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  ■共産主義者同盟(統一委員会)第2回大会が大勝利





 われわれ共産同(統一委員会)は、〇八年×月第二回党大会を規約に基づいて開催し、偉大な勝利をかちとった。大会では〇七年×月の中央委員会で確認された中央委員会報告が非常に熱心に討議された。また新中央委員案が提起された。中央委員会報告、新中央委員案ともに反対ゼロ名、保留・棄権が数名という圧倒的多数の賛成で決議された。

 われわれは「できる限りの公開制」というレーニン主義の原則に基づき、中央委員会報告を『戦旗』紙上に掲載する。ただし、紙面の都合上、全文は掲載できないので了解していただきたい。今回は第一章、第四章、および補足文書である。



  21世紀のプロレタリア革命の勝利に向けて闘いぬけ!

  ブントの再建と統合を果たし
  日本における革命的労働者党の建設を不屈におし進めよう!



  共産主義者同盟(統一委員会)第二回大会で採択された中央委員会報告




  ●1章 21世紀の新たな社会主義運動、新たな共産主義運動を創出しよう

       〜情勢の急進展とブントの党派性、綱領と実践の位置〜




 〇四年のブント両派の統合によって、ブント再建に向けて第一歩を踏み出した、わが同盟・共産同(統一委員会)は、統合大会以降のこの四年間にわたる期間、日本帝国主義と日本独占資本、世界帝国主義と世界独占資本の打倒と廃絶、プロレタリアと被抑圧民族人民の解放を目指して全力で活動してきた。〇一年の「9・11攻撃」を転換点にしてアメリカ帝国主義は「戦争」政策を一挙に激化させ、また九〇年の「ソ連邦崩壊」を梃にすすめた「グローバリゼーション」をより加速させたのであった。二十一世紀の初頭情勢は、中心国アメリカによる「対テロ戦争」―第三世界への侵略戦争の激化とグローバリゼーションの推進―無制限の搾取の自由の要求を主導的要因にして、世界の不安定化が一層進み国家と民族、階級と階級、社会集団と社会集団の対立が一段と激化する時代となった。基底的には、全世界の資本主義化が一挙に促進され、新しい世界史の局面が作り出された。こういって過言でない。米帝国主義は中心国からの脱落の危機に直面して、逆に、世界の一段の資本主義化を自らの力の下に進める政策に危機打開の道を見いだし、世界の再編成の攻撃を強めている。しかし、暴力と搾取を全面化させたこの政策は、世界の危機を深刻化させ、危機の様々な現実をもたらしている。戦争とグローバリゼーションは絡み合い、相互補完しつつ、一体化し、全世界の労働者階級と被抑圧民族、人民に徹底的な犠牲を強いている。暴力と搾取による支配と抑圧は明確に労働者人民の生活と生存を深刻に脅かしている。帝国主義の支配の限界、資本主義の存立の限界が示されているにもかかわらず、しかしながら帝国主義と資本主義はより凶悪な形で延命しようとしているのだ。支配と抑圧の政策の激化する只中で、二十一世紀初頭の〇四年に、わが共産主義者同盟にあっては両派の組織の歴史的統合がなされたのである。その歴史的意義は極めて大きいものであった。共産主義者同盟の統合は歴史的必然であり、日本における革命的労働者党建設の第一歩を意味する。わが同盟に課せられた任務は極めて重いものがあった。ブントの再建の第一歩、革命的労働者党建設の第一歩を刻印することを起点に、わが同盟は当面する課題に応えるべく全力で活動してきた。また重要なことは、全世界の労働者階級人民が、二十一世紀の初頭、米帝国主義の「イラク侵略戦争」「対テロ戦争」と帝国主義諸国による「WTO強化」「自由貿易協定の強化」の動きに、反対し立ち上がったことだ。労働者階級、被抑圧民族人民の抵抗運動は九〇年代の後退を確実に乗り越えて、二十一世紀、新しい人民諸層、諸集団の無数の反乱から始まっている。全世界的な規模で新しい階級的な高揚期が始まったのである。同盟の統合以降の四年間は、一層全世界の労働者階級、被抑圧民族人民が反帝国主義、反資本主義に立ち上がり、しかも国境を越えて共同行動を発展させる時期でもあったのである。

 わが同盟はこの四年間、「利潤率の絶対的低下」に喘ぐ、帝国主義―多国籍企業、世界資本主義、帝国主義世界体制が危機を深め「戦争とグローバリゼーション」を強める中、かれらの攻撃に正面から対決してきた。同時に立ち上がる全世界の労働者階級人民と連帯、結合し、とりわけ東アジアにおいては、国際的な反帝国主義の共同行動を構造的に発展させてきた。わが同盟は活動とたたかいを通して、全世界の労働者階級、被抑圧民族人民の解放闘争の前進に大きく貢献してきた。帝国主義と資本主義の打倒と一掃によってしか今日の労働者人民の苦難と災禍を克服することができないことは明らかだ。自らの世界を作り上げることによってのみ労働者階級と被抑圧民族人民は解放を実現し得る。唯物史観からみた歴史は前進する。

 この四年間のたたかいにあって、わが同盟はあくまでも統合された同盟の綱領(的立場)である「帝国主義の打倒、資本主義の打倒、プロレタリア被抑圧民族人民の解放」を正面から掲げ活動してきた。あくまでプロレタリア社会主義革命運動、共産主義運動を強化、発展させることによって現状を変革、打破していこうとするものであった。いうまでもなく二十一世紀の初頭の階級的情勢、革命運動状況はけっして楽観できるものではない。プロレタリアの解放運動は、明らかに、二十世紀とは異なる課題に直面している。また実際運動は新たな様相を示している。過去の九〇年代の「ソ連―東欧」の「社会主義体制」の崩壊を重要な要因にして、スターリン主義運動は二十一世紀、より一層の崩壊を遂げていった。残存の「社会主義国家体制」は中国スターリン主義のように多くが資本主義化の激化政策によって著しく社会を変質させていった(もちろん逆流に抗してキューバは社会主義路線を堅持している)し、帝国主義国の諸党のほとんどは消滅の危機にある。またイスラム圏においては、イスラムを掲げた運動が一つの被抑圧民族人民の「抵抗の思想―運動」として台頭し、また中南米ではチャベス政権のように「新しい社会主義革命」を目指す動きが拡大した。また第三世界では依然として毛沢東主義の影響下の武装解放勢力も一定の力を維持している。帝国主義国ではスターリン主義党の総崩壊と社会民主主義の政党の右傾化が進んだ。とくに社民党の政権与党化による一層の反動化が「ニュー労働党」(イギリス)、「ニュー社民党」(ドイツ)の名の下に進んでいる。また対抗するべき新左翼―革命的左翼は第四インター系の「世界社会フォーラム」系への再編成など、総じて中間派は「個人の自由な連合」「民主主義、人権」などブルジョアの思想と運動に解体的に再編されつつある。しかし韓国の左派潮流における労働者党建設の動きやアメリカの反戦派の党建設の動きなどが存在し、また日本におけるわが同盟の反戦闘争と労働運動の結合を通した党建設の実践などが現にあり、革命的翼による新たな共産主義運動、社会主義革命運動が目指され、模索されているのも確かである。わが同盟の活動は二十一世紀初頭の困難を極める全世界の共産主義運動の実践、社会主義革命の実践にあって、この一部を担うものであり、多くの戦闘的、革命的な労働者党の活動、運動と同一基盤にある。わが同盟はこの新たな運動の一部を構成し、運動を貫いていく。

