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   ■2019岩国行動に全国から結集しよう!

                          九州山口地方委員会


 
 

 来る一一月一六、一七日、アジア共同行動日本連絡会議と岩国労働者反戦交流集会実行委員会の呼びかけの下、「2019岩国行動」が取り組まれる。世界的な米軍再編を背景に、厚木基地から空母艦載機部隊が岩国飛行場へ移設されるという計画が公然化した〇四年から、これに反対する岩国市民の闘いは開始された。この闘いに連帯し、沖縄や韓国など、アジアにおけるアメリカ帝国主義、米軍と闘う民衆や闘う労働組合とともに、アジア共同行動日本連の呼びかけで岩国行動が開始され、今年で一四回目となる。全国から岩国に総結集しよう!

 ●1章 亀裂を深める米日韓同盟と流動化する東アジア

 「2019岩国行動」が闘われる今日の情勢はどういうものだろうか。
 基調にあるのは、アメリカ帝国主義のゆるやかだが確実な衰退と中国スターリン主義の政治経済軍事あらゆる面での伸長と、その二国間の対立である。
 トランプの大統領当選ということ自体が、中心国から滑落しつつあることとそれに対する絶望的なあがきそのもの現れだということができる。今、トランプは中華人民共和国に対する経済戦争をしかけている。中国からのほとんどすべての輸入品に高率の関税をかけ、中国指導部に対して、国営企業に対する補助金をやめるよう要求するなど中国国内の政治的経済的な改革(という名の屈服)を強く迫っている。何より、覇権を中国側に渡さず、「アメリカを再び偉大に」せんとする圧力である。
 しかし、それが中米二国だけでなく、グローバリゼーションで結びついた世界全体に、深刻な悪影響を及ぼしている。そもそもがトランプを支持したはずのアメリカ中西部の白人貧困層や労働者、農民たちにも、物価の上昇や農産物輸出の減少という事態が直撃している。何よりアメリカ市場に株価の下落と景気後退予測をもたらしており、これに危機感を抱いたトランプは米連邦準備制度理事会(FRB)にツイッターその他で圧力をかけ続け、七月と九月の二度にわたって政策金利を下げさせるに至っている。
 大統領選出馬から今日までのトランプは、好戦的で挑発的な言動とタカ派的なスタンスをちらつかせてきたが、つまるところビジネスパーソンであり、かつてブッシュ政権当時に猛威をふるったいわゆる「ネオコン」勢力とは一線を画しているといってよい。
 九月一〇日、トランプは国家安全保障担当の大統領補佐官ジョン・ボルトンを更迭した。ボルトンはブッシュ政権下でイラク戦争を主導した超タカ派であり、日本への原爆投下を手放しで賞賛し続ける度し難い人物である。軍事力によってイラン、ベネズエラ、アフガニスタン、朝鮮民主主義人民共和国の体制変革を呼号するネオコンの一員として政権に加わっていたが、メディアを通したトランプ批判をもいとわない強行姿勢が忌避されて更迭に至ったとされている。
 朝鮮民主主義人民共和国の金正恩(キムジョンウン)国防委員長との会談で明らかになってきたことは、就任以来のトランプは極めて強行かつ高飛車な物言いで相手に譲歩や屈服を迫るが、それはあくまで交渉を有利に進めようとする戦術にすぎない、ということである。イランに対して、二〇一五年に結ばれたイラン核合意から一方的に離脱して、経済と軍事両面で圧力をかけ続けてはいるが、六月にイラン政府がアメリカ側の無人偵察機を撃墜したと発表した際にも、直前で軍事攻撃を撤回しており、米国内の世論と経済状況を考えれば実際の戦争にまではなかなか踏み込めないということを露呈した。
 これは、トランプやその支持者が平和主義者であったり、良識的だということでは決してない。彼らの多くは白人以外の者への露骨な人種差別主義者であったり、米大使館のエルサレム移転を支持するなどイスラエルのシオニスト政権を支持する層であり、到底認められるものではない。しかしながら、アフガン侵攻、イラク戦争と続けられた侵略戦争動員にアメリカ人民と社会は疲弊し、厭戦気分が蔓延している。また、国内の貧富の格差は拡大し、兵士に動員されているのは貧困層ばかりである。
