共産主義者同盟(統一委員会)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

  
   ■コロナ危機突破して21春闘勝利!

 大量解雇を許すな!

 生活できる賃上げと均等待遇を

   
         中央労働運動指導委員会
         
                          

  
  

 ●1章 コロナ危機の拡大

 新型コロナ感染は全世界で猛威をふるい拡大の一途をたどっている。一月一五日現在、感染者は全世界で九三九二万人、うち米国二三五二万人、インド一〇五四万人、日本も急拡大し三二万人を超えた。死者は全世界で二〇〇万人を超え、米国三九万人超、日本四四七五人となっている。
 日本の感染第三波は、感染経路不明50%以上、PCR検査陽性率10%以上、病床数逼迫度など六指標で、七都府県では「レベル4(爆発的感染拡大)」にすべて該当することが明らかになった。緊急事態宣言の再発令が一月八日に東京など四都府県、同一三日には愛知・大阪・福岡など合わせて一一都府県に拡大した。一月一三日時点で感染者自宅療養が三万人を超え、容態急変死亡例が相次いでいる。
 また、感染力の強い変異種が、英国で猛威をふるい南アフリカはじめ世界各地に出現して、日本でも感染例が出始めた。二月七日の宣言解除の見込みはない。

 ▼1章―1節 バイデンのコロナ対策

 米新大統領バイデンは就任翌日、政権の最優先課題と位置づける新型コロナ対策の「国家戦略」を打ち出した。「死者の数は来月には五〇万人を超えるおそれ」と危機感をあらわにして、感染拡大封じ込めやワクチン接種など七項目を明らかにした。これに先立つ一月一四日には二〇〇兆円規模の新型コロナの追加の経済対策案を発表している。
 大統領選挙公約は、①二千ドル(約二一万円)直接給付、②上位1%の富裕層の税引き所得が11・3%減少するような所得税率の復旧、③医療保険の大幅拡大、④全米で一兆六千億ドルにのぼる学資ローンの負担減免、⑤最低賃金の全米基準を時給一五ドルに引き上げ、⑥五〇〇万人雇用拡大のために製造業に四〇〇〇億ドル投資などを掲げている。
 こうした大型の財政出動をもっての経済再建を掲げ国民融和を図るものだが、財政危機の前に新自由主義者バイデンの実行性がどこまでかは不透明だ。

 ▼1章―2節 金融・財政危機の増大

 新型コロナ・パンデミックは、新自由主義のもとでのグローバル・サプライチェーン(国際供給網)を切断した。イギリスを始めとしたロックダウンなどもあり、製造業ではリストラが進み、小売り・飲食・接客・観光・レジャー産業は壊滅的な打撃を受けている。世界経済の成長率も、IMFによれば、二〇年はマイナス4・4%に落ち込み、リーマンショックを上回る大不況となっている。早期にコロナ感染を抑え込んだ中国のみが2・2%のプラス成長となっている状況だ。
 すでにコロナ危機に対応するために、各国政府や中央銀行が大幅な財政出動や金融緩和を実施し、「異常な金余り」の下で、世界中のマネーが各国の株式買いに向かい、実体経済とかけ離れた不況下の株高が進行している。米国株式の時価総額は、実体経済(GDP)の二倍にまで膨れ上がっている。
 また、日本の日経平均株価もバブル崩壊以降二九年ぶりの高値を付け、株式を大量に保有する富裕層・大企業・金融機関のみが金融資産を急激に増大させている。
 反対に、コロナ危機対策で上積みされた全世界の債務総額は、国際金融協会(IIF)によると、実体経済規模の三倍を超える二七七兆ドル(三京三〇〇〇兆円)に達している。1%の富裕層の莫大な資産集積の下で、ポストコロナの深刻な危機を孕みながら、財政破綻の危機が全世界を覆っている。

 ▼1章―3節 医療と社会的弱者対策を!