 日本においては、戦争とグローバリゼーションの進行によって左翼諸潮流の再編が独特の形で進んでいる。日共スターリン主義党は「社民綱領」への傾斜の進展と絶望的な議会主義路線へのしがみつきを強めているが、にもかかわらずスターリン主義組織論を強化し帝国主義国で特異に勢力を維持している。社民党は「護憲、反格差」をもって村山路線から転換したが、結局議会主義政党として展望を見いだす以外にない。第四インターや労社同などの中間主義潮流は総じて「護憲」運動をすすめてはいるが、社民党や民主党に一層寄り掛かっていくものとなっている。また宗派の系譜は、情勢に対応できず内部的に混乱と対立を激化させる現実にある。二十一世紀の現代世界の変革を根本から行おうとするとき、党派潮流の綱領(的立場)、路線、組織の党派性が一層、重要であることが明らかとなっているのである。情勢への小手先の手直しで対応できるものではない。スターリン主義や社会民主主義、中間主義、トロツキズム、あるいは宗派主義によっては、一切、二十一世紀のプロレタリア革命を切り開いていくことはできない。中間主義、中間派の規定について若干説明するならば、この主義、潮流の意味するところは、一般的には共産主義と社会民主主義の中間の諸傾向、諸潮流を指すのであるが、二十一世紀の初頭情勢において、新しいかたちでこの傾向が拡大を見せている。革命的左翼はこの傾向とのたたかい、克服が重要な課題となっている。かれらは現在、総じてプロレタリアを革命の主体とするプロレタリア革命、プロレタリアによる権力の樹立と社会の統制(独裁)、またこれを通した社会主義・共産主義の実現という見地を否定する、もしくは曖昧な態度をとる。資本の廃絶や資本主義社会の廃止の積極的意味が捨てられ、小商品生産を前提とする「オルタ」的社会を掲げる。共同した生産と分配に基礎付けられた社会建設に対置して、個人の自由意志の絶対化、個人の人権、主権を押し出す。現在の「世界社会フォーラム」の綱領に典型的に現われている。

 こういったことがこの四年間で一層明らかとなった。重要なことはブントの綱領(的立場)―党派性が二十一世紀世界において解放の思想、解放の綱領としてより一層、重要性を増してきていることをわたしたちが自覚することであり、これを実践する革命的労働者党の力を構築していくことなのである。

 わが同盟はブントの党派性を堅持して、また限界性、途上性を突き出し克服し、この四年間の実践をすすめてきた。ブントの党派性を堅持しつつ、〇四年大会の諸決定、綱領―路線―組織・規約を新たな出発点にして活動してきた(この点はブントの党建設の歴史からいえば、完全に歴史を画するといって過言でない)。日本における革命的労働者党の建設を目指して活動してきた。重要なことは二十一世紀の現代世界の根本からの変革は、マルクスが明らかにしたように資本主義の打倒と廃絶、プロレタリア解放の革命以外にないということだ。またそれはブントが一次ブント、二次ブント以来、明らかにし、また〇四年に統合、再建されたわが同盟が、積極的に明らかにしたものである。わが同盟(統一委員会)は旧ブントの立場を深め、「現代世界の革命は資本主義批判―プロレタリア措定―党建設―他潮流批判の原理的規定と権力闘争論、階級形成論、革命の主体分析、帝国主義批判、スターリン主義批判の諸内容に根差した革命である」ということを明らかにした。現在日共スターリン主義党、社民党はもとより、新左翼の内部でプロレタリア革命―社会主義革命の綱領を否定し資本主義体制の内部での改良を主張する部分が増大している。日向派はブントを清算し社民党や民主党と変わらない部分へと脱落していった。また反改憲運動の一部には「戦後憲法」を絶対視し、民主主義革命を主張する傾向もある。しかしこれらは二十一世紀の帝国主義と資本主義の重圧に屈したものであり綱領的敗北でしかない。更には「革命の主体の措定」における重大な分岐が発生している。たとえば中間派の人達にあっては「民主主義や市民の連帯」を絶対視してしまい、革命の主体としての労働者階級の措定(そこから来る団結)の意味、意義、革命の主体としての被抑圧民族人民の措定(そこから来る団結)の意味、意義を否定もしくは後景化させている。またこの中間派は実力闘争による革命―労働者、被抑圧民族人民の解放―の思想に反対している。小市民の連合と非暴力による運動を対置するのみであり、結局は反帝国主義を正面から掲げる運動を排除し、時として武装解放闘争に「軍事主義、テロ」などと批判し敵対するところに転げ落ちていく。かれらは労働者階級人民の団結による帝国主義、資本主義への対抗、労働者階級人民の実力闘争によるたたかい、こういった現代革命における革命の主体の自己解放の思想の核心点を曖昧にし、否定しているのだ。現代の革命の思想家として一部もてはやされているアントニオ・ネグリもおおきくはこの傾向にある。さらに「階級形成論、労働者階級、被抑圧人民の団結論」を巡る分岐も重大な意味を持ってきている。日本においてとりわけ根強く残る宗派主義の克服がこの四年間で一層重要な課題となった。「プロレタリア階級形成論」の欠如、否定が必然的に党派間の内部ゲバルトや内部粛正を生み出すのである。労働者階級、被抑圧民族人民の反帝国主義、反資本主義の運動の開始と団結の形成、運動とたたかいを通しての再団結、また労働者階級、被抑圧人民の諸階層の独自の団結形成と横への広がり、諸解放運動の連帯と団結の構築、このようにプロレタリア解放にとってのコミューン・ソビエト的団結の本質的な意義を捕らえ返すことが欠如するならば、そこには宗派的、スターリン主義的腐敗が必ず発生する。逆にプロレタリアの団結の形成、運動のコミューン・ソビエト的発展はスターリン主義や宗派主義の階級の解体、セクト的分断、党の独裁を克服する。また解放を推し進める党派、労働者党の存在と活動によってスターリン主義党、宗派の敵対を打ち破ることができるのだ。ブントのこの階級形成論の党派性は二十一世紀の現代革命おいて一層の重要性を増してきたのである。

 わが同盟の活動は、確かに〇四年の統合大会を主体的起点にしたものである。ブントの過去の栄光と挫折に踏まえ、あくまでも共産主義者同盟がめざした「プロレタリア社会主義革命」を現代的に力強く復権する活動なのである。もちろん党建設や綱領措定の問題点を修正、変更しつつ、新しい共産主義運動を建設していくものである。スターリン主義や社民主義、中間主義や宗派主義の誤謬を内外に示し、自らの解放運動を創出(本質的には労働者階級・人民の自己解放運動の断固たる推進)していく。わが同盟は、革命的労働者党の建設を前進させることによって自らの任務を果たしていく。ブント主義の復権とはこのこと以外にない。



  
●2章 わが同盟のこの四年間の活動と情勢の諸特徴(略)


  
…………(略)…………




  
3章 04年同盟の統合、再建大会から四年間の活動の中心的総括
             ―教訓と成果、次なる課題とは何か




 二〇〇四年の統合大会以降、〇四年、〇五年、〇六年、〇七年とわが同盟の活動、たたかいは実に忙しく、また活動分野も極めて多岐にわたるものであった。もちろんわが同盟は大会での確認、綱領―路線―組織の諸内容を物質化するために全力を挙げてきたのである。この章では四年間の実践を通した総括軸について、わが同盟が自ら革命的労働者党へ成長するために避けて通ることのできない核心点について明らかにする。主要な成果と教訓であり、総括である。


