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   5・15沖縄反革命的統合四九カ年弾劾!

    沖縄解放闘争の勝利へ突き進もう!

    アジア人民と連帯し、沖縄・琉球弧の
        日米共同前線基地化強化を打ち砕け

                                       沖縄解放委員会(準)

                 




 
 一九七二年5・15日帝による沖縄反革命的統合は、日米両帝国主義・日米安保体制のアジア侵略反革命戦争突撃体制への再編攻撃の要であった。同時に、「復帰運動」として現出した沖縄労働者・人民の反米軍政・反基地・反戦闘争は、「本土」労働者・人民との連帯・結合を求めた自己解放闘争であった。
 四九年が経過した今日、沖縄にはいまだに全国の米軍基地の約70・3%が集中している。「これまでにも、沖縄の本土復帰後最大の返還となった北部訓練場の過半の返還など、着実に前に進めてきました」(首相就任後初の菅所信表明演説・昨年一〇月)と豪語しているが、高江ヘリパッド・オスプレイパッド新設などで「過半返還」北部訓練場の機能は飛躍的に強化されている。そのうえで、まだ七割の米軍基地が沖縄に集中しているのだ。空域、海域を含めるとそれ以上だ。
 沖縄解放―日帝打倒・米帝放逐! 日帝の沖縄差別軍事支配打破! を戦略的路線として確立したわれわれは、沖縄解放・沖縄階級闘争の勝利と物質化を何としても果たさなければならない。同時に、もはや戦後米軍政支配の二七年間をも上回る日帝の沖縄差別軍事支配が継続されていることを痛苦に総括しなければならない。
 日帝は、来年の知事選をにらみ、辺野古新基地反対を貫く翁長―玉城「県」政打倒を狙った沖縄振興一括交付金減額や分断策として「特定事業推進費」の市町村への直接交付へと踏み出している。では、この五〇年で一三兆円も投入した「振興策」の結果はどうか。相変わらずの「県民所得全国最下位」である。子どもの貧困率が29・9%、全国の約二倍にも及ぶ驚くべき貧困実態もその反映だ。昨年来の新型コロナウイルス感染症パンデミック(世界的大流行)は、とりわけ観光客一千万人超えでリーディング産業としてけん引してきた観光産業を直撃し沖縄経済・産業構造の脆弱性をさらに拡大した。
 小出しの感染対策とGoTo事業等の失策を労働者人民へ押しつける日帝・菅自公政権をこれ以上延命させてはならない。「私は戦後生まれなので、沖縄の歴史はわからない。辺野古が唯一」と平然と言い放つ菅を断じて許さない。来年「復帰五〇周年」記念で「国民文化祭」の沖縄開催が決定され、天皇ナルヒトの沖縄上陸が策されている。反革命的統合四九周年弾劾! 沖縄差別軍事支配打破! 5・15沖縄解放闘争を沖縄―「本土」を貫いて闘いぬこう!