 コロナ危機のもとで貧困と格差はますます拡大し、労働者民衆は生存の危機に直面している。貧困と格差拡大にあえぐ労働者の生活と抜本的なコロナ対策に資金投入することが早急に求められている。
 この状況下に菅政権は、総額事業規模七三・六兆円の追加経済対策を決定した。うち、二〇二〇年度第三次補正予算に一九兆円を計上。しかし、新型コロナ拡大防止対策には四兆円強で、一律の現金給付や中小企業への持続化給付金などの対策事業は盛り込まれていない。GoToトラベルの延長を含めた「コロナ後に向けた経済構造の転換」に一一兆六〇〇〇億円、「防災・減災と国土強靭化」に三兆円以上を計上している。
 医療機関への支援や社会的弱者対策が圧倒的に不足している中で、われわれは、「医療・福祉・介護、エッセンシャルワーカー、社会的弱者対策に財政支出せよ!」と要求しなければならない。

 ▼1章―4節 解雇・失業対策を!

 新型コロナの影響で、昨年の解雇・雇止めは、厚労省のいう約八万人より実際はさらに多い。
 民間予測では、二〇二一年三月の年度末には、失業率は4%超えとの予測もある。また、経済低迷が二年間継続すると、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業の四業種の中小企業五二万事業者および三二〇万人の雇用が失われる可能性があるとされる。
 実際に、緊急事態宣言下で飲食・サービス業に携わる若年・女性労働者の雇用情勢の悪化が急速に進んでいる。女性パートアルバイトだけで、仕事が半分以下に減り休業手当も支払われない「実質的失業者」が、昨年一二月時点で九〇万人に上り、公式統計の七二万人と合わせると一六二万人で実質失業率5%強となる。また、女性パートアルバイトで、休業手当を受け取れたのは三割しかなく、業種別では卸売・小売業22%、宿泊・飲食業34%と女性が多く働く業種ほど低い。問題は「フリーシフト制」で、厚生労働省の指導の曖昧さが事業所の賃金・休業手当の未払いを誘発させている。

 ▼1章―5節 「年越しコロナ相談村」取り組まれる

 昨年末一二月二九日、三〇日と本年一月二日の三日間、新宿歌舞伎町の大久保公園で、「年越し・支援コロナ被害相談村」が取り組まれた。労組と日本労働弁護団が呼びかけ、連合・全労連・全労協をはじめとする労組や反貧困ネットワークなどの市民グループから、のべ三五〇人のボランティアが駆け付けた。相談に訪れた人は三三七人であった。うち女性が五八人訪れ、さらにベトナム人はじめ外国人労働者は二〇人であった。少なくない人数である。女性労働者、外国人労働者の生活が逼迫しているのだ。
 東京都が行う宿泊場所提供事業に繋ぐことや、生活・労働・医療相談や食料配布などをおこなったが、支援継続が必要とされている。労働組合が社会連帯の先頭に立ち、相談・組織化体制の強化が求められている。

