共産主義者同盟(統一委員会)






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   ■2020年共産同(統一委)政治集会基調報告

 コロナ禍が深まる中、改憲―戦争、
 格差拡大、排外主義煽動に突き進む
 日帝―安倍政権打倒に立ち上がろう
    

         
                          


 
 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的感染爆発)によって、現代資本主義世界は未曽有の危機に突入した。これに対して、世界中で都市封鎖など人民の民主的諸権利を破壊する国家非常事態政策が執られ、経済危機と階級矛盾や差別排外主義は日々深刻化している。世界恐慌の危機も噴出しはじめた。コロナ対策に遅れをとり、「桜を見る会」の私物化が暴露され、森友疑獄・財務省職員自死の告発を受けるなど、腐敗と動揺を深める安倍右翼反動政権は自らの政治危機の突破も込めて緊急事態宣言を発令した。これは、コロナ対策を利用し、防疫を盾に私権や人民の基本的人権を抑圧し、事実上、戦時の総動員攻撃、即ち改憲の先取り攻撃を打ち下ろしたのだ。絶対に許してはならない。
 われわれは、人民の健康・命・生活・諸権利を防衛する意識的で創意工夫した闘いを断固として推進していく。同時に、現代資本主義世界体制の危機、戦時的国家総動員攻撃、階級矛盾、差別排外主義が激化する情勢に対して、全人民の総抵抗の闘いの先頭に自らを置き、プロレタリア国際主義に立って、この闘いを牽引していく決意である。かつ、安倍政権打倒、ならびに日帝打倒―プロレタリア社会主義革命にむけて、プロレタリアート人民解放の階級闘争、現代共産主義運動の再建と反転攻勢を、革命的左派の人士や同志友人とともに総力で切り拓いていく。
 この闘いの内容と、日共やれいわ新選組の評価、気候変動問題、共産主義運動の理論的指針を、二〇二〇年共産同(統一委)政治集会基調報告をもって提起する。