 ことに、シェールオイルの開発が進んで石油輸出国になって以降は、中東地域に軍事力を展開することへの支持が集まらない。だからこそ「海外から兵士を帰国させる」ことを大統領選の公約に打ち出し、また、日本はじめ他帝の駐留費用の増額や米国製兵器の購入を公然と要求してみせるなど、従来からの軍事同盟にとらわれない言動のトランプが当選したのである。
 今回、トランプはターリバーンとの和平交渉に乗り出そうとしていたが、ボルトンはネオコン的立場からそれに制動をかけようとし、トランプは再選構想の障害になりかねないと見て彼を切り捨てたのである。
 アメリカ帝国主義の凋落と、中流層の没落、国内の格差拡大による社会の疲弊、分断こそが、トランプを当選させた。アメリカ帝国主義からはもはや、外に対して自国の「先進性」や「開明性」を掲げてみせる余裕が失われ、「世界の警察」の地位を投げ出さざるを得なくなっている。だからこその「自国ファースト」なのである。
 そして何よりトランプにあるのは、名誉と賞賛を欲する個人的な野心ばかりだ。彼は、ノーベル平和賞を受賞することへの意欲を隠そうともしないのだから笑止である。もともと政治家としての経験のないトランプの思考には、アメリカ帝国主義が保持して来た伝統的ともいうべき世界戦略など存在しない。現下のトランプには、次の大統領選で再選を果たそうという個人的かつ短期的な目標があるだけであって、何としても選挙前に外交その他政策上の「成果」を支持層に見せつけなくてはならない。
 まさにそのために、イラン、共和国、中国の各指導部との間で取り引きと妥結を追求し、軍事的な恫喝をくりかえしている。展開されているのは、もはや「自国ファースト」ですらない。「自分ファースト」の政治だ。彼の口から、香港で決起し続ける市民を明確に支持する言葉が出て来ないのは当然であり、また、イランへの軍事圧力を強めるための「有志連合」構想が進まないのも当然である。イラン核合意から、トランプが一方的に離脱したことから今般のイランを巡る緊張は起きているのであって、当然ながら、そのきっかけを作った当人に、各帝国主義を含む国際的な支持は集まっていないのだ。
 トランプ政権は撤兵の一方で、中国やロシアをにらんだ核戦力の増強を明確に打ち出している。トランプは昨年二月に核戦略の指針「核体制の見直し」(NPR)を発表し、小型の戦術核、つまり「使える核」を新たに開発することを明らかにした。今年に入っては対ソ冷戦期に締結した中距離核戦力全廃条約(INF)からの離脱を二月に表明し、八月二日にINFは失効した。
 トランプは、INF締結後に政治的経済的に伸長した中国が中距離核ミサイルを増強したことに対抗して、今後、中距離核ミサイルを増強しようとしている。自国兵士に人的被害の出る地上戦には慎重でありつつも、その空隙を核で埋めるというのがトランプ政権の基本姿勢だと言ってよい。
 今、トランプ政権には全く別の政治的な危機が到来している。八月一二日づけで、米議会上下両院情報特別委員長あてに出された内部告発書によって、トランプがウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談において、次期大統領選の候補者指名に名乗りを上げている民主党候補のスキャンダルを暴くことに協力するよう迫っていたことが明らかにされたのだ。就任以来、様々なスキャンダルにまみれながらも逃げ切って来たかに見えたトランプだが、軍事外交を自身の選挙のために利用しようとした職権乱用ではないか、ということで、民主党多数の下院で、大統領弾劾に向けた調査開始が決定した。これ自体が、アメリカ史上過去三回しかなかった異例の事態だ。トランプはこれまでにない政治的危機に直面している。。