  ●1章 釣魚台をめぐる軍事強化と領土排外主義扇動を許すな

 釣魚台(「尖閣諸島」)領有問題は、二月一日より施行された中国の「海警法」により、中国海警局が外国船舶に対する武器使用を含む権限の拡大が可能となったことで、さらに緊張感が高まっている。海上保安庁はマスコミを煽動媒体にして、連日のように釣魚台周辺での中国船の「領海侵犯」を伝え、日本船への追尾事態をセンセーショナルに報じている。しかし、「追尾された」とする漁船「第一桜丸」は「日本文化チャンネル桜」からの資金を元に購入した政治宣伝用漁船で、「恵美丸」とともに昨年六月には海保巡視船を伴い官許の「操業」をしていたことも明らかになっている。
 そもそも釣魚台領有問題は、一九七二年日中国交回復の時点で「領土問題としての存在」と「その上での棚上げ」として合意されていたものを、日帝が一方的に「領有」を強弁しているのが最大の問題である。その直接的な契機がファシスト・石原慎太郎(当時東京都知事)による東京都買収計画であり、日帝・野田佳彦民主党政権による一二年九月の「国有化」である。
 実際、「尖閣領海警備専従体制」をとる海保は、領海警備などに当たる大型巡視船(一〇〇〇トン以上)を、二三年度までに七隻新造する計画を明らかにしている。沖縄「県」警は、漁民に偽装した武装集団の離島(釣魚台)上陸阻止を想定して昨年「国境離島警備隊」を発足させている。加えて、石垣市議会は昨年六月に尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更し、右翼反動石垣市長の中山義隆は、新標柱設置と称して釣魚台占有の既成事実化を策動している。
 また、自民党国防族を中心に自衛隊の治安出動、「武力攻撃事態法」認定による武力行使を想起した新たな法整備要求や下地島空港の自衛隊・軍民共用空港化や釣魚諸島周辺での日米共同訓練の実施要求を高めている。
 三月一六日に開かれた米帝バイデン政権発足後初の日米外務・防衛閣僚協議「2+2」では、来日前に発表した米帝の『堅固な日米同盟の再確認』文書を基にした「自由で開かれたインド太平洋地域での日米同盟の強化」を謳い上げた。特に注目すべきは、中国を名指しして「ルールに基づく国際体制を損なう威圧や安定を損なう行動に(日米が連携して)反対する」と公然と戦争的野望を表していることだ。とくに、「東シナ海の現状を変更し、尖閣諸島での日本の施政権を弱体化させる一方的な試みに引き続き反対する」として中国海警法への危機感を表すとともに、「日本防衛への関与は絶対的だ」とし、日米安全保障条約五条の釣魚台諸島への適用と「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調した。
 日米安保五条適用については、一一年以降、オバマ政権下、トランプ政権下でも追認されてきた。だがそれは、釣魚台武装占拠=米軍介入の担保では決してない。米帝の対中国軍事戦略と、日帝の反中国宣伝排外主義煽動をもった琉球弧―南西諸島への自衛隊軍事強化推進の軸としてあるのだ。日米軍事一体化に向けた反革命攻撃の環である日米安保五条適用宣言を許すな。
 ところで、日本共産党委員長志位は、昨年十一月二四日開催された日中外相会談後の共同記者会見での中国外相・王毅の(海警局船の「正体不明漁船」への追尾は)「やむを得ず反応」旨の発言に「驚くべき傲岸(ごうがん)不遜」だと激しく非難し、返す刀で外相・茂木にも反論しなかったのは「極めてだらしない」と批判し、愛国主義・民族主義を改めて自己暴露した。これを機に日共は、沖縄「県」議会一二月議会において自民党と結託し、「(釣魚台は)わが国の固有の領土だ」として「王毅外相の発言に対する抗議決議を強行したのである。
 日共は、釣魚台占有を「無主地の先占」論という帝国主義強盗の論理で国際法上正当だと強調する。加えて、日帝の釣魚台略奪・占有は、日清戦争勝利での台湾・澎湖列島の割譲にみる領土拡張とは別次元だと、日帝の侵略主義歴史観をそのまま踏襲する始末である。
 一八七九年琉球処分(琉球併合)に対し、米国前大統領グラントを介した調停で、宮古島・八重山島諸島の「分島(清国への割譲)」で合意した経過などを見ても歴然であるが、日帝の釣魚台略奪は、琉球処分―日清戦争勝利という日本天皇制権力の後発資本主義から帝国主義への飛躍をかけた侵略主義の発露の一環である。その意味において、われわれは日清戦争以後の日帝の中国侵略の歴史に対する反省として、日帝に対しては釣魚諸島の領有権主張の放棄を断固として要求する。
 同時にわれわれは、中国―習近平政権による人工島建設などを通した南沙(スプラトリー)諸島をめぐる領海権紛争が高まっていることも知っている。「一帯一路」外交路線による覇権主義的傾向を強めていることも看過できない。
 釣魚台は、琉球王朝―沖縄人民による対中交易の航路上の目標島としての利用が圧倒的だったのであり、中国側の利用は限定的だった。また、ユクンクバジマ、あるいはイーグンクバジマとして釣魚諸島総体を認識していた八重山漁民の存在を考えるならば、沖縄―八重山漁民の漁場としての利用は当然保障されるべきである。したがってわれわれは中国に対しても領土要求の取り下げを要求するものであり、そして、沖縄人民による管理を要求する。中台人民との領有権交渉においても沖縄人民の優先的使用権を主張する。まずは、日台漁業協定協議、日中高級事務レベル海洋協議での当事者としての沖縄の参画が大前提だ。
 こうした立場は、沖・日・中・台労働者人民の連帯と団結を形成するプロレタリア国際主義と革命的祖国敗北主義の階級的立場に他ならないと確信する。「尖閣防衛」を声高に叫び、領土拡張主義・民族排外主義を流布し、自衛隊の即戦力化、日米軍事一体化を免罪符とするあらゆる策動を断固として粉砕しよう。