 ●2章 春闘と労働運動の解体狙う21経労委報告

 一月一九日、経団連は、21春闘における使用者側指針である「経営労働政策特別委員会報告―エンゲージメントを高めてウィズコロナ時代を乗り越え、Society5・0の実現を目指す」(以下、21報告)を発表した。
(注)エンゲージメント「働き手にとって組織目標の達成と自らの成長の方向が一致し、仕事のやりがい、働きが解決しいを感じる中で、組織や仕事に主体的に貢献する意欲や姿勢を表す概念」、
(注)ソサエティ5・0「狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く第五の新たな社会、デジタル革新と多様な人々の創造力の融合によって社会の課題を解決し、価値を創造する社会・創造社会」(20経労委報告)
 この「21報告」は、情勢認識について、昨年の「20報告」の「時代の転換点に、ソサエティ5・0の実現が求められている」と同様の主張を維持しながらも、コロナ危機の中でより一層の危機感と決意を示している。いわく「新型コロナウイルス感染症は、わが国経済にリーマンショック時をはるかに上回る規模で深刻な影響を及ぼしている。これまでのところ失業率は低水準にとどまり、社会不安は相当程度抑えられてきた」「感染症収束の見通しが立たない中、依然として、先行きの不透明感は極めて強い状況にある」「ポストコロナを見据え、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が従来以上に増している」としている。
 特に、「働き手のエンゲージメントを高め、生産性の向上やイノベーションの創出につながる」という点で、今回報告で強調しているのは、「その鍵を握るのが、新たな時代を担う人材育成と、成長分野への人材シフトであり、中長期的視野に立って、社会全体の雇用の流動性を高めることが重要となる」という点であり、それを新政権に強く求めるとしている。
 これについて既に、「経団連は、二〇二〇年一一月『サスティナブルな資本主義』の理念を掲げた『新成長戦略』をとりまとめ」ている。この戦略提言は、冒頭に「もはやこれまでの延長線上の漸進的な改革の先には資本主義の未来はないことを覚悟し、果敢に取り組んでいきたい、新政権とともに推進すべき成長戦略を提言する」として、サスティナブルな資本主義を追求する背景について、「新自由主義が利潤追求のみを目的とした経済活動によって環境問題の深刻化や、格差問題の顕在化等の影の部分をもたらしたことを忘れてはならない」「行き過ぎた株主至上主義への反省、社会課題への意識の高まりが顕在化している」と階級的危機感をより露わにしている。最も批判すべき点は、国際社会について「米中の二大経済大国の対立が常態化し、自国第一主義の姿勢が強まり、自由貿易体制の存続が危うくなっている」「わが国政府は、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の実現」と主張している。
 働き方の変革については、「新たな労働時間法制を政労使が協力して確立することが不可欠」、「労働市場のセーフティーネットを強化する観点から、政府は労働者保護に資する解雇無効時の金銭救済制度を創設する必要がある」と打ち出していることである。
 連合は、一月二〇日「連合見解」で、21経労委報告について「1・全体に対する見解 (一)with/afterコロナ時代にむけた課題認識は一致する点が多い、労働移動の円滑化に向けたマッチング機能の強化にむけて社会的セーフティーネットを拡充していくことが極めて重要である」と労働法制改悪のお先棒を担ごうとしている。また、「(二)労使が協力してこの危機的状況を乗り越え、企業内で働くすべての労働者のエンゲージメントを高めていくためにも、雇用確保と賃上げを同時に実現してこそ、事業の存続と社会の持続性が確保される」と資本への忠誠心と体制翼賛の見返りを求めている。
 連合は、二〇二一年春期生活闘争は「感染症対策と経済の自立的成長の両立をめざす」として、賃上げ要求を昨年と同様の考え方で提示している。①産業・地域相場の「底上げ」は、「定昇相当分(2%=連合平均四五〇〇円/年)確保を大前提」に、「結果として2%程度の賃上げ」を実現する、「それぞれの産業の置かれた状況の違いを認め合う」として、前年の定昇とベアの両方を「含め4%」という記載をなくしている。②企業内の「底支え」は、企業内最賃協定で一一〇〇円以上をめざす(連合リビングウェイジ単身者時給一〇四五円によって)、③主に中小組合(組合員数三〇〇人未満)との「格差是正」は、最低到達水準一一〇〇円/時から、複数年かけて実現する目標水準一七〇〇円/時(全国所定内賃金平均)を設定して、総額一万五〇〇円(定昇四五〇〇円、プラス中小組合平均賃金2%=五〇〇〇円、プラス大手・中小格差分=一〇〇〇円)以上の引上げを示している。
 21経労委報告は、コロナ禍で「雇用確保」が大前提であるとして、連合のこうした要求水準を強く批判している。