 かかる米帝トランプの動きに対して、安倍は何をしようとしているか。安倍にもまた、トランプ同様明確かつ長期的な戦略が存在するわけではない。あるのは、祖父岸信介の悲願を受け継いで現行憲法の改憲をなそうという野心であり、現行九条を改悪した日本帝国主義が、アメリカ帝国主義の軍事戦略と一体化し、実際に「戦える自衛隊」を合法化することにあることは明白である。
 第一次政権以来、彼の政策はいわば「改憲ファースト」で一貫している。新自由主義を基調とする今日のグローバリゼーションの中で、安倍は第一次政権時の失敗を自分なりに総括した結果、ともかく改憲のためにはイデオロギーを呼号することだけでなく、政権への高い支持を確保せねばならないと考え、かつて唱えたこともなかった「アベノミクス」を、自民党総裁選に臨むにあたって突如打ち出したのである。
 現状、安倍は七月の参院選で、「改憲ライン」の院内三分の二を自公、維新ほかの改憲勢力で押さえることには失敗したが、それでも「改憲論議を進めよというのが民意だ」と、憲法審査会での「議論」を自民党主導で進める意欲をあらわにしている。「三分の二」を割り込んだのはわずかな議席数であるから、野党議員を一本釣りなどして行けばどうにでもなると踏んでいるのであろう。
 また安倍は、中国との一定の関係改善の一方で、独自の経済争闘も強化している。横浜で八月二八日から三〇日まで開催された七回目の「アフリカ開発会議」(TICAD)で、中国の「一帯一路」構想に対して「自由で開かれたインド太平洋」構想を強調した。その上で、「債務の罠」に言及して中国のアフリカ進出を批判するなど、アフリカ地域に進出する中国と対抗していこうとしている。二〇一一年以降、自衛隊基地をジブチに置いているのも、それをアフリカ侵略の拠点とする狙いゆえのことだ。
 さらに許しがたいことに安倍はこの間、韓国文在寅(ムンジェイン)政権と韓国民衆に対する排外主義的な敵対をあらわにしている。七月一日、参院選を前に、徴用工裁判の大法院判決への対抗であることを公言しながら、韓国の半導体産業を狙い撃ちした輸出規制を打ち出した。韓国や共和国、アジア全般への差別排外主義を煽動することで、参院選を有利にたたかおうとしたのだ。実際、この輸出規制策に安倍の支持層である右翼勢力は快哉を叫び、今も叫び続けている。
 特記すべきは、この日韓の対立に対して米帝トランプ政権が仲介のそぶりをなんら見せていないということである。七月一九日、トランプは文大統領から輸出規制を巡る日韓対立に仲介を頼まれたことを明らかにしたうえで、「それはフルタイム・ジョブだ(手がかかり過ぎる)」と否定的見解を示した。
 アジアにおけるアメリカの安保戦略は、アメリカを軸とした二国間安保の集合であるが、従来までの常識であれば、日韓の対立は米帝にとっても好ましくないので、必ず米帝は介入してきた。オバマの時代には安倍と朴槿恵(パククネ)の間に入って「慰安婦合意」を結ばせすらした。だが、トランプ政権はそうした動きを見せていない。従来からの高官や専門家ら既存のエスタブリッシュメントをことさら敵視するトランプの姿勢もあって、特に国務省官僚の数がいまだに不足して政権としての力量が落ちているうえに、そもそも「アジア重視」を打ち出したオバマとは異なり、トランプは中国への牽制の意図はあっても、アジア地域全般への関心は高くない。
 事態は、米日、米韓の軍事同盟がある以上、日韓の対立も落ち着くところにいずれ落ち着く、ということにはまるでならないということである。安倍とその支持層はなお、韓国政府と民衆に対する排外主義を煽ることをやめようとしていない。自分たちの言動が、いかに危険なものであるかの歴史認識と自覚がないどころか東アジアにおける日帝の覇権強化にむけて旧宗主国よろしく日米同盟を基軸に韓国は付き従えという態度をあからさまにしている。そのためには文政権の崩壊すら狙っているのである。
 AWCをはじめとした日韓の闘う民衆の交流と連帯の力で排外主義を許さず東アジアの平和を実現することが、かつてないほどに求められている情勢だということができる。

