で最終的かつ不可逆的に解決済」も大嘘であり、日本政府は一度たりとも被害者であるハルモニ・ハラボジ・遺族たちが納得するような真摯な謝罪や補償を行なってはいない。一度も謝らずに「何度謝れば済むのだ」と騒ぎたて、日韓関係を悪化させてきたのは日本の側である。
 あげくには、「韓国の内政問題」が現状をひき起こしている、「文在寅大統領が反日親北外交で支持率低下を乗り切ろうとしている」などと、嫌韓・蔑視を煽る報道を繰り広げている。
 朝鮮半島統一に向けて国際社会が動きつつある今、朝鮮半島有事煽りを拠りどころにしてきた安倍政権は、いよいよ孤立の一途をたどるだろう。日本政府は今すぐ韓国に対する敵対姿勢を改め、あらゆる戦争犯罪行為を隠蔽することなく謝罪すべきである。

 ●4章 戦争と性暴力を許さず、女性解放を闘おう

 自らの経験を証言し、日本の加害責任を問うて闘い続けてこられた日本軍性奴隷制度被害者のハルモニ達が最も望んできたのは、「人々に記憶され、二度と繰り返されることのないように」とのことであった。軍隊は決して人を守らない、戦争は女性を蹂躙する、絶対にやってはいけない、と。
 安倍政権やレイシスト達がいかに妨害を重ねようとも屈することなく、ハルモニたちの訴えを記憶し伝えていくための様々な取り組みは日本でも行なわれているし、ハルモニ達のもとを訪れ歴史を学ぶ日韓学生のスタディーツアーなど、交流事業も重ねられている。新たな侵略戦争に突き進もうとする安倍政権下で、女性の権利が奪われ虐げられていると強く実感している若い女性達のなかには、「真実を知りたい」と日本軍性奴隷制度問題に関心を持つ人も少なからずいるのだ。
 被害者であるハルモニ達の尊厳の回復を勝ち取る闘いは、女性差別の撤廃、女性の解放にとって不可欠だ。
 橋下元大阪市長の「慰安婦制度は必要。沖縄の米軍は風俗業の活用を」発言にみられるように、沖縄の女性が米兵による性暴力に晒され続けている事実に対しても、兵士(男性)が女性を性のはけ口にすることを肯定し、「犯罪行為はまずいが、『合法』にすればよい」と考える女性蔑視が、未だ日本社会に根深く蔓延している。そして戦時の暴力は日常の暴力とつながっており、性暴力や虐殺、DV、セクハラ・マタハラなどによって、女性の尊厳は奪われ続けてきた。
 被害者をののしることで分断を謀る差別者達に屈していては、私たちもまた解放されない。ハルモニ達の闘いに学び、すべての女性の団結で共に侵略戦争阻止、女性解放を闘おう!


 ■【資料】サンフランシスコ市の「慰安婦」メモリアルと碑文(日本語訳)

 「私たちにとってもっとも恐ろしいことは、第二次世界大戦中の私たちの痛ましい歴史が忘れられてしまうことです。」―元「慰安婦」
 この記念碑は、一九三一年から一九四五年まで日本軍によって性奴隷にされ、「慰安婦」と呼ばれたアジア太平洋地域一三カ国にわたった何十万人の女性と少女の苦しみを表しています。その女性達の大多数は戦時中囚われの身のまま命を落としました。この暗い歴史は、生存者が勇敢に沈黙を破った一九九〇年代まで、何十年も隠されていました。生存者たちの証言が世界を動かした結果、戦争手段としての性暴力が人道に対する罪であり、加害国の政府が責任を負わなければならないと国際社会が宣言することとなりました。
 この記念碑は、これらの女性たちの記憶のために捧げられており、世界中での性暴力や性的人身売買を根絶するために建てられたものです。
 「慰安婦」正義連盟 寄贈

 

 

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