 ●第1章 情勢とわれわれの基本的立場

 新型コロナウイルスの感染爆発が全世界を覆っている。感染者は一五〇万人を超え、死亡者が八万八千人以上となった(四月九日現在)。ヒト、モノ、カネがグローバルに展開する現代資本主義世界ゆえに、コロナウイルスのパンデミックはすさまじい勢いで全人類に対する感染を拡大している。
 安倍政権は、次の諸問題で全人民からの不信をますます高め、政治的求心力が崩壊する危機に直面している。「桜を見る会」の私物化、IRカジノ利権疑獄、森友疑獄の公文書改竄と財務省職員自死の告発、アベノミクス下の実質賃金低下、韓国元徴用工や元日本軍性奴隷制度被害者などからの激しい戦後補償追及に敵対する反韓国の排外主義攻撃である。安倍の腐敗と動揺、大嘘と居直りは、決定的に追い詰められている。コロナ感染爆発を招く安倍政権の対策の立ち遅れや誤りは、徹底的に弾劾されなくてはならない。
 まずもって、コロナ感染検査の実施は圧倒的に不十分であり、労働者人民の命、健康、生活の危機をまったく放置してきた。絶対に許されない。さらに、人民のコロナ対策のために必要不可欠なマスクや消毒液の不足に抜本的な対策をせず、手に入れられない状況が続いている。安倍政権はこの事態を糊塗しようと、布製マスク二枚の配布を打ち出したが、埼玉などでは朝鮮学校を差別し配布除外した問題が露わとなった。在沖在日米軍のコロナ感染拡大が明らかとなったが、日本政府は米国防総省の意を受け軍事機密を盾に詳細情報を隠蔽し、対策や協議もせず、米軍関係者や米軍基地の感染拡大を放置したままだ。
 安倍右翼反動政権には、労働者人民の命と生活を守ろうとする構えや姿勢は全くない。この間の新自由主義政策―社会保障削減によって、医療施設の統廃合、医療従事者削減、保健所縮減などを推進してきたのが安倍自公政権だ。辺野古新基地建設や基地強化を中止し、五兆三千億円にも膨れ上がった軍事費や米軍支援費をやめて、労働者人民の命と生活に国家予算を充てなくてはならない。全人民の怒りと正義に立脚し、安倍政権打倒を即刻実現しなければならない。
 グローバルに発展した現代資本主義の商品生産・流通・消費は、全世界での感染爆発に直撃され、制限され中断される事態が発生している。株式市場は急落し、金融資本の危機、即ち信用危機―金融恐慌の現実化に直面している。
 コロナ危機の直前、資本主義世界経済には、その危機の要因がいくつも噴出する状況にあった。
 第一に、世界各地の企業において膨大な債務が蓄積し、リーマン・ショックの金融恐慌時と比して、その債務規模は二倍に上り、金融危機勃発の条件が煮詰まっている。第二には、帝国主義諸国をはじめとする大国で景気後退が進みつつあった。米中貿易戦争や英国のEU離脱など激しい保護貿易主義を契機としながら、欧州の経済大国ドイツの自動車産業の不振、ドイツ銀行の危機、米トランプ政権下のバブル経済の収縮、そして中国経済の停滞が顕在化していた。日本も消費税増税後の昨一〇―一二月期のGDPは年率換算するとマイナス7・1%を示した。世界中の製造業で失業者が増大していた。第三には、第三世界諸国からドルやユーロなどが引き上げられ、アルゼンチンやトルコでは債務危機が進行する状況にあった。
 もちろん、現代のグローバル資本主義・帝国主義の搾取と収奪、略奪によって、全世界の貧富格差は途方もない規模で深刻化している。
 NPO団体のオックスファムによれば、世界の億万長者二一五三人の資産は、世界人口の六割にあたる四六億人の所得・資産よりも大きい。世界で最も裕福な1%の人たちは、その他の六九億人が持つ富の合計の二倍以上の富をもっている。
 ILO報告によれば、世界人口の約半分が一日五・五ドル(約六〇〇円)以下で生活している。若者と女性を中心に約五億人が就労できない障壁に直面している。ワーキング・プアが、労働・仕事への不平等・非正規化と排除が、世界中で激増している。今日の資本主義世界は「働きがいのある人間らしい仕事・生活やより良い未来をさまたげている」と、ILOは警鐘を鳴らしている。
 現代資本主義・帝国主義の生産・流通・消費のグローバル・ネットワークの寸断、そして米帝―トランプ政権の「米国第一主義」によって、日米欧の帝国主義諸国と中ロの大国などによる市場争奪戦はますます激化している。生産・流通・消費という資本主義の実体経済の深刻な危機は言うまでもなく、これと結合する金融資本・投機資本の危機の深刻化は不可避である。価値の実現ができなくなった世界各国の資本は、倒産や信用収縮に直面し、リストラ合理化・大量解雇を一挙に開始している。金融資本・投機資本も、労働力の搾取・収奪を貫徹しようとし、利潤獲得を求め、リストラ合理化をとことん強制する。主要国政府は、現代資本主義の制度的崩壊を回避しようと、特別融資や給付金など空前の緊急経済対策を急いでいる。だが、それは、大資本、大銀行の救済を中心とするものであり、また労働者人民を資本の搾取・収奪の対象として生存させる最低レベルのものでしかないのだ。現代資本主義・帝国主義ブルジョアジーとその政府・国家権力を打倒し、労働者人民の経済的政治的解放をかちとること、プロレタリアート人民解放の階級闘争の歴史的前進が決定的に求められている。
 コロナウイルス感染拡大の社会危機や社会不安が深まる中、差別排外主義攻撃が各地で吹き荒れる状況にある。極右ファシスト勢力はコロナウイルスに中国の都市名をつけて宣伝・煽動を強めている。トランプは「中国ウィルス」と発言し、欧米などではアジア人差別攻撃が激発している。虚偽のコロナ感染デマゴギーをねつ造し、差別排外主義攻撃が激化している。断固として、コロナ感染デマや差別排外主義攻撃と対決していこう。
 この間、世界中で労働者人民の生存と諸権利を求める闘いは沸き立っている。フランスの反緊縮・年金削減反対のスト、チリなどの新自由主義と貧困に反対する激しい街頭行動、香港市民の民主化闘争、韓国労働者民衆の闘い、温暖化・環境破壊に反対する世界各地の若者の闘い、各地で先住民や被抑圧民族の自己決定権を求める決起、などである。
 コロナウイルスのパンデミック、世界恐慌の危機、階級矛盾の深まりの中で、差別排外主義攻撃を粉砕する国際的に結合したプロレタリアートの解放闘争と革命運動、つまるところ現代共産主義運動が歴史的な前進を果たすことが決定的なのである。
 われわれ革命的左翼は、現代過渡期世界を切り拓き、現代帝国主義と差別排外主義勢力の打倒をめざし、国際主義と実力闘争、そして労働者階級人民の自己解放の国際的階級的団結の闘いを断固として再構築していかねばならないのである。総路線的には、労働者階級人民の闘いの先頭にたって、現代帝国主義打倒を進め、革命的労働者党と大衆的階級的基盤の相互をしっかりと建設する闘い、そしてアジア太平洋地域の反帝国際統一戦線や左派勢力の国際的結合をかち取っていくことを推進している。
 われわれは決意し宣言する。新自由主義による人民への貧困化と諸権利破壊、右翼反動極まりない諸政策や階級再編、連帯労組関西生コン支部弾圧などファシズム攻撃を激化させ、コロナ感染拡大対策に大きく遅れた、安倍政権を全人民の実力決起で打倒する。