   〈旧ブントを根底から乗り越えるための同盟づくり
                                  ―三つの普遍的課題について〉



 ◆1 プロレタリア解放綱領を基礎にしたわが同盟の建設の前進


 核心点の第一は、プロレタリア解放綱領を主体的な基礎にした党建設、党作りに前進していることである。日々の実践のなかで、わが同盟の綱領(的立場)を主体化し、深化させながら組織としての結束を強化していることだ。労働者階級の解放そして被抑圧人民の解放を、革命の主体としての労働者階級の措定を、被抑圧人民の措定を綱領的次元において主体化、深化させながら、わが同盟の建設を推し進めていることである。綱領(的立場)による同盟の建設を可能とする組織的力をわが同盟は確立しつつあるということだ。ブントの党建設の敗北を乗り越える党建設の飛躍の一歩を、わたしたちは確実に踏み出した。

 一回大会で確定した同盟の綱領、とりわけ資本主義批判―プロレタリア措定―党建設―諸党派批判という綱領の原則的立場において、わが同盟は組織的に一致し、日々の活動を通して綱領を深化し、組織的結束をより強化していく地平を本格的に切り開いた。この点は旧ブントの綱領を欠如させた党作りの根本的な限界を突き出し乗り越えるものであるとともに、また綱領を党員個人の思想形成に還元したり代替させたりする諸傾向とのたたかいを前進させてきたことを意味している。

 また綱領内容について、大会でのブント綱領の継続の積極的な意義が一層、明らかになった。すなわち「プロレタリア社会主義革命、世界革命、暴力革命、プロレタリア独裁、実力闘争、国際主義」という原則的内容によるプロレタリア自己解放の貫徹という立場が、二十一世紀の現代世界の革命を目指すに際して、確実な拠点として存在することが、一層、明確になったのである。そしてこのブント綱領は革命の主体論や権力闘争論、階級形成論を明確にしたわが統一委員会によって受け継がれ、発展させられていくことを広く内外に示した。〇四年を画期にして開始したわが同盟の立脚点形成のたたかいは、旧ブントのそれを継続しつつ、乗り越えた内容をもって現にある。
 「戦術の党」「過程の党」、「思いつきやセンスの党」という綱領の原則的立場(の一致)による党の建設の否定というブント的傾向と根本的に異なる次元において、わが同盟は自らの党建設を開始した。綱領による党作りの前進は、この四年間の活動において総括できる成果として確認できる最大の部分である。わが同盟は現在、一次ブント、二次ブントの一旦の党建設の挫折を乗り越える地点において、確実に革命的労働者党建設の道に一歩を刻印しつつある。


  ◆2 「革命の総路線」を実現し、現代(階級闘争)世界に切り込むわが同盟建設の前進


 第二の核心点は総路線を物質化するわが同盟建設に勝利してきていることだ。二十一世紀の現代帝国主義世界、現代資本主義世界に対して「路線」をもって実践的に切り込み、労働者階級、被抑圧人民、諸階層の運動の前進を勝ちとることができた。共産主義者の任務である労働者階級の解放闘争の断固たる推進である。路線を実現する労働者党の建設を進めることができたことの意味は大きい。階級関係の困難な現状に非実践的な体系や空論的言辞にしがみつく、口先だけの集団があまりにも多い。こういう傾向と決別し、わが同盟はブントの党派性に立脚し、同盟の核心点である「路線」を貫徹し、労働者人民の解放運動を進め、現実の階級関係を革命的に左翼的に再編してきたのである。党的立場にたって「路線の推進」について見るならば、一面では路線をもって現実の階級闘争の中に激しく切り込んでいくのであるが、同時に他面では主体的に長期の活動によって路線を実現していくということを意味する。こういった激しいたたかいと長期の計画的活動は基本的に、革命的な労働者党によってしか実現し得ないのである。わが同盟は実践的にはこの四年間「当面する路線の三つの内容」を着実に実現し、新しい階級闘争構造の創出、階級的労働運動の構築、AWC―国際連帯活動の形成、反帝国主義の政治闘争、拠点防衛の活動を通して多くの成果をあげた。帝国主義―資本の攻撃にデモやストライキなどあらゆる手段で反撃する労働争議、反基地闘争、反戦闘争、AWC運動、三里塚闘争などの貫徹。しかしまた路線の総体―路線の全体(三つの内容)を全体系をもって、ある意味では一つの部分の欠如もなく頑強に活動し抜いていくこと、わが同盟はこういったたたかい方をしてきたのであり、こういったたたかい方のできる党派へと成長してきたといえるのである。徹底的に現場で反撃し、たたかい、運動を発展させていくと同時に全体的で系統的なしかも長期にわたる粘り強い活動を実現してきたことは大きな成果である。およそ革命党たるべきものはつねに現実の労働者階級、被抑圧人民の生活と抵抗に依拠してその内部で断固として活動し、現実の諸層の解放運動の前進のために活動するのであるが、同時に帝国主義、資本主義の攻撃に有効に反撃し、勝利するために「戦略と戦術」「路線」の計画的な系統的な推進を目指さなくてはならない。ブントは常にこの分野を党派性にし、積極的な活動内容を作り出してきた。あえていえば旧ブントのように一個の戦線、一個の戦術に一面的にのめり込んでしまい、路線総体を体系的に実現していくことを破壊してしまったり、また粘り強い活動、長期の活動の意義をないがしろにしたりする傾向を確実に克服しつつあるということだ。路線を実現するブントというわが同盟の党派性をもっと積極的に生かし、同盟の組織の強化に結び付けることが重要だといえるのである。

 閉鎖的な団体建設を目的化する宗派、人民支配を解放運動に置き換えるスターリン主義という、こういった階級闘争を破壊する傾向に対抗して、生きた現実の階級の解放運動を発展させていく、わが同盟組織の建設こそ、わが統一委員会の党派性の根幹である。総路線をもってする同盟の建設を一層進めていこう。


  ◆3 ボルシェビキ党組織論に基礎付けられたわが同盟組織の建設の前進
         ―内部規律の確立のためのたたかい



 第三の核心点はボルシェビキ党の組織論によるわが同盟の組織建設の前進である。大会で採択された組織論、また規約を主体化し実践した結果、組織としての結束、組織としての規律を確立することができた。他のサークルや運動体と自らを区別し革命党、労働者党として組織的に自己を確立していくことだ。この点に関してはわが同盟は、旧ブントを完全に乗り越えることができた。ボルシェビキ党の規範は何よりも革命党としての内部規律を確立しこれによって組織を構成していくことである。すなわち組織員の会議への所属と三大義務(会議参加、機関紙活動、財政活動)の実現を根幹とする組織の建設を頑強に進めていくことだ。今後は組織論の一致を口先だけのものではなく実際に実行していく活動を強めていかなければならない。口先では認めても実際には実現できない体質を克服していくことが重要な課題である。