  ●2章 新基地への陸自「水陸機動団」常駐の秘密合意を許すな

 辺野古新基地への陸上自衛隊「水陸機動団」常駐の秘密合意が暴露された。報道によると、二〇一二年陸自中枢の陸上幕僚監部(陸幕)は、幹部をキャンプ・シュワブの現地調査に派遣し、海兵隊と交渉を開始。一五年当時の陸幕長・岩田清文が在日米海兵隊司令官のローレンス・ニコルソン(在沖米四軍調整官)と水陸機動団の常駐で合意。合意後、両者が陸自施設の計画図案や給排水計画を作成、関係先に提示した、という具体的な内容だ。
 当初政府や防衛省、陸自幹部は相次いで「密約合意」を否定したが、一月二七日の参院予算委員会で防衛相岸信夫は「共同使用の形での図があったという話はある」と、陸自内での検討を認めるに至った。これは単に軍部の独走、シビリアンコントロール(文民統制)の逸脱批判の問題だけに終わらない。辺野古新基地が、当初より日米共同反革命前線基地としての性格を色濃く持つものであったことの証左だ。「普天間基地の危険性除去」「沖縄の基地負担軽減」というこれまでの「辺野古唯一」論が完全に偽善であったことを改めて弾劾する。
 密約合意の時期、辺野古新基地阻止闘争をめぐる状況はどういう状況だったのか。一三年一二月仲井眞による埋め立て承認への沖縄人民の怒りが爆発、翌年一月には、名護市長稲嶺進氏の再選勝利、そして一一月には「オール沖縄」派の翁長雄志氏が反動・仲井眞を破り知事選に勝利、続く一二月衆院選でも勝利を収めるという画歴史的な地平を切り拓いた。その地平の上で沖縄人民は、翁長知事の埋立承認取り消し、裁判闘争・安倍政権との「辺野古集中協議」での工事中断―交渉決裂・工事再開という一連の辺野古決戦闘争の非和解的な闘いを展開していたのである。
 また、一六年四月に起きたうるま市での元米海兵隊員(米軍属)による女性暴行殺害事件への怒りが高まり、止まることのない米軍人・軍属の事件事故の発生と米軍行動指針「リバティー制度」(米軍人・軍属の夜間外出を制限する制度)の空洞化に日米地位協定改定・基地撤去のうねりが全島を席巻した。
 まさにこの時期に在沖米軍トップに君臨していたのが、ニコルソンである。当時ニコルソンは、記者会見で「辺野古に建設中の基地を含め、沖縄の米軍基地を自衛隊と共同使用し、いずれ自衛隊の基地になるとしたらどう思うか」と述べて、「沖縄での反米反基地感情を抑えられる」との期待感を臆面もなく披露したという。一六年一二月に発生した名護市安部集落前海岸への米海兵隊MV22オスプレイ墜落事故への抗議に対して、「パイロットの判断が沖縄の人を守った。感謝すべきだ」と机をたたいて激高し居直ったのもこの人物だ。
 陸自「水陸機動団」は「日本版海兵隊」といわれ、一八年三月に発足した。昨年二月には金武町・米軍ブルービーチ訓練場での日米共同訓練に初参加した。ちなみに、今年も日米共同訓練が強行されたが、佐世保からの海自輸送船「おおすみ」の故障により規模が縮小されたという顛末だった。なお、辺野古新基地(キャンプ・シュワブ)と戦車道でつながる金武町キャンプ・ハンセンは、既に日米共同使用を可能としている。名護市議会では特別委員会が設置され、辺野古新基地での日米共同使用を許さない闘いの端緒が開かれた。「離島奪還」作戦(釣魚台実効支配強化)を先鞭とした日米共同訓練の恒常化・日米軍事一体化による沖縄・琉球弧における自衛隊の増強、辺野古新基地の日米共同使用を断じて許してはならない。