 ●第2章 2019年の闘いの概観

 二〇一九年の政治闘争の第一は、天皇「代替わり」攻撃との対決であった。首都戒厳令ならびに天皇主義右翼勢力による逮捕・敵対攻撃をはねのけ、天皇制打倒と改憲阻止―安倍政権打倒を固く結合し、反帝闘争と国際主義をもって、集会・街頭デモを闘いきった。
 第二には、G20大阪サミット粉砕闘争を、AWC六月行動と連関させつつ大衆的な反帝国際共同闘争として進め、街頭行動を牽引した。
 第三には、沖縄解放闘争を推進した。沖縄の辺野古新基地建設阻止、自衛隊配備強化反対、沖縄―「本土」を貫く行動、現地派遣を闘った。
 第四には、市東さんの農地強奪を阻止し、成田空港会社の空港機能強化に反対し、反戦の砦である三里塚闘争決戦の一端を担い抜いてきたことである。
 第五には、改憲―戦争国家化を阻止する全人民政治闘争に決起し、安倍政権打倒を広範な闘いの一翼で闘った。
 第六には、辺野古決戦と結合し、反戦反基地国際連帯を闘いきった。岩国基地強化反対、萩・阿武へのイージス・アショア配備阻止、福岡・築城空自基地への反対行動、京丹後米軍Xバンドレーダー基地撤去、横田基地反対などを闘った。
 第七には、反原発闘争を粘り強く闘ったことである。高浜現地の全国集会・デモ、東京や北九州のさようなら原発集会、福島県民大会、経産省前テント九カ年の闘い、さよなら上関原発! 県民大集会、一一―一二月の「老朽原発うごかすな! 高浜―関電 本店リレーデモ」などである。
 第八には、反韓排外主義攻撃と対決し、戦後補償実現の闘い、日韓民衆連帯・アジア人民連帯を闘ったことである。
 安倍政権打倒において、立憲民主や日共など「野党共闘」は自衛隊・天皇制を容認・擁護し、反韓排外主義攻撃を粉砕する立場に立てない。リベラル派や社会民主主義派の、日帝と国益主義を免罪し屈服する誤りとは、根底から分岐しなくてはならない。
 われわれは、左派共闘や大衆的共闘の統一戦線をもって、二〇一九年の日帝・安倍政権打倒の政治闘争・街頭行動を貫徹してきた。
 党建設では、各種の組織活動を活発に展開した。組織会議では、全国政治新聞『戦旗』の購読や組織文書の討議による政治的思想的立場と方針の意志一致、密集した論議と同志的連帯、財政活動、これらの三大組織活動を不断に闘いとっている。マルクス・レーニン主義を現代に継承し発展させたプロレタリア革命運動の党組織活動は決定的に重要である。さらに理論と党勢拡大の活動を意欲的に行ってきた。党政治集会の開催、諸機関・系列での理論学習や理論合宿、JCLフォーラム、青年・学生とのマルクス・レーニン主義の学習、『戦旗』を用いた討議を推進してきた。また、故美杉同志による理論活動の業績を集約し、『遺稿集』を出版した。
 党勢拡大にむけ、第一に『戦旗』購読・配布・討議の系統的な拡大、第二に、労働運動、青年・学生運動、被差別解放戦線、国際連帯運動など、階級的で大衆的な運動と組織の建設を支え推進すること、第三に、左派共闘を進め、韓国民衆連帯や沖縄解放闘争、反戦反基地、プロレタリア国際主義の闘いを展開し、現代共産主義運動の理論や論議を豊富化していくこと、である。