 ●3章 21春闘の勝利かちとろう

 21春闘は、新型コロナ感染症の第三波拡大で、一月「緊急事態宣言」の再発出という厳しい状況下で闘われる。
 全労協とけんり春闘全国実行委員会は、21春闘の基本方針として、「八時間働けば生活できる賃金を!八時間働けば暮らせる社会を!」「差別の根絶、全労働者に同一労働同一賃金を!」「コロナを口実にした解雇・賃下げを許すな!」を掲げている。
 全世界的なコロナ危機拡大は、新自由主義の破綻を突き付けた。しかし政府・資本はその責任を取ることなく、第四次産業革命・デジタル社会化を強行して、冷酷無比にも労働者民衆に多大な犠牲を強いて来ている。大量失業と貧困、生存の危機にあって、労働者の生命と生活を守るために、われわれは自らの団結と社会連帯を強固につくりだしていかなくてはならない。コロナ危機の中で、労働者民衆が「安心・安全に暮らせる社会」をいかにつくりだせるのかが問われている。21春闘の課題である「八時間働けば暮らせる社会を!」をめざして、エッセンシャルワーカーや中小零細・非正規・女性・若年労働者の大幅賃上げと法定最賃引上げ、均等待遇・同一労働同一賃金の実現、外国人労働者の権利確立などの闘いの中で、自ら社会を作り変えることができる団結をうち鍛えていかなくてはならない。また、「安全・安心の社会」とは、新自由主義と菅政権打倒にとどまらない資本主義打倒と社会主義の実現にあると訴える内実を作り上げていく必要がある。
 コロナ禍で苦闘する民間中小の全国一般全国協は、21春闘の基軸を次の三点としている。
 ①中小零細企業の最賃近傍で働く全ての非正規・正規労働者の大幅賃金アップを勝ちとる。
 ②非正規労働者の均等待遇の実現をめざし、「同一労働同一賃金」を勝ち取っていく。
 ③法定最賃の大幅上げと全国一律最賃制度を求める。
 とくに、法定最賃をアップさせる運動が、非正規労働者の賃金アップに直結し一体となっていることを十分に踏まえ、最賃闘争を強化していこうと、訴えている。
 われわれは、以下のような21春闘の課題を実現していかなければならない。

 ▼3章―1節 「命・暮らし・雇用」守るために闘おう

 ①雇用調整助成金(二一年二月度まで延長の「コロナ特例」含む)を使わず、解雇・雇い止めに走る経営者をけん制し、説得・援助も含め対応し、政府の補償制度を活用させ、労働者の生活を守ろう。
 ②労働者が直接請求できる「休業支援金・給付金制度」などは、労働組合が援助して取り組み、組合員の組織化につなげよう。
 ③地域共闘と多くの労働者・労働組合の団結した力で、会社売却・倒産・失業を許さず、労働者の生活と権利を守り抜こう。

 ▼3章―2節 大幅賃上げかちとろう

 全国一般全国協は、「どこでも誰でも時給一五〇〇円以上、月額二五万円以上」「時給一〇〇円アップ、月額一万八千円以上」の賃金要求を掲げ、「三六協定は、最低でも月四五時間、年間三六〇時間以内」とする。
 OECDによれば、一九九七年以来諸外国の賃金は上がる中で、日本の労働者の賃金は下がり続けている。
 財務省の二〇一九年度の法人企業統計によると、大企業(資本金一〇億円以上、金融・保険業を含む)の内部留保は四五九兆円と前年度から一〇兆円増えている。内部留保が最高額を更新するのは比較可能な〇八年度から一二年連続最高記録を更新している。安倍政権が発足した一二年度と比較すると、経常利益が一・四倍、内部留保が一・三八倍、配当金が一・六四倍に増える一方、労働者の賃金は横ばいにとどまっている。大企業を優遇するアベノミクスのもとで増えた利益が、賃金にも設備投資にも回らず、配当金と内部留保に回っている。
 21春闘を闘う今こそ、大企業の内部留保について、課税を含めた様々な形で吐き出させなければならない。例えば今、大企業の内部留保に毎年0・5%課税しただけで、二兆二五〇〇億円の財源が捻出できる。非正規労働者、医療や介護、公共(公務)サービス部門で働く労働者をはじめ、全ての労働者の大幅賃上げをかちとろう。