 ●2章 空母艦載機移駐後の岩国の現状と課題

 岩国基地の軍事的な役割、位置づけについては『戦旗』第一五五一号(一九年七月五日)に詳しく論じられている。ここでは、「基地との共存」を掲げる福田岩国市政下において、今、岩国で何が起こっているかを中心にみていきたい。
 岩国基地への空母艦載機移駐から一年以上が経ったが、昨年末立て続けに起こった訓練中の事故は、飛行ルート下にある住民の生命を危険にさらしているということをまざまざと見せつけた。
 そして、爆音と言うべき激しい騒音被害が続いている。こうした基地被害に対して福田岩国市政は「基地との共存」のもとに市民に屈従を強い、状況を受け入れることを強いているのだ。基地被害の軽減など本気で考えたことなどまったくないのだ。
 こうした中にあっても岩国市民の闘いは続いている。それは山口県政、岩国市政の「基地対策」の内実を徹底暴露するものである。

 ▼2章―1節 航空機爆音被害の拡大と実効性の無い市の対応

 米軍岩国基地南側の尾津町で五月に測定された騒音回数は一六一四回であり、二〇一〇年の滑走路沖合移設後で月別最多となっている。硫黄島(東京都)でおこなわれた陸上空母離発着訓練(FCLP)に関連したものと考えられる。騒音件数は空母艦載機の移駐前に比べて格段に増えている。
 本年五、六月、岩国市の施策や事業に関する市民満足度調査が行われた。そこでは米軍岩国基地の安心安全対策に対して「満足」と回答したのは26%、「あまり満足していない」「満足していない」と合計すると54・3%であった。岩国市では基地や国に対して騒音軽減策などの要望を続けており、事件事故防止のため基地周辺パトロールを実施。艦載機の移駐後には騒音測定器を五箇所に設置して常時測定を行うほか、苦情電話の無料化も行っている。しかし、それらが実際の基地被害の軽減にまったく結びつかない形だけのものだということだ。
 「異議あり!『基地との共存』市民行動実行委員会」が取り組んできた「米軍機による爆音被害をなくすことを求める請願署名」は七月一〇日時点で二六〇七五筆を集めた。その後も署名は県内外から寄せられ、八月二三日に中四国防衛局に二六五九四筆の署名を提出し、騒音被害軽減への実効性のある処置を米軍に求めること等、四項目の請願を行っている。

 ▼2章―2節 米軍の市民敵視と県警の不正黙認

 五月五日のフレンドシップデーでは、今年も市民団体が基地被害を訴える啓発ビラの配布を行った。その際、日本人の基地警備員が、ビラを受け取った市民からビラを回収するという暴挙を行った。例年であれば基地の敷地内でビラを回収していた。この事実だけでも不当なのであるが、今年は敷地外で回収し、フェンス越しに敷地内の警備員にビラを渡していた。その際、職員の腰に拳銃がぶら下がっていたことが問題となった。警備員がビラを回収する姿は夕方のニュース番組で報道され、その腰にはしっかりと拳銃が映っていたのである。
 県議会でこの件を追及されると、県警は「承知していない」と回答した。また、後日メディアの取材に対して基地側は本物の拳銃ではなくダミーであると回答している。
 佐世保基地においては基地警備員が拳銃を携帯したまま公道を渡っていた事実が問題となっているが、岩国基地での出来事はそれ以上に深刻である。仮にダミーであるとしても、拳銃を携行したまま基地に反対する市民を敵視し、妨害行動をおこなったのである。