  ●3章 琉球弧への自衛隊強化、米軍演習激化、日米軍事一体化を許すな

 自衛隊の琉球弧への配備強化が急ピッチで進んでいる。二〇一三年防衛大綱と中期防衛力整備計画では、民主党政権下での防衛大綱と中期防を廃止したものの、中国包囲網を念頭にした琉球弧―南西諸島の防衛力強化路線は踏襲した。一四年中期防では陸自の大規模な組織改編を行い、「島嶼防衛態勢」の強化をかかげ与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島への部隊配備を明記した。「水陸機動団」創設もそうである。そして一六年三月、与那国島に陸自沿岸監視隊が新設され、天皇アキヒト(現上皇)が陸自の「日の丸」で迎えられたのだ。
 昨年四月には、宮古島で中距離地対空ミサイル(中SAM)部隊の編制完結式がおこなわれた。「宮古島警備隊」は将来八〇〇人規模に増員、新型対艦ミサイルを装備することも明らかになっている。同時期、地対艦ミサイル部隊と中距離地対空ミサイル部隊で構成される「奄美警備隊」(奄美駐屯地と瀬戸内分屯地)も発足した。警備部隊、地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊を配備する石垣島では、現在用地造成工事が進んでおり、今後、隊庁舎、車両整備場、火薬庫建設を経て二三年春頃の開設をめざしている。石垣市長中山の建設予定地内の市有地売却策動を打ち砕こう。奄美・宮古島・石垣で不屈に闘う住民と連帯しよう。
 加えて一四年に日米合意された馬毛島への自衛隊基地配備、米軍艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)場計画に対して、今年一月末に行われた西之表市長選では反対派の現職・八板俊輔氏が再選を果たした。だが防衛省・九州防衛局は、環境影響評価(アセスメント)とボーリング調査を強行した。沖縄と同様の手法で民意を踏みにじり、既成事実化をゴリ押しする日帝・防衛省を断じて許してはならない。
 一方で、米軍演習も恒常的に激化している。嘉手納基地では、横田基地所属の米空軍CV22オスプレイによる兵士の降下訓練が民間上空で強行された。うるま市津堅島でのパラシュート降下訓練は「県」やうるま市の中止要請を無視し、訓練を強行している。また、嘉手納基地所属F15戦闘機によるタッチアンドゴー離着陸訓練や岩国基地所属の最新鋭ステレス戦闘機F35Bの普天間基地飛来による騒音激化も恒常化している。伊江島では、三月にF35B、KC130J、MV22B、CH53Eなどの海兵隊航空機投入を軸に「遠征前方基地作戦(EABO)」演習が展開された。そうした中、嘉手納基地周辺住民約二万二〇〇〇人が夜間・早朝の飛行差し止めと騒音被害損害賠償を国に求めた「第三次嘉手納爆音訴訟」で、最高裁第三小法廷は三月二三日付けで住民側の上告を棄却する反動判決を下したのだ。徹底弾劾する。
 特に注目される事態は、慶良間諸島や国頭村辺戸岬、大宜味村など各地でMC130J特殊作戦機による低空飛行訓練が相次いで現認されていることだ。沖縄全島で住民や家屋を敵地に見立て、国内航空法での高度遵守すら制限されない傍若無人の米軍に対して、住民は怒り、「県」議会や市町村議会での抗議決議が相次いでいる。
 新型コロナ感染クラスター拡大状況下では、米軍人・軍属・家族の入管特権を弾劾し、日米地位協定改定要求を突きつけたが、米軍基地経由の新型コロナ・変異株感染症拡大の懸念はいまだに解決してはいない。また、一月那覇市やうるま市での女性に対する性暴力事件、さらには各地で時間外飲酒運転事故も頻発している。何度繰り返せばいいのか、米軍行動指針「リバティー制度」の形がい化を居直る米軍、それを容認する日帝―沖縄防衛局・外務省沖縄事務所を断じて免罪してはならない。
 嘉手納爆音訴訟団は第四次訴訟を四月にも提起する。第三次普天間爆音訴訟団も、過去最高の五三四七人の原告参加で三月二五日追加提訴を行った。「静かな日々を返せ」という当たり前の要求だ。持続的な闘いで、米軍演習激化・爆音糾弾、軍事基地撤去、そして日米安保への風穴をこじ空ける闘いに勝利しよう。
 日帝―菅は三月二六日、「土地規制法案」を閣議決定した。「何としても今国会で成立させたい」(参院予算委員会)と強硬姿勢を露わにしている。この法案は、自衛隊や米軍基地、海上保安庁、原子力発電所、国境付近離島の土地について、所有者の個人情報や利用目的を国が調査できるようにするものだ。重要性が高い施設周辺については「特別注視区域」に指定し、事前届け出制とし、罰則も科すことで実効性を担保するという驚くべきものだ。「基地の島」沖縄はほぼ対象地域に入り、自衛隊配備「国境付近」の与那国島、石垣島、宮古島も対象となる。
 戦争法・安保法制が施行されて五年目において、新たな監視・管理と私有財産の国家統制を狙う新たな治安維持法攻撃を許すな。イージス・アショア配備阻止をかちとった秋田・山口の闘いの地平をねじ曲げる「敵基地攻撃能力保有論」粉砕とともに「土地規制法」廃案・粉砕へ立ち上がろう。