 ▼3章―3節 職場の賃金闘争と一体に法定最賃アップを

 中小零細企業の最賃近傍で働く全ての非正規・正規労働者の賃金(時給)アップをかちとろう。
 二〇二〇の中央最賃審議会の最賃引上げ額の目安ゼロによって、地方最賃審ではゼロまたは一~三円しか増額しなかった。法定最賃が上がらないことによって、最低賃金近傍で働く非正規労働者、とりわけ女性非正規労働者、外国人労働者・技能実習生、若年労働者の賃上げがかちとれていない。
 さらには、中小零細企業に働く労働者は、長時間労働によって何とか生活し得る賃金を手にしている場合が多い。時給換算すれば、最賃に貼り付いた時給、あるいは最賃近傍の時給であり、その生活は逼迫している。

 ▼3章―4節 「同一労働同一賃金」均等待遇を実現しよう

 「パート・有期労働法」が、二一年四月から中小企業に適用される。八条の「均衡待遇」、九条の「均等待遇」、一四条の労働条件の違いの「説明義務」を、団体交渉で活かそう。
 ①「パート・有期労働法」八条は、『不合理な待遇の禁止』規定については、労契法二〇条裁判(ハマキョウレックス、長澤運輸)の二つの最高裁判決の主旨が取り入れられ、「基本給・賞与(一時金)、その他の待遇のそれぞれについて」「当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして」不合理な相違を設けることを禁止する、と均衡待遇を規定している。
 ②「パート・有期労働法」九条では、『均等処遇規定』が有期労働者にとっても適用される内容となっており、労働組合は活用できる。
 ③「パート・有期労働法」一四条には、『事業主が講ずる措置の内容等の説明』が盛り込まれている。事業主は、正規雇用労働者と短時間・有期雇用労働者との「待遇の相違の内容および理由」を説明しなければならないことが規定されている。
 昨年一〇月に出された大阪医科薬科大事件、東京東部労組メトロコマース支部への労契法二〇条裁判最高裁判決では、非正規差別を温存し、一時金・退職金という賃金ベースでの不支給を容認した。高等裁判所すら一部認めていたものをすべて取り消し、非正規労働者には労契法二〇条の下では、手当のみに押し止めるという最高裁判決だ。一九九六年に出された「丸子警報器事件判決」の「正社員の八割以下となるときは公序良俗違反」という確定判決を覆す判決である。
 また同時に、諸手当を認めさせた郵政二〇条最高裁判決を活かして、住宅手当を始めとした手当の均等待遇をまずかちとっていこう。また、時給も一五〇〇円以上と、賃金ベース本体に少しでも切り込んだ真の「同一労働同一賃金」を求めよう。非正規労働者の賃上げが「手当のみの引上げ」で、正規労働者との「均衡」「均等」が手当のみに切り縮められるような「日本型エセ同一労働同一賃金」であってはならない。
 そして、とにかく現状は圧倒的に非正規労働者の賃金・時給が最低賃金近傍で張り付いている状態を改善していこう。長時間労働でなく、労働者とその家族が生きていける賃金・時給をかちとれる闘いを進めよう。
 さらに、「五年無期転換」後に不安定な有期雇用から脱したものの、賃金・労働条件は非正規・有期雇用契約と変わらない無期雇用労働者とともに闘おう。「法の谷間」に落とし込められている「無期転換労働者」に対する「同一労働同一賃金」、均等待遇実現を求めていこう。

 ▼3章―5節 国際連帯と外国人労働者の権利確立

 三月二一日東京・上野水上音楽堂で、外国人労働者の権利確立のためのマーチインマーチが取り組まれる。コロナ禍にあって、技能実習生・外国人労働者は解雇・雇止めや、渡航制限で帰国もできず、生活費が途絶して塗炭の苦しみに陥っている。人身売買、奴隷労働、棄民の元凶になっている技能実習生制度を廃止しなければならない。また一月二〇日、韓国サンケン労組に対する日本本社の廃業・解雇攻撃に反撃して、日本労組・市民の争議支援で日韓連帯を強めていこう。