 ●第3章 二〇二〇年の方針

 われわれは二〇二〇年、歴史的な階級再編攻撃―戦争と排外主義と対決し、安倍政権打倒を総力で推進する決意である。安倍政権は、中東ホルムズ海峡周辺への自衛隊派兵を閣議決定し、一月一一日、P3C哨戒機二機を那覇空港から出撃させ、二月上旬、ミサイル護衛艦「たかなみ」を横須賀から出港させた。二〇二〇年、国会での改憲発議を阻止し、自衛隊の海外派兵を許さず安倍政権を打倒していかなければならない。
 「戦後レジームからの脱却」を大きくかかげる安倍政権は、教育基本法改悪、改憲の国民投票法の成立、集団的自衛権行使への踏み込み、反動立法を繰り返してきた。安保関連法、特定秘密保護法、改悪組織的犯罪処罰法(共謀罪導入)の廃案にむけ、全力で闘おう。安倍による排外主義煽動を粉砕し、日韓・日朝人民連帯の闘いを一層推し進めなければならない。全世界的なグローバリゼーションの危機の進行とアベノミクスの破綻が一層鮮明となった。アベノミクスが破綻し階級矛盾が深まる中、安倍は、改憲と民族排外主義煽動、治安弾圧を強化してくる。延期した東京オリンピック・パラリンピックを最大限に利用して国家主義的統合を強め、労働法制改悪を強行し、その危機=階級矛盾の爆発を抑え、政権延命を図ってくるに違いない。二〇二〇年、日帝―安倍政権の階級再編攻撃と断固として対決し、政権打倒の実力行動を闘っていこう。

 ▼3章―1節 政治闘争方針

 第一には、辺野古新基地建設阻止の決戦的闘いの前進を引き続きかちとることである。辺野古への土砂投入が強行されて一年以上が過ぎたが、投入した土砂量は計画の2%である。しかも、安倍政権は、大浦湾の軟弱地盤に対する設計変更をなそうとしている。これは莫大な工事費用を費やすものである。しかも、技術的に不可能な工事であり、工事そのものを撤回すべきなのである。沖縄「県」の埋め立て承認撤回を求める訴訟に対して、最高裁は棄却した。「辺野古唯一」に固執して既成事実化を強権的に推し進める安倍政権を追い詰め、「設計変更」申請を粉砕しよう! 大衆的闘いと現地闘争派遣を継続し、沖縄解放闘争を闘い、普天間基地即時撤去―辺野古新基地建設阻止の闘いに全力で決起しなければならない。
 第二には、自衛隊中東派兵反対をはじめ、反戦反基地反安保国際連帯を闘うことである。沖縄―岩国―築城―佐世保―横田―経が岬―萩・阿武を結んだ全国の反基地運動の連携をさらに拡大・強化し、安倍政権の日米同盟強化路線と真っ向から対決しよう。
 自衛隊の中東からの撤兵を求め、朝鮮戦争危機から米朝間の平和協定という歴史的転換をかちとる、反戦反基地国際連帯はきわめて重要となる。朝鮮半島情勢は、米朝間の交渉と協議が膠着状態に突入し、米帝の共和国敵視政策=朝鮮戦争危機と経済制裁が中長期に継続する状況にある。南北在外の朝鮮人民の自主的平和統一を支持し連帯し、朝鮮戦争阻止・アジア米軍総撤収、反安保を闘っていかねばならない。
 第三には、原発再稼働阻止! 全原発廃炉の反原発闘争を進めることである。原発事故の避難者は未だ四万人以上いる。自主避難者への補償は打ち切られ、帰宅困難地区の一部が解除され、帰還による新たな被曝が強制されている。福島第一原発の汚染水を海洋放出あるいは大気放出するという案が経産省小委員会から出された。安倍は「復興オリンピック」を全世界にむけ発信している。しかし実態は、事故責任を明らかにせず、関電汚職構造は全電力会社に及ぶであろうし、汚染水問題は解決できていない。老朽原発の再稼働を許さず、新規建設を阻止し、全ての原発廃炉を勝ちとらなくてはならない。
 第四には、市東さんの農地強奪を阻止し、三里塚闘争の勝利を切り拓いていくことである。農地死守―実力闘争の闘いは五四年目に入り、強制執行を許すのか否かの決戦に突入した。全国から天神峰結集運動を強め、強制執行阻止の決戦を闘い抜こう。成田空港会社は、東京五輪を口実にして飛行制限時間の短縮を強行し、周辺地域に極限的な騒音地獄を強いている。さらに第3滑走路建設を軸とした機能強化策に着手しようとしている。市東さんに対する強制執行を許さない闘いは、周辺住民の怒りと結び付いて空港反対運動の新たな展望を切り拓くものである。三里塚闘争勝利にむけ、控訴審に勝利し強制執行を阻止しよう。
 第五には、反韓国など差別・排外主義攻撃を粉砕し、戦後補償実現の闘い、日韓民衆連帯・アジア人民連帯の闘いを進めることである。安倍政権は、韓国の元徴用工や日本軍性奴隷制度被害者の謝罪と賠償という正義の要求に真っ向から敵対し、韓国への貿易規制など排外主義の攻撃を激化させてきた。また国内では高校無償化・幼保無償化制度からの民族学校排除など、在日朝鮮人民に対する差別的・排外主義的政策をおし進めている。われわれは、韓国をはじめとするアジアの被害者の戦後補償実現の闘いを断固支持し、日韓民衆連帯・アジア人民連帯の闘いを進めていかなくてはならない。
 第六に、関生労組弾圧粉砕の闘いを、全国的な全人民的闘争をもって推進していくことである。関生労組弾圧は、労働組合の当然の民主的権利である刑事免責・民事免責を破壊し、憲法二八条の団結権など労働三権を解体し、戦闘的労働運動を壊滅しようとするファシズム的階級再編攻撃そのものである。改憲―戦争攻撃の一環である。関生労組弾圧粉砕の反弾圧闘争を全国各地の全人民的闘争として強化していこう。

