共産主義者同盟(統一委員会)






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■『戦旗』1657号(5月5日号)8面

   
 
戦争も核の被害も無い世界を求めて闘おう! 
  

                            九州・山口地方委員会





 はじめに

 三月二五日、米共和党のティム・ウォルバーグ下院議員は、地元ミシガン州で行った演説の中で、パレスチナ自治区ガザ地区での虐殺について「ナガサキやヒロシマのようにすべきだ。手っ取り早く終わらせよう」と発言した。後日、本人は比喩だったと主張しているが、断じて許せない発言だ。被爆者は、今も原爆症に苦しんでいるし、被爆二世も原爆放射線の遺伝的影響の可能性を否定できず親と同じような病気になって苦しんでいるというのに。
 未だ原爆投下を正当化し、核による威嚇を「核抑止力」と言い張って肯定し、核兵器開発に突き進む米帝を許す訳にはいかない。そして、米帝の「核抑止力」に頼り、自らも核武装を目論む日帝も断じて許さない。
 原爆の人権侵害の最たるものの一つが、放射線の次世代への影響であることを私たちは強く訴える。多くの仲間と共に、反戦・反核・反原発、全ての被爆者・被爆二世・三世に国家補償に基づく援護を求めて闘おう。


被爆二世集団訴訟2・29福岡高裁判決弾劾!

 本年二月二九日、福岡高等裁判所において、被爆二世集団訴訟(長崎原告)の判決が言い渡された。裁判官が入廷し、二分間の写真撮影の後、「原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする」と述べ、法廷を去った。あっという間の出来事だった。
 長崎地裁判決は、「原爆放射線による遺伝的(継世代)影響」については、「未だ知見が確立しておらず、その可能性を否定できないというにとどまる」として、被爆二世に対し、被爆者援護法に基づく援護を行うことを否定した。これは、広島の黒い雨訴訟控訴審判決で示された「原爆放射線による健康被害を受けた可能性のある人たち」を被爆者として救済した判決より大きく後退し、国側に立ったものであった。
 福岡高裁では、二回の口頭弁論で証人尋問も無く、三回目で判決が言い渡された。その内容たるや原爆投下時に「既に出生していた者」を前提に、「原爆の放射能の影響により健康被害を生ずる可能性がある者」を援護の対象にするとして、「原爆による放射線の遺伝的影響は人間では証明されていない」と断定して被爆二世への被爆者援護法の適用を否定した。訴訟の途中で二名の被爆二世の原告が膵臓ガンなどの病気で亡くなっているのに、被爆二世の現実に一切触れることは無かった。福岡高裁は被爆二世の原爆被害の現実に見て見ぬふりをしたのだ。
 裁判終了後、報告集会が行われた。あまりにも酷い判決に弁護団も原告団も怒り心頭であった。ある原告は、「世界には核実験などの核被害者の二世がおり、原爆放射線が次世代に及ぼす影響は、人類の未来にとって重大だ。被爆二世は、その先頭を走っており、負けるわけにはいかない」と、この裁判の本質を語った。被爆二世の遺族からは、亡くなる直前まで被爆二世の夫が裁判に思いを寄せ、病床で意見陳述をする努力をしていたことを切々と訴えられた。
 こうした被爆二世の現実に向き合わず、日米両帝国主義の戦争犯罪を隠蔽して、被爆二世の原爆被害を無かったものとする裁判官に怒りが沸いた。何故、裁判官は被爆二世の遺伝的影響は証明されていないと言い切れるのか? そもそも国は、被爆二世の実態調査すらしたことが無く、被爆二世の人数さえも把握していないのだ。
 被爆二世という存在そのものを否定するかのようなこの判決は、核兵器を核抑止力として肯定し、原子力発電をエネルギー政策の柱とする日帝の原子力政策を積極的に擁護し、推進するものだ。断じて、許してはならない。
 三月一一日、長崎原告は遺族を原告に加えて最高裁に上告した。


反戦・反核・被爆者解放を闘う仲間は、被爆二世集団訴訟広島高裁での闘いに結集せよ!

