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■『戦旗』1654号(3月20日)5面

 
改憲・戦争に向かう岸田政権を許すな!
 国会行動に立ち上がろう

 
                               内田 洋
 


 岸田政権がこの通常国会において成立させようとしている諸反動立法を許してはならない。岸田政権打倒を掲げた大衆的反戦運動の前進をかちとっていこうではないか。
 昨年来からの政治とカネの問題で岸田政権の支持率を低下してはいる。しかしながら、岸田政権はこの状況においても改憲と戦争国家化政策を着実に進めようとしている。議会内既成野党は政治とカネの問題を軸にして国会攻防を組み立てようとしているが、これは二〇二四年通常国会の本質に迫るものではない。こうした与野党の攻防の陰に隠れて改憲策動や経済安保のための反動立法が今通常国会で論議・成立させられようとしている。これこそ大衆運動の第一義的課題にしなければならない。
 今こそ、アジア人民と連帯した反戦運動の観点をもった国会闘争が決定的に問われているのだ。岸田政権打倒を鮮明にした反戦闘争・国会闘争に決起しようではないか。


●改憲策動を許すな

 岸田は本年の通常国会冒頭の施政方針演説において、改憲に向けた決意を明らかにした。すなわち、政治とカネの問題でいくら追及されようとも日帝の戦争国家化を推進していこうという決意表明である。あらためて改憲阻止の全人民的反戦闘争として国会行動を闘っていこうではないか。
 岸田は改憲論議を自らの任期中にできうるだけ進めると明言した。これは具体的には憲法審査会での論戦を通じて、「緊急事態条項」の新設を改憲の先鞭として具体化しようということである。憲法九条改悪を射程に入れた政治的思惑があることはまちがいない。われわれは「緊急事態条項」そのもの中身もファシズム法案として徹底的に弾劾する。
 自民党が二〇一二年に発表した「憲法改正草案」では、新たな項目として「緊急事態」を設けている。ここで言われる「緊急事態」とは、「内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態」であり、「閣議にかけて緊急事態の宣言を発することができる」と明記されている。そして「緊急事態の効果」として「緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」とし、この政令をもって地方自治体の長に対して指示を出すとしている。
 重要なことは、この緊急事態の宣言が出された場合「何人も法律の定めるところにより、当該宣言に係わる事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない」と、人権の制限に明確に踏み込んでいる点である。
 もちろん自民党の「改正草案」は「第一四条、第一八条、第一九条、第二一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない」と規定してはいる。しかしながら、ここで「基本的人権」の保障として掲げられている改正案第二一条とは「表現の自由」に関する規定であり、その第二項には「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは認められない」としている。自民党「改正草案」が言うところの「人権」は、それ自身限定的なものとして主張されているのだ。
 実際、自民党がSNS上で掲載した「改正草案」の解説では「『緊急事態であっても、基本的人権は制限すべきではない。』との意見もありますが、国民の生命、身体及び財産という大きな人権を守るために、そのため必要な範囲でより小さな人権がやむなく制限されることもあり得るものと考えます」と明言している。
 すなわち、緊急事態条項とは明らかにブルジョア民主主義・「人権」を右から解体し、もってファシズム体制構築を狙ったものである。絶対に許してはならない。すでに公明党は緊急事態条項の草案を作成し今国会に提出する予定という新聞報道も流れている。本年の通常国会における憲法審査会で緊急事態条項をめぐる論議が加速するのは必至だ。岸田政権による改憲策動を許すな。


●経済安保―適性評価制度創設反対!