 ▼3章―2節 階級闘争構造建設

 ◆3章―2節―1項 階級的労働運動

 コロナ感染拡大状況のなかで、左派労働運動の「20けんり春闘全国実」は、「八時間働けば生活できる賃金を! 八時間働けば暮らせる社会を!」を掲げ、月額二五万円以上、時給一五〇〇円以上の最低賃金保障を要求。官民連帯、職場・地域連携、スト配置をもって、闘う春闘を各地で創意工夫し展開している。改憲阻止、自衛隊海外派兵反対、辺野古新基地建設阻止、反原発など労働者政治闘争を担っている。
 関生労組への組織壊滅型弾圧に全国各地から反撃戦を進めている。また労働者保護法制の改悪と「八時間労働制」解体攻撃に断固反撃し、さまざまに闘いを展開している。
 コロナ禍による経営危機・倒産などが激増し、自宅待機・内定取り消し・雇い止め・解雇など、労働者の雇用と生活の破壊、失業攻撃が激しくなっている。特に四割を超える非正規労働者と外国人労働者に犠牲が集中する。政府は大企業への特別融資など支援の一方で、労働者の休業補償は曖昧にし先送りしている。労働者に対する不当な雇用破壊を許さず、完全な休業補償を求め、労働者の団結を拡大する反撃が始まっている。
 さらに『LANN』の発行と販売・読書会をすすめていこう。左派労働運動活動家のネットワークを進め、かつ国際連帯と日帝打倒を闘い、労働者階級解放=プロレタリア社会主義革命をめざす青年労働運動活動家建設をかち取ろう。全国各地の拠点労組建設を前進させよう。

 ◆3章―2節―2項 青年・学生運動

 青年・学生戦線の二〇二〇年の闘いの第一は、自衛隊中東派兵に反対し、安倍政権による改憲―戦争国家化を阻止すべく闘っていくことである。第二は、排外主義と対決し、安倍政権の侵略戦争と植民地支配の居直りを許さず、闘っていくことである。アジアの青年・学生、在日・滞日の青年・学生と連帯を推し進めることだ。青年・学生は安倍政権打倒の闘いの先頭に立とう。

 ◆3章―2節―3項 被差別解放戦線

 改憲―戦争国家化の歴史的転換策動の中、被抑圧人民、被差別大衆に対する排外主義、差別主義攻撃はますます激化する。被抑圧人民、被差別大衆の解放闘争とそれへの連帯を強め、安倍政権を打倒し、プロレタリア革命綱領を実際に豊富化していこう。
 第一に、原爆投下から七五年を迎える今年、新たな核軍拡ともいうべき時代状況の中で8・6広島、8・9長崎の闘いは、ますます重要になっている。被爆一世の闘いを引き継ぎ反戦・反核・被爆者解放の闘いを継承しようと闘い抜く二世、三世に連帯して闘うことは極めて重要である。被爆者援護法適用を求める被爆二世集団訴訟では、二世への遺伝的影響を否定する国の主張を突き崩し、断固勝利していこうではないか。また被曝者、被曝労働者の裁判闘争の勝利に向け支援していこう。
 第二に、部落解放委員会(準)のもと、狭山闘争の第三次再審闘争勝利にむけた展開を強化していかなければならない。二三狭山デーなど各地における地域共闘を強化し、部落差別と闘う労働運動や住民運動を拡充していこう。石川さんを犯人とした「根拠」である万年筆と脅迫状に関する新証拠によって、寺尾判決そのものの誤りが明らかになっている。部落差別を煽動する鳥取ループ・示現舎など、悪質な差別排外主義者の敵対を許さず、これを粉砕して闘おう。
 第三に、改憲―戦争の攻撃のなか、障害者への差別排外主義や抹殺攻撃を断固糾弾し、天皇制・天皇制イデオロギーと優生思想の攻撃と真っ向から闘い抜く障害者との連帯を強化しなければならない。闘いの現場で障害者差別発言をもって安倍政権批判や権力批判がなされることが発生している。あらゆる差別を許さないという質をもった闘いと運動をつくりださない限り、差別排外主義者の攻撃に勝つことはできない。障害者との共生・共存社会の実現にむけて闘いの連携を強化しよう。
 第四に、女性労働者、全女性の解放にむけた闘いが求められている。格差の拡大が進む中で女性の貧困化は一層拍車がかかっている。セクシャル・ハラスメント、マタニティ・ハラスメント、DVなど会社、家庭を貫いた女性差別が常態化している。こうした全社会を貫いた女性差別との闘い抜きに未来社会はない。女性が女性として生きる権利を主張し、女性差別を許さない闘いを創出していかなければならない。
 第五に、沖縄解放委員会(準)からの辺野古決戦―沖縄解放闘争の牽引をいっそう強め、沖縄―「本土」を貫く階級闘争の構造的前進を勝ちとっていくことである。「オール沖縄」の闘いを断固支え、なおかつ沖縄解放をめぐる路線の原則的綱領的な発展・深化をかちとり、沖縄階級闘争を前進させていこう。
 第六に、滞日・在日の被抑圧人民に対する差別と排除の攻撃を許さず、日帝の入管体制と対決していこう。外国人技能実習制度の廃止、入管法―入管体制の解体に向けて闘おう。