 ▼2章―3節 拡大する岩国基地の秘密主義

 昨秋以来、岩国基地では、滑走路の時間外運用を巡る岩国市への通知方法を変更した。米軍は滑走路を共用する海上自衛隊の時間外運用を海自に代わって通知するようになった。時間外に飛ぶのが米軍なのか海自なのかを明かさなくなったのである。
 広島市中心部ではオスプレイと思われる機体の目撃が相次いでいる。市民の不安の声にも関わらず、米軍は飛行計画や実績を明らかにしていない。
 最近では、岩国錦帯橋空港を利用する際、旅客機から基地内を撮影することを禁止するアナウンスが流れる。情報統制が着実に強まっているのだ。
 愛宕山の運動施設の共同使用に関して市と米軍との間で取り交わされた協定書に関して、岩国市は米軍の了解が得られないとして開示を拒否している。開示を求めた元愛媛大学教授の本田博利氏が起こした裁判では、山口地裁が八月二八日に請求棄却の判決を出している。

 ▼2章―4節 重大事故発生後も飛行停止を求めぬ知事と市長

 二〇一八年一一月一二日、FA18スーパーホーネットが那覇市沖の海上に墜落した。
 湯崎広島県知事は一一月一二日の事故の当日に中四国防衛局に対して原因の早期究明と事故の再発防止を徹底するように緊急の申し入れを行った。一九日には、日本政府と米軍に対して、同型機の飛行停止を求める要請書を送った。
 一方で、山口県が基地に対して文書で申し入れを行ったのは事故から二日後であった。村岡県知事、福田市長は米軍に対して「原因究明」と「事故の再発防止」を求めたものの、飛行停止については、米軍が自主的に飛行停止することを期待するといったような終始腰が引けた対応をとっている。続いて一二月六日、空中給油の夜間飛行訓練中にFA18とKC130空中給油機が接触事故を起こし高知県沖に墜落した。一二月の事故後には、さすがにまずいと判断した福田市長は同型機の形ばかりの飛行停止を求めたものの、村岡県知事はそれすら求めなかったのである。

 ▼2章―5節 基地の観光資源化に邁進する岩国市政

 二〇一八年六月一九日付で「岩国航空博物館施設提案書」なるものが、地方創生総合戦略調査特別委員会の名義で市議会に提出されている。冒頭の「目的」の箇所を少々長いのであるが紹介する。
 「岩国飛行場は、旧日本海軍の航空基地として建設され、第二次世界大戦前から零式艦上戦闘機(ゼロ戦)を初めとする日本の航空技術や歴史に深く関わりがあります。
 戦後は、米海兵隊による接収、連合軍の駐留から現在の米海兵隊の使用となったほか、海上自衛隊による一部共同使用、さらには岩国錦帯橋空港の開港など、さまざまな航空機により、本市の空の歴史が形づくられてまいりました。
 こうした岩国飛行場にかかわった航空機やその歴史を広く紹介することにより、日米友好親善はもちろん、岩国を世界に知っていただくことを目的とします」。
 具体的な施設内容については、ゼロ戦、紫電改から始まり、FA18やF35のレプリカ、海上自衛隊の救難飛行艇US―1の展示。戦闘機やヘリコプターのシミュレーター等も設置するとしている。取って付けたように岩国の物産品の販売も行うという。建設及び運営は国が行うように要望するとしている。
 また、この三月から五月にかけては郷土資料館である「岩国徴古館」において、「救難飛行艇の世界」と称して、海上自衛隊のUS―2をメインとした企画展を開催している。岩国市役所の売店にはUS―2開発をテーマとした漫画、月島冬二氏の『US―2救難飛行艇開発物語』(小学館)の単行本も販売していた。
 市が先頭に立ち、国からの交付金をあてにしながら、基地の観光資源化、宣撫工作が強化されているのである。
 空母艦載機移駐後も、福田岩国市政下において人権への侵害や不正行為、交付金への依存といった状況が悪化の一途を辿っている。このような状況の中で、基地と闘う岩国市民は様々な闘いを展開している。それは岩国基地はもとより、市政に対する監視の強化であり、異議申し立てである。毎月、一日、一一日、二一日に愛宕神社前広場で取り組まれている「いちの日」行動は、岩国基地と闘う市内外の住民が集い、情報交換を行い、新たな闘いを創造する団結の場となっている。こうした岩国市民の闘いに連帯するために、「2019岩国行動」は取り組まれる。そして、岩国基地反対の闘いと全国の反基地の闘いを結びつけ、アジアからの米軍総撤収を実現する闘いとして開催される。全国の反戦反基地を闘う仲間は、「2019岩国行動」に総結集しよう!