  ●4章 「設計変更不承認」をかちとり、辺野古新基地建設阻止へ

 辺野古新基地阻止闘争は、コロナ禍での現地闘争・行動の困難さを克服しつつ断固として整然と闘いぬかれている。現下の焦点は、設計変更申請に対する玉城デニー知事の不承認を勝ち取ることだ。
 大浦湾でのマヨネーズ並みの軟弱地盤の改良工事を余儀なくされた日帝―沖縄防衛局は昨年四月二一日、「埋立地用途変更・設計概要変更」承認申請の提出を強行した。コロナ禍「県」非常事態宣言発令直後の慌ただしい中だった。今思い返しても本当に腹立たしい。
 「県」は九月五日の緊急事態宣言解除を受けて、八日から二八日までを公示・縦覧期間とした。その結果、一万七八三九件(確定値、総数一万九〇四二件)の意見書が寄せられた。内、名護市在住者は五七九件で、全てが設計変更に「否定的な意見」だった。
 こうした手続きを経て一一月二七日、玉城知事は公有水面埋立法に基づく名護市長意見を諮問したのである。回答期限は、議会決議を必要とする法的根拠と十分な審査を勘案し今年の三月二六日までであった。
 ところが名護市長・渡具知は、名護市議会会期中の一二月一六日に突如追加議案として「市長意見」を提出した。それは、設計変更での工程の見直しによる辺野古作業ヤードの埋め立て中止(用途変更)のみに言及した、たった三行の「異議ない」というものだった。設計変更の主な原因であり市民生活にも大きな影響を与える大浦湾軟弱地盤問題についての言及を拒否した。市長就任以来、新基地問題は「国と県の問題」だとして自らの態度を曖昧にしてきただけに、こうした無責任極まる渡具知の「回答」に市民の怒りが爆発し、野党市議団は断固として「市長意見」議案を否決した。
 さらには、「市長意見」は三月議会への再上程も可能であったが、渡具知はそれも放棄し、あげくは「辺野古問題は名護市政の重要課題ではない」と居直る始末だ。野党議員団はこうした渡具知の無責任さを徹底弾劾し、三月定例会最終日「不承認を求める意見書」を名護市議会の名で採択した。
 また、設計変更不承認を求める闘いとしての「名護市長意見」をめぐる攻防は、昨年一二月八日から突如開始された辺野古ダム湖面でのボーリング調査阻止の闘いとも連動して展開された。
 このボーリング調査は、新基地建設のための美謝川付け替え工事の一環である。美謝川付け替えには名護市条例が適用され「協議」が必要である。稲嶺市政の際は、承認を得られないと判断した沖縄防衛局がルートを変更し、協議を取り下げた経緯がある。ところが渡具知市政は、早々に条例適用外だと公言し、ボーリング調査を容認したのである。オール沖縄会議現闘部と島ぐるみ会議は名護市交渉や数波にわたる緊急市民集会開催で抗議の声をあげ、徹底抗戦を展開した。沖縄防衛局は二一年度予算に美謝川付け替え工事に一〇億円をつけている。玉城知事の設計変更不承認と合わせて、美謝川付け替え工事阻止の闘いを断固としておし進めよう。
 設計変更不承認を求める声と闘いはさらに拡大している。「戦争犠牲者の遺骨を岩ズリと一緒に軍事基地の埋め立てに使うなど断じて許されない、冒とくだ」として、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表・具志堅隆松さんが三月一日から六日まで行ったハンスト決起は、沖縄人民大衆の大きな共感を呼び起こした。
 那覇市議会や名護市議会など多くの市町村議会でも具志堅さんの訴えに応じて「沖縄戦戦没者の遺骨等を含む可能性のある土砂を埋立てに使用しないよう求める」意見書が採択された。ハンスト期間中集まった署名三万二八〇〇人分が玉城知事あてに提出された。