 ●第4章 日本共産党、れいわ新選組の評価

 日本共産党は、本年一月第二八回党大会において、中国覇権主義批判の導入など綱領改定、党建設方針、安倍自公政権打倒などの政治任務を確認した。それは、ますますプロレタリアート人民による国際主義と実力の解放闘争に敵対し、本質的にはスターリン主義の二段階革命論などに立って、日帝ブルジョアジーの延命となるブルジョア野党連合政権構想を打ち出し、差別排外主義や民族排外主義の沼地に転落し、ブルジョア改良勢力に純化した政治任務を採っているのだ。とりわけ、天皇制と自衛隊の容認をより明確にしている。
 改定綱領でも、「四、民主主義革命と民主連合政府」では、日本社会の変革は「社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破、……真の独立と民主主義的な改革の実現」という民族民主革命路線をこれまで通り標榜する。綱領改定や情勢・任務などが示す日共二八回党大会の特徴は次の諸点にある。(ⅰ)現中国は「社会主義をめざす新しい探究を開始」した国とみなす根拠が無く、この文言を綱領から削除した。つまり「新しい大国主義・覇権主義の誤り」とする中国規定に変更した。(ⅱ)民族自決権の世界史的前進という流れに加え、女性の闘いやジェンダー平等の課題、ならびに核兵器廃絶の闘い、世界的な貧富格差と気候変動の問題、などを強調。(ⅲ)発達した資本主義国での社会主義・共産主義への前進の取り組みを「世界史的課題」と位置づけ、「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道」なる規定を導入した。
 二八回大会の第一決議(政治任務)では、次の総選挙などに対して、市民と野党の共闘をもって、安倍自公政権を打倒する「野党連合政権構想」を任務とし、「集団的自衛権行使の撤回と立憲主義の回復」をめざし、加えて辺野古基地建設中止・地位協定改定、反原発などの一三項目の政策合意を実現するとした。
 要するに、日共は、安倍退陣のブルジョア野党連合政権路線へと右傾化し、他方で「発達した資本主義国での社会変革」を進める日共こそがソ連・中国の誤りと失敗を乗り越え、社会主義・共産主義を実現できると強弁する。これは社会主義・共産主義におけるプロレタリアート人民解放の革命的実践=日帝ブルジョアジー打倒という階級闘争の原則を放棄し、帝国主義ブルジョア社会の維持と改良、共産主義を啓蒙思想あるいは宗派思想へと落とし込める決定的な誤りである。しかも現実の労働者階級人民の階級的憤激と実力決起を牽引するのではなく、ブルジョア議会へと集約し、労働者階級人民の階級形成の闘いに敵対して抑圧・簒奪するのである。絶対に許してはならない。
 山本太郎の「れいわ新選組」が昨年の参院選で一定の支持をあつめ、重度障害者二名を国会に送りこんだ。安倍自公勢力に反対する議会内野党勢力において、ひときわ注目されている。その政策要求は、日帝―安倍政権による改憲・戦争国家化、差別排外主義攻撃、新自由主義と貧困化に対決し、貧困と差別抑圧の集中する人民諸層、即ち下層労働者・若者層、障害者、女性、虐待される子どもなどの利益擁護を掲げている。さらに消費税廃止、法人税累進性強化、安い住宅、奨学金チャラ、最賃一五〇〇円、反原発(火力推進)、月額一人三万円の給付金、保育・介護・介助者・原発作業員の公務員化、食糧自給と一次産業個別所得補償、普天間基地運用停止・辺野古基地建設中止、安保関連法・秘密保護法・TPP法など「トンデモ法」一括見直し・廃止、DV問題、動物愛護問題などを打ち出している。その意味では、労働者・学生青年・被抑圧人民・被差別大衆の生活と権利を一定守り、腐敗と独裁を強める日帝―安倍政権に反対し、そのさらなる諸反動と差別・戦争・貧困化攻撃と対決する院内抵抗勢力としては、支持できるところもある。れいわ新選組の政策要求が前進し、安倍政権を追い詰め、打倒を実現できるのは、ただプロレタリアート人民解放の階級闘争が前進してこそである。
 しかし決定的な限界と問題点をもっていることはしっかりと捉えておかねばならない。「れいわ」という名称に示される天皇制とその時空支配の元号を利用し、差別と侵略の元凶である天皇制を容認していること。反原発を言いながら、「火力発電」=化石燃料を燃やし地球温暖化―気候変動を加速する政策は、到底認めることができない。労働者・学生青年・被抑圧人民・被差別大衆が自らの実力解放闘争の前進をもってソヴェト・コミューンを建設する展望を欠落させ、むしろブルジョア議会制度へと闘いを歪曲集約する議会主義であること。日本社会と世界を貫く現代帝国主義・現代資本主義の中枢の一つである日帝ブルジョアジーに対する批判と打倒の観点がなく、したがって賃労働と資本という搾取の階級支配制度をラディカルに変革し止揚するプロレタリアート人民解放の国際主義的団結の推進、こうした革命的実践―共産主義運動とは根底的にかけ離れた資本主義改良勢力である。危機と行き詰まりを深める日帝ブルジョアジーに対して、その打倒をめざすプロレタリア階級闘争の推進ではなく、財政支出拡大―国債増発と公共事業・所得再分配・雇用保障によってインフレ経済成長をめざすMMT(現代貨幣理論)がれいわ新選組の政策的基礎にある。これは米国の貧困層や若者などが圧倒的に支持する「民主社会主義者」のバーニー・サンダースも同じである。結局、貧富格差と差別激化の緩和を夢想する修正資本主義の一潮流なのである。日帝や米帝の侵略反革命戦争攻撃や軍需産業増強、自衛隊増強に関する批判点がほぼ欠落している。
 現代帝国主義・資本主義の未曽有の危機の時代、それを打倒するプロレタリア革命運動の再構築が決定的に求められている。この状況と課題に対し、れいわ新選組は現代帝国主義・資本主義の改良と延命に繋がる一潮流なのである。