 ●3章 米軍岩国基地と一体的運用を画策、イージスシステム配備許すな

 米軍岩国基地は、「ハブ空港」として激動する東アジア情勢の中で軍事的に対応する侵略と虐殺の戦略基地へと急速に、そして実態においても変貌し続けている。
 さらに、日帝―防衛省は、山口県に弾道弾ミサイル基地建設のために阿武町・萩市にまたがる陸自山口駐屯地むつみ演習場にイージス・アショア配備を策動している。加えて、山陽小野田市埴生地区の海自通信所跡地に宇宙警戒レーダー建設を一気に強行しようとしている。
 日帝―防衛省がイージスシステムや、宇宙警戒レーダーと宇宙アームロボットを連携させ、中国やロシアの軍事衛星を妨害・破壊する兵器も、日米軍の一体化運用の領域にまで広げようというのだ。
 これは、日米軍事一体化の段階が、二〇一五年日米新ガイドラインの中軸である調整メカ二ズム(日米軍の共同指揮所)の作動をミサイル防衛態勢や宇宙軍拡へと現実的に踏み込もうとする状況にあるということを意味している。
 私たちは、防衛省―自衛隊の暴走を許さず、かつ、東アジアの平和を創るために米軍基地総撤収にむけ、この地域の陸海空全領域において軍事一体化を目論む日帝―安倍政権打倒の闘いを安倍のお膝元であるこの山口から力強く作りあげていかなければならないのだ。