 またこれとは別に合同大会においてマルクスの革命的労働者党論を復権したわが同盟は、これを組織論の基礎に据えて同盟組織を建設してきた。共産党宣言における「共産主義者の任務の四つの規定」である。また党の成立の根拠をなす「階級の運動が政党を生み出す―他の労働者党と同一の基盤にある」という規定を主体化しつつ、わが同盟を建設してきたことの意義は大きい。一切の宗派組織論、スターリン主義組織論を打ち破る基盤を打ち固めることができたといえるだろう。また「意識性」「推進力」としての党規定についてのマルクス的提起をわが同盟は自らの組織建設のうちに確実に物質化してきている。この組織論の原則を頑強に推進していくことが重要なのだ。わが同盟の組織論の積極的位置が一層鮮明となっており、旧ブントを完全に乗り越えるマルクス革命的労働者党論、ボルシェビキ革命党組織論の意義が明らかとなった。


  ▼〈わが同盟の4年間の実践によって生み出された新たな課題、四つの実践的課題について〉


 以下の項目はわが同盟が前進するために挑戦していくべき課題である。〇四年大会以降一貫して追求してきたし、また、〇八年二回大会以降、同盟が前進、飛躍するために追求していくべき重大な課題である。


  ◆4 労働組合、労働運動を組織できるわが同盟建設の一歩を踏み出す
            何としてもわが同盟の飛躍を実現せよ



 第四の核心点はわが同盟が労働組合、労働運動をしっかりと創り出せる本格的な労働者党へ前進していくことの重要性を確認することが、何よりも必要であるということだ。もちろん、わたしたちは四年間努力し、現在まで、労組、労働運動を創るための同盟への自己変革も相当すすんできた。しかし現状では極めて不十分であるということだ。もっと綱領―路線の根幹をなす階級的労働運動構築の分野で実績を上げていくこと、成果をあげていくことが重要であり、そのためにはわが同盟の体質を決定的に変革していかなければならない。ブント統合の時の一つの重要な課題であり、ここでの成果なくして同盟の飛躍はないと断言できる。労働運動の構築はわが国のみではなく、広く全世界における共産主義運動の再建の最大の鍵となっているのである。

 そもそも帝国主義、資本家階級の攻撃は労働者の団結を破壊し一掃することにある。労働者を徹底的に個に分断し支配する。重要なことは二十一世紀の初頭の現在、権力、資本が自らの延命のために労働者が団結すること、労働組合に結集することを目の敵にして徹底的な破壊の挙に出ていることだ。労働者階級の団結、自己解放、抵抗の基礎的な拠り所をとにかく一掃しようとしていることだ。とくに抑圧、支配の激しい中小・未組織の労働者、非正規雇用の労働者の団結、組合の結成への動きには敵対が顕著である。権力、資本による労働者階級の団結の破壊と一掃が進んでしまうのか、それとも労働者階級による抵抗を通した労働者階級の団結の創出と拡大に向かうのかという歴史的な選択の時期に、今ある。この帰趨が二十一世紀の資本主義世界の在り方、労働者階級の在り方、運動の展望を決定付けることは明らかである。わが同盟、労働者党は目の前のこの事実に基づいて、自らの活動を押し貫いていく以外にない。

 4CCで確認された労働組合の位置に関する規定をより明確にすれば次の内容になる。労働組合は労働者階級の基礎的団結組織である。資本と権力への抵抗を契機にして形成される労働者の共同の行動、団結とは、直接の要求は労働者の生活の改善、地位の向上という現体制の内部にありながら、しかしながらその抵抗と団結それ自身は本質的に資本主義を否定し、社会主義を要求するもの、社会主義を内包するものである。労働組合の団結とは常に現体制の内部での生活の向上の要求とまた現体制を乗り越えた解放の要求とが二重的にある団結体であって、労働者党は団結の二重性に踏まえた労働組合の建設を実行する。また、労働者党は労働組合の横への拡大をすすめ、労働運動をブルジョア社会の中心の人民の運動へと押し上げていくことに大きな力を投入する。労働組合は資本、権力に対抗する労働者の団結そのものなのであって、不断にその中身を巡って再編、再構築されていく存在である。資本に対抗する団結である組合、その内部にあって目的意識的にプロレタリア解放―社会主義を目指す運動形成が可能となる。労働運動活動家集団はここに成立する。労働組合を巡る階級形成とはこのようなものとしてある。一言で言えば、労働者階級は労働組合運動によって、解放の主体としての第一歩を、すなわちプロレタリアとしての団結の第一歩を踏み出すのである。また労働者階級の団結形成にあっては、ここを除いて、ここを欠如させての団結の一歩は、確かに成立するとしても、基本的には、それは狭い限定されたものであってこの制限の自覚抜きに次への団結の発展はない。

 若干説明しておかなければならないのは以下のことである。労働者階級の階級形成問題を、ただ労働組合の枠、場所においてのみ規定して事足れりとするのは、極めて制約的であり、不十分であり、実際の現在の労働運動、労働者の自己解放運動を貫徹していくには決定的な欠落を生じかねない。すなわち労働者は当面の要求をもって労働組合に団結したとしても、より積極的には他の労働組合、他の労働者との連帯、団結を通して階級へと自己を形成する。これはマルクスによれば労働者は労働者同士の団結を発展させて、資本家に対抗していく、すなわちブルジョア政府や総資本に対抗していくのであって、この過程を通して階級として、革命の主体として形成されていくのである。実際、現在、労働運動指導において問題となっているのは、労組連合のような政府や総資本とのたたかいを内包する労働運動の形成であり、この確固たる推進を抜きには労働組合すら維持し拡大していくことができないという現実である。この意味では労働組合を創ることと労働運動を作ることとは明確な違いがあり、わたしたちが目指すのは階級的な労働運動であり、その潮流なのである。もちろんたたかう労働組合を基礎にする運動形成がない労働運動は有り得ないことは確かである。ともあれ、労働者党にとって現在の労働組合、労働運動を巡る、したがって労働者階級の自己解放闘争をめぐる重要課題は帝国主義と資本の労働組合一掃、労働者の団結一掃の総攻撃に抵抗し、反撃していくこと、そのために労働組合を、労働者の団結をあらゆるところで作り出していくことである。そしてこれを横へ拡大させて(必然的に縦への深化になる)、労組を連合させ、労働運動を形成していくことである。

 また労働者党は、資本との協調・共存を論理化し、資本への永遠の隷属を労働者に強制し、革命に対する防波堤をなす体制内改良の労働運動―反共の労働運動である連合労働運動を打ち破り、またこの連合の指導部を打倒していくために断固としてたたかう。


  ◆5 国際主義を貫くわが同盟の建設


 第五の核心点は国際主義を堅持して同盟を建設してきたことだ。AWC活動、インターナショナルな活動を通して、戦争―グローバリゼーションに対抗する運動を作り上げてきた。二十一世紀の全世界人民の解放闘争の趨勢的な形成がある。わが同盟はブントの党派性を堅持し、国際部を先頭に活動してきた。そして東アジアを貫く人民の共同行動を前進させてきている。


  ◆6 被抑圧人民の自己解放の党への前進


 第六の核心点は被抑圧人民の党へと成長するための一歩をわが同盟が確実に踏み出したことである。被抑圧人民の解放運動は資本への対抗、対決一般とは異なる独自の自己解放の課題、独自の自己解放を掲げた自らの運動体、組織体を作り出している。その積極性を革命論的に明らかにし、団結の発展の現在性と方向性を労働者党は自らの課題としていかなければならない。もちろんプロレタリア革命による被抑圧人民の解放という方向は堅持して、また労働者階級や他の被抑圧民族人民との共同行動、社会的な信頼の関係性作りの方向を内部にはらみながら、自己解放の中身へと接近することは、わが同盟の重要な課題である。女性解放運動を一つの重要な被抑圧人民の解放運動として、その発展に取り組んできた。また組織的にも責任ある体制を一定作り上げてきた。ここの発展が必要である。わが同盟にあっては委員会としての女性解放委員会の活動がまずもって重要である。