 被爆二世集団訴訟(広島原告)の第二回口頭弁論は三月八日に広島高裁で行われる予定だったが、新幹線の事故のため延期となった。被告・国側は福岡高裁の判決をもって早期終結を目論んでいる。広島原告は福岡高裁の不当判決に怯むこと無く、何度でも被爆二世の原爆被害の現状を伝えて、被爆者援護法にもとづく援護の必要性を訴え続ける覚悟だ。
 広島高裁での闘いを、これまで以上に闘おう。多くの反戦・反核・被爆者解放をともに闘う仲間が一緒になって、この裁判を支援しよう。
 四月一日、被爆二世と長崎の被爆体験者、そして超党派の国会議員でつくる「被爆者問題議員懇談会」の意見交換会が長崎市であった。昨年五月、被爆体験者や被爆二世らを救済するため被爆者問題議員懇談会が結成された。長崎、広島など全国各地から超党派の国会議員四〇人が参加している。
 被爆体験者とは長崎で原爆の熱線や黒い雨を浴び、爆心地から一二キロメートル以内にいたにもかかわらず、行政区分の線引きで被爆者と認定されない人たちのことだ。広島の黒い雨体験者と違い、どんな病気に罹っても被爆者とは認められない。被爆体験者も裁判闘争をしているが、今も不当判決が続いている。
 被爆二世や被爆体験者は裁判闘争だけで無く国会への働きかけを続けている。共に闘おう。


最後に

 被爆体験者は内部被曝の恐ろしさを世に示し、被爆二世は放射線の継世代影響を知らしめることで、核兵器が、決して使用してはならない、人道上許すことのできない兵器だということを告発している。
 しかし、日帝は「これ以上被爆者を増やしたくない」という一九八〇年の基本懇答申に基づく姿勢を今も改めていない。二〇二一年七月二七日、菅首相(当時)は「『黒い雨』被爆者健康手帳交付請求等訴訟の判決に関しての内閣総理大臣談話」を発表した。この談話では七月一四日の広島高等裁判所における「黒い雨」被爆者健康手帳交付請求等訴訟判決について上告しないものの「『黒い雨』や飲食物の摂取による内部被曝の健康影響を、科学的な線量推計によらず、広く認めるべきとした点については、これまでの被爆者援護制度の考え方と相容れないものであり、政府としては容認できるものではありません」と判決を否定している。決して許してはならない。
 昨年のG7広島サミットは、米帝の広島・長崎への原爆爆撃を免罪し、「核抑止力」体制こそが世界支配の要であることを日帝―岸田を先頭にG7首脳が宣言した。私たちはこれを被爆者・被爆二世・被爆三世の闘う仲間と共に、戒厳令下を突破して二日間にわたるデモと国際集会で打ち破った。
 翌月、平和記念公園とパールハーバー国立記念公園が姉妹公園協定を締結した。日帝のアジア侵略を無視し、先の戦争がパールハーバーで始まり、原爆投下で終わったかのようなイメージを持たせる。許しがたい。
 日帝が侵略戦争を始めなければ原爆爆撃も行われなかった。私たちは、日帝にアジア侵略反革命戦争への真の謝罪とアジアの戦争被害者に対する賠償を行わせなければならない。
 戦争に反対することは国境を越えた民衆の団結を作り出す。核と人類は共存できない。広島・長崎への原爆使用は米帝の戦争犯罪だ。米帝は、被爆者・二世・三世に謝罪と賠償をしろ!
 日帝の核武装を許さない。核兵器と原発を世界中から廃絶しよう。そうした声は、世界の民衆の声だ。私たちは、日米韓核抑止力体制を打破し、世界中の侵略戦争に反対し、アジア民衆をはじめ世界中の民衆と連帯する戦争反対、核兵器廃絶、原発廃絶の闘いを必ずや作り出す。ネバーギブアップ! 皆さん、共に闘おう!

 



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