 本年初頭の通常国会における特徴の一つに、経済安保法にセキュリティクリアランス(適性評価)制度を創設しようという動きがある。岸田政権は二月二七日、「セキュリティクリアランス(適性評価)制度」を導入する法案を閣議決定した。この経済安保法には立憲民主も賛成しており、今通常国会においてセキュリティクリアランスが論戦として焦点化することは難しい。しかながら、このセキュリティクリアランスは日帝の安全保障戦略上は大きな転換であり、経済安保を掲げる日帝の本格的戦争国家化に向けた攻撃であることは間違いない。
 そもそもこの経済安保法なるものは、「安全保障の確保に関する経済政策を総合的かつ効果的に推進する」ことを目的としており、具体的には①半導体などの重要物資の安定的な供給網の確保、②サイバー攻撃に備えた基幹インフラ役務の安定的な提供の確保、③先端的な重要技術の開発支援、④特許出願の非公開など先端技術の流出防止、を目的とする。罰則としては虚偽の届出や情報漏洩に懲役二年を科す。現代における戦争形態の変化に対応した法案とされる。しかしながら、ここでいわれる「経済安保」なる概念そのものが不明確であり、政府による拡大解釈がいくらでも可能となる。拡大解釈次第では国家権力による市民社会の監視・管理が可能となる法律である。
 このような経済安保上における情報の漏洩を防ぐことを目的としたものがセキュリティクリアランスだ。ここでいう「適性評価」とは国家的機密情報を扱う資格が民間人と企業にあるかどうかを権力が評価するということである。
 政府は「重要経済安保情報の保護・活用法案」として今国会での成立を狙う。これは二〇一四年に施行された「特定秘密保護法案」と密接な関連をもって運用される。
 「主要七カ国(G7)で唯一未整備だった日本の経済安全保障にかかわる情報保全制度の骨格」「高度の機密性を持つ情報は現行の特定秘密保護法で対応する。それ以下の重要情報は新しい法律で網をかけ保全に漏れがないようにする。法整備で民間企業の商機逸失を防ぐ狙いもある」「政府は新法に合わせて特定秘密保護法の四分野で経済安保上の重要な情報は特定秘密に指定できることを明確にする方針だ。同法の運用基準の見直しを検討する」「安全保障の概念が広がり、サイバーや宇宙、人工知能(AI)など軍事と民生の区別がつかない情報が増えてきた。こうした情報への適格性評価がなく、企業からは『資格保持者のみが出席できる国際セミナーに参加できなかった』などの不満があった」(『日本経済新聞』二〇二四年二月三日)。
 このように報じられているのだが、セキュリティクリアランスとは、経済安保領域における特定秘密保護法に他ならない。「特定秘密保護法」とはその成立時に「何が秘密かは秘密です」と揶揄されたように、国家機密が外国に漏れないようにすることを目的としながらも、その対象は明らかにしないという法律である。罰則規定を設けているが、国家権力の思惑次第で運用が可能である。秘密の対象が秘密なので拡大解釈がいくらでも可能であり、政府が「情報を漏らした」とするジャーナリストや民間人を逮捕できる悪法だ。成立時には大きな反対運動が沸き起こった。セキュリティクリアランスは特定秘密保護法と一体の関係であり、経済安保法の実動化ともいえる。
 機密漏洩の罰則を二段階で設け、特に機密性が高い情報を漏らした場合、既存の特定秘密保護法を適用して懲役一〇年以下の罰則を科すとしている。また、安保に「支障」がある情報を「重要経済安保情報」に指定し、有資格者が漏洩すれば、最長五年の拘禁刑や最高五〇〇万円の罰金刑などを科すとしている。安倍政権が二〇一三年に成立させた特定秘密保護法では、外交、防衛、テロ防止、スパイ防止という四分野に機密情報を限定していたが。セキュリティクリアランス制度ではこれに経済安保の対象も加えるものとなっているのだ。
 今回のセキュリティクリアランスは、この特定秘密保護法成立時に起こった全人民的反対運動を総括した側面もある。特定秘密保護法は罰則規定や実動化まで一挙にもっていった。しかし今回は、最初に経済安保法なる一般的で抽象的なものを成立させ、その実体化・実動化としてセキュリティクリアランスとして成立させるという二段階で構えている。すなわち、セキュリティクリアランス法案の中身を一挙に出して広範な反対運動がおこることを防いだ形になる。
 このセキュリティクリアランス制度が法として成立すれば、民間人も経済安保で国家機密とされる領域に関与することができる。しかしそのためには、家族・親族を含めた身辺調査が行われる。企業利益のためにはこの身辺調査を受け入れるほかはない。政府は身辺調査を一元的に担う新たな機関を創設する方針で臨むとされているが、この新たな機関がどのような組織になるのかは不明である。いずれにせよ、セキュリティクリアランスを掲げ思想・信条領域まで踏み込む捜査機関が創設されることは必至である。
 特定秘密保護法の拡大である経済安保・セキュリティクリアランス法の成立を許してはならない。


●戦争遂行国会に反対しよう!

 今通常国会においては、「能動的サイバー防御」の問題もある。いわゆる防衛的・受動的にサイバー攻撃に対処するのではなく、能動的に対処するという考え方だ。基本的発想は「敵基地攻撃能力」の保有に近いものである。問題なのはこの「能動的サイバー防御」を実動化する組織を、警視庁・公安調査庁・防衛省・海上保安庁・外務省などの統合によって創設する、という動きがあることだ。「能動的サイバー防御」の掛け声をもって、日帝国家権力の構造的改編が行われる可能性が高い。いわば、かつての内務省に匹敵する組織を創設する企図があるということだ。
 また刑事手続きのIT化が画策されている。これは盗聴法の改悪とセットで行われようとしている。
 現代において戦争概念が変化し、戦闘空間も地上・海上・空中から宇宙やサイバー空間にまで拡大しようとしている。こうした概念変化に伴い、戦争と治安が融合し市民の日常生活と戦時が切れ目なく結合されようとしている。われわれは、国家権力による治安管理の強化―人民支配・階級支配の強化を一般的な国家権力の肥大化としてのみ批判するのではなく、そうした治安管理を戦争遂行体制・日帝の戦争国家化の問題として捉えていかなくてはならない。
 アジア人民との連帯を掲げて日帝の戦争国家化を阻止しよう。今通常国会を戦争と治安強化の国会として見定め、大衆的反戦運動で闘っていこうではないか。

 


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