  ◆7 反帝闘争の推進、たたかう体制を堅持できる同盟の建設


 第七の核心点は拠点防衛、行動隊建設を実現できる組織の建設をやり抜いてきたことである。この点は路線の体系的推進という場合でも、たんなる体系に解消しえない意識的な多くの力の投入が必要であり、党派の積極性抜きには成立し得ない活動であった。労働者人民の抵抗の拠点において、三里塚現闘―行動隊の体制を堅持してきた。たたかう同盟の体制を堅持して、同盟の前進を確実なものとしていこう。




  ●4章 二回大会以降の三、四年間においてわが同盟が実現するべき目標

        地区党建設の強化、拡大によって
            わが同盟のヘゲモニーを全国、全人民諸層の中へ



 以上の報告、総括に踏まえ〇八年の二回大会以降の当面する組織の獲得目標に関して明らかにする。政治路線―政治方針に関しては、〇七年以降三年間(また攻防を含めた数年間)にかけて、日帝―安倍政権による「憲法改悪」の正面突破の大攻撃が一挙に激化するのは必然であり、わが同盟は、労働者階級、被抑圧人民諸階層の決起と流動化、政治党派、潮流の流動化、活発化に依拠して大闘争を作り出すために全力でたたかう。いうまでもなく改憲は戦後体制の正面からの破壊である。これを許さずたたかうことは革命党、労働者党の義務である。また「アジアへの侵略戦争」政策の強化―戦争体制の強化―日米軍事再編、米軍基地の強化の策動が一体化して激化するだろう。沖縄人民、地元住民などの反撃が、また韓国人民による闘争が「反米軍基地」を掲げて、東アジア的規模で拡大している。わが同盟は反改憲、反軍事基地のたたかいを一体のものとして全人民的政治闘争に押し上げていく活動を強化していく。問われているのは一個の決戦的なたたかいであり、運動である。党派の全力をかけたたたかいが必要である。同盟の総力を挙げて潮流の再編、党派の再編を伴うような政治的な高揚を作り出していかなければならない。戦後史の転換の歴史的意味をしっかりと押さえ、わが同盟は反改憲―反基地のたたかい、運動の一時代を全力でくぐり抜けていく。また主体的に作っていく。潮流の再編成にも当然にも積極的に関与していく。もちろん、わが同盟は「戦争とグローバリゼーション」の全攻勢に「総路線」をもって対決していくことが前提であるということは言うまでもない。


  ▼1節 二回大会以降の重要な組織的獲得目標


 イ)地区党の強化、拡大に本格的に取り組もう―全国各地にわが同盟、ブントの旗を打ち立てよう


 また組織路線―組織方針上の目標は、第一に、現在のわが同盟の党勢を大幅に拡大していくことである。現在の三大地方委員会拠点(首都圏、関西、九州・山口)を労働者、被抑圧人民、学生、青年、住民などの全人民、諸階級、諸階層の総結集の組織として、構成をより充実させていくと共に、当該の地方にあって他の地域に進出し、勢力を拡大していくことである。また全国の組織のない空白の地方にも積極的に進出していくことだ。現在の組織を固め、新しい地域に進出していくには、地区党建設が絶対的な要なのである。地区党の力、結束が弱まれば、同盟は崩れていく。その地域からの撤退は同盟の大幅な後退を意味する。地区党の力の増大によって、はじめて路線は全体的に貫徹されるし、また地区党の拡大によってこそ多くの地域で同盟の存在、指導性を確立していくことができる。いうまでもなく地区党はボルシェビキ党の組織の結節環であり、わが同盟の綱領―路線を直接的に物質化しようとする組織の単位である。すなわち一般的には党の目的意識的内容を労働者大衆の内部で物資化しようとする存在なのであるが、党の中にあって地区党は、直接に党の宣伝、扇動を意識的に担ったり、あるいは全人民的課題を組織する。また、地区党は労働者、全人民のそれぞれの解放運動を「総路線」の物質化の観点から推進するものである。要は各産別、階層別の運動の内部にある委員会や細胞とは異なり、革命党、労働者党として独立し、展開・活動できる組織なのである。共産同(統一委員会)の一つの基礎、重要な単位を形成する。もちろん、地区党は地区委員会―細胞をもって構成されるものであり、細胞の強化拡大を必要とするものであるが、問題はこれを指導し集約する党組織としての地区委員会の力がなによりも重要となるということだ。

 現在の地区党の課題は単なる街頭地域政治サークルや職場労組、あるいは被差別大衆団体や市民団体を指導し、構成すれば良いというものではない。これらの諸解放運動を「総路線」に沿って統合し、いわゆる戦略的なたたかいを組織するのである。まさに現代のボルシェビキ党の神髄をなす。またしかし現在問われていることは地区党が街頭、地域の政治サークルを組織して展開させると共に、地域の職場労組―合同労組を指導していくこと、また被差別者の運動、学生、青年、市民住民の運動を統一的に指導していくことであり、かかる力、能力が要求されていることだ。とくに政治サークルを媒介にして反戦闘争やAWC(アジア共同行動)運動の地区的なヘゲモニーを形成するという課題、そしてまた同時に、深く職場労組、地域労組に根差した労働運動を形成していくことは現在の地区党成立の基本的要件である。

 わが同盟は残念ながら〇四年の統合大会以降、地区党の数に限っていえば決して増やせていない現状がある。地区党の空洞化は同盟の存立を危うくする。わたしたちは真剣に地区党の拡大に今取り組まなければならない。現在、関西地方委では欠ける×地区への進出、地区党建設が人の配置を伴って本格的に方針化された。是非とも成功を勝ち取りたい。また地区党の側から、「拡大しようにも人がいない、新しい補充がない」などの現状を訴える声が出ている。この点に関してはあくまで現在の組織路線を堅持するものであるが、学生などの若手を地区党―労組戦線に投入し、新しい息吹と展望を打ち出していくことも重要であると思われる。二回大会以降、何としても地区党組織の拡大、実際的には数の拡大を実現していく。かかる作業に大胆に取り組んでいく。


 ロ)民間中小労働運動におけるヘゲモニーの形成と大量の労組の建設


 第二の組織方針は民間中小労働者の内部に、多くの労働組合を建設し、また関係をもつ労組の執行部を強化し民間中小労働運動を強化していくことだ。わが同盟は○五年の第3CCにおいて、民間中小労働運動強化の労働運動路線を明確化し確定したが、二回大会以降、この3CC路線を受け、より積極的にこの方針を物質化していく必要がある。現在、政府、資本の攻勢と「連合指導部」による労働者支配の中で、ますます労働者の生活と生存は脅かされている。権力、資本に反撃し、連合労働運動を打倒していくために、左翼の側の拠点となる階級的な労働運動の構築が焦眉の課題となっている。そのためわが同盟は労働者多数が存在し、階級的、原則的見地がなければ存在そのものが困難な民間中小労働運動の階級的労働運動にむけた強化を大胆に実現していく。