 沖縄防衛局は、辺野古新基地建設「設計変更」申請で、埋め立て土砂採取地を従来の北部地区二カ所から、石垣・宮古島を含む沖縄全域の七地区九市町村に拡大した。同時に伊万里(佐賀)、五島(長崎)、天草等(熊本)、奄美大島、徳之島等(鹿児島)の九州四県一一地区も明記している。
 追加された内の七割を占めるのが、沖縄戦の激戦地である南部の糸満市と八重瀬町である。首里司令部壊滅で牛島や長ら沖縄第三二軍司令部は、住民を盾にした南部への敗走を方針とした。その結果、二〇万人といわれる沖縄戦犠牲者のうち、約一〇万人の沖縄住民がこの南部地域で犠牲になった。「国体(天皇制)護持」のための持久戦(捨て石戦)を強制された沖縄戦の実相を示す現実である。この地で、戦後七六年を経た今なお沖縄戦犠牲者の遺骨発掘活動がボランティアによって続けられている。不発弾処理・住民避難も日常的だ。
 沖縄防衛局の土砂採取地変更は、「県」外からの土砂搬入を規制する条例の網をくぐる策動でもあったが、沖縄戦体験を原点とした沖縄人民大衆の反戦平和思想「命どぅ宝」を貫く肝心(チムグクル)はそれを断じて許さない。「採石業者において遺骨に配慮した採取が行われる」、「遺骨がないか業者が目視で調査する」との言い逃れも断じて許さない。具志堅さんらは引き続き第二弾のハンストに決起し、四月二一日には防衛省と厚生労働省への要請行動を展開する。一人の勇気ある行動を支え、新基地阻止へともに闘いぬこう。
 何度でも繰り返す。辺野古新基地は建設不可能だ。断固として闘いをおし進めよう。設計変更で国は、試算でも完成までにあと一二年、費用も一兆円近くに拡大することを認めた。だがそれも知事の設計変更「承認」が前提である。軟弱地盤「改良」工事の技術的欠陥に加え、活断層の存在で護岸崩壊の危険性も現実的だ。反対運動に敵対する警備費の増大や工事業者と癒着した随意契約の乱発、工期の延長で血税投入はさらに膨れ上がることは必至である。
 この間、米政府監査院(GAO)、米議会調査局(CRS)は相次いで報告書を出し、新基地建設に「政治的・環境・生活面での理由から、ほとんどの県民は反対している」と指摘している。米保守系シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)報告書に至っては、辺野古新基地は「完成するとは考えられない」と断じる程だ。日米両帝国主義の断末魔の叫びにしか聞こえない「辺野古唯一」を謳い上げる四月の日米首脳・菅―バイデン会談を許すな。
 ところで、二月三日福岡高裁那覇支部(裁判長・大久保正道)は、辺野古サンゴ関与訴訟において、「県」の請求を棄却する不当判決を下した。「県」の判断を待たず頭越しに「辺野古のサンゴ移植を許可せよ」と迫った農水大臣の「是正指示」にまたもやお墨付きを与えたのだ。
 それにしてもその「理由」たるや驚くべきものだ。「結果的に変更承認申請の承認が得られず無益な工事になったとしても(!)、工事が施工されることを前提に本件各申請の許否の判断をしなければならない」という強弁だ。沖縄防衛局が強行移植した絶滅危惧種オキナワハマサンゴが九群体中五群体も死滅していることもあり、「沖縄防衛局と一体となって対応しているとしか考えられない異常な事態」(玉城知事のコメント)に怒りは高まる。当然ながら「県」はすぐさま最高裁へ上告した。
 当面する設計変更不承認の闘いはまさに総体として襲いかかってくる国家権力との全面対決だ。不当判決弾劾! 玉城知事の設計変更不承認をかちとり、辺野古「埋め立て承認」再撤回へと全国の闘いで押し上げていこう。