 ●第5章 地球温暖化による気候変動問題について

 産業革命(一七〇〇年代末)以降、資本主義的商品生産が今日まで激烈に繰り広げられてきている。それは、生産手段を私有するブルジョアジーといった一握りの富者たちの階級が形成され、その対極には、自らの労働力をブルジョアジーに売ることによってしか生活・生存できず貧困を強いられるプロレタリアートなど被搾取階級・被抑圧人民・被差別大衆が膨大に存在する状況を形作っている。同時に、資本の激しい争闘戦のなかで資本の集中と集積が進み、それらのグローバルな展開、すなわち帝国主義諸列強による地球の領土的分割支配―植民地従属国の獲得の侵略戦争、そして大量の生産と消費のなかで、大規模な森林や熱帯雨林の伐採、天然資源の乱獲と略奪、夥しいプランテーションが作られ、石油・石炭・天然ガスなど化石燃料に依存した現代資本主義の無政府的生産と消費によって、自然環境は激しく破壊されている状況にある。
 環境破壊問題において、気候変動の被害は、世界各地で大規模台風・豪雨大洪水・森林火災・干ばつ・海面上昇などとして発生し、大きな焦点となってきた。地球温暖化による気候変動は、化石燃料の燃焼によって発生する二酸化炭素(CO2)が、太陽エネルギーの放射を通過させるが、地表からの熱エネルギーの放射を閉じ込め、地表と大気を温め続けることを最大の要因として引き起こされている。
 このまま化石燃料を使用し続けてCO2排出が増大すれば、二一世紀の終わりには、産業革命前の気温よりも3度上昇すると予測されており、気候変動による大災害発生に至る。パリ協定は、産業革命前と比べ地球温暖化を1・5度まで抑えるCO2排出量の削減を各国に義務付けている。1・5度までに抑え込めれば、破局的な気候変動をかろうじて回避できるとされている。
 グレタ・トゥンベリさんをはじめ世界中の若者が先頭に立って、気候変動の原因となる化石燃料使用による膨大なCO2排出に反対している。金曜日の統一行動として、学校スト・マーチ・座り込みなどの大規模な抗議を闘っている。
 他方、原発・核兵器を推進する勢力が、「地球温暖化―気候変動対策」だと偽って原発の擁護と推進を犯罪的に展開していることを絶対に許してはならない。
 われわれは、地球温暖化―気候変動を阻止する決定的な闘いこそ、現代帝国主義・資本主義を打倒するロレタリア社会主義革命であると訴える。この道のりこそ、化石燃料に依存した資本主義の無政府的生産を変革し、もちろん原発は廃棄し、再生可能エネルギーなどによる計画的生産と社会的公正な分配をすすめ、搾取と貧困、差別を無くしていく、新たな段階の闘いに踏み出すことができる。