 わが同盟が目指す民間中小労働運動強化の方針は、わが同盟がセクト的に影響力を強化することを目的にするとか、政治的な運動の下働きにするとかなどを目指すものではない。現在の階級情勢の下にあっては、労働運動の再建、強化、社会における労働運動のヘゲモニーの形成・強化が諸運動の要の位置を占めているからに他ならない。階級的な労働運動、階級的な労働組合の拡大の成否が一切を決定付けるといっても過言でない。民間中小労働運動の拡大によって非連合系労組が結集し、「たたかう労働運動」をつくりだしていくことが極めて重要である。階級的な民間中小労働運動の潮流化によって、連合の支配を打ち破る労働者運動形成の展望も切り開きうるのである。現状、民間中小労働運動は飛躍的に組織拡大を実現できているわけではない。民間中小労働運動を前進させるための若手の次期指導部や、多数の労組活動家を育成できているわけでもなく、決して楽観できる事態にはない。このような現状の突破をわが同盟は積極的に引き受けていかなければならない。党派の代行主義ではなく労働組合、労働者の主体的なたたかいとして実現できるよう「支援、援助」しなければならない。そうしなければ労働者自身のたたかいによって労働運動が組織的に拡大・強化していくことにはつながらない。民間中小労働運動に積極的に関わる党派としてわが同盟の責任は重く大きい。

 わが同盟には労組組織化を発展させる経験の蓄積が強く要求される。要求に応えるためにわが同盟は自らを変革しつつ労組建設、労働運動作りを成功させていかなければならない。○八年以降の三〜四年間は労働運動がどちらの側へと傾斜するかの重大な状況下にあり、わが同盟の任務は大きく、また責任を問われるポジション、場所にある。可能な限り短期間に、一定の数に達する労働組合をわが同盟が作り上げ、民間中小の労働運動の発展に寄与していかなければならない。そのためには党員の積極的な労働戦線への配置も不可避だ。関西―九州・山ロ―首都圏を中心に民間中小の労働運動の拠点といえる労組を作っていくのが何よりの任務であり責任である。

 また民間中小以外の労働戦線においてはそれぞれのたたかい、活動を貫徹しつつ、基本的には全労協などが設定する全国方針に連結する「たたかい方、活動スタイル」を編み出していくことが重要である。これによってわが同盟の階級的労働運動の一体性が確立できる。


 ハ)全国学生運動の再建、数百の反戦反改憲の学生運動の隊列を作り出せ


 第三の組織方針は、〇八年以降の数年をかけて全国学生運動を何としても再建し、数百の単位の学生の勢力を登場させることだ。確かに現在の学生運動状況は宗派二派、スターリン主義者による囲い込み運動しか他に存在しない。別には右翼の学生集団がいる。分裂と分断、混迷の状況は極まっている。このような運動情勢に抗して、学生運動再建を掲げてわが同盟がたたかうことの意義は大きい。全国の各大学に支部を建設し、反帝国際連帯を掲げる学生運動を作っていこう。現在の全国七大学拠点化政策を成功させつつ、より以上の大学にわが同盟の旗を立てていく。地道な組織活動をやり抜いて、全国各地の大学に政治サークルを建設し、多くの学生の運動への立ち上がりを組織していこう。


 ニ)二十一世紀のプロレタリア解放綱領、解放の理論の深化と創造のために全力で取り組んでいく


 第四の組織方針は、わが同盟の理論の深化に真剣に、本格的に取り組んでいくことである。わが同盟は統合大会で確かに、ブントの政治理論を一定のレベル、原則的なレベルにおいて整理し確定した。しかし、その後の作業は一部を除いて極めて不十分な状態にあると認めざるを得ない。二十一世紀に入って帝国主義、資本主義のあり様、労働者人民のたたかいなどあまりにも新しい現象が多く発生し、現実に展開されている。3CCにおいて確定した理論領域の設定課題をやり抜いていく必要がある。要(かなめ)は革命理論、プロレタリア解放綱領にあり、その創造なくしては現代のプロレタリア革命は不可能と言っても過言ではないということだ。マルクスの再解釈やレーニンの再解釈では決定的に限界がある。大袈裟に言えば、レーニンが二十世紀初頭に立ち、革命理論―綱領の新しい段階を切り開いていった基本姿勢が、いま、わたしたちに絶対に必要なのだ。現代革命の主体論、階級形成論、現代帝国主義論、資本主義論、国家論、価値論、社会主義論、スターリン主義批判、現代の党組織論、革命的労働者党論、ボルシェビキ組織論、被抑圧人民の解放闘争論、被抑圧民族の解放闘争論、他党派批判などである。〇五年以降の実践においてはこれに加えて、労働組合論、反改憲論、日帝―安倍・福田政権批判、安保―沖縄―岩国―神奈川日米軍事再編批判、東アジアの米軍再編批判などの課題が上がっている。理論の原則的内容を踏まえつつ、研究に基づくある程度の「新見解」をもって理論構築の作業に取り組んでいく。理論の創造を意識的に、大胆に行っていく。

 この他に取り組んでいくべき課題として次のものがある。


 ホ)青年運動の組織化


 現在、貧困と格差の拡大の中で、青年層、青年労働者の生活の破壊が進行しており、これに反撃する青年(労働者)の運動を組織していくことの重要性が大きくなっている。また青年の積極性はNGOやボランティア運動などによる社会活動への参加などにも示されている。こういった青年の現状を踏まえ、わが同盟は青年運動の本格的組織化の方針を確立し実行していく。


 ヘ)わが同盟の指導部への若手部分の積極的登用


 同盟建設の中にあって、積極的に若手指導部を育成していくことである。二十一世紀の長期にわたる階級攻防を見据えるとき、ブント主義、ブント潮流のたたかいを永続的に推進していくことが一切の鍵となっている。ブントを継承していくために若手部分の指導部としての形成はその大きな条件となる。とくに実践的な意味での指導の中枢を担う政治局を若手が構成していくことは大きな意味を持つ。三十代、四十代の指導者の建設が課題だ。同盟の将来を見据えて、二回大会以降に大胆に若手を指導部に登用していくことは重要な意味を持つ。


 ト)改憲攻撃に反撃するわが同盟の全体的な体系を構築し、同時に運動の発展のために大胆な統一戦線政策を追求していく


 わが同盟は、当面する重要な政治課題として安保―基地強化と並ぶものとして「憲法改悪」とのたたかいを位置付ける。反改憲闘争の闘争論を確立し、あわせてより多くの改憲反対の勢力、人士の統一戦線を形成し運動の発展を目指す。日帝・安倍政権は確かに七月の参院選で惨敗し、政権として終わり、しかしそれ以降の福田内閣においても現在の憲法への攻撃は弱まることはない。改憲を阻止することは米軍基地強化を阻止することと同様の重みを持つことを確認し、運動を構築していこう。


 チ)ブント系諸派との共闘を堅持し、ブントの再建を目指していこう


 蜂起派、首都圏委員会をはじめとする現在のブント系との共闘を原則的に堅持しつつ、次の再編を目指していく。また反改憲で政治過程に登場した旧ブントの人士についても積極的に評価して、実践的に対応していく。







  ■中央委員会報告・補足文書

  08年の初頭情勢と日帝・福田政権の危機



 〇八年の年頭は、米国の「サブプライムローン問題」に端を発した「ドル暴落」「株価暴落」「原油一バレル・百ドル突破」で始まった。九一年のソ連・東欧スターリン主義体制の崩壊以降、米帝による世界の再編成とその貫徹という歴史の一時代が終焉に向かっている。〇八年は中心国・米帝の没落が一挙に進む可能性が大きい年である。これに連動して日帝・総資本の危機が不可避に進行する年ともなるであろう。