 ▼3章―1節 地域ぐるみ、全国ぐるみの闘いを

 今日、防衛省による山口県、阿武町、萩市へイージス・アショア導入候補地決定伝達から、五巡にわたる阿武町・萩での自治体と住民への説明会、そして、配備ありきの現地でのボーリング調査、電波・電磁波環境調査、地質・地形調査の全てにわたって嘘とペテンの説明であったことが明らかになっている。さらに約束を反故にし、〝実測調査〟のデーターさえも明らかにしていないのだ。住民とその生活と産業の場を直接照射する「仰角五度問題」をクリアしたいがために航空機によるレーザー照射による高台(西台)の高度測定のみを一二月までにアリバイ的に再調査するという。そして、旧むつみ村地区や、反対の強い阿武町民への切り崩し工作のため、人員を増強し個別訪問による切り崩し攻撃を強めてきているのである。
 花田阿武町長は、昨年九月二〇日に、議会で、イージス・アショア配備に反対を表明した。一年目を迎え、「阿武町のすすめてきたまちづくりにイージス・アショア配備はそぐわないし、阻害することになる」「町長としての大義は町民の安心安全を第一に考えることである」と明確な意思表示をおこなっている。
 ところが、岩屋前防衛相は、説明資料の不手際を謝罪しつつも、「阿武町が取り組んできた生き残りをかけた定住対策の方向性を根底からひっくり返すことになる」との花田町長の訴え、阿武町民の有権者の半分を超える配備反対の声を一顧だにせず、「仮に自衛隊の施設が新たにできることになりますと、隊員が二百数十名、家族も入れると数百名が、町つくりに少しでも御加勢できる」との趣旨の発言をおこなっている。
 過疎化と高齢化が進む地方の山村において、UターンやIターンあるいはJターンによる町の活性化にむけた地道な町政に対して、自衛隊二百数名の「駐屯」を「町づくりの加勢」と臆面もなく言い放つ岩屋の発言に花田町長が怒りと不快感を表明したことは至極当然のことである。
 そして、五月イージス・アショアの配備についての防衛省説明資料には、平素、事態緊迫時の警備態勢の検討結果(イメージ図)を示している。そこには「平素から、テロ・破壊工作等を未然に防止するため、普通科部隊(山口駐屯地部隊を含む)を中心とした警備部隊配置し、警察とも情報共有をおこないます。事態緊迫時には、①山口駐屯地などの近傍地から速やかに警備部隊などの増援による周辺地区一帯の検問・警備によるテロや工作員の破壊活動への未然防止②陸自・空自の対空防護部隊や海自護衛艦・哨戒機、空自戦闘機を展開し」とある。これが、まちづくりの加勢の中身であり実態なのである。まさに地域を軍事力によって制圧する以外のなにものでもないのだ。
 地上イージス配備を巡る攻防は、基地との共存政策をすすめる福田岩国市政のまちづくりの現況や、さらには琉球弧の諸島で防衛省―自衛隊が対艦・対空ミサイル基地建設の強行と住民への安全対策をないがしろにした宮古での秘密裡の迫撃砲の砲弾・中距離多目的ミサイルの弾薬の持ち込み、及び、弾薬貯蔵施設建設、ミサイル司令部建設、情報保全隊設置強行による防諜政策と同根である。軍隊による地域社会の制圧、乗っ取りとも言うべき行為との闘いである。
 だからこそ、阿武町民は、このことを予見し、民生を阻害しない「山口駐屯地と阿武町・萩市の演習場使用に関する覚書協定」の遵守を求め続けているのだ。
 平和な地域社会、民生、産業を守る社会をつくるのか、国防と称して犠牲を強いられ自衛隊の町の乗っ取りを許すのかの攻防は、阿武町民・萩市民のみの課題や闘いではない。
 戦争法制は、国民保護法制を通して、地域末端まで戦争協力の制度や条例をつくり、戦争動員のための体制づくりを強制するものである。
 地域社会、自治体、労働の戦争活用などのさまざまな戦争動員攻撃を打ち砕く視点で、阿武町民、花田町長の闘いと連携し、山口全県、日本各地の闘いへと押し上げよう。まさに、三六五日、二四時間の戦争動員拒否の闘いをもって闘いぬこう。