 ●第6章 共産主義運動の再建にむけた理論的指針

 われわれは、スターリン主義の誤りや、資本主義の改良枠に抑え込む社会民主主義や日和見主義、さらには現実の階級闘争を牽引できない宗派主義と根底から分岐し、労働者、被抑圧人民、被差別大衆の実際の解放闘争および、青年学生の階級的闘いを総力で推進する。これは、現代の共産主義運動の歴史的再建にほかならない。そのためにも、われわれの改定綱領や全国政治新聞『戦旗』と労働者人民の闘いを深く豊かに結合する活動をとことん強化していこうではないか。
 二〇二〇年階級闘争の推進と共産主義理論活動を、同志、友人、左派共闘の仲間とともに全力で進めていこうではないか。その際、共産主義について、マルクス、エンゲルス、レーニンの革命的実践と経験を継承し、現代に復権しなければならず、その理論的指針について、一つの材料ではあるが『ドイツ・イデオロギー』(一八四五―一八四六年、マルクス、エンゲルスの共同執筆)から抜粋し、わが同盟の実践基軸としておさえておく。
①「共産主義というのは、僕らにとって、創出されるべき一つの状態、それに則って現実が正されるべき一つの理想ではない。僕らが共産主義と呼ぶのは、現在の状態を止揚する現実的な運動だ。この運動の諸条件は、今日現存する前提から生じる」(岩波文庫版七二頁)。
 共産主義運動は現実の階級諸関係のなかで被抑圧・被搾取・被差別の人々の解放をもとめる実践運動である。
②「共産主義は、経験的には、主要な諸国民の行為として『一挙的』かつ同時的にのみ可能なのであって、このことは生産諸力の全般的な発展およびそれと連関する世界交通を前提としている」(同、七三頁)。
 共産主義運動は、世界的同時的、すなわち国際主義と世界革命をめざすのである。
③「プロレタリアートは、それゆえ、世界史的にのみ実存しうるのであって、それは彼らの営為たる共産主義がそもそも『世界史的な』実存としてしか現前しないのと同様である。諸個人の世界史的な実存とは、すなわち諸個人が世界史と直接的に結びつけられて実存しているということである」(同、七五頁)。
 プロレタリアート人民の解放闘争は、世界史的な任務なのである。
④「革命は、他の仕方では支配階級が打倒されえない理由で必要なだけでなく、打倒する側の階級が革命のさなかでのみ、古い残渣をわが身から一掃して、社会の新たな礎石を築く能力をもてるようになる、という理由からしても必要なのである」(同、八三頁)。
 プロレタリアート人民の解放闘争は、階級敵である独占・大ブルジョアジーを実力で打倒する暴力革命であること。また、もっとも肝心なことは、階級闘争・革命運動に決起し、自らをブルジョアジーと階級的に分岐し、これを打倒する闘いのなかにこそ、プロレタリアートを階級形成する実践と団結があること。それは、搾取・収奪・略奪・差別排外主義などのブルジョアの思想・価値観を粉砕し、全人類解放につながること。以上である。
 新型コロナウイルス感染爆発状況下、そして、緊急事態宣言発令下において、二〇二〇年階級闘争を創意工夫して断固推進しよう。プロレタリア国際主義に立脚し、差別排外主義を粉砕し、左派共闘を拡大し、日帝・安倍政権打倒―プロレタリア社会主義革命の闘いの前進をかちとろう。共産主義運動の現在と未来展望の闘いを再構築しよう。



 

 

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