  ●5章 沖縄―「本土」貫く辺野古新基地阻止、沖縄解放闘争に総力決起しよう

 第一に、辺野古サンゴ関与訴訟の高裁反動判決を許さず、四月にも判決を下そうとしている最高裁を包囲していこう。知事の設計変更「不承認」をかちとり、知事権限を奪うあらゆる策動を許さない、圧倒的に「不承認」支持を表明する行動を沖縄に呼応して全国で巻き起こそう。現地行動を軸に辺野古新基地の埋め立て工事を阻止しよう!
 第二に土地規制法案粉砕! 軍事基地強化・演習激化を許さず、地位協定改定を実現させよう。今国会での成立強行を狙っている土地規制法案は有事体制づくりそのものであり、沖縄をはじめとした全国の反基地闘争、反原発闘争の解体を目論むものだ。この法案の反革命性を暴露し、全国で成立阻止に立ち上がろう。
 第三には、住民の闘いに結集して日本軍=自衛隊の琉球弧要塞化を阻止しよう。石垣・宮古への電子戦部隊の新たな配備、辺野古新基地の日米共同使用など、ますます明らかとなってきた日米共同反革命前線基地化との対決を強めていこう。
 そして第四には、釣魚台をめぐる軍事強化と領土排外主義煽動を許さず、沖縄人民の生命と生活に立脚した反帝国際主義で闘いぬこう。
 5・15闘争を沖縄―「本土」貫いて闘い、沖縄人民の自己決定権で沖縄解放闘争の前進をかちとろう! 菅政権を打倒し、沖縄解放―安保粉砕―日帝打倒・米帝放逐にまい進しよう。



 



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