●4章 東アジアの民衆と共に、米軍総撤収! 安倍政権打倒

 〇五年日米安全保障協議委員会『中間報告』から一四年が経過する中で、米軍再編による日米軍の再編は進捗してきた。米軍岩国基地は、米軍の前方展開力の確保(「二〇〇五年中間報告」)をどのように確保してきているのか。この脈絡の中で、日米軍事一体化阻止、自衛隊の侵略軍化と暴走を徹底して批判しておきたい。
 現在、米軍岩国基地は、海兵隊航空基地と海軍が統合された基地としての運用が行われている。
 いま、その運用は、トランプ政権・国防総省の主導するインド太平洋軍事戦略での前方展開力の確保のために機能強化がはかられている。つまり、嘉手納空軍基地と岩国基地が、この地域の前方展開の戦略基地として機能を強めているのだ。日米同盟路線を中軸に、日米豪比の共同行動の練度を高める作戦行動・軍事演習を通して戦争対応を準備している。
 特に強調すべきは、中国の軍事管轄ラインである九段線や、軍事防衛ラインである第一列島線、第二列島線を破壊することを目的としているために、「航行の自由作戦」や日米共同軍事演習が頻繁にこの地域で展開され、米中の核軍拡競争の要因をも創り出す深刻な事態へと進展しているということだ。
 第七艦隊原子力空母ロナルド・レーガンを母艦とする空母打撃軍の作戦行動が、この地域で常態化し、海上自衛隊「いずも」との共同演習も行っている。空母化する「いずも」に米軍岩国基地所属のF35Bが離発着可能な改装が予定されている。同様に佐世保基地への新型強襲揚陸艦の配備も連関している。そもそも、現在配備中の佐世保の強襲揚陸艦ワスプには、米軍岩国基地配属の一部のF35Bは着艦の資格を付与され、機体尾翼にワスプと記しているのである。
 そして、空母打撃群は、強襲揚陸艦や原子力潜水艦とともに展開していると捉えるべきである。
 特に、日帝―安倍政権は、この対中国軍事包囲戦略の中で、第一列島線の攻防を巡る主力軍は自衛隊軍事力として位置づけ、応援部隊が米軍であるというこれまでの日米軍の役割を飛躍的に転換させた。つまり、対中国軍事包囲の鉾が自衛隊であり、盾が米軍であるということだ。これが、米軍再編による日米軍の再編の実態である。
 陸自、海自、空自、水陸即応団(日本版殴り込み部隊)の強化が競いあうかのように加速している要因もここにある。
 それぞれが、膨大な戦費を分捕りあい、攻撃的、つまり、敵基地・軍を先制攻撃できる能力、言い方を変えれば、「可及的、速やかに」「圧倒的軍事力により敵が対抗する意思をも萎えさせる」(説明会資料、防衛省戦略企画課長発言)という軍事合理主義に堕し、この地域での果てしなき軍拡競争の現実をつくり出しているのだ。
 米軍岩国基地の運用も、また、日米軍一体化の領域をイージス・システムや宇宙軍やサイバー攻撃へと連携を強める統合運用へと進展させようとしている。
 とくに、安倍政権―防衛省は、あらたなイージス艦やイージス・アショア導入により、岩国にも移駐した早期警戒機E2Dを新型ネットワークで結ぶ米軍の「NIFC―CA(ニフカ)」の構築によって、弾道弾、巡航両ミサイルの防空体制を強化し、日米の共同作戦能力を飛躍させるとしている。逆に言えば、こうした連携なしでは陸のイージス・アショアは、敵の標的になり、数分で破壊される代物であるということでもある。
 一方で、現実的な戦争シナリオである海上、海中発射型の弾道ミサイルの軍拡もこの地域で加速させている。
 米海軍の「ネットワーク中心の戦争」という虚構の概念である軍事戦略であっても、現実の軍拡へと転化させている。米中対立、米ロの対立の中で、安倍政権は米軍事戦略に追随し、日米共同作戦遂行によって東アジアの平和を破壊し続けているのだ。
 こうした中、沖縄、南西諸島をはじめ全国各地の反基地闘争現場の攻防は激化し、かつ、全国的に繋がる根拠をも創り出している。意識的に繋がる努力も取り組まれてきている。
 岩国行動は、一貫して、「アジア太平洋の民衆と連帯し、東アジア平和のために希望を創り出そう!」と呼びかけている。そして、実際に連携を創り出してきている。各地(沖縄、岩国、経ヶ岬、阿武・萩、佐世保、築城、横田、神奈川)での地域ぐるみ、全国ぐるみの闘いへの前進や各地の反基地闘争の繋がりのために奮闘している。
 この闘いを支持し、沖縄の日米軍事支配打破、反戦―反安保―反基地闘争を全国闘争へと押し上げよう。自衛隊の海外派兵、実践部隊化を阻止しよう。安保法制粉砕―反戦闘争の高揚で日帝―安倍政権を打倒しよう! 全国から一一月岩国行動に総結集しよう!


 

 

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