 ▼3章―6節 連帯関生支部への組合潰しの大弾圧と闘おう

 連帯労組関西生コン支部への組織壊滅型弾圧と有罪重刑判決を許さず、七一人被告全員の完全無罪をかちとろう。昨年は、10・8「大阪スト二次事件」大阪地裁判決、12・17「加茂生コン第一事件」京都地裁判決と不当判決が続き、さらに六つの刑事裁判が闘われている。これらは、共謀罪や威力業務妨害、脅迫未遂として労組の団体行動権を圧殺しようとするものだ。産業政策運動を封じ込める階級協調攻撃に断固反撃していかなければならない。

 ▼3章―7節 あらゆる労働法制改悪に反対しよう

 野党共同提出の「パート・有期労働法改正案」成立をめざそう。

 ◆3章―7節―1項 裁量労働制の拡大、解雇の金銭解決法制化許すな

 「企画業務型裁量労働制」の拡大は、一八年の「働き方改革関連法案」から先送りとなった。「企画業務型裁量労働制」の適用業務の拡大が進むと、長時間労働・過労死が蔓延する。高度プロフェッショナル制度と違って年収制限がないので、数百万人の営業労働者が対象とされてしまう。八時間労働制の原則を定めた労基法の改悪を許してはいけない。
 また、「解雇の金銭解決」を法制化しようとの検討会が、二〇年一一月に再開されている。何度も法案化が頓挫しているが、経団連がデジタル社会の雇用流動化の要として、その法制化を菅新政権に要求している。阻止していこう。

 ◆3章―7節―2項 在宅ワークとみなし労働の拡大を許すな

 コロナ危機による在宅ワークの増加が、みなし労働、裁量労働の拡大に拍車をかけるものとなっている。
本来、労働時間管理は使用者の法的義務である。しかし、コロナ対策の名のもとで在宅ワークが拡大し、これによって「労働者の自己責任管理」が求められる。在宅ワークに「みなし労働時間制」がセットされると、家庭が無制限の労働の場になってしまう危険がある。家庭での、労働からはっきり区別された休養が労働力を再生産するために不可欠であり、休養が不足したままでは労働者は心身破壊に陥る。

 ◆3章―7節―3項 固定残業代制度の規制緩和を許すな

 「固定残業代(みなし残業代)」制度の運用の、規制緩和の動きがみられる。基本給や、各種手当に固定残業代を組み込む場合は、〝何時間分の残業代として何円が含まれているか〟を明らかにする基本給や各種手当との「明確区分性」が必用であるというのが従来の裁判所の立場であった。
 しかし、一八年七月の最高裁判決は、「明確区分性」を固定残業代の要件とした東京高裁判決を否定し、「労働契約や就業規則に固定残業代制度を定めること、その他、実際の残業代と大きなかい離が無く支払われていることも加える」とする固定残業代の要件を大幅に緩和する判決を出して使用者を救済した。
割増賃金を法定計算しない固定残業代制度を認めることはできない。

 ◆3章―7節―4項 非正規均等待遇めざす野党共同改正法案の成立を

 「パート・有期労働法」や「労働者派遣法」の一部改正を目的とした野党共同改正案が、二〇年一一月一三日に提出され、継続審議となっている。非正規労働者の格差是正・均等待遇実現に向けての法改正をめざし全国的な運動を展開しよう。
 最後に、21春闘の中でも、「戦争反対! 核なき東アジアの平和を!」を掲げ、菅政権の改憲・敵基地攻撃能力保有策動を阻止していこう。
 菅政権は、GoTo政策に固執して、コロナ対策に失敗した。労働者民衆の生命よりも資本の利害を優先した失政を総括することなく、コロナ特措法、感染症法の罰則付き改悪という新たな強権政治に踏み込もうとしている。医療の場に警察、検察が介入して、監視、隔離、逮捕、罰則で支配する社会へと転化しようというのだ。コロナ禍にあって強権支配と分断、差別の煽動に突き進む菅右翼反動政権を打倒しよう。



 



Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.