  ●1章 90年代以降の米帝・多国籍資本の戦争政策とグローバリゼーションの促進


 この米帝の没落は過去の「ソ連との力関係における限界」や「日帝・独帝との生産力における敗北」などというものとは決定的に性質を異にしたものだ。米帝は九〇年代初頭以降、ソ連崩壊を重大な契機にして「自由と民主主義の勝利」を喧伝し、また「市場経済万能主義」を掲げて、世界の大再編に打って出た。すなわち「戦争」と「グローバリゼーション」を手段とする世界の編成である。もちろんこれは中心国・米帝の世界政策であり、米帝・多国籍企業―金融資本の利害を貫徹するものとしてであった。九〇年代から二〇〇〇年代の初頭にかけて、ともあれこの政策は貫徹された。米帝はまず「唯一の軍事的大国」として二度の「中東イラク戦争」を開始し、米帝の世界秩序に反対する国家に対して、「自由と民主主義の敵」のレッテルを貼りつけて侵略戦争に乗り出した。朝鮮戦争やベトナム戦争に続くイラク戦争である。ここではアフガン戦争を含めて、侵略戦争を実行することによって第三世界の民族解放闘争を押さえ込むとともに、重要な点として石油資源(他に鉱物資源、農産品など)の獲得、権益の確保があった。また産業分野においては、「IT革命」による情報通信産業の飛躍的拡大―そしてそこにおけるソフトの開発力の確保―を進め、これを「知的独占」しつつ、「IT」を根拠にした一段の合理化による生産力の拡大をすすめたのであった。「ニュー・エコノミー理論」などが持てはやされた。「グローバリゼーション」は、資本の拡大の一般的要求であるが、米帝がソ連崩壊後の戦後世界を「単一的な世界市場」として再編していくところに歴史的な特徴があった。米帝はこの市場の拡大を中心国として積極的に進めようとした。その中身は「航空・宇宙産業」「IT産業」、また石油エネルギー産業などの巨大独占体―多国籍企業や「農業」など国際的競争力を保持する資本の利益を拡大するために「貿易と投資の自由」を掲げたものだ。またこの「グローバリゼーション」は「金融の自由化」を意味したものであって、米帝の政策は米国の金融資本グループの利害を貫徹するためのものであった。実際この過程で大儲けしたのは米帝の巨大な金融グループであり、投資銀行、商業銀行であった。また資金の過剰と低金利化にともなって「投機」を専門とするファンドが急拡大した。


  ●2章 90年代〜00年代において進行した事態


 九〇年代から〇八年の年頭までの特徴。中心国―米帝・多国籍企業、金融資本の世界政策によって促進され結果したものとして、

 @世界市場に中国、ロシア、インド、ブラジルなどのいわゆる「BRICs」が引き込まれ、九〇年代の「東南アジア」諸国の資本主義化の規模を大きく上回る資本主義化が進展したこと。工業生産の拡大、賃金労働者の拡大―高度成長の実現など。ここでは中国スターリン主義が生き残りをかけて「資本主義化」の道に踏み切りこの意味で成功したことの契機が大きい。中国十三億、インド十億の人口の資本主義化の意味。

 AEUブロックの拡大と域内統一市場としての結束の深まり、そして政治的統合の進展。人口三億、GDPでアメリカを抜く。単一通貨ユーロは発行価値でドルを上回る。EUはもちろん単一国家ではなく中心国米帝の世界政策に振り回される仏帝と独帝が中心となって「生き残り」をかけて結合したものであるが、いまではこの「域内市場の安定と拡大」、帝国主義としての自立の条件になっている。予想される米帝の動揺は一層、EUの域内結束に拍車を掛けると予想される。

 B中国の政治的・経済的台頭はこの時期、急速に進んだ。自由化政策にキャッチ・アップして外資を導入し、低賃金労働者の大量供給によって生産量を爆発的に拡大させ、「世界の工場」といわれるほどになった。中国は過去十年間10%以上の経済成長を遂げて世界に占める経済規模を拡大させただけではなく、日本を上回る最大の外貨準備高を持つ国となった。現在は低中級品での競争力に過ぎないが基軸産業の競争力の強化を進めている。中国の安価な商品は「先進国」では価格革命をもたらし、デフレ傾向を拡大させ、また労働者の低賃金化の促進の梃となった。さらに政治的影響力を拡大させた。

 C「金融の自由化」にともなって、ファンド、あるいは金融資本のファンド化が一層促進され、「金融工学」なるものが持てはやされて、生産―製造からますます遊離した「資金の流れ」が拡大した。旧来の銀行資本による貸し付けにかわって「すべてを直接金融により調達へ」の流れが強まる。証券化されていく構造である。またこれと連動し、「ファンド」を名乗る投機的資金が一段と拡大し、株、債券、資源(商品)の暴落と暴騰を繰り返す「経済のカジノ化」が進み、それが経済活動の危機の要因に浮上した。

 D世界の資本主義化の結果、資源の枯渇―価格の暴騰が始まった。石油危機の時代以上の石油の暴騰、また希少金属・鉱物資源の高騰、トウモロコシ・砂糖黍(きび)・パーム油など石油代替品の高騰、これらと連動した食料品の高騰などがすすんだ。また環境破壊回避を名目にした温暖化対策が食糧危機を生み出している。資源の獲得競争が拡大した。

 E全世界で新自由主義政策が拡大し、労働者への低賃金化の攻撃が一段と強化され、圧倒的多数の労働者は貧困にあえぐ状態に追いやられ、各国で非正規雇用労働者の数が労働者部分の多くの割合を占めるに至った。日本三分の一、韓国二分の一など。また世界的に見れば移民労働者や少数被支配民族、被差別大衆などの切り捨て、搾取の強化が進んだ。日本ではワーキング・プア、日雇い派遣、ネットカフェ難民などの拡大。

 F第三世界に対する資本の輸出を通した搾取、また投機資本による収奪が進んだ。また資源の搾取、帝国主義国の巨大資本による権益の拡大は進んだ。しかし一部では抵抗運動が形成され破綻したところもでている。

 Gそしてこれらの諸特徴とも関連するのであるが、米帝・多国籍資本の「戦争」政策、「グローバリゼーション」政策は、労働者人民、被抑圧民族との関係において、多くの軋轢、抵抗を生み出し、〇八年年頭では米帝自身の限界をあらわにしてきたということである。この点がわたしたち労働者党にとってある意味では一番重要な点である。

 a)米帝・ブッシュ政権は「9・11テロの黒幕」「核開発」などをでっち上げて、イラク侵略戦争に踏み出したが、これは米帝・軍需産業の利益を代表した「十年に一度」の大戦争の性格を持っていたし、「百年の計をもった石油独占」の性格をもっていたことは確かである。しかしより重要なことはイラクに侵略して「敵対的な政権―フセイン政権」を打ち倒し、植民地的な安定体制を形成することは、第三世界に対する政権、民衆の動向を制御する最大の要だったのである。米帝はフセイン政権を倒したが、有効な占領政策を実現できず、イラク人民の抵抗闘争に直面した。米軍によるイラク人民の虐殺、民間傭兵による住民の殺害に対する抵抗運動によって米軍の死者は拡大した。この米軍の限界が明らかになるやアフガンでもイスラム勢力が復活し侵略軍に対する抵抗を拡大した。そして米軍の軍事力の限界が鮮明になるや中南米では反米政権が次々と誕生した。またOPECは無制限の石油の値上げ攻勢を強める事態をもたらした。フィリピン、ネパールなどの左翼解放勢力のたたかいも続けられている。

 対イラク戦争は膨大な戦費を必然化させアメリカの国力を相当弱めた。国家財政の赤字はクリントン政権の黒字から一挙に膨大なものとなった。アメリカ国内においてイラク撤収は時間の問題とされ、政権交代はもはや確実である。もちろんベトナム侵略戦争のように明確な軍事的敗北ではないにしても、戦争に見合う「権益」の確保のないままの撤兵におい込まれる事態にある。

 b)多国籍企業による搾取、低賃金化の攻撃に対する抵抗闘争の拡大。帝国主義国における新自由主義政策への転換によって、労働者の賃金は大幅にカットされ、また年金・医療などの社会福祉的予算が切り捨てられたが、全世界では貧困に追い込まれた労働者が主体となって大きな抵抗運動を拡大させた。フランス、アメリカ、韓国などで労働運動、移民労働者の反撃が拡大した。また日帝内部でも非正規、派遣、日雇い、請負などの貧困層の労働者が主体となった抵抗運動が形成されつつある。もちろん大きな力となって反乱し、社会を動揺させ変えるところまで行っていないところが多いが、帝国主義と資本の攻勢がスムースに貫徹されているわけでは決してない。また第三世界でも労働者の権利獲得の動きは発展した。


  ●3章 わが同盟の理論との関連でとらえ返すならば以下のことがいえるだろう


 イ)中心国概念


 米帝のイラク侵略戦争の行き詰まりは、米帝の世界制覇の最大の根拠である軍事力の限界を内外に示した。この結果、第三世界において植民地的な支配からの脱出の動きが拡大し、急速に規定力を失ってきた。ベトナム敗戦と似た事態が生み出されている。またソ連や日帝との連関における過去の後退とは異なって、安保政策では対抗する中国の急速な「資本主義化」や、社会政策・環境対策など文化で違うEUブロックの形成という歴史的与件がある。ソ連や日帝のように対抗手段によって解体させることは極めて困難な対抗軸を形成している。もちろん中国もEUもアメリカの世界政策、資本主義国としての力を前提としており、これとの相互補完関係にあることはいうまでもなく、急激な国家間対立が進行するわけではない。しかし米帝の政治、軍事、経済の後退は、世界編成をなしうる中心国の不在の状況を急速に生み出していく趨勢にある。中心国の移動は世界戦争や大恐慌などの破局の結果においてしか生まれないが、それ以前の段階での中心国の没落と不安定化はありうる。


 ロ)多国籍資本


 資本間競争の激化によって没落する資本と台頭する資本の趨勢が鮮明になっている。例えば自動車産業では米・ビッグ三は日本のトヨタ、ホンダなどに食われ没落を開始した。また航空・宇宙産業では米の資本が圧倒的な力を持っている。電機、機械、鉄鋼などの分野では日本、韓国、EU諸国の資本による大競争が展開されている。労働者階級に対する大合理化が技術革新ともに巨大独占の利益の根源であり、搾取は一段と強められている。


 ハ)ファンド―金融資本の証券業化


 この間、一切の財(とみなされるもの)が証券化され商品となっている。確かにわが同盟の理論では多国籍資本の概念に金融資本は含まれてはいるが、それは主として国境の壁を越えて「生産を開始する」巨大な独占体を想定していたものであったと言える。だが現在、金融資本の証券業化による利益の拡大が一段と進んだ。すべてのものを証券化しその仲介で利鞘を稼ぐ「収奪」の体系の確立である。またこの傾向は「投資ファンド」などの私募債による金儲けのシステムを作り上げた。M&Aなどの横行と投機の異様な拡大である。現在の株、通貨、資源、農産物などの暴騰と暴落は投機の結果であり、資本主義の動揺を深めずにはおかない。帝国主義国家はこれを制御できない状態にある。



  ●4章 日帝福田政権の特徴と危機の不可避性、日帝・総資本の没落の必然性と労働者階級人民への戦争動員・搾取強化の大攻勢


 以上の〇八年の年頭を取り巻く国際情勢にあって、日帝・政府自民党、あるいは日帝・総資本が取り得る「選択の幅」は著しく狭まっている。日帝は米帝・ブッシュ政権の戦争とグローバリゼーションの政策に結合して、この「手先」となって振る舞ってきた。小泉、安倍の政権がこれであった。しかし昨年の参議院選で労働者人民の「生活破壊」に対する反発によって自民党は敗退し、安倍政権は崩壊した。そして国民の反発を回避しつつ、戦争と新自由主義政策を護持するものとして福田政権は登場した。福田政権は地方への税の配分や農民への補助金の増額、医療費カットの緩和など人民の要求に妥協をはかりつつ、しかし、軍事外交―安保政策ではインド洋の自衛隊の給油活動の継続への攻撃、日米軍事再編―沖縄、岩国、神奈川の軍事基地の強化やイデオロギーの攻撃などを進め、あるいは沖縄戦の教科書記述への検定意見=日本軍による強制集団死の事実の歪曲・抹殺の姿勢を維持している。また重要なことは労働者階級の生活を破壊する「労働者派遣法」など非正規労働者の拡大を生み出した労働法制をさらに改悪しようとしていることだ。要するに反発の強いところ、票を稼ぐべきところでは小出しの「ばらまき」をしつつ、体制の根幹では強権的な攻撃に打って出ているのである。

 中心国・米帝の後退、またブッシュ政権が終わり、民主党政権が成立する可能性が拡大する現在、米帝に依存する自民党政権、福田政権の危機は不可避に深まらざるを得ない。福田の中国外交なるものは「対立のびほう的回避」を目指したものでしかない。結局、福田政権―自公政権は戦争政権であった米帝・ブッシュの没落と共に没落し、また戦争と搾取への人民の怒りによって崩壊せざるを得ない。この可能性が極めて高い。

 また日帝・総資本も自民党福田政権の没落と同様に危機に直面せざるを得ない。ドル暴落―基軸通貨の動揺は「安保政策の独自の構築」と「一定規模の経済圏の確保」のできない国の弱点を一挙に暴き出す。また労働者への搾取の強化しか政策軸のない資本と資本家は労働者の反撃によって解体される運命にある。経団連の現在の会長の御手洗は偽装請負を構造化させていたキヤノンの経営トップであり、「法律が悪い。制度を見直せ」などと労働者への搾取だけを目指した労働政策を要求する人物だ。圧倒的な多数の企業家、資本家は「儲ける」ために、新自由主義政策の一層の徹底化を要求しているのである。当然、資本家、財界は米帝の戦争政策を支持している。

 自民党の後退は現在では民主党の拡大につながる構造となっている。しかし民主党は保守政党であり、党首の小沢はもともと自民党より右といわれた「自由党」の党首であった。軍事外交―国連決議による海外派兵を目指し、また米、日、中の三国の同盟、連携を外交軸に据えている。これはあくまで日帝・総資本の生き残りのための諸政策だ。実際の労働者支配においては現在の改悪された労働政策が継続されるのは明らかだ。さらに改憲の策動も自民党を巻き込んで激化するだろう。民主党は「生活第一」などと欺瞞的な言辞を繰り返しているが、労働者人民の生活の破壊を結果するだろう点において、自民党と同一である。自民党との「大連立」の可能性も強まっている。ともあれ〇八年は、自民党と並んで、民主党への批判が革命的労働者党にとって重要な任務として要求される。
 

 

 

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